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疑い晴れて

「アリエルさんどうされたのですか???」


レンジャーに連れられて街道に出るなり騎馬の一団と遭遇した


彼等はガードナーが気を遣って派遣した私達を送り届けるための部隊だった


「見ての通り」

「不振人物だから連行されてるのよw」


「何故そんな事になってるんですか?!」

「先程商隊と出会いアリエルさん達が森を抜けられたと聞いて急いできたのです」


「こちらはお知り合いで?」


「申し遅れました」

「私はドルグスフィア・ダンジョン探索隊副隊長の1人」

「アルカンクレスと申します」

「この方々はダンジョン攻略の勇士でありますが何の嫌疑がかけられているのでしょうか?」


このアルカンクレスと言う男

探索拠点では見かけたもののあまり話したことはない

ガードナーの代理として走り回っていた印象がある

マリアンが秘書的な副隊長なのに対しアルカンクレスは代理と言うか実務を補佐する中間管理職的な立場だ


「この者達は街道を外れレンジャー用の物資保管庫をあさっていたので捕らえたのだ」

「冒険者ランクに似つかわしくない大金を持っていた事もあり取り調べを行うため街まで連れて行く」


「街道を外れていたのですか?」

「いったい何故?」


「尾行されてたからまこうと思ってね」

「途中で撃退したんだけどその2人への暴行容疑でも捕まってるってわけ」


「そんな!」

「その暴行されたと言う2人は何処に?」


「大門の詰め所にで手当てを受けている筈だ」


とりあえず詰め所には行かないと話になら無いようなので全員で向かった


詰め所の奥には2人がいるようだが私達には会いたくないとの事で会うことは出来なかった


「私達は会っても?」


「大手クラン関係者の貴方達ならば問題ないでしょう」

「ご案内しろ」


隊長らしき人の指示でアルカンクレスは奥へと案内された


すると直ぐ様怒号が飛び揉め事が起きたのは間違いなさそうだ


「どうしたと言うのだ?」

「何があった?!」


隊長は事態を把握するため急いで奥へと向かった


ー・ー


「疑ってしまい悪かったな」

「もう行っていいぞ」


「勘違いで犯罪者扱いしたくせに酷い態度ね」


「何だと?!」


「アリエルさん堪えてください」


隊長の横柄な態度に嫌みを言ってやったのが隊長は気に入らなかったらしくくってかかろうとする


それを必死にアルカンクレス達が止めに入る


結局アルカンクレス達が責任を負うと言う形で解放された

それでも隊長は不満らしく不機嫌な態度を隠そうともしない


「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

「後の処理は我々で済ませておきます」


「まぁ貴方が悪いわけじゃないんだか謝らなくていいわよ」

「知らなかったとは言え私達も保管庫を開けちゃったわけだし」


「じゃが無用な疑いをかけておいてマトモに謝罪出来んとは情けない男じゃのう」


「何だと?!」


「リグルさんも堪えてください」

「お願いします!」


「アルカンクレスの顔を立ててこの場は下がるけど・・・・」

「もしあのまま私達を街まで連行していたらどうなっていたかしら?」

「アンタ達もアルカンクレスに礼を言っておくことね」


シンシアは一瞥をくれて翻った


「もう尾行の心配はなさそうだからこのまま壁の内側を西の門まで行こうかしら?」


「それなら我々がお送りします」

「元々途中で乗せて街まで送る予定でしたから」

「馬の準備をしろ!!」


アルカンクレスは外の仲間達に声をかけ馬車を用意した

荷台には私達を乗せるために荷物は少なめにしか乗っていない


「じゃあお言葉に甘えますかね」


私達を乗せた馬車は速歩で街道を走り西の大門まで送ってくれたのだった


ー・ー


「やっと旅路に戻れるわね」

「この西の街道で良いの?」


「そうね」

「暫く西へ進んでから北へ進路を変えましょうか」

「本当は北門から出ても良いんだけど・・・・」


「目的地まではまだだいぶ遠いからな」

「ここで北を目指そうが西へ行こうが大して変わらんじゃろう」


「でもだいぶ時間をロスしましたね」

「この分だと今日は野宿かもしれません」


ラルクが残念そうに呟くとシュネーがそれに同意する


「まぁそれは仕方無いじゃない」

