第4話:アネモネ
1:怪しい視線
セレナ(元・見浦アルト)一行は、魔王の手がかりを求めて商業都市「コンチェルト」に到着した。街は活気ある市場で溢れ、商人や旅人が行き交う賑やかな場所だ。
だが、街に入った瞬間、セレナは異様な雰囲気に気づく。セレナを見る男性たちの目がやたらと熱っぽく、女性たちは怪訝な視線を投げかけてくる。
「な、なんだよ! そんな目で俺を見るな!」とセレナが叫ぶが、視線は増すばかり。
ミラが「セレナ、私の『女の武器講座』のおかげで男たちがメロメロみたいね! 」とドヤ顔。
ガヤルドが「筋肉があればもっと視線を集められるぜ!」と笑い、シルビアが「セレナちゃん、女の魅力が隠しきれないのね♡ でも、女性の視線はちょっと嫉妬かしら?」とからかう。
一行が市場を進むと、突然、ドドドドド!と土煙を巻き上げ、男たちの集団が突進してくる。「結婚してくれ!」「愛してるぜ!」と叫びながら、セレナに花束やプレゼントを我先に押し付けようとする。
セレナは「な、なんだ!?」と叫び、男たちに押されてミラたちの視界から消える。
ガヤルドが「セレナ、人気すぎるぜ!」と笑い、ミラが「ふん!ミラの魅力には誰も気づかないの?」と呆れ、シルビアが「セレナちゃん、ちょっと羨ましいわ♡ でも、いったいどうなってるの?」と首をかしげる。
2:踊り子の舞
一行がセレナを探して街の中心部へ向かうと、広場に人だかりが。
そこでは、セレナそっくりの美少女が、露出度高めのキラキラした踊り子の衣装で、セクシーなダンスを披露している。
観客の男たちが「うおおお! 踊り子ちゃーん!」「今日も最高だぜー!」と熱狂し、少女は「はいはーい! お代はここに入れてねー♡」と胸を強調するポーズでコインを回収。
ミラが「セレナ!? こんな格好で何してるの!」と叫び、ガヤルドが「ハハッ、セレナに踊りの才能があったとはな!」と爆笑。
シルビアが「ふふ、私も踊りなら負けないわよ♡」と扇子を振ってセクシーなダンスを始め、観客がさらに沸く。
だが、少女は一行を見て「何よ、アンタたち!私に馴れ馴れしくしないで!」と一蹴し、雑踏に消える。
一行が「セレナのやつ、一体どうしたんだ?」と不思議がると、人混みからヨロヨロのセレナが現れ、「や、やっと撒けた……」と息を切らす。
ミラが「セレナ、あの派手な衣装は何!? 男たちにいやらしい目で見られてお金稼ぐなんて、女として恥ずかしくないの!?」と説教。
セレナが「な、なんのことだ!? 俺はそんな尻軽女じゃねぇ! いや、女でもねぇ!」と反論。
ガヤルドが「ハハッ、確かにセレナにしては妙に色っぽかったぜ!」と笑い、シルビアが「そうね…。ダンスの腕前もセレナとは雲泥の差だったわ…」と呟く。
セレナが「しれっと俺をディスってんじゃねぇ!いったい、誰が俺のフリをしてるんだ?」と叫ぶ。
3:街の探索
一行は情報を求めて市場を歩く。セレナを見た市場の店主が「おっ、ランディちゃんじゃねぇか! 今日もかわいいねぇ!」と声をかける。
セレナが「ランディ!? 誰だそれ?」と叫ぶと、店主が「えっ? ランディちゃんじゃないのか? そういえば、心なしか胸が小さいような……」と呟き、セレナが「余計なお世話だ!」とキレる。
ミラが「おじさん、その子のこと知ってるの?」と聞くと、店主が「最近、街に現れた踊り子だよ。すぐに人気者になって、今じゃこの街のスターさ」と語る。
セレナが「その子、どこにいるんだ?」と問い、店主が「街のはずれの家に住んでるって聞くけど、あの辺は魔物も出るっていう噂があって住民も近寄らないし、行くのはやめといた方がいいぜ、お嬢ちゃん」と語る。
店主が客の対応で去ると、セレナが「こうなったら、そのランディって子に会って話聞いてみるか。俺にどれだけ似てるのかも気になるし…」と呟く。
一行は聞き込みを続け、街の酒場や市場で情報を集める。酒場の酔っ払いが「ランディちゃん、生き別れた家族がいたらしいけど…」と漏らし、セレナが「生き別れた!? やっぱり何かあるな!」と気合を入れる。
4:突然の再会
一行は街のはずれにあるランディの家に到着。古びているが小綺麗な家には小さな花壇が設けられ、アネモネの花が揺れている。
セレナが「あのー、すみませーん」と入口で声をかけると、中から「集金なら帰ってくれ!」とランディの声。
セレナが「いや、別の用があって…」と説明すると、ランディが「うるさいなぁ! 何の用…」と言いながら出てくるが、セレナを見てハッとし、「お、お姉ちゃん!?」と叫ぶ。
セレナは「へっ?」と呟くが、ランディが涙目で「帰ってきたんだね! お姉ちゃん!」と抱きつき、セレナは「うわっ!」と赤面しながらジタバタ。
ミラが「セレナ!? お姉ちゃんって何!?」と混乱。一行はランディに招かれ、お茶を飲みながら話を聞く。
セレナが「あの、お姉ちゃんって…」と恐る恐る聞くと、ランディが「お姉ちゃんなんでしょ?」と笑顔。セレナは「あ、うん…。そうだよ……」と何も言い出せない。
シルビアが「ランディちゃん、あなたとお姉さんに何があったの?」と問う。
