会合
「・・・・・・・・・・」
口を開いたまま絶句するリグルに陶器のカップに陶器のポットからハーブティを注いで渡す
眼を丸く見開きカップとポットを交互に見つめるリグル
「とうとう陶芸までやりおったか・・・」
「この村を起点に産業革命が起こる」
「間違いない」
「たまたまこの近くで長石が見付かったからね」
「お陰で釉薬を作ることが出来て量産化の目処が付いたわ」
「ほぅ・・・」
「ワシも幾つか釉薬を試したことがあったが上手くいかんでなぁ」
「そうか・・・・」
「長石と言うのか」
「長石の採掘は門外不出にしたところで情報は漏れるわ」
「だから使い方を秘伝として次の段階に進めてるところよ」
「まさか硝子か?」
「察しが良いわね」
「でもその前段階で鍛冶屋を育ててるところよ」
「鍛冶屋が器具を作れないと意味ないでしょ?」
「硝子工房もまだ作ってないしね・・・」
「じゃが既に炭窯は作ったんじゃな?」
リグルの鋭い視線が真新しい暖炉を見ていた
「さっすがリグルねw」
「まぁ隠す気もないけど」
リグルの瞳が目に見えて輝きをたたえ荒い鼻息からも興奮しているのが良く分かる
コンコン
「どうぞー」
「しっしつれいしますっ!!」
緊張のあまり語尾がはね上がってしまったのはギオールとリンツの2人組だった
手には出来上がったばかりの剣を抱いていた
「この2人は?」
「ザグルで一番の鍛冶職人ギオールと弟弟子のリンツよ」
「ザグルで1番なのは俺なんかじゃありません!!」
「私は出ていくんだから一番は貴方よ」
「もっと胸を張りなさい」
「それとも・・・・・・」
「2人ともそんな態度で師匠に恥をかかす気かしら?」
背もたれに身を預けながら静かに微笑んだ
「めっ滅相も御座いやせん!」
「そんな事はありません!!」
2人の声が重なりそこに私とリグルの笑い声が後を追う
「そんなに畏まらんでも良いわいな」
「ワシもちょっと肩書きが独り歩きしとるだけのジジイじゃしな」
リグルは気さくに笑っているつもりだろうがそのしっかり伸びた背筋に血管の浮いた二の腕を見れば違う意味で萎縮してしまいそうだ
「先にリンツから見せなさい」
「貴方はまだ初めて間もない見習いだから何か助言を貰えるかもよ?」
未だ緊張の抜けきらないリンツはぎこちなく手にした剣をリグルに手渡した
「ふむ・・・」
「鋼の長剣か」
「しっかりと打ち据えて良い鋼に仕上がっとる」
「刃は・・・」
「驚いた」
「打ち方の出来栄えに比べて良い研ぎ具合じゃ」
「ワシの故郷の剣を思い出す」
「そりゃそうよ」
「私がこの2人に仕込んだ研ぎ方は日本刀の研ぎ出し方だもの」
「なんと???」
「師匠!」
「なんですかその日本刀と言うのは?」
「俺も初耳です!!」
「私やリグルの故郷・・・」
「遠い異国の優れた剣を日本刀とか刀って言うのよ」
「同じ系統に太刀と言うのも有るわね」
「まさか・・・」
「打てるのか?」
「私?」
「どうだろうねw」
はぐらかしてはみたがリグルは確信を持ったようだ
そして私達のやり取りにギオール達は困惑していた
「見習いの長剣が良質判定か」
「ギオールさん」
「貴方の剣を見せて下され」
リグルが返す長剣を恭しく受けとるリンツと入れ替わりギオールがその剣を差し出した
「これは何と・・・」
「秀逸判定か!」
「中々良い腕じゃ」
「研ぎ方も素晴らしい・・・」
「じゃがこの研ぎ方じゃと西方の切り裂く剣の方が向いてそうじゃの」
「切り裂く剣とは何ですか?」
その名に食い付いたギオール
リグルはギオールに長剣を返すと身振り手振りで説明した
「なんだ切り裂く剣ってこの国にもあったんだ」
「いやいやかなり珍しい剣じゃ」
「この国では作れる鍛冶屋はおらんしたぶん見たことも無いじゃろう」
「ワシも隣国へ出向いた時に見ただけじゃ」
「直剣でありながら波打つ刃が印象的で美しい剣じゃったわ・・・・」
「隣国の剣ですか」
「でも師匠は今当たり前のようにその名を口にされてましたね?」
「・・・・・・・・」
やっちゃった・・・
私は片手を額に当てて俯いてしまった
そうですともそうですとも
