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ポンコツ女神に異世界へ召喚されたら女になってたんだが。  作者: あじ


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第5話:デスティニー・チャイルド

1:街道の宿場にて


セレナ(元・見浦アルト)一行は女神ルミナスの適当な助言を頼りに、街道を進んでいた。その道中で立ち寄った宿場町「アルカナ」で、彼らの運命を変える(かもしれない)人物と出会うことになる。


セレナ「……ったく、あの女神。『この道まっすぐ行けば完璧!』って言ってたけど、三日経っても森と山しかねぇじゃねぇか!」


山道を歩き続けた一行は、人の気配のする宿場町へと到着する。


セレナ「ふぅ……。ようやく人里に着いたか。今度こそ落ち着いて飯が食えると思いたい…」


ミラ「ねぇセレナ、お腹ペコペコ! ミラ、肉! 肉食べたい!」


ガヤルド「ハハッ、ガッツリ肉とエールだな! セレナも付き合え!」


シルビアが妖しく微笑み囁く。


「私はね……甘いデザートと、可愛い男の子がいれば満足よ♡」


セレナ「……どこにそんな店があるんだよ!?」


シルビアは優雅に髪を梳かしながら笑みを浮かべ、ガヤルドは大剣を肩に担いで呆れ顔だ。


ガヤルド「ま、腹ごなしに丁度いい酒場があるってよ」


指差した先に、小さな店の屋根が見えた。


ミラ「おおっ! 人の文明の香りがするぅ!ミラ、先にごはん! ごはん食べてから文明!」


セレナは苦笑しながら、仲間たちと町の門をくぐった。


昼下がりの宿屋兼酒場「金の鹿亭」。セレナたちが扉を開けた瞬間、視界がキラッと光った。


セレナ「うおっ!まぶしっ!……誰だ、ライト照らしてんの?」


ミラ「違う、あれ人間。いや、もはや発光体……?」


セレナが目を細めて見つめた先。窓際の席に、一人の青年が座っていた。銀色の長髪が陽光を反射してきらめき、白いマントを翻し、片手で紅茶を持ちながら窓際で黄昏れている。


