近道
ガサッ
ガサガサ
ガサッ
「おぉ」
「本当に街道へ出よったわ」
途中水呑場で休憩をはさんだが半日もかからず森を走破した
森を抜けた街道の向こうにはドルジュの町並みが見える
「うわっっっ!!」
「うわぁああああっっ!!」
「豹だっっっ!!」
「草原豹の群れが出たぞっっ!!」
森を掻き分け10数頭の草原豹が現れたのだから街道を行く商隊達はさぞ胆を冷やした事だろう
「総員迎撃体制っ!!」
「死ぬ気で守れっっ!!」
護衛隊の隊長らしき人が声を張り上げて指示を出しているがどう見ても腰が引けていた
半ば恐慌状態となりつつも慌てて護衛達は武器を構える
しかし豹達が森を出たところで立ち止まっているのを見てどうするか考えあぐねているようだ
見えているだけでも10数頭いる草原豹の群れに好き好んで攻撃したい奴等いない
襲ってきた時のために反射的に武器を抜いたが出来れば逃げ出したいのが本音だろう
「ありがとね」
「ここから先は人間が多くて危ないからもうお帰り」
私は女王を撫でながら襷をほどく
仲間達も私に習い襷をほどいて地面に降り立つと女王はまだ良いのにとでも言いたげに喉を鳴らした
だがこのまま街へ行くわけにはいかない
草原豹は恐ろしい狩人である
雌は群れで行動して馬や大型の魔物でさえ捕食する
見た目は豹だが生態はライオンに近い
ライオンと違うのは完全な女系社会であり産まれるのも殆どが雌である
雄雌問わず長く生きた個体は体内に魔石を持つが草原豹が野生動物なのか魔物なのか意見が別れるところだ
「ありがとうですにゃ」
「気を付けて帰るですにゃ」
シュネーが女王に歩み寄り互いの額をくっつけて挨拶をした
私も真似してみたが女王は頬擦りで返してきた
「アリエル様はすっかり気に入られたみたいですにゃ」
女王は名残惜しそうに私の匂いを嗅いでいたが短く喉を鳴らすと翻り森の中に消えていった
「さよなら」
「送ってくれてありがと」
女王に続いて一斉に駆け出す草原豹達に手を振って見送った
「さて・・・・・と」
女王達が見えなくなって振り返ると護衛隊の冒険者達が口をポカンと開けてこちらを眺めていた
ー・ー
「いやぁ驚いた」
「草原豹は人に懐くのか」
「真似しない方が良いと思うよ?」
「ウチには優秀なテイマーがいたから出来たことなんだから」
「テイマーってあんな強力な獣もテイム出来るのか???」
「あんな群れをテイムしたヤツなんて聞いたことがないぞ?!」
「一時的なテイムよ」
「ずっとテイム出来る訳じゃないわ」
アレだけ女王が懐いていたのだからずっと着いてきてもおかしくないが・・・
そんな事は言えないので適当に誤魔化すしかない
「それでも凄いな」
「森から一斉に出てきた時には死んだと思ったよ」
「それじゃあお互い良い旅を」
それだけ言い残し商隊は去って行った
後にこの出来事が知れ渡りダンジョン踏破した英雄と草原豹を従えた獣人の女王と言う2人の英雄譚が世間を賑わせた
そして少なからず獣人とテイマーに対しての見方が変わっていくのだがそれはまだまだ先の話である
「馬車で2日もかかったのに半日しかかからなかったわね」
「この森は危険すぎて誰も通らないのにゃ」
「さっきは草原豹達が露払いをしてくれてたから何事もなく抜けられたのですにゃ」
「普通はこの森で一夜を生き延びるのも難しいって事かな?」
「夜を迎える以前の問題よ」
「野生のゴブリンやオークも出るし熊や猪も出る」
「この森で一夜を過ごそうなんて考える人はいないわね」
「普通は遠回りでも街道を行くわ」
「そうなんだ」
言われてみればこの森での上位捕食者である草原豹達が味方してくれていたから難なく通り抜けられたのであって彼女達が敵となれば先ず生き残れないだろう