転生前の多趣味な私は無類の武器マニアで特に日本刀と西洋や中東の刀剣類に詳しかった
実物を手にしたり製法を調べたりと肝いりのマニアでナイフカービングにも手を染めていたほどだ
「この2人には別の秘伝を教えるから曲刀は教える暇無いかもね・・・」
「そうか」
「死ぬまでに一振欲しかったんじゃかなぁ・・・」
「はぁぁぁ」
「考えとくわ」
「2人は鍛冶場で研鑽しておきなさい」
「材料はクズ剣が山程あるから溶かして使いなさいね」
「それに農具も作らないとダメだからね?」
「はいっ!!」
思いの外好判定を貰い部屋を出た2人の足取りは軽かった
ー・ー
「ちゃんと職人を仕込んだんじゃな」
「相変わらず面倒見が良いのw」
髭をしごきながらほくそ笑むその姿がなんとも言えぬ好好爺である
この顔が今からどう崩れるのか・・・
「何か悪巧みしている顔じゃなぁ」
この後の展開に思わずニヤケ顔が止まらない
「それはそうとアリエル」
「いつからそうなった?」
「シンシアも知っとるんじゃろう?」
鑑定持ちとは言え幾重にも重ねたこの偽装を見破るとはやはりリグルは只者ではない
「ちょっと前よ」
「この村がゴブリンの大群に襲われて壊滅したのは知ってるわよね?」
「あぁ」
「それを聞いて急いで救援物資と人をかき集めたからの」
「それも夕方には着くじゃろう」
「迷宮氾濫・・・」
「それも深層化した上に階層氾濫まで起こした最悪のレアケースだったのよ」
そこまで話すとテーブルの上のベルを鳴らした
鉄の呼鈴は涼やかな音色を奏で外へと知らせる
「失礼します・・・」
平服に身を包んだクロエとシュネーが部屋に入り両脇に退くとラフな出で立ちのシンシアが入ってきた
その後ろには着なれない平服のラルクを伴って
「驚いた!!」
「クロエにシュネーちゃんじゃないかっ!!」
「久し振りじゃなぁ♪」
「こっちに来て元気な顔を良く見せておくれ」
2人の手を取り軽く包容を済ませると眼の端に捉えたラルクを見て眼を見開いた
「ミネア・・・?」
「まさかおいっ!!!」
「お久し振りです」
ラルクが言葉を発する頃にはリグルは勢い良く飛び出ししっかりと抱き締めていた
「すまなんだ・・・・」
「ワシらがお前のモトヲ離れなんだらあんな事には!」
「すまなんだっ!!」
ラルクを抱き締めながら号泣するリグルを見てクロエとシュネーも涙ぐんでいた
「おいで」
それを見たリグルは抱き締める腕を開き3人同時に抱き締めるのだった
ー・ー
「聞いてはいたけど」
「ホントに良いお爺ちゃんね」
「ほっとけw」
「この子らは子供と言うか孫と言うか」
「兎に角可愛いことには変わり無い」
椅子に座るリグルのしなだれかかり太股に頭を預けるシュネーはまるで縁側で膝に乗る猫のようだ
その頭を軽く撫でるリグルも縁側のお爺ちゃんそのものに見える
「思わぬ再会にもう思い残す事はない・・・」
「これで天寿を全うできる」
その言葉に心配そうな眼を向けるクロエとシュネー
2人はリグルの秘密を知らないようだ
「不老不死のジジイがどうやって天寿を全う出来るって?」
シンシアの呆れた物言いに眼を見開くクロエとシュネー
「かっかっかっ」
「そうじゃよ」
「ワシは不死のリグレットじゃ」
「今まで打ち明けんですまんかったの・・・」
優しく微笑むリグルの顔はどこか淋しそうだった
「ならアタシが結婚して子供産むまで元気でいてくれるにゃ♪」
事も無げに再び抱き付くシュネー
この娘は掛け値無しに人をたらすのが上手そうだ
「しかし・・・」
「そうか今はラルクか」
「今は5人でパーティーを組んどるんじゃな?」
「出発はもう少しかかりそうだけどね」
「うむうむ」
「そうかそうか」
「で」
「付いてくるんでしょ?」
「かっかっかっw」
「優秀な前衛として売り込みたいところじゃがアリエルが居ればほぼ無双じゃろうて」
「どうやったらワシをこのパーティーに売り込める?」
「秘密を楯に脅してみる?」
「かっかっかっ!」
「それは良い良策じゃ」
「じゃが性に合わん」
「旅先の路銀も宿泊も心配無いじゃろう?」
「でも特許の件でリグルには大きな借りがあるわ」
「体裁整えなくても大歓迎よw」
