別れ~そして新たな未来へ~
4章
別れ ~そして新たな未来へ~
こうして振り返ってみると、数え切れない喜びと、悲しみ、そして感動をクラスで分かち合ってきた。そして今、3A37名。3B37名は卒業という片道切符を手にし、未来を掴んで行くのだろう。
卒業式は独特の雰囲気で行われる。一年で一番大切な行事ということは先生からもとより良く聞かされていたが、主役として式に臨むことは思いも違った。卒業証書を授与された後、会長である大輔が答辞を読んだ。3年生での修学旅行、中体連、体育大会、合唱発表会……多くのことが思い出として大輔の口から語られていく。卒業は悲しいばかりのものではないということは誰でもよく分かっていると思う。そんな中で、やはり新しい生活への期待と、昔の思い出、両方持ち合わせている自分たちは感動を感じられずにいられなかった。
卒業と同時に、新たなスタートラインに立った私たち。
岐阜県山県市立美山中学校は、いつまでも、いつまでも。私たちの母校であり、
原点です。
平成二十三年 三月八日 平成二十二年度卒業生代表 谷崎大輔
答辞を読み終わり、卒業合唱に入る。決意そして桜ノ雨。2曲を歌っている最中、やはり過去の思い出が自分の頭の中に映し出される。視線を横に移せば、お世話になった先生方が、そしてお母さん、お父さんの姿がある。自分は決して1人じゃない。誰かかがいつも支えてくれるからこそ、今こうして生きていられる……
そして、感慨深い卒業式は幕を閉じたのだった。
卒業式のあと、最後の学級活動。これで、中学校生活ともサヨナラだ。友達と最後の話をし、思い出を語り合い、共に涙しあった。泣いても、泣いても。みんなの気が収まることはない。過去の感動の記憶が一気に滝のように押し寄せてくる。
鷲見先生「悲しいよ。俺も悲しい。けど、みんなには未来がある。今日の卒業はゴールじゃなくて、スタートなんだ。だから……今は悲しいかもしれない。けどまたすぐに歩き始めるんだ。つぎは自分の夢に向かって、それぞれの道を進んでほしい」
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最後の学級活動は悲しくて。別れが寂しくて。けれど先生に前に進む勇気を、未来への期待を、そして……大きな支えをもらった。
大輔「先生……今度の日曜日の2時。僕たち37人『みやまの丘』の上で待ってます。
来てくれますか」
そういい残して、最後の学級活動は終わった。




