表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/146

船での探索

「中々に快適ね」

「波がないから殆ど揺れないし」


「これでゾンビや魚が襲ってこなければもっと良いんだけどね」


1本櫂を漕ぐのはちょっとコツが要る


その為私が船を漕いで舳先の蓋の上に立つリグルが魔物の相手をしていた


カンテラを吊るす船首飾りを外して鍵棒を振るい魔物を吹き飛ばす


シンシアは右舷側ラルクが左舷側を担当して魔物を探しリグルが対処する


「船上は狭いから心配だったけど・・・・」

「難なく進めそうね」


「やはりゾンビとワイトばかりじゃな」

「・・・・・・・・・なんじゃ?」

「あれは・・・・・・?」


リグルが動きを止め一点を見つめている

魚系の魔物と言うわけでは無いようだが・・・


「敵襲じゃ!!」

「行き脚を止めろっっ!」


リグルの言葉にシンシアとラルクが鍵棒を持ち同時に水へと突っ込む


ガッガガガッ!


2人の鍵棒が激しく震え船が急停止する


「接敵する!左舷に寄せてくれ!!」


リグルに応えシンシアが鍵棒を持ち上げ右側に周り2人で船を左へ寄せる


「来るぞっっ!」


前から船が近寄って来ている

水路の真ん中を1艘の船が迫ってくる


「乗ってるのはワイト?」

「じゃないな」

「前はこんなの出てこなかったけど・・・・」


「それは水を蒸発させたからでは?」


「・・・・・・・・・・・」


ラルクの冷静な突っ込みにシンシアとリグルは笑いをこらえているのが分かる


「初見の魔物だから気を引き締めて!」


「話を逸らしましたね」

「誤魔化してもダメよ」


ラルクとシンシアが同時に突っ込む

リグルが小刻みに震えているのは未知の敵への武者震いだろう


そうに違いない


「アレは・・・・・・」

「初めて見る魔物じゃな」

「腕が4本有る大型の動く骸骨(スケルトン)タイプか・・・・・」

「重装鎧を着ておるな」


「あの櫂は・・・・?」

「刃の付いた戦闘用のオールね」

「1体が4本腕で漕ぐから操船は自由自在ってわけか」


船の中央に座り4本の腕でオールを操る

その上半身は分厚い金属鎧に包まれ兜からは骸骨の顔が覗き開かれた口には2本の牙が鋭く光っていた


「知能の有るスケルトンって不思議よね」

「脳は無いのに魂で考えるのかしら?」

「それとも船を操るのに知能は要らないのかな?」


そうこう言っている内に相手は加速する


オールは水飛沫を上げ舳先が持ち上がり眼窩に赤い火が灯り4本の腕が力強くオールを操作する


「敵船戦闘速度に増速」

「衝突までおよそ10秒!」


「結界で防ぐ!!」

「総員戦闘準備!!」


ラルクの警告に私は物理結界を3重に張って衝突に備えた


グングンと迫り来る敵の姿が見えるにつれ緊張が走る

不意に相手の舳先が右へ逸れた


ガンッ!

ガガッ

パキピシィ!


予想以上の衝撃に結界が2枚割れてしまう


敵は此方が結界を張ったと見るや衝角による突進からすり抜け様にオールで斬りかかる戦法にスイッチしていた


「冷や汗が出るわい!!」


襲い来るオールは最後の結界で止められた

目の前で止まったオールにリグルが毒づく


「ぬおりゃあ!!」


リグルが雄叫びを上げて鍵棒を振るい骸骨の腕に引っ掻ける

そのまま勢いよく引っ張り体勢を崩した


「これでもくらいなさい!!」


シンシアが放った光の矢を骸骨は頭を屈めて兜で受けた

その瞬間光の矢は兜の表面で弾けた


「聖属性防御?!」

「悪趣味な防具付けてんじゃないわよっ!!」


「〈炎の投擲槍(フレアジャベリン)〉聖属性がダメなら炎はどうかしら?」


続けてシンシアから放たれる炎の槍が骸骨を貫く

シンシアにヘイトが移り骸骨は左腕のオールを叩き付けてきた


ガゴンッ!