宿の女将がうっとりしながら呟く。


「あの方ねぇ……東の王国『ルキシオン』から派遣された剣士様なんですって……!」


セレナ「ルキシオンの剣士? 魔王討伐の同業者か?」


ミラ「うわ、なんかキラキラしてるー! 王子様っぽいっ!」


ガヤルド「いや、あいつ絶対ナルシストだろ。もっと筋肉を鍛えろ!」


すると青年がゆっくりと立ち上がり、颯爽とセレナたちの前に歩み寄る。


青年「おや……そこの純粋で可憐な乙女。初対面のはずなのに、不思議だ。まるで運命が導いたような……そんな気がする」


セレナ「……え?」


まっすぐな視線がセレナに突き刺さる。彼は穏やかに微笑んだまま、セレナの前に跪き、その手を取った。


「僕の名はレオン・ヴォクスホール。ルキシオン王国騎士団所属の剣士だ」


セレナ「あ、いや、その……はじめまして……」


セレナは内心で呟く。


「くっ、この美少女の手に触れて、少しも動揺しないだと?さすがは騎士、鉄の精神力か。いや、俺は男なのに、何でこんなキザ野郎に手を握られてるんだ……!」


シルビアが扇子で口元を隠しながらニヤリと笑う。


「ふふ、あなたが噂の剣士レオンね。思ったより……好みのタイプ♡」


シルビアを一目見て、レオンの顔が真っ赤になる。


「そ、そんな……お美しい……年上の女性……っ!? ああっ、視線が……刺さる……!」


レオンの顔が耳まで赤くなる。次の瞬間、鼻からツーッと血が垂れる。


ミラ「ちょ、鼻血出てる!!」


レオン、慌てて背を向けて布で鼻を押さえる。


「し、失礼……。女性という存在に慣れていないもので……」


ガヤルドが内心で呟く。


「シルビアも女性ではないけどな…」


セレナが呆れながらレオンに声をかける。


「あー……俺たちは魔王討伐の旅の途中なんだけど、そっちは何しに?」


レオン「ふむ、我々も我が王国の女王陛下より直々に命を受け、魔王を討伐せよとのこと。……つまり、君と僕は似たもの同士ということかな?」


セレナはレオンの熱い眼差しに嫌な予感がしつつも答える。


「ま、まぁ……そう、かもな……」


レオンはセレナを上から下までまじまじと見つめ、内心で呟く。


「おかしい…。これほど美しい乙女なのに、僕の『女性に対する過剰な反応』が、彼女に対しては現れない…。これはもしかして……」


レオンは真剣な眼差しで再びセレナの前に跪き、確信に満ちた声で呟く。


「なるほど……! 君こそ僕の運命の相手……!君の瞳はまるで夜明けの湖……!」


セレナが後退りしながら絶叫。


「やめろぉぉぉ!!運命の相手じゃねぇ!!」


セレナは宿のテーブルにぶつかり、うっかり女神ルミナスからもらった(というか最初から持ってた)『乙女の髪飾り』を落としてしまう。


それは小さな水晶をあしらった、いかにも女の子らしい飾りだ。


「あっ、やべっ」


セレナが慌てて拾おうとした瞬間、レオンが滑るように身をかがめ、それを拾い上げた。


レオン「これは……! 美しい。まるで君の心のようだ……。僕への、贈り物ですか?」


セレナ「ち、ちげぇよ! 早く返せ!」


レオン「君の気持ちは伝わった。僕はこれを君だと思って、大切にするよ……」


レオンは髪飾りにキスをし、胸ポケットに大事にしまった。


セレナが内心で叫ぶ。


「くそっ! あのポンコツ女神のせいで、余計にややこしいことに! 」


レオンは、その髪飾りがセレナから自分に与えられた「恋のサイン」だと完全に思い込んでいた。


セレナの仲間たちは、騒ぎを見つめながら、口々に呟く。


ミラ「あの人、なんかミラは苦手かも…」


ガヤルド「ハハハ!セレナはモテモテだな!」


シルビア「若いって良いわねぇ…♡」



2:合同任務「盗賊団討伐」開始


翌朝。セレナ一行は宿屋の女将から、宿場町を騒がせている盗賊団の存在を聞き、討伐を手伝うことになる。


宿屋の外に出ると、女神ルミナスのホログラムのような姿が唐突に空に現れる。なぜか洗顔中の姿で。


ルミナス「おはよー、勇者ちゃん!この辺の盗賊団、実は魔王の資金源なんだってー!」


セレナ「よく知ってんじゃねぇか、ポンコツのくせに!」


ルミナス「えへへ、ネットで調べた♡ じゃ、討伐よろしくね~☆」


ルミナスの姿がスゥーッと消えていく。


セレナ「ネットって何だよ!!」


一行は山道に潜む盗賊たちのアジトを前に、作戦会議。


ガヤルド「正面突破だろ!」


シルビア「もう少し頭を使いましょう。セレナ、あなたが囮になって……」


セレナ「また俺かよ!」


そんなドタバタを遮るように、レオンが颯爽と前へ出た。


「ここは僕が行こう。君たちは下がっていてくれ」


セレナ「いつからそこに!?でも、珍しく頼もしいな!」


だがその直後、見張りの盗賊団の女メンバーがレオンを発見。ヘソ出しのセクシーな衣装の女盗賊が、ウィンクしながら声をかける。


女盗賊「お兄さん、いい体してるじゃない♡」


レオン:「ひっ……!? ご、ご婦人!? ち、近寄らないでくれぇぇっ!」


レオンの顔が真っ赤になり、そのまま失神して倒れる。


セレナ「早ッ!!」


ミラ「かっこよかったの一瞬だったー!」


レオンが失神するのと同時、後方から盗賊の放ったクロスボウの矢がセレナの頭上めがけて飛来した。


「セレナ、危ねぇ!」とガヤルドが叫ぶ。


その刹那、失神して地面に倒れたはずのレオンの体が、信じられない速さで跳ね上がった。


カキン!


レオンは腰の細剣を抜き放つやいなや、矢の先端を一瞬で弾き飛ばし、再び地面に倒れ込んだ。 動作に一切の無駄がない。


セレナが内心で驚愕する。


「なっ……今の、反射か!? 失神してるのに、体が勝手に動いたのか?コイツ、本当に強いんだ……!」


ガヤルド「ハハハ!めんどくせぇ奴だけど、腕は確かかよ!」


ミラ「わー、寝ながら戦ってるー!」


結局、セレナが聖剣を構え、光の斬撃で盗賊団のボスを打ち負かす。盗賊団はアジトから撤退した。


一行がアジトの入り口に戻ると、レオンは地面に座り込みながら、セレナを見上げる。


「なぜだ……なぜ君の前だと、この体が、勝手に動く……?」


セレナ「……知らねぇよ。つか、記憶あったのかよ」


シルビアがニヤリと笑った。


「ふふ、恋ね♡ あなたの心が、彼女を守りたいと叫んだのよ」


レオンが頬を赤らめながらセレナを凝視。


セレナ「おい、やめろ!その恋人を見るような目!!」


ミラ「えっ、マジ!? セレナ、彼氏できたの!?」


セレナ「ちげぇ!! 俺は男だーーー!!」


その日の夜。宿屋の裏庭で、レオンが星を見上げて独白している。


「セレナ……あのまっすぐな瞳……。初めてだ、女性にこんな感情を抱くなんて……」


(回想:セレナが「俺は男だ!」と叫んでいる)


