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ザグル一武道会

「クソッ!」


ルインは拳を地面に打ち付け悔しがっているが既に彼女の戦闘力はこの村で抜きん出ている


私だからこそ軽くあしらってはいるが移民団の護衛に来た冒険者達でさえも舌を巻く

1対1で彼女に挑むような無謀な奴はいない


「アリエルさん私も一手願います」


「今日はアルフリードまで?」

「仕方無いなぁ」


アルフリードはアルスを支える参謀的な好青年である

歳も18歳とアルスより歳上で生き残り組には珍しく読み書きが出来る

その為かよく本を読む姿を目撃する


私が遊び半分で作った斧槍(ハルバード)を気に入り使いこなす技量はD級にも引けをとらない

180cmの長身から繰り出される一撃は鋭い上に範囲が広くゴブリン程度なら一瞬でカタが付く


ビュンビュンッ


斧槍を携えてるなんて・・・

初めからヤル気だったな?


「行きます」


鋭い突きを躱すと即座に軌道が変わり斧で斬りかかってくる

横薙ぎの斬撃を開脚して下に躱すと見透かしたように踏み込み身体に巻き付けるようにして斧槍を振り回し真上から叩き付けてきた


「これはルインの二の舞よ」


右手でいなし掌底を叩き込もうと踏み込んだ瞬間アルフリードが半身になる

そのまま回転しふりおろされた斧槍は地面に付く事無く背後から襲いかかって来た


「やーるねぇ♪」


バク転で遣り過ごすと途切れる事無く次々と刺突と斬撃が襲いかかる

それらを躱しながら感慨に耽っていた


ザグル村の人達は基本的に農民である

狩りも行っていたのでそれなりに鍛えられており素養はあった


しかしそれと戦闘技術の習得は別の話しである


先頭に立ち復興を行い生活の為に農業も欠かさない

その上で寝る間も惜しんで鍛練した4人の技量は駆け出しの冒険者を上回り既に中堅クラスの実力を身に付けたのだった


「ここらが限界かな?」


大振りからの横薙ぎ、3段突き、切り上げからの石突きと絶え間なく振り回しながら涼しげな顔をしている


「流石アルフリードね・・・」

「知的な参謀顔しているくせに4人で随一のパワーファイターだものね」


吹き荒れる斧槍の旋風を躱しながらタイミングを計っていた


「1・2・3・4ここ!!」


横薙ぎを躱しながら踏み込むと下段から石突きが飛んでくる


「こう来ちゃうよねw」


半身になりながら石突きを躱すと斧槍の柄に手を添え加速させる

不意の出来事に斧槍はアルフリードの手を離れ加速しながら私の身体の周りを回転し始めた


フヒュヒュヒュヒュンッ!!


