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ダンジョンアタック

「広いわね・・・」

「壁が見えない」


「正にボス部屋って感じ」

「それにしても柱の間隔が広いわね」


「ガードナーの話じゃとボスはかなり大きい」

「この柱の配置は納得じゃな」


巨大な空間には等間隔で丸い石柱が建っており何処か神殿のような印象がある


しかしシンシアの持つ明かりは壁や天井を照らし出すこと無く暗闇に吸い込まれていく


ガシャ

ガラララララ

ガシャン

ジャラララララッ


何か大きくて固い何かが床を擦る音が辺りに響き渡る

この部屋への侵入者を察知してボスが動き始めたのだろう


「左前方に何かいます」


ラルクは聖剣に手を掛けるがそれを制止した

このダンジョンはおかしい

出来るだけ通常の武器で対応すべきかもしれない


「ボスって真ん中か一番奥にいるもんじゃないの?」


「そうじゃな」

「じゃがボスが一体とは限らんじゃろう」


アンデッドには明かりが必要ない

対象の生命力を感知して襲ってくるのだ


本来なら我々も魔力感知等である程度の位置が分かる


しかしこの迷宮内部では探知系の魔法やスキルは阻害されているため探知範囲は狭くハッキリと見えない


ザシャッ

ガラララララララララララ


「〈明かりよ(ライティング)〉!!」


シンシアが魔法で広範囲に複数の光の球を撃ち出した

眩い光球は柱に当たるとその場に止まり周りに光を投げ掛ける


するとそこには巨大な骸骨が浮かび上がった


「何これ???」

「デカい!!」


「気を付けろ!!」

「コイツは大型(ジャイアント)骸骨(スケルトン)では無いぞ!!」


「まさか巨人骸骨(ギガントスケルトン)?」


「より最悪じゃ!!」


10m近くある巨体からは4本の腕が生え下半身は足ではなく蛇のような長い胴体だった

そしてその4本の腕にはそれぞれ巨大な剣が握られている


ガチガチガチガチガチガチ


巨大な骸骨が歯を打ち鳴らし鎌首のように上半身を持ち上げると剣を構えた


「これはダメなヤツだね」

「リーチが違いすぎる」


横薙ぎに振り下ろされる剣の間合いは10mは有るだろう

躱していたのではとてもじゃないが反撃できない

こんな化け物が相手では並みの冒険者ではなす術なんか無いだろう


「3階層守護者がコレって・・・」

「このダンジョンはバランス悪すぎない?」


「そうじゃな」

「諦めるか?」


「瞬殺よ」


私は一気に間合いを詰めると巨大な上半身を支える脊椎に斬りつけた


ギィンッ!!


上位の冒険者ですら防ぐのも難しい私の一撃を骸骨は素早い動きで2本の剣を突き立てて防いできた


「何よコイツ」


更に踏み込み続く横薙ぎの攻撃を躱すと右に回り込み更に斬りつける


ギィンギィンッ!


「雑魚のくせに!!」


続く脊椎への連擊も難なく防がれた

お返しとばかりに尻尾の攻撃が襲い掛かりバックステップを余儀無くされる


「シンシア鑑定出来た?」


「ダメ」

「阻害されてる」


「ワシもじゃ」


「探知だけでなく鑑定も阻害?」

「なかなか根性悪い迷宮ね」


骸骨はその巨体に似合わず蛇の胴体をくねらせ左右に身体を揺らしながら高速で移動する


届かないと思える位置からでも身体を伸ばすことで瞬時に間合いを詰め斬擊を放ってくる


「太刀筋がが掴めない!!」

「どれだけ間合いが広いのよ!!」


高速で移動する巨体が床に擦れ耳障りな音が鳴り響く

その音は広い部屋で反響し攻撃の位置やタイミングを見誤らせる


「コイツ!!」

「何でこんなに魔法防御高いのよ!!」

「アンデッドなら火炎に弱い筈じゃないの?」


炎の魔法が肋骨で弾け飛び大して効果が見込めないのを見るやシンシアは雷や氷等次々と属性を変えて弱点を探る

しかし何れも効き目が有るように見えない


「まさか聖属性魔法しか効かないの???」

「ならこれでも喰らいなさい!!」


シンシアの放った聖なる光が骸骨の額を貫く


カカッ

カカカカカカッ


撃ち抜かれた骸骨はダメージを負うどころか嘲笑うように歯を打ち鳴らすとシンシアに襲い掛かる


「何なのよお前は!!」


見ると身体の各所にについた傷が消えている


「コイツ!!」

「聖属性吸収するスキル持ってる!!」


「何ですって???」


徹底された魔法対策に強い悪意を感じる

本当にこの迷宮はミリアの作った物なのか?