ラルクが鍵棒で受け止めると一瞬船が沈み込む

水面が波立ち上下に揺れ始める中お構い無しに連続攻撃を仕掛けてくる骸骨


拘束光輪(バインドリング)


この魔法は光輪を射出して束縛するのだが聖属性ではなく無属性である

凝縮された魔力が光を放つだけなのだ


4本の腕を拘束された骸骨は外そうと踠く


その力は凄まじく奴の乗る船を上下させ水面が激しく波打つ


「ちょっとアリエルっ!!」

「攻撃は防げてもこれじゃこっちも何も出来ないわ!!」


シンシアが船縁に掴まりながら必死に訴える


ラルクも同じように掴まり堪えているがリグルは変わらず立ったまま骸骨を見据えている


「どんなバランス感覚してるのよ・・・・・」


思わず言葉が漏れた瞬間リグルが動いた


ゴッシャッ


リグルの突き出した鍵棒が無防備な顔面に炸裂し上顎と鼻を砕く


「ぬぉりゃあー!!」


リグルは鍵棒を突っ込んだまま腕を捻り頭蓋骨を粉砕して引き抜いた


ガシャッ


「倒せたみたいね」

「もうホントに動かないよね?」


恐る恐る覗き込むが拘束された腕を残し身体は下に崩れ落ちていた


兜にも赤い瞳は無く骸骨が起こした波が船を揺らしていた


ー・ー


「もしかしてさ」

「入口付近でまごついていたらコイツに襲われてたのかな?」


「たぶんそうなるよね」

「って言うか」

「まさかコイツを倒してこの悪趣味な船を奪って進めってこと???」


よく見るとこの骸骨の乗っていた船は見るからに気持ちが悪い


無数の何かの骨が寄せ集まって作られた物で中には浸水している


と言うよりもこれは船の形をしているだけで骨で出来た筏と言った方がいいだろう


なんだか分からないもので船の形になってはいるが隙間だらけで純粋に骨の浮力で浮いている


「間違ってもコレには乗りたくないなぁ・・・」

「呪われてそうじゃん?」


大小様々な骨の間に頭蓋骨も混ざっていた

オールを支えていたのは手の骨だし舳先には何かの魔物の頭蓋骨が角を突き出している


「私達にはこの船があるし放置しましょうか」

「沈めると後続が通る時に邪魔になるかもだし」


骸骨の船の脇を通り抜け奥へと進む


初回にいたワイトは殆どがゾンビになっていたようで水路の臭いはかなり酷い

出没するゾンビも水で膨らんだ水死体状態で動きは鈍く毒と言うより病気持ちである


「アレはゾンビ?それともスケルトン?」


中途半端の腐肉の残ったスケルトンのようなゾンビとゾンビのようなスケルトンに出会った

動きがかなり鈍いのでリグルが難なく鍵棒で叩き潰す


「歩きだとかなりキツイと思うけど」

「船で移動してるからゾンビも魚も驚異にはならないわね」


ワイトフィッシュも出るには出たがやはり少ない

大量発生にはだいぶ時間がありそうだ


「また船が来るぞ」

「前と同じ奴か?」


今回は見付けた途端一気に加速してきた


「めんどくさいなぁ」


私は4重に物理結界を張ると同時に拘束光輪を放つ


光輪は骸骨を捉え空中に縫い止めると船だけがすっぽ抜けて迫ってきた


ゴズンッ


衝角が結界に当たり2枚が割れた

そのまま鍵棒で横に流し近付いて骸骨の頭を潰す


ガララボチャボチャッ


力無く崩れ落ちる骸骨


攻略法さえ分かれば後は簡単

突進してくるのを結界で受け止め拘束して頭を潰す


魔石は毎回念動で回収する

わりと大きいので取らないのは勿体無い


魚を蹴散らしゾンビを吹き飛ばし骸骨を叩き潰す

2時間もしない内に例のボス部屋の手前まで来た


「やっぱりアレいるよね」


「たぶんいますよね」

「2匹いるかは分かりませんけど」


「やだなぁ」


「どうやら水中で待機しとるようじゃの」

「魚影も見えん」


地形に変わりはない筈だが真ん中の通路や中央の盆も見えない

どうやらデフォルトではあの足場さえ単なる浅瀬でしかなかったようだ


「これって徒歩で来たら脚を踏み外すだけで致命傷よね」


「あの魚がいなかったとしても水棲の魔物はいるじゃろうからなぁ・・・・」

「この水深じゃとあのワイトフィッシュも普通に泳いで来れるぞ」


鍵棒で底を突いて水深を確かめるリグル

あの地形を先に見ているからその恐ろしさが痛いほど分かる


「あ」

「いたね」


「どこどこ?」


「もう潜った」

「方向からすると右舷から襲ってくるかな?」


にわかに水面が泡立ち大量の魚が水面を跳ねる


「小さいけどワイトフィッシュじゃん」

「あ」

「こっち来るね」


船を操作し舳先を群れの方に向ける

それと同時に物理結界を平面ではなく船を囲むように三角形に張る


バシャシャシャシャシャッ


魚が飛び跳ねながら結界に当たり弾かれ過ぎ去っていく


「来るよ」


声をかけた瞬間波がうねり船は大きく上下に揺れた


ザバァッ!!