「クラン本部まで戻ったり尾行をまくのに南に向かったりしたからねー」


「幸い時間はたっぷりあるからのんびり行きましょう」

「急いだって仕方無いわ」


シンシアの言う通り時間はいくらでもある


この身体になってからは生命の心配はなくなった


それでも呪われたままと言うのは気持ちの良いものではないしミリアにされた事を許すつもりはない


今重要なのはミリアに報復できるだけの力を得ることと仲間達の生命を護る方法である


「このままシエラ皇国に向かう感じよね」

「シンシアの里帰りになるのかな?」


「私的には里帰りしたくないんだけどね」

「でもきっと長老達と話すことでアリエルは得るものがあると思う」


「まだだいぶ遠いよね?」


「そうね」

「普通に行けば1ヶ月以上はかかるかな?」


「遠いね」


「じゃが真っ直ぐ向かうわけじゃなかろう?」

「実際は2ヶ月以上は見ておいた方が良かろう」


「2人ともそんなに長く商会を離れても大丈夫なの?」

「ノッキングヒルにいた時は定期連絡とかあったんでしょ?」


「まぁね」

「皇国に入る前に連絡しないといけないかな」


「ワシはドルジュで細かい指示を出してきたからな」

「暫くは大丈夫じゃ」


定期連絡の話しになるとシュネーの顔が少し陰った

クロエとシュネーは商会でも要職についている筈

最後までは一緒に行けないだろう


「あの遠くの山がロスガルン?」


「そうよ」

「ここは暫く平坦だから良く見えるわね」


「・・・・・・・・」

「滅茶苦茶遠くない?」


「かっかっかっ」

「この平野は山の麓まで続いとるがな」

「全体的に気付かんぐらいなだらかな登りになっとる」


「ここは次の街まで街道が整備されているから比較的楽に進めるけど」

「直線距離で100km以上あるわ」


「100km超えの直線道路???」

「スケールが大きすぎてワケわかんないわ」


シンシアの言葉に望遠の魔法を使ってみるが街道を行き交う商隊や冒険者がチラホラいるだけでただただ真っ直ぐな道が続いていた


「この平野は肥沃ではあるのだけれど街に遠い場所では作物は作られていないわね」

「都市国家の性質が強いからなのか間に街が出きる風でもないわ」


「ドルジュの街が人工過多で溢れん限りこの辺りが開墾されることは無いじゃろう」

「200年くらい前まではこの平野を奪い合うように戦争をしておったぐらいじゃからなぁ」


「戦争なんてやってたの?」


「この辺りが統一されたのはつい150年くらいかしら?」

「ドルジュの東側は帝国と魔王の戦争があってこの西側は肥沃な土地を奪い合っていたのよね」


「ドルジュって孤立してたの?」


「いえ」

「元々この辺りには絶対中立を掲げた神様が治めていました」

「ですが帝国と魔王の戦争が激化してどちらに付くのかって話しになっても中立を保っていたのですが・・・・」


「結局は北から進出してきたミリア教の庇護下に入ったとか?」

「そんな感じだったわね」


ラルクの言葉を引き継ぐようにシンシアが締め括る

だが年代が合っているのか?

あまり良く分からない


「日和見主義と言うかなんと言うか」

「とにかく他の神の下に付いても中立を守っているのがドルジュの神じゃ」


あえて名前を言わないのはそれだけ嫌われているのだろうか?

それとも名前を知らなくても良い取るに足らないと言うことなのだろうか?


あえて聞くこともないだろう


「真っ直ぐすぎて退屈ね」


「この街道は馬や馬車で行くのが普通じゃからなぁ」

「歩いていくのは貧乏人か物好きじゃな」


「その貧乏人か物好きが他にもいるわね」

「まだ1kmくらい離れてるけど・・・・」


「むぅ」

「アレは襲われ取らせんか?」


「どれどれ・・・・・」


望遠の魔法を使い覗いてみる


するとどうだろう

冒険者らしき人達が何か襲われている


「なんかの獣か魔物に襲われてるわね」

「草の背が高いせいで何に襲われてるのか良く見えないわ」


「ふぅむ」

「見て見ぬふりも後味が悪いのぅ」


「なら走りますか」


私が言うより少し早くラルクが走り出す

それを追うようにシュネーも走り出すがラルクの足は速くて追い付けそうにない


「それじゃあ3人は警戒しながらゆっくり付いてきてね」


私は振り返らず後ろ手に手を振りながら走り出した


ー・ー


「クソッ!!」

「ギリアン!ジニー!」

「ルナを護れ!」

「ザルタン!!」

「返事をしろっ!!」


ズザッ!!