左右に8の字を描き背後に横一文字で止めて構えて見せる


「アルフリード」

「貴方器用だけれど武器のホールドが甘いわよ♪」


クルリと回してアルフリードへ斧槍を投げ渡す


「こんな芸当出来るのは貴女だけですよw」

「ありがとうございました」


アルフリードは爽やかに一礼すると踵を返して行ってしまった


「文武両道も彼処まで行くと凄すぎだわ」


「流石師匠っすね」


「カインまで何?」

「今日は力試しの大売り出しなのかしら?」


「俺っちはいいっす」

「2人の手合い見ただけで自分の分は弁えられますんで」


カインは軽い物腰と親しみやすいキャラの好青年で歳はアルスと同じ16歳

長短剣(ロングダガー)の二刀流と言う珍しい戦士だ

小剣(ショートソード)より少し小降りな長短剣を好み変化に富んだ絶え間無い猛攻を得意とする

状況によって背負った長剣も使いこなす技量は努力家のアルスをも凌ぎ既にC級冒険者と同等の戦闘力を持つ


「相変わらず良い眼をしてるわね」


「お褒めに預かり恐悦至極に存じますw」


飄々としておどけてみせるがその眼力は村随一で相手の技量や癖を短時間で見抜き攻撃に転ずる非凡な才能を持っている

彼を自警団に止められるか否かがザグルの今後を左右するだろう


「でもまぁ」

「朝の運動くらい付き合ってね♪」


瞬歩で間合いを詰めるとカイン目掛けて徒手空拳の連打を放つ


「うわっ!!」

「とっ!!」

「師匠!ちょっ!まっ!!」


流れるようなワンツーブローから膝蹴りを交え肘や掌低を繰り出していく

近接して視界を奪い極至近距離で繰り出される攻撃をカインはギリギリで防いでいく


ハ方目(はっぽうもく)・・・」

「だいぶ良くなってるじゃない♪」


「このっ!状況でぇっ!」

「褒められても!」

「嬉しく無いっす!!」


「あらそうなの?」


先程から1歩間合いを開く

そうする事で攻撃の密度は下がるが使える技が増えてより一層難易度が上がる


ヒュガガガゴッゴゴッ


定期的に膝蹴りと後ろ回し蹴りを交えながらカインを追い詰める


「うひぃぃーーー!!」

「なんの苛めっすかっ!!」


カインは私の膝蹴りに自らの膝を合わせる事で間合いを開いた


「そんなのお見通しよ」


私が牽制に放った回し蹴りは間合いが足りないのは傍目にも明らかだ

しかし私は軸足で地面を蹴ることにより足りない間合いを一気に詰める


「なんすかその技わぁぁーっ!!」


コスッ


思わず目の前で腕を交差させて受けようとしたカインに対して蹴り脚を曲げる事でかすらせる

蹴り脚が短くなり加速した私は着地した右足を軸に踏み込むとカインのガードを下から掬い上げるように掴んで投げた


「どぅぇえええええ!!」


しっかりと遠心力を利用した投げはカインを後ろへと投げ飛ばすが彼は器用に体勢を入れ替え見事に着地してみせた


「カインはまるで猫だねw」


「いやっ」

「ちょっ・・・」

「流石に目が・・・」


傍目にもふらつく頭を押さえ歩み寄るカイン


「なんか新技増えて無いっすか?」


「別の技を使えるくらい貴方が強くなったって事よ」

「こんな技は対人戦くらいしか使えないんだから習得する必要なんか無いわよ♪」


「あはは」

「習得も何も自分が何されたか理解できて無いっす」


「今のを初見で理解できたらドン引きよw」


「ちょっとすいません」


「あら?」

「貴方は確か護衛に同伴してきた冒険者の・・・」


「ディックです」

「僭越ながら私もお手合わせ願えませんか?」


「ふぇ?」


「あっいやっ」

「皆さんの手合わせを見て力が及ばないことは重々承知しています」

「ですが・・・その・・・」

「この手合わせを見て疼かない武人はいましょうか?」


「あー」

「最近この子達見境無く襲ってくるもんなぁ」

「見てたらやりたくもなるか」


「ダメですか?」


「んーーーーー」

「午後の鍛練の時間に村長宅裏の練武場でやりましょう」

「私も武装しますし希望者がいれば個々に手合わせしましょう」

「皆で模擬戦するのは結束力強化にもなるし対人戦は盗賊対策にもなる」


「ありがとうございます!!」


「と言うことだからカイン君」

「段取りお願いね♪」


「俺っすかぁーーー?」


