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人外

「はぁぁぁぁぁ」

「いつまで続くのかなぁ?」


迷宮氾濫(スタンピード)を起こすだけあってダンジョン内部のゴブリンの量は常軌を逸している


一階層目に殆どリスポーンポイントが無かったと言うことはこの2階層目かそれ以降の階層から心太のように押し出されてきたと言うことを示す


それはつまりどの階層も過密状態でゴブリンが犇めいていると言う事


「コイツ等何でこんなに繁殖してるわけぇ?」


2階層目に突入してわりと直ぐにリスポーンポイントを見付けた

そして一階層目では見られなかったゴブリンの集落も幾つか見付けていた


集落ではリスポーンと別にゴブリン同士で繁殖しており子供のゴブリンも多数見かける


足りない食糧は共食いしているようで一部のゴブリンには禁忌のステータス異常が表示され通常のゴブリンよりも強固な個体になっていた


「もしかしてこの異常な環境が突然変異や固有進化を促進しているのかしら?」


主に剣で斬り倒し時に魔法を駆使して幼いゴブリンも容赦なく駆逐していく


残しておいても良いことは1つもない

スタンピードを防ぐためにも自己繁殖している個体は残らず殺してしまう必要があった


「そう言えば・・・・・」

「私の〈保管魔法(ストレージ)〉ってどれくらい入るんだろう?」


自分で作っておいて何だが限界値が分からない

オーバーしたら先に入れたものが消えるのか入らなくなるのか・・・

別に消えても痛くはないので魔石もドロップアイテムもろくに鑑定せず突っ込んでいる

ただ気を付けるのは感知や追尾魔法の付与だけである


「この階層」

「結構変異してる個体多いわね」

「第2次か第3次迷宮氾濫(スタンピード)が起きてたら相当な被害が出てたかも・・・・」


あまり良く確かめていないが変異種らしいレアドロップも混じっているようだ

いかにも呪われていそうな〈妖魔の短刀〉や〈禁忌の手斧〉なんかがそうだ

他にも〈○○の妖角〉と言った素材らしきものもある


「普通の冒険者だとレアドロに歓喜するのかしら?」

「そもそも普通の冒険者だとここにたどり着けないか・・・」


普通の冒険者には致命的でも私にとっては流石に野原を行くようにはいかないが森の下生えを掻き分けて歩く程度の難易度である


ダンジョンアタック開始から既に6時間は経過していた

身体的な疲れは感じないが常に索敵と掃討を行っているため精神的には結構厳しかった


「でも多すぎだよねコレ」

「そう言えばダンジョンって異空間だよな・・・」

「神域に近いのかな?」


生命感知や魔力感知を総動員して周囲を鑑定する


「んー」

「もっと強度を上げようか」


第2第4の封印を解いて魔力の祭壇(マナリチュラル)を唱えると更に鑑定ではなく鑑識をかける


「ん・・・・・」

「このダンジョン・・・・・」

「何これ10階層超えてるじゃない!!」

「ヤバいどころじゃないよ・・・」


範囲を拡大して見るがダンジョン入り口にいる筈の4人は認識できず神域や神々の気配も感じられない


「ダンジョンは作りっぱなしの閉鎖空間っぽいな」

「さっきのサーチから見てゴブリンの階層は次の3階層までか・・・」


異空間で区切られているとは言え各階層は密接に繋がっている

各階層を繋ぐポータルは鍵付きの扉のような入り口と違い隣接した階層同士の間にある鍵のない扉のようなもの

それをフロアボスが無理やり鍵を付けて管理しているに近い


「これだったらもしかして・・・・」

「やったらバレるかな?」

「いや、でも・・・・」

「成功したらバレても問題ないくらいの力を得られるよね・・・」


意を決した私は全ての封印を解いて準備に取り掛かった


ー・ー


「無事朝を迎えたみたいね」


「何の襲撃も有りませんでしたね」


シンシアは魔道具の時計を持っており正確な時間を知ることが出来る

夜営を初めてきっかり10時間

今は朝の5時になる


「アリエルは帰ってこないわね・・・」

「先行して潜ったにしても休憩挟んでまだ24時間たってないものね・・・」


「はいお姉さま」

「大したものは作れませんがせめて飲んで暖まって下さい」


クロエが差し出したのは干し肉のスープと軽く焼き直した黒パンだった

滞在期間が分からないので食糧は節約している


「・・・・・・・・」

「クロエ・シュネー」

「勅命です」

「2人でザグルに急行して援軍を組織しなさい」

「メンバーはディックと相談して決めること」

「長期戦になるかもしれないから洞窟入り口を拠点にするため馬車を使いなさい」

「良いわね?」


「いや・・・あの・・・」


「クロエ!」

「緊急事態なのは分かるわよね?」

「貴女たち2人にしか頼めない事なのよ」


「謹んで拝命承りますにゃ」

「クロエ!!」

「はい」

「可及的速やかに勅命を果たします」


言うや否や2人は背負い袋から必需品を全て纏めて置くと挨拶もソコソコに走り去って行った


「2人だけだから・・・」

「頼むわよラルク」


「任せてください」


警戒しながらただ待つと言うのも楽ではない

神経を磨り減らし動けないジレンマとの戦いである


ある意味援軍を呼びに行った2人の方が気が紛れるかもしれない


ー・ー


「シュネー」

「全力で走れる?」


「全然平気にゃ!!」

「このブーツは凄すぎにゃ!!」


軽く土煙を上げて走る2人は傍目には魔物にしか見えなかっただろう


ー・ー


魔法創造(スペルクリエイト)

魔力変換(マナレギュレーター)

物質創造(マテリアルクリエイト)

魔力圧縮(マナコンプレッサー)


