あの日誓ったこと
「たっだいまー!!ってネスさんいないじゃん」
「ほんとだ。裏庭の方にいるんじゃない?」
入学式を終えた後、授業や今後のおおまかなスケジュールの説明を受けたアリーシャたちは、クルス寮に戻ってきた。
「ねえ、アリー。入学式すごかったね!最後の花火とかもう最高にきれいだったよ!」
「そうだね。簡易詠唱なのにあそこまで繊細で規模の大きな幻術を見せられるなんて本当にすごい人だよ。完全詠唱だったらどのくらいすごいんだろ」
カラミ学長の見せた花火の幻、その綺麗さに感動したアリーシャ。
一方でアリーシャは魔術としての完成度、学長の魔術師としての腕前に惚れ込んでいた。
「うちとアリーだとすごいと思ってるポイントがなんかずれてる気がする」
「そんなことないって。私だってとってもきれいだと思ったよ」
「あと!カイレン!タキシードすごい似合っててさ・・・」
そこからはカイレンのお付きの様子、一緒に暮らしていた頃の話、そしてレイソフィアの話に戻ってきて、あの話になった。
入学式で最後に、一人で入場してきた彼の話に。
「そういえばルビー。今日新入生で最後に入場してきた人、誰だか知ってる?」
「ああ!忘れてた!うちも後でアリーに聞こうと思ってた!」
「ていうことは、ルビーも知らないんだ」
「残念ながらね・・。レイソフィアさんの話が大きすぎてスルーされてた地方貴族?とかなのかな」
「でも北と東の地方貴族さんのはなしは入ってきたじゃない。それに、彼一人で入場してきたでしょ」
「確かに貴族なのにお付きをつけないなんて考えられないしなぁ。あの人たち無駄に見栄え気にするし」
「その言い方はダメだよルビー」
ごめんじゃん〜と手を擦り合わせて許してくださいのポーズをとる。
貴族の可能性は薄い・・・か、やっぱりそうだよね。
じゃあ彼はどうやって・・・・
「アリーのことだからどうやってあの子が魔術の勉強したのか気になってるんでしょ」
「・・・なんで分かるの」
「何年の付き合いだと思ってるの。それに魔術大好きちゃんなことは痛いほど知ってる」
「その言い方やめて」
「まあ、気になるなら直接聞いたらいいじゃん!そのうち会えるって!じゃあうちは部屋戻るから!」
そう言い放って勢いよく部屋に戻って行くルビー。
お疲れ様、と返事を返して、アリーシャも自室に向かう。
鍵を開けて中に入る。
本棚には使い込まれた参考書や文献がきちんと並んでいる。
机の上もベットの布団も整理された状態で、アリーシャの几帳面さがうかがえる。
壁には高等部の頃に着ていた白を基調とした制服がかかっている。
しばらく見つめてから、自分が今来ている黒の制服に目を移す。
絶対に魔石隊に入って・・私は―――
ずっと昔に決意した。あの時の夢を思い出す。
それから今日までの、高等部に入学してからの思い出がフラッシュバックした。
「・・・待っててね。お父さん」
しばらくぼーっと、部屋を見渡して物思いにふけってしまっていたことに自分でも少し驚いた。
まだ、そういうことできる人間だったんだって。
「もっと頑張ろう」 と心の中で誓う
アリーシャの憧れ、自分を救ってくれた人へ。




