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オマケ~そして一ヶ月程後~

 正月、私の実家から帰ってきて直ぐに、正秀さんは来月からの私の部屋の解約手続きを進めた。週末には少しづつ車で荷物の移動を行つしった結果、私の部屋は一月最後の週末に空になる。一月はどちらかの部屋で過ごす半同棲状態を楽しんでいたが、二月を前に本格的な同棲がスタートする事になった。

 私の住んでいた部屋が家具付きの1LDKの部屋だったこともあり、引っ越し荷物というのは驚く程なかったから業者を頼むまでもなかった。夏服等今の季節使わないものはレンタル倉庫に入れ、形としては私が正秀さんの空間に転がりこんだか感じである。ゆくゆくは二人で、暮らす家なりマンションを探すつもりなので、あくまでも仮の二人の住まい。つまりはこの同棲は本当の意味での二人での人生のスタート地点でしかなく、新居探し、式場探し等、全てはこれから頑張らないといけない。

 付き合って散々訪れた筈の空間なのに、私は一人ドキドキしていた。ココが自分の空間にもなったという事で、より特別な場所に思えたからだ。

 仕事を終え、急いで帰って夕飯の準備をしてまっていると、早くも新妻な愉しさを感じニマニマしてしまう。

 カエルコールが来て、実際部屋に正秀さんが帰って来るまでの時間の、このドキドキってどう表現したら良いのだろうか? ミュージカルの登場人物みたいに踊って歌い出したい気分である。


 玄関のノブが回る音がして私は玄関に急ぐ。『おかえりなさい!』テンション高く迎えてしまった私を見て、正秀さんはフッと笑う。

 子供みたいだったかと、照れて下を向くと正秀さんが何か紙袋を提げているのに気がつく。

「あ、コレ。君に似合いそうなモノ見つけて」

 ニコリと笑いながら私にその袋を渡す。お礼を言ってからリピングにでその包みを開けると、中から柔らかいパイル地のフードのついたガウンが出てくる。風呂上がり等にガウン姿で二人で……とか考えていると恥ずかしくなり慌てて頭をふりその絵を、頭から追い出す。

 何故、ガウン? とも、思ったものの、正秀さんからの引っ越し祝いなのだろう。部屋で寛いでね、という意図を感じてその気持ちにも感動する。

「ありがとう! 可愛い! それに素敵!

 でも正秀さんのは? ガウンだったら正秀さんのもいるのね」

 気持ちよいパイル地の柔らかさを抱き締め堪能しながら尋ねると、正秀さん何故か人の悪い顔で笑っている。

「流石に俺は、こう言う可愛いのは似合わないから、もっとシンプルなモノ今度買うことにするよ」

 そう言いながら私の抱き締めているガウンのフードをクイッと持ち上げる。そのフードが変な形をしているのに今気がつく。

 ……猫耳?

 ニヤニヤと嬉しそうに笑っている正秀 さんにある疑念が浮かぶ。

「まさか、正秀さん、そういう趣味とかあるの?」

 正秀さんは目を見開き心外だと言う顔をする。

「君の家族、そういうデザイン好きみたいだから買ってきたんだ。わかばはやはり猫のイメージかなと思ってソレにしたんだけど……」

 ……家族って、そんな格好を好んでいるのは弟だけだった筈なのに……。

「違ったんだ。

 でも、ソレ普通にガウンとしても使えるからいいのでは?

 それに可愛いと思うよ!  ソレ着たわかばも」

 ニッコリ笑う正秀さんに、もう何も言い返せなかった。弟が着ていたバライティーショップに売っていた安っぽいモノとは違って、コレは結構それなりに有名なブランドの商品である。だからファンシーな感じはしないものの、二十中半過ぎの私が着るには若干恥ずかしい気もする。コレを私に着せて何を求めているのかと考えるが、紳士っぽくコチラを見て笑う正秀さんの顔からは窺う事が出来なかった。

 同棲するって、私が考えていた以上に恥ずかしいでも事もあると言うことを改めて知る。


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