加速(アクセラレート)時間圧縮(クイックタイム)を併用しながら次々と魔法を生み出して魔力式を構築していく


魔法を創造するより禁忌の魔法・・・


これが完成してしまえば私は魔王どころか邪神と呼ばれるだろう

それでも躊躇うことなく魔法を造り編み上げていく


「何とか出来たわね・・・・」

「恐らく全世界で最悪の邪法」


自分の周りに幾重にも展開された魔法陣を見回し1つずつチェックしていく

既に8回目のチェックである

1つでも間違っていれば取り返しが付かない


「後は・・・・」

「ふふっ」

「これから悪魔の身体も捨てようって言うのに運に頼るなんておかしな話ね」


「〈術式起動(コンタクト)〉」


高揚するでなく淡々と唱えられたその言葉にゆっくりと魔方陣が起動し初め次第に加速していく


「〈時間圧縮(クイックタイム)〉解除」


隔絶された時間の壁が失われ全ての魔方陣が加速しながら輝きを放つ


最初に起動した魔法陣は〈生命力吸収(ライフドレイン)〉範囲内の全ての生命からその生きる力を奪い取る邪悪な魔法である

次に起動したのは〈魂剥奪(ソウルドレイン)〉肉体から遊離した魂を捕らえ吸収してしまう業の深い邪法

それを第3の魔方陣が純粋な魔力に変換し巨大な魔力の塊が周囲を包み込む


「〈第2段階起動(セカンドコンタクト)〉」


更なる魔方陣が輝きを増して膨大な魔力を吸収し始める

極限まで圧縮された高純度の魔力はやがて物質化して妖しく輝く金属へと姿を変える

オリハルコンである


同時に起動した魔方陣からは別の蒼白い石が形成され3つ目の魔方陣からは大きな魔晶石が連続で生み出されていた


「さあここからが本番・・・」

「〈第3段階起動(サードコンタクト)〉」


目の前の魔方陣が起動すると出来上がったオリハルコンが形を変え人間の骨格を形作っていく


骨格にルーン文字で魔力伝達と強度増強重量軽減等の付与術式を刻み込んでいく

下椀部と脛の骨は空洞化し二重構造にした後回転する魔道機具を埋め込む

これはドラムを回転することで刻まれた呪文を発動させる事が出来るチート装備である


出来上がった骨格の中に魔晶石を利用した疑似臓器が埋め込まれオリハルコンで編み上げられた人工筋肉が骨格を覆っていく


その頃2つ目の魔方陣から出来上がった2つの柔らかい石を1つ手に取り心臓を作り出して胸に納めた

もう1つの石で今度は脳を造りだし頭蓋骨へと納める


「そろそろ仕上げか・・・」


予定より多目に集まった魔物達の魂を見て魔方陣を止めていく


最後にオリハルコンと石を作っていた魔方陣を止めて新たな魔方陣を造り出した


「これが失敗したら・・・・」

「討伐不能な化け物を作ったことになるわね」

「そうなったらごめんね・・・・シンシア」


私は最後の呪文を唱えると自らの魂が抜け落ちるのを感じた


ー・ー


「2日たったわね・・・」

「アレから洞窟側からゴブリンの襲撃はあったけどダンジョン側は何の反応もないわね」


「今のところ何の変化も有りませんね」


ラルクが必要としないため水や食糧には余裕があるもののずっと洞窟で待機すると言うのはかなりの労力が必要になる


待つことはエルフにとって苦では無いのだが如何せん明かりがあるとはいえ陽の届かない暗い洞窟で何日も過ごすのにストレスを感じないわけではない