「役に立てないから私は下がるわ!!」


物理攻撃で倒すしか無い為シンシアは後ろに下がりサポートに回る


異常に広い間合いと素早い斬擊

強い魔法耐性と高い防御力


だが基本的な能力は高いが剣術はそれ程でもない


「仕掛けるよっ!!」


伸び上がるような斬擊を躱し懐に入ると腕に斬りつける

骸骨もそれを察したか腕を振り上げ斬擊を躱し上体を起こして連擊を放ってきた


ギィンキンガィンッ


今度は骸骨の正面で剣擊を弾いて剃らす


「ワンパターン」


続く薙ぎ払いを屈んで躱すと骸骨は上へ逃がした腕を真っ直ぐ振り下ろしてきた


「やっぱりバカね」


踏み込みながら躱し剣を持つ手に斬りつける


ガッ!!


「なんて硬さなの???」


一撃で下椀を両断する事は出来なかったが斬り返す斬擊で親指を斬り飛ばした


オォォォォ!!


親指を斬り落とされその手から剣が滑り落ちる

骸骨の眼窩の青白い炎が灯り恨めしげな咆哮が頭に直接響いた


「うるさいっ!!てぇーの!!」


横薙ぎの斬擊を屈みながら前へと躱し再び脊椎を狙う


ギィンッ!


同じく剣を突き立て防ぐ骸骨


ヒュキィィィン!!

ガッ!!

ガゴンッ!!


骸骨が私に気を取られている隙をついて後ろに回り込んだラルクとリグルが各々長い胴体を斬りつけていた


オオオオオオッ!!

ズシャッ!!


リグルの一撃は骸骨の脊椎を打ち砕き同時に先程とは比べ物になら無い程の絶叫が頭に鳴り響く


オァァアアアア!!

ガッザッッ!!


バランスを取れなくなった骸骨は前のめりに倒れると折れた脊椎と2本の腕で身体を支え残る2本の腕を振り上げリグルを薙ぎ払う


「踏み込みが甘いわ」


リグルは素早いバックステップで躱すと余裕の笑みで言い放つ


切り離された胴体はのたうちまわり打ち据えられた柱から振動が床に響いてくる


蛇の胴体を失い腕で身体を支える骸骨に以前のようなリーチは無く巨大な剣も真価を発揮できない


「勝ったわね」


異常に長いリーチやスピードを奪われた骸骨に苦労する筈もなく単純作業のように1本ずつ腕を潰され床に伏せた骸骨は恨めしそうに睨み付けてきた


「敵は討たせてもらう」


真正面から振り下ろされたリグルの一撃は骸骨を真っ二つに叩き割られると眼窩の炎は小さくなりやがて完全に消えた


ー・ー


「ところでコイツは一体何だったの?」

「倒した後も鑑定出来ないってことは鑑定阻害はこの迷宮の仕様って事よね・・・」


「コイツはたぶんじゃが・・・・」

骸骨の(スケルトン)戦禍王(ウォーロード)・・・」

「その亜種じゃ」


「亜種?」


「そうじゃ」

「随分昔の話しになるがワシは1度ウォーロードと戦ったことがある」

「巨大で4本の腕を持つ姿は正にヤツと同じ」

「じゃがワシが対峙したあの骸骨は下半身が馬じゃったがコイツは蛇」


「それで亜種だと言いたいわけね」


「まぁ確証なんか無い憶測の域を出ん話しじゃがな」


倒したせいか肋骨を攻撃すると容易く破壊できた


破壊した穴から胸郭へ入り込むと胸骨の裏側に巨大な魔石を見つけこれを剥ぎ取る


「ここがどんな迷宮であったとしても魔石を剥ぎ取られれば直ぐに復活なんて事はないでしょ」


後続へのカモフラージュの為背嚢へ押し込み辺りを見回した


「流石にボスは一体だったみたいね」


「そうじゃな」

「ウォーロード級スケルトンが複数体同時に襲ってきたら流石にキツイからのぅ・・・・」


アレだけの魔物を無傷で倒しておいてキツイとはよく言えたものだ

傍目から見てもリグルにはまだ余裕があった


おそらく本気で挑めばリグル独りでも倒してしまっただろう

しかし武器の相性が悪いだけでこうも手間取るとは・・・


ー・ー


ガィィィンッッ!!