「ならお言葉に甘えてこのハーレムパーティーにお邪魔するとしようかの」
嬉しそうに髭を撫で付けるリグルは初めて会った時より大きく見える
「それにしてもリグル・・・・」
「まさか鍛え直したの?」
シンシアも同じ違和感を覚えたらしい
直球で聞いてみた
「こらから面白そうな時代が来そうじゃからな」
「久し振りに央都から装備を引きずり出して来たわい」
「てっきりそのベスト一張で旅するのかと思ったわw」
「流石のワシでもそれはせんわいw」
「それに・・・」
「目的を達するには必要じゃろうて」
不適に笑うリグルを見る限り捨て身の覚悟で女神に挑むつもりなのが見て取れた
「そうそう」
「偶然とは言えリグルとも合流したから今の私の状況を確認して貰おうかな」
両手を目の前にかざしさっと両側へ開いた
部屋全体を隔絶結界が包み込む
「かなり強力な結界ですね」
1度魔族の身体を見ているクロエとシュネーは次の姿を予想していた
だが・・・・・・
封印を解くまでもなく長い黒髪は銀色へと姿を変えて淡い蒼色の輝きを放つ
衣服を脱ぎ捨てソファーへと投げ掛けると下着姿のままリグルの膝の上に座る
「おお???」
「これはなんの真似じゃ?」
「気合いいれなさいよ」
「今から一時的に身体の付与魔法切るから」
ズンッ
ミキミキメシッ!!
バギンッ!!
一瞬で椅子が弾け飛び私を膝に乗せたリグルが呻き声を発する
「ぐっ・・・あ゛・・・・・」
顔を始め全身の血管が浮き出て物凄い形相で耐えているのが分かる
全身が赤く染まり次第にどす黒くなりかけていた
パチンッ
指を鳴らすと再び付与魔法が起動して一気に体重が軽くなる
「ばはっ!!」
リグルはそのまま床へ倒れ込み荒い息をしながら起き上がった
「なんじゃ今のは?」
「邪毒龍に踏まれたんかと思ったわ」
吹き出る汗を手で拭いながら肩で息をするリグル
「そんなに重いんだ・・・」
「やっぱりいっ」
「1tはありません」
言いかけたシンシアの言葉をピシャリと遮った
「その身体」
「やはり魔族ですら無くなったのか?」
「ご名答」
「今の私は生きてるとも言いがたいし死んでるわけでも無いわ」
「どう言うことじゃ?」
「偽装魔法を止めるわね」
「どう?」
「まっ待て!」
「眩しすぎるっ!!」
「こっこれは?!」
「オリハルコンっ!!」
「全身がオリハルコンで出来とる!!」
「まさかっ」
「そんな事が???」
リグルの言葉と同時にクロエとシュネーも眼を見開き傍目からでも全身の毛が逆立っているのが分かる
「びっくりし過ぎて2人とも毛がふわっふわだわw」
シンシアが優しく2人を抱き寄せ宥めてくれる
こう言う仕草を見るとシンシアは2人のお姉さんでありお母さんなんだなと思う
「まぁこの通り」
「ダンジョンに溢れかえってた魔物達をただ殺すだけだとリスポーンも早いし不完全だと思ってね」
「そして何より時間がかかりすぎるから・・・」
「ダンジョンに巣くう魔物達を材料にしてオリハルコンを作ったのか?」
「じゃがそれなら何も身体を魔道傀儡に変える必要はなかったじゃろう?」
「そこよ」
「魔法で探ってみたらもう1万なんか優に超える数だったし下層に至っては巨人系に魔獣系だけじゃなくて死霊系の不死王もいたからね・・・」
「それらまで氾濫起こしたらこの辺りは壊滅しただろうしアレを討伐出来る人間なんてそうそういなかったでしょう」
「詳しく聞いて無かったけど・・・」
「不死王ですって?」
「大昔に国を一つ滅ぼしたって言う伝説の化け物じゃない」
「魔法でさんざん弱らせた後だったから軽く捻ったけどね」
「でもダンジョンって事は・・・」
「たぶん弱体化はしてるかもだけどリスポーンで復活してるわね」
「悪夢だわ」
頭を抱えるシンシアと天井を見上げるラルク
クロエとシュネーはピンと来なかったらしく2人を不思議そうに見ていた
「まぁ」
「本当にヤバイのは第7階層より下だから到達するまで時間がかかると思うわ」
何時ものように偽装を終え再び装備を身につけた
「その格好って事は今から工房?」
「ちょっとやる事増えちゃってるからね」
シンシア達にはゆっくりするように告げると私は部屋を後にした
ー・ー