それにしても木々の間を猛スピードで駆け抜けるのは下手なジェットコースターよりもスリルがあった
きっと昔映画で見たスピーダーに乗るとこんな感じなのだろう
「とにかくシュネーと女王のお陰でだいぶ早く着きそうね」
「ありがと」
「アリエル様は人には感謝とか要らないって言うくせによくありがとうって言いますのにゃw」
「そう?」
「でも感謝するのは悪いことじゃないわ」
「それにシュネーのしてくれた事は凄い事なんだから胸を張りなさいな」
「結局女王を治したのはアリエル様にゃ」
「私は呼んだだけですにゃ」
シュネーは少し照れているのか視線を反らした
だがその尻尾は嬉しそうに左右へ揺れていた
ー・ー
「いやぁ乗せてくれて助かったわい」
「ドルジュは見えてからが遠いですからね」
「俺としても良い小遣い稼ぎさせて貰ってますよw」
女王達に送って貰ったお陰で昼前にはドルジュ外縁部に到達していた
そこでまた馬車に乗せて貰ったのだ
「お腹がすいたわー」
「もうお昼だもんね」
「もう少しで休憩しますよ」
馬車を操るのはカルマンと言う細身の好青年で小さな子供がいると言う20代の若者だった
馬車に揺られながら走る長閑な田舎道
少し先の辻に見えてきたのは休憩所となる民宿だった
「ただいまー」
「お帰りなさいカルマン」
「お客さんだね?」
「ちょうどお昼のシチューが出来てますよ」
カルマンより少し歳上そうに見える長い栗毛が愛らしい豊満な女性が出迎えてくれた
どうやらこの民宿はカルマンの家らしい
「ここは元々ジーラの実家でね」
「俺は入婿なんだ」
照れ臭そうに笑うカルマンに卑下した風はない
そしてジーラと呼ばれた女性も豪快そうだが尻に敷いた感じはない
「ん?」
「奥さんのお腹・・・・」
「2人目なんです」
カルマンは愛おしそうにジーラを抱き寄せキスしようとするがジーラは照れ臭そうにあしらった
「シチューと黒パンぐらいしか無いけどそれで良いかい?」
今は来客中だと言わんばかりに声を張り上げ私達に聞いてくる
「人数分お願いします」
「それと冷えた野菜は有るかしら?」
「よく冷えたトマトがありますよ」
「少し待ってて」
ジーラは家の裏の方へと消えていった
残されたカルマンは後を追うが途中でジーラに叱責されて家へと入る
「仲の良さそうな夫婦ね」
「仲が良くなかったら妊娠なんてしないわよw」
「それもそうかw」
「それにしても・・・・・」
「先発隊より早く着いちゃったんじゃない?」
「そうじゃな」
「距離が距離じゃから早馬と言っても1日で走れる距離は知れとるじゃろう」
「ダンジョンに行く時は結構な強行軍じゃったからのぅ・・・・・」
「馬に回復魔法かけながら休憩も殆どとっとらんかった」
「あんな乗り方は訓練された馬じゃないと出来ないよね」
「帰りも同じようにするとして・・・・」
「それでも今日中に着くのは難しいんじゃない?」
「まぁ帰りも無理して走るじゃろうな」
「それでもワシ等の方が早かろう」
温かいシチューと冷えたトマトを平らげ空腹を満たすと街へと向かった
安全な道行きだと言うのに名残惜しそうなカルマンとそっけなくしていた割には遠くまで見送っていたジーラ
「仲が良いわねー」
「ほんと」
「なぁに?」
「アリエルは羨ましいの?」
「それは無いな」
「今は皆と旅が出来るのが楽しいもん」
「色恋なんて魅力を感じないわ」
「そっ」
短く応えたシンシアは遠くの景色を見ていた
その横顔からはどんな表情なのか読み取れない
シンシアにも誰か想いを馳せるような相手がいるのだろうか?