背鰭が見えた瞬間ワイトシャークは飛び上がり迷わずリグルに向かって突進する


ガゴンッ!


派手な音を立て結界にぶつかる鮫


「逃がさないよ」

氷結拘束(フリーズバインド)


魔法が発動し水面から無数の氷の蔓が飛び出し鮫に襲い掛かる


鮫は一瞬身をよじって躱そうとするが蔓が当たった瞬間ソコが凍り付き動きが止まったところに続く蔓が絡み付き身体全体を凍らせる


「いっちょあがり」

「トドメは〈聖なる貫通光線(ディヴァインレーザー)〉」


一瞬鮫を光線が貫通するとそのまま振り回し水面を凪払う

更に水中へも同様に凪払い見る限りすべてのワイトフィッシュを滅ぼした


残されたのは凍りに閉ざされた鮫の死骸だけだった


「終わったね」


「やっぱり呆気なかったわね」

「アリエルだもんねw」


最早お約束の倒し方である

目ぼしい魔石だけを回収して転移結晶に向かった


「この船は鮫に沈められたことにしましょう」


念動で船を水からあげて清浄の魔法で綺麗にするとストレージに格納した


「次は例のアレが出る第8階層ね」


気を引き締めて転移結晶に触れた


ー・ー


「うん」

「うんうんうん」

「ほぅほほーぅ」


「アリエル?」

「これって・・・・・・」


「明らかにレベル落ちてるわ」

「タネが分かってたから対処してたけどこれ程とはね」


第8階層は魔物が顔に張り付いて魔法毒と幻術の併用に加え振動も使い強力な幻覚を見せていた


なので初めから仮面付きの兜を被り頭を保護して挑んだのだが・・・


「なんだコイツ?」

「頭を覆えるサイズじゃないよね」

「幻覚剤と魔法だけで例の振動を使った幻覚までは使えないっぽいわね」


見た目は同じで例のアレ的な外見だがサイズは2回りは小さい

これだと張り付かれたところで顔全体は覆えず爪も後ろまで回りきらない


「なんだかなぁ」

「それでも数はいるね」


「魔法は効くのかな?」


試しに魔法の明かりを飛ばすと群がっていく


続けて〈稲妻(ライトニング)〉の魔法で貫通させるがやはりダメージがあるようには見えない


「あー」

「アリエルが撃ったヤツ」

「一回り大きくなってない?」


言われてみれば大きくなっている気がする


「やっぱり魔力を喰ってるのね」

「今回はどうしようかな?」


思案の挙げ句対女神用物理攻撃装置をテストする事にした

作ったは良いがテストできないでいた為ちょうど良い


「武装召喚」


何も言わずに召喚出きるのだが仲間もいるし雰囲気と言うヤツで言葉を発してから召喚する


左下腕に装着した状態で召喚されたソレは箱状の機関部に筒の付いた武器


そう銃である


この世界には火薬の文化は殆ど無い


爆弾などは有るが錬金術によって作られるものであり魔法炸薬が中心だ

銃のような小型の兵器は火薬以外のもので魔法的な弾丸を射ち出す


「この世界で銃とは珍しいな」

「ワシが若い頃もそのような銃は見たことがない」

「随分と口径がデカイのぅ」


流石リグルは元兵隊さん

見るべきポイントが分かっている


「これは多目的射出装置で色んな弾丸を射てるのよ」

「この世界だと魔法の方が一般的で使いやすいけど魔法が使えない状況だったり速射ちでは銃の方が速いからね」


マガジンに手を添えて魔力を込める


弾種は石


今回は射程距離も貫通力も不要なので最も魔力消費の少ない石礫を射ち出す


弾丸が形成され重い銃が更にズシリと重くなる

火薬の圧力で射ち出すわけではないので弾丸に硬さは必要ない

その気になれば豆腐だって射ち出せる


「大丈夫だと思うけど念のため離れといてね」


このままだと私の攻撃も物理結界に阻まれるので別の指向性重力結界を張る


これは特殊な結界で一方向に対し強力な重力を発生させて対象を加速する

相手側からは強烈な重力による壁となるが内側からは加速装置になる優れものだ


「それじゃあいきますか」


ボンッ

パキィン


空気が破裂するような音と共に物理結界が砕け散った