ガコンッ!!


「このぉーーーっ!」


ドコォォッ!!

ガランガランッ!


「ハァッハァッハァッ」

「この階層は何なのよ・・・」


動く鎧(リビングアーマー)だらけじゃな」

「こうなると動く骸骨(スケルトン)の方がマシじゃわ」


「って言うかこの迷宮・・・」

「何で私の力が減衰されてるのよ!」

「クソ女神の恩恵なんか受けてないのにっ!!」


「やっぱりアリエルにも影響有るんだ」

「魔法効果も制限されて効果薄いし相手がこんなのばっかりだから私の細身の剣(レイピア)なんかなんの役にもたたないわ」


先程倒した動く鎧に八つ当たりしているとシンシアもウンザリした表情で呟いた


「私も剣ではあまりお役にたてていません」

「幸い作って下さった剣は頑丈で刃こぼれ1つ有りませんがやはり倒すのに時間がかかってしまいますね・・・」


「アリエルこのまま進むのは良くないと思う」

「1度戻りましょう」

「了解」

「ラルク!入り口まで後退するわよ!」


ー・ー


「流石にこの状況は不味いわね」

「仮説だけど」

「たぶんこの迷宮は恩恵阻害に加えて魔力阻害がかけられてるんじゃないかな?」

「初めは探知阻害だと思ってたんだけど・・・」


明かり(ライティング)が普通に使えたからミリアの加護を阻害するだけの迷宮だと思い込んでたわ」


「たぶん生活魔法は阻害されてないか強化されてるんじゃないかな?」

「魔力阻害なら私の力が出ないのも説明がつくと思う」


「もしそうだとすればこの迷宮は私たちにとって相性最悪なんじゃないの?」


「じゃがワシにはミリアが作ったとも思えん」

「もしここの迷宮が討伐されず迷宮氾濫(スタンピード)を起こした場合ボスクラスは迷宮外でも相当手強い相手じゃ」


「3階層のボスでアレだものね下手すれば国が滅びかねないわ」


「そんな迷宮でもこの帰還結晶(リターンポイント)周辺に安全地帯があるのはありがたいわ」

「このシステムはどんな迷宮でも外せないのかな?」


「かもしれんなぁ」

「ワシも昔から不思議に思っとったんじゃ」

「ボス部屋前にある場合と後にある場合と違いはあるが必ず1階層に最低1つは必ず有るからのぅ」


「階層毎に別の魔法空間になるからその兼ね合いなのかもね」


「・・・・・・・・ねぇアリエル」

「1度地上に戻った方が良くないかしら?」

「第3階層のフロアボスも倒したわけだし再配置(リスポーン)までは時間があると思う」


「そうじゃな」

「1度戻るのもよいかもしれん」


「わかった」

「ここは2人の言う通り地上に戻りましょう」


帰還結晶を使い迷宮を後にした


ー・ー


「お疲れ様です!!」

「第3階層突破おめでとうございます!!」


地上に戻るなりガードナーとザイドスに出迎えられた


直ぐ後ろにサポートパーティーがついて来ていたらしく彼等も3階層の帰還結晶の登録を済ませていた

戦利品としてウォーロードの使っていた剣や骨も持ち帰っておりその素材を選別していた


「あの骨は魔力が通っていなければそんなに硬くないんじゃない?」


「そうですね」

「意外と脆くて素材になりそうな硬い部分を選んで持ち帰りました」


「あの剣少し見させて貰っても?」


「構いませんよ」

「とてもじゃないが人間が装備できる重さじゃ無いですがね」

「持ち出す時も2人がかりで帰還結晶まで運びましたよw」


改めて鑑定してみると分かる


この剣には強度増強と鋭利の魔法が付与されている

振るう事が出来たならかなりの威力となるだろう


ただし6mの剣を装備できる化け物がいればの話だが


「流石にこれだけデカいと迷宮には持っていけんのぅ」


「素材としてはこっちの動く鎧(リビングアーマー)の方が良さそうね」


先程倒した動く鎧は倒すとバラバラになってしまった


なので胴体部分に他の部位を挟んでロープで縛って持ってきたのだ


動く鎧(リビングアーマー)は初めて見ました」

「コイツ等はどうやって倒すんですか?」


動く骸骨(スケルトン)と同じで核になる魔石を剥がすか壊す事で倒せる」