カルマンの惚気を聞くのも何だし長閑すぎて暇だった
私は雑嚢からそっとリュートを取り出す
と言っても本当は雑嚢からに見せ掛けてストレージから出しているのだが
「あらアリエルって楽器弾けたの?」
「ふっふっふっ」
「誰しも若い頃にギターとかに憧れるもんでしょ?」
「まぁリュートとは違うけど似たようなものよ」
軽く弾いて音を確かめながら調律する
調律しながら何を弾くかを考えた
「悪い夢を見ていた」
「そこは地球の果て」
「戦いの次の朝」
「何も聞こえない」
「誰もいない・・・・・」
元々リュートで弾くように出来ていない曲だがアレンジしながら弾き語る
流行りの歌ではない
長年好きで聴いていた映画の歌だ
ふと聞きたくなったので声を真似ながら歌ってみた
暇潰しで歌い始めたが皆が聞き入っているのか話すのをやめて静かになる
1曲目が終わったが誰も話し始めない
これは続けた方が良いのかと思いそのまま何曲か歌い続けた
どれも有名なポップスではなくマイナーな歌ばかり
何処か悲しげな歌詞の歌が続くが誰も文句を言うものはいない
何曲かお気に入りの歌を歌った後は少しテンポを上げて洋楽やカントリー・ミュージックを流していく
何となくだが演奏系のスキルを少し取っておいたのが役に立った
頭に思い浮かべるだけで勝手に指が爪弾いてくれる
スキル補正って凄いね
ー・ー
「さてと」
「宿よりクランハウスの方が近いけどどうする?」
「どう考えてもまだ先発隊より速いよね?」
「そうじゃな」
「しかしカルマンの奴代金を受けとらなんだな」
「カミさんに叱られんと良いのじゃが」
「まぁ異世界の音楽なんか聴かされたら仕方ないよ」
「いつもの事だから止めなかったけどw」
「ん?」
「やっぱりやっちゃってたの?」
「あはは」
「異国どころか異世界の音楽がどんな破壊力あるのか分からないの?」
「てっきりわざとやってるんだと思ったわ」
「あー」
「こっちの音楽知らないもんなぁ」
「暇潰しにってなにも考えず歌っちゃったわ」
「カルマンが音楽家になったらアリエルのせいだねw」
「冗談はやめてよねー」
「あはははは」
「ところでクランハウスの方が近いんだけどさ」
「報告前に行っても面倒な事になら無い?」
「シンシアの言う通りじゃな」
「クランハウスで先発隊が到着するまで待たされるのも嫌じゃわ」
「なら宿に行きましょうか」
「ダンジョンばっかりで精神的に疲れたし・・・」
「少し気分転換したいかな」
「さんせーい」
「でもその前に換金しなくて大丈夫?」
「お金はまだいっぱい有るから大丈夫かな」
「小銭に崩す必要も無さそうだし」
「ご飯はどうする?」
「また食べ歩きする?」
「そうねぇ・・・・」
「シンシアは久しぶりに良いお酒飲みたいと思わない?」
「ワシは飲みたいのぅ」
「冷たいエールをグイッといきたい」
「私も賛成にゃ!!」
リグルの言葉に全員が賛成した
冷たいビールとワイン
その魅力に抗える者は1人もいなかったのだった
ー・ー
ゴドンッ
「くはぁあああ!!」
「すまんがもう一杯頼む!!」
一気に飲み干したジョッキがテーブルで派手な音を鳴らした
その音に振り向いた給仕に向かってジョッキを振りかざしおかわりを頼むリグル
それに合わせるように仲間達も各々ジョッキを掲げた
「はぁ」
「やっぱり疲れた身体には冷えたエールが浸みるわね」
「特に良く冷えたエールは格別じゃな」
髭に泡を纏わせたリグルは豪快に笑い骨付き肉に囓りついた
ー・ー
「みんなおはよう」
「久しぶりに良く眠れたかな?」
泊まったホテルのスウィートルームでリビングにあたる大部屋は南向きの広いバルコニーが付いていて朝陽が部屋の中を優しく照らし出していた
ルームサービスで頼んだ朝食をテーブルに並べているクロエと挨拶を交わして席に着く
「おはようアリエル」
「今日もいい天気じゃなぁ」
リグルは夜明けと共に散歩に出掛けていたらしくバルコニーから太陽を見上げて額の汗を拭った
「おはよう」
「2人とも早いわねぇ」
シンシアは右手で頭をさすりながらシュネーに支えられて部屋に入ってきた