「任せたよー」


ー・ー


「始まりました交流武道会」

「ここに開会を宣言します!」


「をいっ」


「参加者は事前申請されたD級冒険者ディック氏を筆頭にランク持ち冒険者6名」


「をいっ!!」


「対するはお馴染み自警団四天王とその師匠魔神アリエル!!」


「誰が魔神かぁーーーー!!」

「って言うか何これ?」

「段取りはお願いしたけどそれって鍛練場押さえてって意味よ?!」

「なんでこんなに観客集まってんのよ!!」

「ちょっとそこっ!!」

「なんで屋台まであんの???」


「俺は段取り頼まれたんでw」

「こう言う娯楽もたまには良いでしょ?」


「ったく」

「お祭りにしちゃってさ・・・」


「今回の対戦は主に打倒極悪魔神アリエルとなっておりますがぁー」

「本人達の希望により出場者同士のマッチも有ります!!」


「極悪?!」

「って言うか私以外の手合わせ見れるんだー」

「それは楽しみだね♪」


「とりあえずアリエル師匠以外の試合から進めますねー」

「第一試合!!」

「ザグル自警団随一の力持ち!!」

「アルフリードォォオ!!」

「対するは!!」

「ザグル駐留冒険者隊の紅一点!!」

「アメリア嬢!!!」


「ウォオオオオオ!!」


見張り以外の村人の殆どが集まるこの練武場に歓声と雄叫びが鳴り響く


コォーーーーン!!


開始の銅鑼代わりに鳴らされた楯の音を合図に両者が構えジリジリと間合いを詰める


金髪碧眼に革と鉄を重ね合わせた部分鎧を纏うアルフリード

対するアメリアは歴戦を思わせる革鎧に板金の胸当てを着けている


流石に武器の使用は禁止しているのでアルフリードは斧槍の長さに合わせた長い棒を携えアメリアはロングソード位の長さの木剣を2本構えている


「ハイヤッ!!」


アメリアが先に仕掛け回転を交えて左の斬撃を放ってきた


「フンッ」


アルフリードは意図も容易く石突き側で剣を弾きその動作を利用して下から斬り上げる

しかしアメリアは弾かれた剣をそのまま流し右前方、アルフリードの左後方向へ踏み込むと遠心力の乗った一撃をその背に叩き込もうとする


カコンッ!!


切り上げから体勢を変えてアメリアの一撃を柄で受け止めるアルフリード

そのまま棒を風車のように回しアメリアを牽制した


「獲物に似合わず器用じゃない♪」


間合いを取ったアメリアに今度はアルフリードから仕掛ける


風車を左右8の字に回しながら間合いを計り目一杯遠心力の乗った棒の端を左手で持ち長大な攻撃範囲で横薙ぎにした


「なっがっ!!」


あまりの間合いの広さに戸惑うアメリア

しかしアルフリードの猛攻はここからだった


長大な間合いから遠心力の乗った渾身の一撃


しかしてその実態は一撃目を巻き込むように間合いを詰め上段から打ち下ろすような回し蹴りを放ち勢いを殺さず左裏拳へと繋ぐ

続いて棒を振り上げ上がりきる前に棒を回転させ石突きでの左打ち

流れるように8の字を描き右からの斬撃に下から石突きの突き上げへと続く


最後は・・・


フィニッシュブローに入る前に石突きを胸に受けアメリアが後退した


「ごめん」

「これ以上はムリ」


左手で胸を押さえ片膝を付くアメリアを駆け寄ったアルフリードは雑作もなく抱え上げ治療ブースへと連れていった


ー・ー


「勝者アルフリード!!」

「第二試合!!」

「ザグルの暴走娘ルイン!!」


「誰が暴走娘よっっ!!」


「対するは!!」

「冒険者隊随一の技巧派剣士!!」

「ヴィッシュ!!」


先程の試合は派手な立ち回りに攻守入れ替え等素人目にも分かりやすかった

しかし今回はどうなるのだろうか?


160cmと女性にしては大きめなルイン

革鎧に身を包みその両手には幅広斧(ブロードアックス)を模した木の武器が握られている

切り揃えた燃えるような赤い髪の彼女は何かと目を惹く


対するヴィッシュは180cmの高身長に切り揃えられた黒い髪

蓄えられた口髭が印象的なナイスミドルなイケオジである

鎧は着ずに仕立ての良いシャツの上から黒いベストを着ている

高級そうな前ボタンが3つ昼の陽射しに輝いている


「フッ」


ロングソードを模した木剣を両手で構え一気に間合いを詰めながら上段からの右袈裟斬りを放つ


鋭い!