「ラルク!!」


シンシアの声にラルクは剣を抜いて構えた

何の前触れもなくポータルが光始めたからだ


光の中から一人の輪郭が浮かび上がりそれは次第に像を結び始める


「アリエル!!」


現れた人物にシンシアが叫ぶ


「無事帰れた・・・」

「待たせたわね」

「アレから何日たった?」


静かに微笑む私にシンシアの目が見開かれていた


「お前・・・・・・」

「何だ?」


静かに剣を抜いて構えるシンシア

その額にはビッシリと汗が吹き出ている


「何って・・・・・・」

「あぁ・・・・・・・」

「シンシアには見えてるのね」


入り口の魔方陣から歩み出るとシンシアはジリジリと下がって間合いを保つ


ヒュンッ


刹那後ろに気配が生まれ喉元に刃があてがわれる

私は微動だにせず素肌で刃を受け止めラルクの手にそっと自分の手を重ねた


「ちょっと予想外に酷い状態でね・・・」

「最終手段として魔族すら辞めちゃったのよw」


「今の言葉に嘘はない・・・・・」

「本当にアリエルなの?」


「ええ」

「あのままダンジョンを攻略してたら何年かかるか分からなかったからね・・・」

「禁忌に触れて身体を捨てたのよ」


「それにしてもちょっとこの威圧感は凄いんだけど」


滝のように汗を流すシンシアの脚は震えていた


「もうちょい強めの封印が必要みたいね」


右手をかざし魔方陣を作ると手早く術式ー変更してかけてある封印をより強固なものに上書きした


「これでどうかな?」


「だいぶましだけど・・・・」

「いったい何があったの?」


驚愕するラルクと一緒に座るシンシア

2人を前にダンジョンでの出来事を1つずつ話し始めたのだった


ー・ー


「え・・・・・と」

「つまり・・・?」


「過密状態の魔物を一掃するために魔法で命を奪ったと言うのですか?」


戸惑うシンシアの言葉をラルクが引き継ぐ


「そうなのよ」

「あんまり多すぎるもんだからね」

「禁忌の魔法を作って生命力と魂を分解して魔力に変換してそれを物質化して・・・・」

「それを利用して魔道式サイボーグになったってわけw」


「笑い事じゃ無いでしょ?!」

「いろいろ理解の範疇超えすぎて何を言って良いのか分からないわ」


ざっくりと説明した内容に頭を抱えて項垂れるシンシアを気遣うラルクにも困惑の表情が抜けきらない


「それでね」

「雑魚は一掃出来たんだけど上位種への固有進化や異種変異した個体が多くてね・・・・」

「一応最下層の13層まで踏破したのよ」


「まさか完全制覇したの???」


目を丸くして驚くシンシア


「いやいや」

「ラスボスは危険だけど外に這い出して来なさそうなくらい衰弱してたから放置して戻ってきたわ」


「え???」

「討伐しなかったんですか?」


踏破しなかった事にラルクは困惑した


「だって新規ダンジョンだよ?」

「ザグルにとっては重要な財源になるんだから完全制覇は他の冒険者に譲るわ」


「そう言うものなの?」


「そう言うものよ」

「それよりここの3層目以降はかなりヤバかったわ」


「どう言うこと?」


「ゴブリンロードは元々第2階層にいたみたいね」