昨日の深酒が祟っているらしく二日酔いのように見える
「シンシア大丈夫?」
「もしかして二日酔い?」
「昨日はちょっと飲みすぎたわね」
「ありがとうクロエ」
シンシアが席に着くと冷たい水をクロエが差し出した
傍らには絞った後のレモンが置かれていたのでたぶんレモン水なのだろう
「ん・・・・・・・」
「冷たくて美味しいわ」
「ラルクはいないの?」
「まだ寝てるのかな?」
「部屋にもいなかったわよ」
「ラルクには悪いけど冷めちゃうしな」
「先にご飯食べましょうか」
白いパンにベーコンとスクランブルエッグ
そしてトマトのスープが今朝の食事だ
ベーコンに獣臭さが無いところを見ると猪や鹿ではなく高価な豚のベーコンなのだろう
「さてと」
「クランハウスに行く前に市場でも見て歩く?」
「どうせ朝イチ行っても先発隊が帰ってるかどうか怪しいし」
「そうですね」
「一回りしてきましたけど今からでも楽しめそうでしたよ」
ラルクは外に出ていたようだ
朝の挨拶を交わして席に着く
散歩と言うより鍛練だろう
その帰りに市場に寄った感じか
シンシアが支度をするために席を立つのと入れ替わるようにラルクは朝食を食べ始めた
「あんまり急いでクランハウスに行っても仕方無いのよねー」
「先に買い物済ませちゃおうか」
今日はクランハウスへ行った後そのまま街を出るつもりだ
その為荷物をまとめ片付けも終わっている
後はシンシアの身支度を待つばかり
少し時間がかかりそうなので魔法でお湯を沸かし紅茶を淹れる
「あらいい香りね」
「私にもいただけるかしら?」
装備を整えたシンシアが部屋から出てきて席に着く
椅子に座るとクロエがシンシアの髪を櫛けずりシュネーが爪の手入れをする
「そういうところ見てたらシンシアってお金持ちなんだなって感じるわ」
「何それ?」
「いつもは気にしないけれどこう言うホテルに泊まった時ぐらいは贅沢に過ごしたいじゃない」
「クロエが髪をといてくれるとサラサラで気持ちいいしシュネーが手入れしてくれた爪も艶々で綺麗でしょ?」
シンシアは爪を太陽の光で煌めかせ愛おしそうに眺めている
美容は心の栄養だと言われるは納得だ
「それじゃあ行きましょうか」
皆が紅茶を飲み終えると席を立つ
チェックアウトを済ませたのは8時を過ぎた頃だった
ー・ー
「朝市と言うにはちょっと時間遅くなったけど結構賑わっているわね」
ドルジュの街の南側は商業区画が多く露天も多い
朝市は南広場を中心に昼過ぎまで露天が立ち並ぶ
夕方には飲食系の露天が並ぶので地元の人達や冒険者達から親しまれている
「朝食は美味しかったけどこうやって露天を見ると食べたくなるよねーw」
「このまま街を出るなら食べ過ぎには気を付けないとダメですよ?」
楽しそうに露天を見て回るシンシアにラルクが釘を刺す
「ふぉうふぉう」
「ングッ」
「お腹おっぱいにしちゃダメよ?」
「両手にガッツリ肉盛ってるアリエルに言われたくないわw」
「だって今日で最後なんだよ?」
「悔いが残らないように食べとかなくちゃ」
「フォッフォッ」
「なんか年寄りの辞世の言葉みたいじゃなw」
茶化すリグルの両手には焼いた骨付き肉と串焼きの魚が握られている
「でも美味しいものは食べておく方が力になりますよね」
「道すがら食べるものも大切ですにゃ」
クロエとシュネーはそれぞれ果物や保存食になる物を買っていた
露天の雑貨屋等を回り一度冒険者ギルドに立ち寄る
そこで予め出しておいた高値が付きそうな魔道具を査定して貰った
「このランタンは貴重な物ですね」
「警戒の灯火は銀貨240枚になります」
「 魔力で明かりを灯せる灯火の短剣は銀貨50枚」
「その他の物を合わせて銀貨570枚になります」
「追加でこの短剣を渡すから金貨と銀貨にして貰えるかな?」
「これは・・・・・」
「切れ味特化の短剣ですね」
「こちらは銀貨80枚相当になりますので金貨6枚と銀貨50枚になります」
「ありがとうございました」
ー・ー
「あの数で金貨6枚か」
「まずまずじゃな」