レオンが手を胸に当て、決意する。


「たとえ彼女が“男のような性格”でも……この気持ちは止められない!」


同じ頃、セレナは部屋で寝巻に着替えてベッドに座っていた。


セレナ「はぁ……あいつ、どっか行ってくれねぇかな。もう目が怖ぇんだよ…」


すると、窓の外から爽やかな声が。


レオン「セレナ、夜風が気持ちいいね。少し散歩しないか?」


セレナ「ぎゃあああああ!?覗くなぁぁぁ!!」


レオン「ち、違う!誤解だ!ただ……君の寝顔を見つめていたくて……」


セレナ「もっとダメだろ!!ストーカー規制法案件だ!!」


直後、レオンが窓枠から落下して、宿の庭の水桶に頭から突っ込む。


「ごぼぼぼっ!?」


ミラが隣の部屋の窓から顔を出し大笑い。


「ぎゃはは! バッカじゃないの?ウケるー!!」


シルビアが目を細めて呟く。


「ふふ、青春ねぇ……。明日はそっと二人きりにしてみようかしら…?」



3:レオンの仲間たち登場


翌朝、ルキシオン王国からレオンの仲間チームが到着した。


白いマント姿で集合した三人の仲間を見て、セレナは思わず目を見開く。


「なんなんだよ、あの一団は。朝から眩しいぞ……!」


三人は一直線にレオンへ向かい、レオンを囲むように立ち止まった。


バルド(騎士道精神と忠義心の厚い戦士)が、甲冑をカチリと音を立てて姿勢を正す。


バルド「レオン様! お怪我はございませんか! 女性の多さに血を流し倒れたと聞き、急ぎ参上いたしました!」


レオン「バルド! 心配するな。僕は大丈夫だ。女性の……その、美しさにやられているだけだ!」


ティアナ(弓使いの毒舌少女)は、レオンの横で腕を組み、冷ややかな視線をセレナに向ける。


ティアナ「フン。また新たな『愛の試練』なの? レオン、今度の相手は勇者様ですってね。相変わらず趣味が悪いのね」


レオン「ティアナ、口を慎め! セレナは特別なんだ!」


ティアナ「その『特別』、過去に五回は聞きました」


クロノス(無気力な少年魔術師)は、二人の後ろで欠伸をしながら、町の空を仰ぐ。


クロノス「あーあ、めんどくせぇ。どうせすぐフラれて、次の町でまた別の女に夢中になるんだろ。遠征費用がもったいねぇ」


セレナが割って入り叫ぶ。


「お前ら、分かってるならなんとかしろ! そいつの勘違いを解いてくれ!」


レオン「ふふっ、ツンデレな君も可愛いな。紹介しよう。この三人が、僕の同志たちだ!」


セレナ「ツンデレじゃねぇ!!」



4:魔王軍のスパイとの乱戦


そこに魔王軍のスパイが魔物を連れて出現。その場にいた一同をまとめて始末しようと襲いかかってきた。


「やれ! 勇者と騎士を同時に片付けろ!」


セレナ「敵だ! ドタバタしてる場合じゃねぇぞ!」


レオン「セレナ! 君は僕の後ろへ! この僕が君を守る!」


セレナ「余計なお世話だ!」


(バルド vs ガヤルド)


なぜか魔王軍の敵を放っておいてライバル意識を燃やすバルドとガヤルド。


バルド「騎士道精神に基づき、レオン様の恋人の仲間であろうとも正々堂々とお相手する!」


ガヤルド「ハハハ!どっちの筋肉が上か、勝負してみるか!」


バルドは剛剣を振りかざすが、ガヤルドはそれを受け止めながら叫ぶ。


ガヤルド「お前も大剣か! 騎士道とか知らねぇけど、力のぶつけ合いこそ漢だろ!」


バルド「下品な! 剣を汚すな!」


二人は激しく剣を打ち合わせるが、騎士道と野生児のポリシーの違いで口論が続く。


(ティアナ vs シルビアとミラ)