「リスポーンに加えて繁殖したことによって階層氾濫(フロアバーン)を起こしたみたい」

「第3階層と第1階層に進出したみたいなんだけど・・・」


「そこでその階層の魔物とやりあってたの?」


シンシアの問いに言葉を続けた


「そう言うこと」

「その先の階層でも階層氾濫(フロアバーン)が起きてたみたいで妖魔王(ゴブリンキング)がロード達を率いて凄いことになってたわ」

「両方の軍勢が死者の魔石を喰い漁ってたみたいで異形進化してたし・・・」


「そんなのよく生きて・・・」

「・・・・・」

「それで一気に討伐するためにその姿になったと」


眉根を寄せるシンシアに深刻にならないよう気を付けながら答える


「まあね」

「第4階層は単眼鬼(サイクロプス)を初めとする巨人のエリアだったわ」

「第3層は何のエリアだったのか分からずじまい第4層からも侵略受けてたみたいだし」

「外で対峙したロードはそいつ等の骨とサイクロプスが第5階層から溢れた魔獣から剥ぎ取った毛皮を纏ってたみたいね」


「それも異常な話ね・・・」

「深層化した上で深層から階層氾濫起きてるなんてレア中のレア案件じゃない」


シンシアが言うように本来迷宮氾濫(スタンピード)は表層の雑魚モンスターの数が増えすぎて起こるものであって中層より深いところから連続して階層氾濫(フロアバーン)を起こすのは稀である


深い階層はそれだけ強いレア度の高い魔物が発生しやすいため深層の魔物が氾濫する程増えるのは余程の事なのだ


「とりあえずダンジョンボスだけは放置したから他の階層も順次リスポーンしてると思う」

「定期的に討伐しないといつかまた氾濫起こすかも知れないけど・・・・」

「放置しても10年は氾濫しないんじゃないかな?」


「なんか凄い話しすぎてついていけないわ」


再び頭を抱えるシンシアに最早苦笑するしか無くなってしまったラルクが寄り添っていた


「魔物の魂その物を刈り取っちゃったからダンジョンの力その物が弱体化してると思う」


「じゃあ当面は安全って事ね」

「この洞窟も大変だったから援軍呼んじゃったわよw」


少し明るく返すシンシアに気を遣わせてしまったと反省した


「あらま」

「とりあえず目印付けてギルドに報告しとこうか」


「そうね・・・」

「真実は伏せておいて新しいダンジョンの発見と異形のゴブリンの発生だけ報告しましょう」


シンシアは内容が内容だけに全てを正直に報告するのは危険だと判断したようだ


「じゃあマップも2階層まで報告しとくわね」


「この短時間でマッピングまで独りでやってたの?」


「やりすぎた?」


「まぁアリエルだもんね」

「所でそのランタンは何?」

「工芸品として高価そうだけど」


シンシアは少し落ち着いたのか私が取り出したランタンに興味を持ったらしい


「ダンジョン1階層のトレジャーよ」

「魔道機具で〈警戒のランタン〉敵意有る存在が近付くと炎の色が変わるらしいわ」


「へぇ・・・」

「便利ね」

「今青くなったわよね?」


「青色は生命感知ね」

「敵意がなければ青、赤に変わると要注意」


「便利ね」

「量産したらヒット間違い無しねw」


「お待たせしました!!」


そこへ息を切らせたクロエが飛び込んできた

この娘が息を切らせるなんてどれだけ飛ばして来たのだろうか?