「それか動かなくなるまでバラバラにする事ね」


「魔石を・・・ですか」


「魔石を破壊なんかしたら討伐証明が面倒だし換金出来ないから出来ることなら相手にしたくないわねw」


不死系(アンデッド)が嫌われる理由ですね」

「ゴブリンなんかは殺してから魔石を剥げば良いですからね・・・」


「そう言う意味でもこの迷宮は大外れよね」


「アンデッドだらけですからね」


「今日はアタックを止めて準備するわ」

「4階層目がアレだから剣ではちょっとね・・・」


「わかります」

「神官戦士団から戦鎚(ウォーハンマー)戦棍(メイス)を借りてきましょうか?」


「では戦鎚を1本お願いします」

「それと薪を多目に下さい」

「場所は・・・・・・そうねぇ」

「あの陣営の端の方に持ってきて下さい」


「わかりました」


ガードナーに薪を頼むと指示した場所にやって来た

ここは馬車置き場から最も離れた野営地の反対側


手早く土魔法で炉と金床の台を造り出す

金床はリビングアーマーの胴体を流用することにした


「戦鎚をお持ちしました・・・?」

「土魔法を使えるんですか???」


「私は旅の鍛冶屋なんです」

「稀少な鉱石を求めて迷宮に潜ったりしてるんですよ」


集まった薪を炉にくべて火力を上げていく

簡易的なふいごを作りリグルに任せリビングアーマーを溶かし始める


「戦鎚と鎧で鍛冶仕事か・・・」

「野戦陣地っぽいな」


「アリエル」

「そろそろ頃合いじゃろう」


「それじゃやりますか」


ガインッガインッ

ギィンッガンッ


溶かした鎧を2つの塊に整形していく


「思ったよりも良い物が出来そうで良かったわ」

「3体持って帰ったけど余りそうね」


「この鎧・・・」

「魔石を外されたのになかなかの防御力じゃな」


「どうせ余るからダメージの無い部位を一揃え置いといたわ」

「迷宮で使えるかどうかは分からないけどね」


「元々魔物の身体じゃからな」

「新たに魔石が生まれんとも限らんからな」


「とりあえず一つ目は完成したわよ」


一つ目は打撃重視の戦鎚(ウォーハンマー)


オーソドックスな棒の先に打面と背面にピックの付いた頭の付いた形で力を一点に集中させ強力な打撃を与える


「次はどうしようかな・・・」


「同じのじゃダメなの?」

「それとも種類を作るのに意味があるの?」


「1つは飽きるから」

「それと・・・」

「多様性を持たせる事で攻略しやすくするためかな」


「ゾンビ相手だとフィン付きの戦棍が有利だし鎧や骸骨なら戦鎚の方が有利って事ね」

「魔法がまともに効いてくれればそんな苦労無いんだけどな」


「この戦棍はシンシアが使って」

「軽めに作ってはいるけれど速度を乗せれば通用する筈だから」


「わかった」

「仕方無いとは言え・・・・・・無骨ね」


「見た目は我慢してね」

「少しは使いやすいようにしたんだから」


「それじゃさっさとラルクのを作っちゃうわね」


物凄い早さで鎚を振るい晩御飯迄に2本目の打撃武器を仕上げた


「ちょっと不恰好だけどこの迷宮攻略には必要な道具だから我慢してね」


ラルクに作ったのは先になるにつれ太くなる大剣のような棍棒で斧よりも鈍いが叩き潰すように断ち切る事が出来る

かなり重く仕上がったがラルクならば問題ないだろう


「ありがとうございます」

「重心がかなり前に有るのでちょっと慣れが必要ですね」


20㎏では効かない筈だがラルクは軽く振って見せた


「アリエルは作らないの?」

「その鎧使えばもう1本は作れるでしょ?」


「あぁ」

「私は要らないかな・・・」

「次はちゃんと打撃戦やるから」


「なんか頼もしいような・・・・」


「その顔は人前で晒さん方が良いぞ?」

「ワシは背筋に悪寒が走ったわ」


「私もです」


「明日から一気に行くわよ」


低い声で告げた言葉に3人は無言で頷いた

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