一撃で終わるかと思われたその斬撃を右の斧で上へ反らしながら左の斧で脇腹を狙うルイン


拳で殴るように繰り出された一撃を更に踏み込んで腹で柄を受けるヴィッシュ


「何をっ!!」


瞬時に密着した状態から左手でルインの右肘を掴み小内苅りの要領で投げ落とした

受け身を取れなかったルインの上に右膝を乗せ右手の木剣を喉も元に押し当てた


「勝者ヴィッシュ!!」


カインが勝鬨を上げる


ポカンとした顔で空を見上げていたルインを優しく立たせて一礼するヴィッシュ


「転生者には見えなかったけど・・・・」

「今のは間違いなく合気道か柔術じゃない?」


思わず言葉が溢れる


「アリエルそれどう言うこと?」


「それは・・・」


「続く第三試合!!」

「メインイベント第一幕!!」

「我等がエース!!アルス対大魔人アリエル師匠ーー!!」


「だぁれが大魔人ぢゃぁあーーーー!!」

「ってもう私の出番?」


「今から連戦して貰いますw」


カインの笑みに不穏な空気を感じつつ木剣を手にする

対するアルスも木剣と楯を携えている


お祭りイベントのわりに真剣そうなアルスの表情から此方も敬意を表することにした


木剣を咥え髪を束ねる

いつもは長い髪を括ってすらいないので少しは気合いが入っていると伝わっただろうか?


咥えた木剣を放し右手で掴むと同時に走り出す


いつもと違い逆手に持った木剣はアルス側からだと刀身がが見えない

直前で軽く跳躍して左の胴回し回転蹴りを放つ


ゴォオオンッ!!


蹴りを防いだアルスの楯が轟音を鳴らし受けたアルスの身体が僅かに沈み込む


「ウッッ!!」


受け流せない角度から打ち込まれた蹴りに反撃出来ないアルス


「まぁだだよっ!!」


楯に踵を引っ掛け引き寄せながら身体を起こし後頭部へと斬撃を放つ


「うわぁあああっ!!」


慌てて振り払い間合いを開けて下がるアルスに再び左の胴回し回転蹴りを放つと今度も同じ様に受けさせられるアルス


「このっ!!」


今度は踏ん張り押し返そうとするが今度は身体を仰け反らせて楯の下から脛を斬り払う


スコォーーーンッ!!


シールドバッシュで踏み込んだ左脚を超低空で斬り払われ背中から倒れるアルス


その胸目掛けて両足でスタンピングをかけたがすんでのところで逃げられてしまった


「はぁっ!!」

「はぁっ!!」

「まだっなにもっ!!」

「出来てないっっ!!」


立ち上がり呼吸を整えながら構えるアルス

いつもと違い右手の剣を前にかざし楯で胸を守っている


ヒュヒュンッ!!


フェンシングのように木剣を振り回しながら斬りかかってくるアルス

フェイントからの横薙ぎや突きの連打は大したものだがその剣でやる技ではない


何よりジャブの様な小手先の技で威力は期待できない


ならば警戒すべきは楯かな?