「今日の夕方には援軍が到着します!」

「アリエルさん無事・・・・・・だったんですね?」

「何か印象が・・・」

「全身の毛が逆立つような違和感有りますけど何があったのですか?」


「やっぱり獣人は感覚が鋭敏ね」


二の腕を擦るクロエにできるだけ優しく応える


「にゃにゃっ!!」

「知らない気配なのにアリエル???」

「兎に角無事にお帰りなのにゃ♪」


戸惑ったクロエと無邪気に抱きついてきたシュネー


個人的な対応の違いから見てもクロエが特に鋭敏な感性を持っているだけなのかもしれない


「ただいま」

「心配かけさせてごめんね・・・」


今回の迷宮氾濫(スタンピード)を利用してダンジョンの魔物を喰らい尽くす事により新たな身体を手に入れる事が出来た


だがそれは同時にSFものによくみられる

「本当に今の自分がそれまでの自分自身と言えるのか?」

と言うジレンマに苛まれることになる


「所でアリエル?」


「改まって何よ」


「ダンジョンアタック前に比べて偽装も自然だし見た目も違和感無い」

「プロポーションは寧ろ胸が大きくなった感じ?」

「でも背筋に悪寒が走ったのよね・・・」


「あぁそれはね」

「今の私に魂はあっても生命の息吹は無いからじゃない?」


「それってさっき話してた魔道サイボーグってやつ?」


シンシアとのやり取りに目を丸くするクロエとシュネー


「そう」

「見た目は人間を模してはいるけれど・・・」

「今は水も空気も毒すらも呼吸して魔力に変換出来る肺を持ってるの」

「食べた物も全て分解して魔力に変換出来るようになったわ」


「何でも?」


「そう何でも」


保管魔法からゴブリンの錆びた剣を取り出して食べて見せた


「剣を食べれるの???」


これには流石に4人とも腰が引けていた


「味覚は人間の準じてるから剣や石を食べても美味しくは無いわね」

「でも食べる事で物質の組成や構造を理解して取り込むことが出来る」

「極端な話し人の脳を食べればそのシナプス構造から記憶まで吸収出来るのよ」


「なんか凄く怖いチートだわ・・・」

「今食べて理解って言った???」

「何かで試したの?」


聞き返してきたシンシアに出来るだけ衝撃の無いようフラットなイメージで回答する


「勿論」

「自分の魔族ボディは髪の毛一本残さず食べたわよ」


「よく食べたわね・・・」


青ざめた顔で呟くシンシアの横でラルクやクロエも青ざめた顔をしている

シュネーに至っては耳を塞いで丸まって震えていた


「ゴーストなんかが脱け殻に憑依したら大惨事になっちゃうじゃない?」

「この身体の機能確認も兼ねて食べたわよ」

「魔族化した自分の身体なんて美味しいものでも気持ちの良いものでも無かったけどね」


指を滑らかに動かして軽いステップを踏んで見せる


「付与魔法で誤魔化してるけど本当の体重は教えられないわねw」


今まで通りおどけて見せると4人の表情は少し和らぎ落ち着きを取り戻してきた


「そんなに重いの?」

「そんな風には見えないけど・・・」

「まぁアリエルだもんねw」


「ほっとけw」

「いくら重くても1tは無いやい!!」


「1・・・・・」


絶句するシンシアに慌てて言い返す


「だからそんなに無いってw」


「でも100kgは超えてるって事かな?」


「う゛・・・」


「有るんだw」


ニヤニヤと笑うシンシアに何時もの調子が戻りつつあるのを感じて少しほっとした


「だって全身オリハルコンの骨格だよ?」

「肌だってオリハルコン中心の魔道金属(サイコマター)だし!!」

「重いに決まってるじゃん・・・」


「今何て???」


「素肌の触感を再現してるけど肌まで金属製です!!」


「じゃなくて・・・・・」

「オリハルコン???」


「それが何か?」


「何がってアリエル!!」

「オリハルコンって言えば伝説級の装備の材料よ?」

「一説では神鉄ですら両断する最強素材の一つなんだから!!」

「それってもう女神に見付かって当然なレベルじゃない?!」


「だからかなり強めの封印と偽装かけてるわよ」


頬を脹らませて拗ねて見せるが・・・

外見はどうあれ中身がアラフィフのオッサンがやるのはちょっと寒いかw


「でも見た目は人間としか思えない・・・」

「触った感じも全く違和感無いわ」


素肌の見える範囲に手を突っ込み確かめるシンシア


「でも匂いが人間とは全く違うにゃ」

「汗とか血の匂いが全然無いからアリエルじゃなかったら不気味で近寄りたく無いにゃ」


「匂いか・・・」

「それは全く気にしてなかった」

「どんな匂いがする?」


「どんなって・・・?」

「匂いが無いのにゃ」

「だから目に見えてるだけでゴーストみたいにゃ」


「それと何だか異質な雰囲気がします」

「なんとも言えない違和感なんですが・・・」


「そこに居るのに居ないみたいな感じにゃ」


そうか


獣人属には視覚だけでなく匂いや聴覚種族によっては髭による感覚で相手を捉えるからその情報がすっぽ抜けると違和感を感じるのか


「匂いはその内何とかするわ」

「でも気配の違和感は多分消せないから悪いけど慣れてねw」


課題としてとりあえず体臭を研究するとしようか

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