グワオゥッ!!


混戦の中到着したラルクが背後から襲いかかる


相手は平原狼のようだが毛並みが茶色い

駆けつけ様1頭を斬り伏せたラルクが冒険者達と狼の間に割って入った


「大丈夫ですか?」

「怪我人は?」


「助かった!」

「2人負傷して戦えない」

「それと草むらに2人連れ込まれて返事がない!!」


「りょーかいっ」


ラルクより一瞬遅れて到着すると護衛をラルクに任せる事にして連れ込まれた2人を探しに出る


「ラルク!」

「シュネーと合流してこの人達の護衛と怪我の手当てをお願い!」


「分かりました!」


とは言え連れ込まれた2人を危険に晒すわけにはいかない


なので


「極大範囲拡張〈成長する束縛(グロウスバインド)〉」


範囲内の草が一斉に生き物へと襲い掛かる


一面の草原が一瞬で低くなりそこかしこに草に絡め捕られた塊が蠢いている


「はいはーい」

「生きていたら返事してね」


グァオウ!!


「はいサヨナラ」

「次は誰かなー?」


草が生い茂っていた為対象となったモノは全て見えないぐらい絡まれている


声をかけて狼ならばトドメを

人間っぽかったら解いてみる事にする


「連れ去られた人は何処かな?」

「さっきから狼ばっかりだわ」


剣で突き刺し動かなくなったら術を解いて中身を確かめる


6体確かめたが未だ人間は見つからない


「生きてたらちゃんと返事してねー」

「でないと狼と間違って殺しちゃうよー」


草団子を一つ一つ回っては声をかけて突き刺す

その数はあっという間に10体を超えた


「だいぶ離れたなぁ」

「誰か生きてるー?」


ンッッ

ングッッ!

ガッ!

ハッ!!


「クソッ!!」

「殺せっ!!」


街道から100mは離れただろう


魔法の範囲を超えた所から呻き声が聞こえてきた


「ちょっと遅かったか・・・・・」


音と気配を頼りに場所を特定すると一気に跳躍して距離を詰める


オフッオフッオフッ

ガッガハッ

オフッオフッオフッ


(ケダモノ)の荒い呼吸にガサガサと踠く音が血の臭いと共に強くなっていく


「みぃつけた」


ソコには血まみれの冒険者に覆い被さる狼猿(ウルフエイプ)が1頭


背が銀色に輝き激しく腰を振っていた


シュリン

ドガッ!!


剣を抜き様左腕と上半身に斬り付け勢いを殺さず回転すると狼猿を蹴り飛ばす


ギャワンギャオン

ガッガァアアアア!!


左腕を切り落とされ胸に重傷を負ったた狼猿が牙を剥いて威嚇する


しかし背後からの斬撃で左腕を斬り飛ばされた上に肺まで深く斬り裂かれている


これではそう長く持つまい


「大丈夫?」

「じゃないか」


「えっ???」

「誰?」

「助かった・・・・・の?」


「一応ね」


狼猿の胸の傷は肺に達しているのだろう

痛みで立ち上がることも出来ず血を吐きながら後退りしていた

傍らに落ちている左腕はピクピクと痙攣している


「わ・・・・・・私は・・・・・・」


「泣くのは後にしてね」

「私はもう一人探さないといけないのよ」


狼猿はまだしぶとく生きていた

私が目を離した隙に腹這いになり必死に逃げようとしている


「甘いんだよ」


背後から頭蓋骨を一刺ししてトドメを刺すと辺りを見回す


恐らくコイツが群れのボスなのだろう

だがコイツの連れていたのは狼だけだったのだろうか?