ティアナは矢を放ちながら、冷静に敵を射抜く。


ティアナ「騎士団の戦い方は効率が全て。無駄口は叩かないことね」


シルビア「あら、つまらない。戦場はもっと優雅でなくて?」


シルビアは魔法で敵を惑わすが、その敵がティアナの射線に飛び込んでしまい、ティアナは舌打ちする。


ティアナ「チッ。あんたみたいな非効率的な女、本当に嫌いだわ」


ミラ「わぁい! 爆発どーん!」


ミラが放った火球が敵をまとめて吹き飛ばすが、ティアナの放った矢もまとめて焦げ付かせる。


ティアナ「ああ、私の矢が! 信じられない無能よ!」


(クロノス vs セレナとレオン)


クロノスは敵の魔術師を睨みつける。


クロノス「……めんどくさい。僕の睡眠時間を邪魔するな」


クロノスは杖をかざすのも面倒くさそうに、指先一つで敵魔術師の詠唱を即座に妨害する。その魔力操作の精密さは驚異的だった。


セレナが内心で驚愕。


「なんだあいつ、無気力な癖にクソ強ぇ!」


その瞬間、敵の剣士がクロノスを狙うが、クロノスはすかさずセレナの後ろに隠れる。


クロノス「……危ないから盾になってくれ」


セレナ「テメェ! 自分で戦え!」


レオン「クロノス! セレナに触れるな! 僕のセレナだ!」


レオンはセレナを庇って突っ込むが、転倒し顔から泥にダイブ。


セレナ「新喜劇の座員かお前は!?」



5:決着と再度の勘違い


結局、レオンの仲間たちの連携は個性が強すぎてバラバラだったが、セレナの聖剣が敵のリーダーを打ち倒し、町は救われた。


泥だらけになったレオンが立ち上がり、決意の表情でセレナに歩み寄る。


レオン「セレナ……僕は決めた。君を守る。その笑顔を、永遠に。君の持つ、その強靭な『男の精神力』ごと…」


セレナ「ちょ、やめろ、近づくな! だから俺は男だって!!」


ティアナ「本当に男なんじゃないの? その話し方……」


レオン「ティアナ! 黙れ! 彼女は、女性であることに囚われない、自由な精神を持っているだけだ!」


バルド「レオン様のおっしゃる通り! まさに騎士の鑑!」


クロノス「……これでまた、別の町までレオンの付き添いしてノロケ話聞くのかよ。めんどくせぇ…」


レオンが去り際にマントを翻す。


レオン「次に会う時までに、もっと強くなっておく! そして君の心を……」


セレナ「来るなーーーッ!!」


レオン一行が去っていくと、嵐が去ったようにセレナたちはポツンと取り残される。

 

ガヤルド「あいつら、魔王より厄介だな!」


シルビア「でも、こういうの……嫌いじゃないわ♡」


ミラ「セレナ、彼氏できておめでとう!」


セレナ「お前ら、この状況楽しんでるだろ!」



6:エピローグ


夜。野営の焚き火の前で、セレナがため息をついた。


セレナ「……あいつ、もう出てこないよな?」


ミラ「どうかなー? 恋する男はしつこいって聞くよ?」


シルビア「ふふ、セレナもモテ期ね♡ でも、私もレオン様の熱意には少し感動したわ…」


ガヤルド「まぁ、恋の試練も悪くねぇ。人は恋で強くなる……らしいぞ?」


セレナ「やかましいわ!」


そこに、女神ルミナスの姿が突然空に出てくる。なぜか手には宅配ピザを持ちながら。


「おお~!恋バナしてる~?青春だね~☆」


セレナ「お前も出てくんなポンコツ!!」


ルミナス「私の元カレもしつこくてさー。『もう一度やり直さないか』とか、どの口が言うのよっていう。まぁ、私ほどの女を逃したら後悔するのはわかるけど〜」


セレナ「長々と何の話してんだよ!!」


ルミナス「とにかく恋は当たって砕けろよ!せっかくかわいい女の子にしてあげたんだから、恋愛も楽しんでね〜☆」


ルミナスの姿がスゥーッと消えていく。


セレナ「だから何しに出たんだよ!全部お前のせいなんだけどォォォ!?」


こうして勇者セレナは、魔王軍よりしつこい“恋の追撃者”を得た。


だが、これもまた異世界の試練の一つ、なのかもしれない。(つづく)

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