ランディは目を伏せ、「2年前、私と双子のお姉ちゃんは旅をしながら各地で興行してたの。お姉ちゃんは占い師で、未来を見通す才能の持ち主だった。でも、私にとってはたった一人の優しいお姉ちゃんだった……」と語る。
セレナは内心で(そうか……それで俺のことをお姉ちゃんだと思って…)と察する。
ランディが涙ぐみながら続ける。
「でもある日、旅の道中に魔物の一団が現れて、お姉ちゃんをさらっていったの。『お前の未来を見通す力は、魔王復活のために役立つ』って……。私は踊り子を続けながら、お姉ちゃんをさらった魔物の情報を集めたけど、何も分からなくて……。つい最近この街に来たの。そしたらまさか、お姉ちゃんにまた会えるなんて!」
セレナは内心で(じゃあ…もし俺がホントはお姉ちゃんじゃないって知ったら、この子はどれだけ悲しむか…)と悩む。
ランディが「お姉ちゃん、私のこと覚えてるでしょ? 何か言ってよ!」と詰め寄ると、セレナは焦りながら「そ、その…。実は記憶を無くしてて…名前も思い出せなくて…。今はセレナって呼ばれてるんだけど…」と呟く。
シルビアが「失礼だけど、お姉さんの名前は?」と聞くと、ランディが「ノアよ。私と違って、大人しくて聡明な女性だったわ…」と語る。
ミラが微笑み、「そうだったのね。私たち、実は記憶を無くしたノア……セレナと一緒に、魔王復活を食い止めるために旅をしてるの。そうよね?」とセレナに視線を送る。
セレナは内心で(うわ、俺に話振るなよ!)と思いつつ、「そ、そうよ。だからまた旅に出るから、しばらくは帰れないの…」と姉を装う。
ランディが「そんな……やっと会えたのに……。じゃあ、私も一緒に旅をする!」と訴えるが、セレナは「だ、ダメよ! そんな危険な旅に、あなたを連れて行く訳にはいかないわ! 必ず戻るから、私のことを待っていてくれる?」と諭す。
ランディが「お姉ちゃん……。うん、必ず戻ってきてね。私、待ってるから」と涙目でセレナの手を握り、抱擁を交わす。
セレナは赤面しつつ(なんか……ややこしいことになった……)と独白する。
5:別れと決意
ランディの家を出て、入口の前で立ち止まる一行。
セレナは「ランディ、街の近くに魔物が来るかもしれないから、気をつけなよ」と頭を撫でる。ランディが「うん、お姉ちゃん! 私も踊り子としてがんばるから、絶対帰ってきてね!」と笑顔。
ランディが手を振り続ける中、セレナが恥ずかしそうに手を振り返す。一行は街の中心部へと歩き出す。
ミラが「セレナ、意外とちゃんとお姉さん役できてたわね!」とからかい、ガヤルドが「ハハッ、ランディちゃんもセレナと似て、かわいかったな!」と豪快に笑う。
セレナが「うっせー! からかうな! ……でも、俺、ランディに嘘ついて、本当にあの子のためになったのかな…」と俯く。
シルビアが「大丈夫よ。私たちが魔王を倒して、ノアちゃんを救えばいい話じゃない?」と微笑む。
セレナが「そうだな…。俺、あの子のためにも、がんばるよ」と呟く。
だが、一行が街の中心部に戻ると、セレナを追いかけていた男たちが再び現れ「ランディちゃ〜ん!」とドドドドドと突進してくる。
セレナが「うおっ! また出たっ! 俺はランディじゃねぇ〜!!」と叫びながら、一行は街の外へと走って逃げる。
6:瓜二つの真実
街の外の原っぱで、一行は息を整える。セレナがふと空を見上げ、大声で叫ぶ。
「ルミナスー!おい、返事しろー!」
少し間をおいて、女神ルミナスが空中にホログラムのように現れる。手にはスマホのようなものを持っている。
「でさー! あの男、マジでしつこくてさ〜! ……ん、なんか別の連絡入ったから切るわ。……はいはい、何の用ー!?」
セレナが若干呆れつつ、問いかける。
「俺にそっくりなランディって子に出会ったんだけど、そもそも俺がなんでこの姿になったのか、ルミナスなら何か知ってるんだろ?」
ルミナスが記憶を辿るように上を見上げる。
「んーとねー……。あっ! そういえばアルトを召喚しようとした時、くしゃみした瞬間に設定ど忘れしちゃって、『どこかにちょうどいい子は……』って千里眼で下界を探したの。そしたら、たまたま近くにいたランディって子を見つけて、『わっ! めっちゃかわいい子いる! この子でいいや!』って思って、その姿形をモデルにセレナにしたってわけ!」
セレナがわなわなと震えながら叫ぶ。
「お前なー!ちゃんと性別まで確認した上で選べよなー!俺、金玉ついてただろーがぁ!!」
ルミナスがヘラヘラと笑いながら答える。
「えーっ!だってかわいい子の方が映えるじゃん!こんなかわいい姿にしてあげたんだから、むしろ感謝してよね!じゃあ、またねー!バ〜イ☆」
ルミナスの姿がスゥーっと消えていく。
セレナが「このポンコツ女神がぁっ!」と叫び、ミラたちは笑い転げる。
「ランディのためにも、ノアを救って、魔王ぶっ倒すぞ!」とセレナが気合を入れ、一行は次の目的地へ旅立つ。
魔王討伐を目指す冒険に、新たな理由が加わったのだった…。(つづく)