再び〈成長する束縛〉を唱えて視界を確保する

束縛対象がいない場合互いに絡み合って低くなるのでこう言う場合便利だ


と言ってもこんな使い方する人はまずいないだろうが


「んー」

「見付からないなぁ」


襲撃地点から別の方向に離れたのかもしれない

更に範囲を指定して魔法を使うがやはり見付からない


「街道の向こう側かなぁ?」


今度は広範囲の帯状に魔法を使ってみる


「あ・・・・・・」

「貴女何者?」

「さっきからこんな広範囲の魔法を無詠唱で連発してるけど・・・・・」

「こんなの人の領域じゃない」

「貴女は勇者か英雄なの?」


泣きたいのを噛み殺したのか涙声で問いかけてくる冒険者


全身血まみれのまま破れはだけた服で前を隠そうとしている

しかし前面がズタズタに破れているためほぼ手で隠しているような状態だった


「人間ならとっくに辞めてるけど勇者や英雄になった覚えはないわ」


傷付いた彼女には目もくれず索敵しながら〈回復(ヒール)〉をかける


「ん・・・・・」

「アレかな?」


街道を挟んだ反対側


襲撃地点から20mほどの所に草の塊が出来ていた

それ以上彼女の問いには応えず走り出す


しかし私が街道に付く頃にはラルクが現場に到着しており幾つかの塊に剣を突き立てていた


「ありがとうラルク」

「連れ去られた人は見付かった?」


「いいえ・・・・・」

「既に人では無くなっています」


そう答えたラルクの視線の先を追う


そこには切り裂かれ喰い千切られた肉塊があるだけだった


ー・ー


「ごめんね」

「もっと早く助けに来れたら良かったのに」


「いいえ・・・・・」

「もし来てくれなければ僕達は全滅していました」

「ありがとうございます」


手当てをシュネーに任せ倒した平原狼と狼猿の処理をして回る


そうしている間にシンシア達も到着して連れ去られていた女性も合流していた


「一先ず周りにはもう狼はいないわ」

「あの狼猿もはぐれモノだったみたいね」


一通り皮を剥ぎ死体は魔法で穴を掘って埋めておいた


その上で得られた魔石を冒険者達に渡す


「そんな」

「助けて貰った上に魔石まで頂けません!」


「まぁそう言わないの」

「私達はお金に困ってないしあの程度の魔物なんか敵じゃないしね」

「それに・・・・・」


チラリと離れた場所に置いてある山に視線を送る


「あの毛皮を貰うだけでも十分な報酬になるわ」

「貴方達はこんな目にあわされた魔物の毛皮なんか欲しくないでしょ?」


「私は・・・・・・見たくもないです」

「俺も・・・・・」

「ザルタン・・・・・・」


全員が毛皮の山から目を背け口々に呟きながら涙をこらえていた


「だよね」


襲われ蹂躙され仲間の一人を喰われたのだ

そんな魔物の毛皮など欲しくはないだろう


「貴方達は一度ドルジュに帰った方が良いんじゃない?」


「いいえ・・・・・」

「僕達は街を出てロスガルンへ向かうつもりでした」

「常宿を引き払いクランを抜けてきたのです」

「旅立ったその日におめおめと逃げ帰るわけにはいきません」


「そう」

「でもこの先も同じように襲われる可能性は有るわよ?」

「この狼猿だって本来ならこの辺りにはでない筈だもの」

「きっとロスガルンで何かが起きて魔物が山から下りてきてるんだと思う」

「この先でも襲われる危険性は高いと思うわ」

「それでもこのまま行くの?」


「・・・・・・・・・」

「僕達では力不足だと?」


「少なくとも1人欠けた穴を埋めない限りは今までのように戦えないと思うけど?」


「それは・・・・」


リーダーらしき青年は黙ってしまった


だがパーティーの生命を預かる以上リーダーに迷いがあると死に繋がる


行かねばならない理由があったとしても自分達の実力を良く見極めて判断しなければならない


「少し・・・・・」

「考えさせて下さい」


「考えなきゃならないぐらいなら街へ戻りなさい」

「即決出来ないには理由があるのでしょう?」

「無理を推して仲間の生命を危険に晒すものじゃないわ」


それだけ言い捨てると踵を返した


仲間達も何か言いたげではあったがここで気まぐれに手を貸したとしてもこの先良いことはない


物事には合った身の丈と言うものがある


冒険者と言うものは背伸びして生命を天秤にかけがちだが彼等には荷が勝ちすぎているだろう


一行は振り向かずその場を後にした

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