その勢いは物理結界を破壊しても抑えきれず結界に阻まれていたアレを数体貫通した


「うん」

「やっぱり加速した弾丸の前では無力みたいだね」


ボンボンボンボンボンッ


たて続けに射つと魔物が砕け散る


前回より的が小さい分当てにくいがそこは腕の見せ所


30発の弾丸を射ち突くしマガジンが空になったがどうもこれでは効率が悪い


「銃を換えた方が良さそうね」

「口径の大きさより速射性の方が要るわ」


下腕部のアームガンを収納すると変わりに幾つかの銃を取り出した


「これならリグルにも馴染みがあるでしょう?」


投げて渡した銃を片手で受けとるリグル


「ショットガンか」

「確かにこれなら扱ったことがある」


「使い方は火薬式の実銃と同じだから下からこのシェルを入れて」

「こっちのシェルは石礫」

「こっちのは炸裂する魔法が込められてるから状況で使い分けてね」


「うむ」

「銃など久し振りじゃな」


銃を持つリグルの表情は何とも形容しがたいものだった


悲しいような

懐かしむような


「シンシアにはこれね」

「ラルクにはこの2つ」


「私のは何だか短いわね」

「この箱は何?」


「シンシアのは愛国者(パトリオット)と呼ばれる銃よ」

「アメリカ軍の使うM16のバリエーションの1つね」

「前の四角いのがマガジンでそこに魔力を込めると石礫の弾丸が形成されるわ」


「私のは少し大きいですね」


「それはL85って呼ばれてる銃よ」

「マガジンが後ろのストック部分に付いてる銃で長さのわりに銃身が長いから射程距離も長めになってる」

「実銃よりも大きなマガジンを装備していて同じように魔力を込めると石礫の弾丸を形成するわ」


「なぜワシだけマガジン式ではないんじゃ?」


「リグルは状況に応じて散弾と炸裂弾を使い分けて貰うためよ」

「基本的に散弾を装填しておいてこうやって」


ガシャッ


ポンプアクションのグリップを手前に引くとポートから薬莢が飛び出す


それを空中でキャッチする


「この状態で下のポートにシェルを入れると次にその弾が射てるのよ」


「ほほぅ」

「ショットガンとはそのような使い方が出来るのか」


「頻繁に替える必要は無いけどね」

「それと残弾の管理も2人には難しいかなって」


「そうじゃな」


「それってどういう意味?」


「リグルはメインアタッカーじゃなくてサポート役って事」

「基本的な火力はシンシアが担当してラルクはサポート」


「アリエルはどうするの?」


「私?」

「私はそうね・・・・」


ガチャ


「私はコレで特攻をかけるのよ」

「物理防御上げとくから気にせず撃ち込んでね♪」


「敵中で撹乱して誘導すると言うことか」


「2斉射したら前進しながら掃討するから結界は使えないわ」

「取りつかれないように気を付けてね」


「一番魔力の高いアリエルが囮になるわけね」

「了解」

「遠慮無く撃ち込ませて貰うわ」


「ところでアリエル」

「制圧性を高めるため2丁拳銃なのは分かるんじゃが・・・・・」

「連射できる銃の方が良くないか?」

「そのルガーで大丈夫か?」


「問題ないわ」

「グリップにスネールマガジンを装備したルガーはバランス良いからね」

「それに」

「必要に応じて別の銃に換えられるからね」


ストレージにルガーを入れて代わりにスコーピオンを取り出してみせる


「重機関銃も作ってあるから大抵の状況には対応できると思う」

「ボス部屋は広くなるから入り口前に結界を張って対処しましょう」


「了解」

「一気に行きましょうか」


全員で敵を掃射する


結界に阻まれた魔法生物を蹴散らしスペースを確保する


次の斉射で敵の行き足を止めようとするが魔法生物は怯まない


「第2波に掃射したら出るわよ!」


「了解!」

「ラジャー!」


各々弾丸の補給方法と銃の扱いを確かめながら静かに歩き始めた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