「ギオール調子はどう?」
回転砥石を止める頃合いを見計らって声をかける
「中々良いですよ」
「次の細工ですか?」
「そうよ」
「2人ともこっちに来て」
2人を研ぎ場から連れ出すと既に火を入れていた炉が赤々と光を投げ掛けていた
「今から剣を打つより難しい細工をします」
「良く見ていなさい」
そう言うと炉から小さめの器を取り出し中身を石の板の上に空けた
煙を上げながら熔け出した鉄は直ぐに冷えて平たい塊になる
「いくわよ」
その塊をヤットコで掴み火にくべる
赤熱したところで外に出して金床で薄く薄く引き伸ばしていく
相手が小さいので相槌は使わず素早く炉から出し入れしながら薄く薄く引き伸ばしていく
「ここからが難しいんだから良く見ておきなさい」
赤く熱した板を真っ直ぐに整えた棒に巻き付けるように叩いていくそれを重なるように丸くすると予め作っておいたタガネとハンマーで切っていく
棒を引き抜いた筒を熱した後素早く棒を突っ込み小刻みに叩いて形を整え完全に板が重なり筒になるのを確認すると更にもう一度火にくべ継ぎ目のところを丁寧に叩いてくっ付けていく
「この最後の時の色はちゃんと覚えなさい」
「他の鍛造に比べて少し強く熱してしっかり溶かし付けるの」
片方をシノで少しだけ広く作り同じものをもう1本作り出す
「こうやって片方だけ少し広げてるのはね・・・」
言いながら片方の筒にもう片方を挿し込み延長された筒にする
「この継ぎ目を同じ要領で熱してくっ付けるの」
赤く熱した筒に棒を通し更に別の棒を突っ込み位置を調整する
それを叩いて形を整えると1mくらいの筒が出来上がった
その片方を軽く叩いて拡げる
「これは何ですか?」
「なんに使う道具なのか・・・?」
出来上がった筒を興味深そうに見入るギオールとリンツ
「ここまでが貴方達の仕事」
「この道具は何本か作っていつでも作れるようにしておきなさい」
そう言い残すと鍛冶場を出て裏手に回った
場所はちょうど鍛冶場の炉の真後ろ
薫製場を取り壊して新たに工房の作りなおし手早く魔法で炉と背中合わせになるように新たな炉を作り出す
直火を使えるように設定した熔鉱炉と違い此方の炉は口の位置が高く鉄の蓋が付いていた
中の火も熔鉱炉側の熱を利用するように工夫してある
「こんなもんかな?」
融点の高い合金で入れ物を作り中に近くで取れた珪石を粉にして積める
そこに灰を入れ最近見付けた石灰を粉にした物を入れる
「師匠それは?」
「これはこの娘の仕事よ」
「リリア良く見ていなさい」
このリリアと言う娘は生き残りの一人である
他の家族は全滅してしまっていたが木彫りの置物等を作る手先の器用な娘なのだが・・・
復興の役にたてないと自らを責めながら過ごしていた
材料を入れた容器を専用の棒で炉の中に入れ暫く待つ
粉が赤見を増し明るく変化し始めたところで慎重に容器を取り出す
中身を削って平らにした石の上にぶちまける
まだ熱いうちに上から鉄のローラーで一気に伸ばして行くと・・・
「板ガラスじゃ」
「何と美しい・・・」
リグルの声にその場にいた全員が溜め息を付く
「これを・・・」
「私が?」
「熱いうちに触ると指が無くなるわよ」
「最悪いのちを落とすから気を付けてね」
「このガラス工房は貴族の御抱えでも中々お目にかかれない貴重な物よ」
眼を丸くするリリアと隣で頷くリグル
「力仕事はアルフリードにでも頼みなさい」
「どうせ基本的には暇なんだから」
「引き伸ばし作業は他の男達にさせても構わないわよ」
予め用意したメモを片手に配合やタイミングを教えていく
字の読めないリリアにはアルフリードに教えるよう厳命していた
町を目指すのだから学校も作るようにアルスにも指導してある
「ひょっとして僕の新しい仕事ですか?」
タイミング良く現れたアルフリードにも説明して手伝うよう約束させた
「この道具は他に無いから大事にしなさい」
「それとこれは貴女の家宝にする事」
「絶対にこの道具と技術を絶やさず受け継いでね」
そう言うと懐から輝くダイヤを埋め込んだペンを取り出した
「こうやって定規をあてがって・・・」
「力は込めすぎちゃダメよ?」
シャキィィ!!
