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プロローグ
電話がかかってきて、スマホが震える。くそ、こんなものからバイブを連想して、ちょっとムラムラくる自分が情けない!くそが!
無になれ、無になるんだ俺。
禁欲すれば、俺の憧れの女の子。仁田真美ちゃんとお付き合いできるのだ……。
震えるスマホを抑えるため、とりあえず電話に出る。着信相手は、案の定、幼馴染の津村萌だった。
「萌、電話する時は先にメッセージでかけていい?って言え。膨らむだろ、想像とか」
「電話を取ったときはもしもし!でしょ?」
「うるせぇな、用件を言えよ」
「いやぁ、あはは。私ね、んと」
「んと?」
「公斗と、お、おな、おなでん」
俺は無言でスマホを切り、カーテンを閉め切り、睡眠導入剤を飲んで、消灯した。なおも鳴り止まぬスマホがうるさいので、電源を切った。
……一体どうして、萌はこうなってしまったんだろうか。
あのクソ神、俺に言ってないデバフでもかけやがったに違いない。
萌はこんな淫乱幼馴染じゃなかったんだから。
でも俺は、これを乗り越えて、絶対に手に入れてやるんだ。憧れの仁田真美ちゃんを……!