「1回のアタックで実質4人パーティーなら結構な稼ぎよ」
「普通の冒険者ならね」
「でも相変わらず買取金額は低いわよね」
「露天で売ってた切れ味特化の短剣なんか金貨2枚の値段付いてたもん」
「ギリギリ値切って銀貨150と言ったところか」
「普通の良質な短剣が銀貨100チョイじゃから安いと言えば安いかの」
「だからダンジョンで得たマジックアイテムは道具屋や魔法道具屋の売る人が多いのよね」
「でもアリエルはわざと安くなるギルドで売ったのでしょう?」
「ギルドに活動実績残したかったからね」
「それに」
「それに?」
「毛皮の件があるから・・・」
「お店で買い取って貰うのも恐いしね」
「それは分かるわ」
「ギルドも定期的に買取依頼する冒険者にはランクに応じて査定額上がるものね」
「まぁそういうのも踏まえてギルドでも良いかなって」
「しかし尾行は付いとるぞ」
「まぁ大手クランの手前悪さをするとは思えんがな」
「とりあえず軍資金も増えたしもう少し食べながらクランハウスに向かおうか」
ここの屋台の料理は美味しいものが多い
と言ってもスパイスは少なく調理法も発展途上
単純な味付けではあるがそれだけに素朴で素材の旨さが際立っていた
ー・ー
「なっっっ!!!」
「なんで貴女達がここにいるんですかっっっ?!」
街頭に響き渡る叫び声に一瞬自分の事とは思わず辺りを見回した
「何でとぼけるんですか???」
後ろから近づく気配にヌルリと身体を躱し人混みに紛れようとする
「にっ逃げないで下さいよ~!!」
慌てて駆け寄る気配
仕方無く振り向くと見知った顔の女性がいた
「あら?」
「マリアンお久し振りね」
「元気だった?」
「お久し振りです」
「っっって!!」
「私達が探索拠点を出発したのは昨日の明け方ですよ?」
「何で先についてるんですか???」
凄い剣幕で問い詰めてくるのはガードナーの補佐役を勤めていたマリアンだった
昨日の明け方に先発隊を指揮してクランリーダーに報告に出たのだ
「その分だと報告は終わったのね?」
「つい先程終わりました」
「吉報は急いだ方が良いと思い馬に回復魔法かけながら明け方に着いたんです」
「そっか」
「良く頑張ったね♪」
「えらいえらい」
マリアンの頭を軽く撫でて労う
「マリアンもこれ食べる?」
「美味しいよ♪」
「ありがとうございます」
「いただきます」
素直に焼き肉の串を受け取るマリアン
「っっって!!」
「子供扱いしないで下さい!!」
「じゃなかった!」
「なんで後に出発したアリエルさん達が先についてるんですか???」
「ん???」
「森を抜けたら早かったわよ」
「んなっっっ???」
「あの森をですか・・・・・」
「あの森を抜けたんですか???」
「あーもう」
「声が大きいなぁ」
「森を抜けて昨日の夕方には街に着いてたわよ」
「その串冷めちゃう前に食べなさいな」
マリアンにあげた串を新しく買いなおして頬張る
シンシア達は割れ関せずで林檎を囓っていた
「あっ」
「あぁごめんなさい」
「いただきます」
マリアンは腑に落ちない言葉と肉とを噛み締めるように黙々と食べ始めた
「ふぅ・・・・」
「ご馳走さまでした」
「そうですか」
「森を抜けられたのですね」
肉を食べて落ち着いたのかマリアンは売って変わって穏やかに話し始めた
「あの森はAランクパーティーでも無い限り強行突破しようとは思わない高難易度なのですが・・・・・」
「あのダンジョンを攻略したアリエルさんですものね」
「・・・・・・・・・・・」
「折角ですのでクランハウスまでご案内致します」
「別に良いんだけどなw」
「貴女も疲れてるでしょ?」
「いえいえ」
「アリエルさんのお顔を見たら疲れなんて吹っ飛びましたよw」
目の下にクマなんか作っちゃって
無理してるのバレバレじゃんか
今はアドレナリンが過剰分泌されてる感じかな?
こりゃ帰ったら寝落ちするヤツじゃん
「じゃあ一緒に行きましょうか」
「シンシアーみんなー」
「そろそろクランハウスに行くわよー」
一通り見回して全員がいることを確認するとクランハウスへと向かった