耳障りな音を立てガラスに糸筋の線が入る
正方形になるように周りに線を引くと小さなハンマーで慎重に割っていった
カキッパキッッ
カキキッ
割れた破片を手に取り太陽に透かして見るリリア
「気を付けなさいよ」
「ガラスは直ぐ割れるけどナイフより鋭いんだから」
「えっ?」
戸惑うリリアから破片を受け取ると傍にかけてあった鞣し革を容易く切り裂いて見せる
「まっ!!」
両手で口を覆うリリア
アルフリードさえもその驚きを隠せないでいた
「さてと」
「ここからが本番よ」
材料を熱している間に板ガラスは窓に使えば明かりを入れながら風を防げる便利なものだと説明した
そして炉の中のガラスが熔けているのを確認してリリアにもその色を覚えさせる
筒を取り出すと石のテーブルに鞣し革を準備する
筒を炉に突っ込み飴のように溶けたガラスを付けて掬い上げると素早く取り出し息を吹き込んだ
ワッ!と言う歓声と共にガラスは膨らみ回しながら形を整え更に膨らませていく頃合いを見計らい底になる部分を石のテーブルに押し付け平らに慣らす
1度炉に戻し再加熱した後更に鞣し革を手に取り周りを磨くように形を整えて冷やす
最後に口になる所を切り離してガラス瓶の第一号は完成した
説明を交え次にワイングラスを作って見せる
木と台を使い先端を括れさせ形を作りソコから吹き上げてグラスを作る
「このグラスには口の狭い方が良い物と広い方が良い物が有るから良く練習しなさい」
最後に砂型の中で吹き付けて見事な模様の入ったグラスを作って見せた
「これは・・・・・」
「綺麗・・・・・・」
顔を赤らめグラスに見入るリリア
その横で見守るアルフリードからも興奮覚めやらぬのが見て取れる
さてと
「リリア・ギオール・リンツ」
「今から砂型の作り方教えるけど1回しかやらないからね」
そう言うと予め原型の形に溶かし込んだ蝋型を取り出し針のようなナイフを軽く火であぶりながら削り出していく
「これは途中で失敗したら初めからやり直しだからねw」
笑いながら緻密な細工を迷い無く彫り込んで行く
素早く繊細に丁寧に
それでいて迷うこと無く削り込む
「ガラスの押し型はここまで細かく掘っちゃダメよ?」
「細かすぎると細部までガラスが入らないからね」
「ギオールとリンツは頑張りなさいよ」
「これが出来ないと剣の装飾も出来ない田舎臭い武具しか作れないんだからね」
出来上がった蝋型に息を吹き掛けカスを飛ばすと持ち上げて満遍なく砂を振りかけた
細かい粘土を乾燥させて粉にした物だ
その上から湿らせた砂と粘土を配合した物を巻き付ける
生活魔法で良く乾燥させると鍋の上で温めて蝋を溶かした
「こうやって蝋は繰り返し使いなさい」
「ゴミが溜まると変えないといけないけどね」
「これでさっきの蝋型はこの砂型の写し取られてるわ」
「色を付ける時はこの型にこうやって色粉を吹き付けるのよ?」
「腕輪なんかはこうやって中子を入れて・・・」
その上から溶かしたガラスを流し込む
「今はガラスだけど鉄や貴金属を流し込めば金のアクセサリーなんかも作れるわ」
冷えたのを確認して砂型を割って中を取り出すと美しいガラスの腕輪がその姿を現した
「これは誰にあげようかしら?」
「そうね・・・・」
「このザグルで一番初めに結婚する花嫁にあげなさい」
ウィンクしながらアルフリードに託し日が暮れるまでリリアをしごき倒した