わざと右へステップして躱すと楯を誘発する

すると思った通り楯が伸びてきて・・・


私は更にバックステップで間合いをとると目の前を右回し蹴りが吹き抜けた


そこに追い討ちをかけ右手でカインの蹴り脚を掴み左手で左肩に手を添えると一気に振り回す


側転の様に投げられたアルスは派手に転げて壁にぶち当たった


「流石に勝負アリねw」


不敵に笑う私にアルスは苦笑いで返したのだった


ー・ー


「予想はしてましたが圧倒的ですね」

「もう少しやれると思ったんだが面目無い」


呆然と見つめるカインにアルスは申し訳なさそうに返した


「さてと・・・」

「本日のメインイベント」

「熟練の冒険者パーティー対師匠!!」


割れんばかりの歓声が練武場に満ち溢れ嫌が応にも盛り上がっていた


「本当は1対1が良かったのですが・・・」


完全武装したディックが申し訳なさそうに頭を下げた


「シンシアっ!!」

「楯と剣を!!」


「りょーかいっ!!」


投げ渡された方楯に腕を通し剣帯を腰に吊るす

ベテランパーティー相手に真剣寸止めの仕合


幸いと言うのかアメリア嬢はアルフリード戦のダメージから不参戦

1人欠員の5人パーティーである


「上手く加減できなかったらごめんね♪」


「それは武人の誉れとなるでしょう」


短く答えたディックの言葉にパーティーは編隊を組む


大楯を構えるディックを中心に右翼をヴィッシュが担い左翼を弓を持つレンジャー風の優男ビーンが務める


本来アメリアが務めるはずの左翼だが急編成でもそつがない


後列はどうやら魔法職のようだが腰には剣や戦鎚を下げている


コォォオーーン

「〈盲目の霧(ブラインドミスト)〉!!」


開始の合図と共に視界阻害魔法を放ってきた

やはり後衛は魔法職!


「狙いが甘い!!」


私は素早く右前に踏み込むと楯を胸まで引き上げた


パシュッ!!

カィーーーン


至近距離で放たれた矢は矢尻を外し布が巻き付けられているとは言え当たればただでは済まない


私は体勢を低くして楯で弾きレンジャーのビーンに肉薄する


「ウォォォオ!!」


弾かれると悟った瞬間ビーンは後ろへと跳び入れ替わるようにディックが楯を構えて突撃してきた


「良い連携だわっ!!」


私は平蜘蛛の様な姿勢からディックの楯を下から突き上げ左脚に斬りかかる


ヒュッキシィッ!!


素早く飛び退いたディックの脛当を剣が捉え銀色の傷が入る


飛び上がるように間合いを詰めるとディックの楯を3回斬り付け蹴りを放ちビーンの方へと追いやる

ビーンはディックに間合いを潰され更に下がり弓を構えていた


「神のご加護を!!〈神聖なる剛力(ホーリーストレングス)〉」


支援魔法にディックが淡い光を放ち始める


ヒュヒュンッ!!


左の気配に振り向きもせず楯で対応してからヴィッシュに向き直る


「貴女は後ろにも眼があるのですか?」


「まぁね」


楯を胸の位置で構えると矢継ぎ早に剣撃を振るう


右袈裟左袈裟右脇腹左からの逆袈裟・・・

その全てを剣で反らしてくる技量は中々のものだ


「ヤッ!!」


ヴィッシュは左へ回り込みながらの袈裟斬りを放つ

私はそれを左へのステップで対応する


フシュンッ!!


すると背後から放たれた矢が眼前を霞め地面に跳ねる

続けて至近距離で熱が生まれた


ボボボンッ!!


ゴブリン程度なら一瞬で焼き殺してしまいそうな〈炎の矢(フレアアロー)〉を楯で受け止めヴィッシュに襲いかかる


「まさかっ!!」


シュリィィンッ!!


振り下ろす剣を空中で翻すと防御に構えられたヴィッシュの剣が宙を舞う


流れるように楯で押し出しヴィッシュを押し込むと倒れてきたヴィッシュを慌てて支える魔法使い


再び平蜘蛛の様に身体を沈めると頭上を跳び去る矢は虚しく空を斬った


一気に間合いを詰めヴィッシュを支える魔法使いの右手に楯撃(シールドアタック)を見舞い杖を弾き飛ばす


「痛っ!!」


身体を回転させながらビーンへと間合いを詰めると再びディックから横槍が入る


「せいやっ!!」


最早手加減や寸止め等忘れたかのような斬撃が私を襲うが楯でいなし体当たりでディックを後ろへと下がらせる


「これで!!」


ヒュヒュンッ

ザシュッ!!


ビーンから同時に放たれた2本の矢を下からの斬撃で斬り飛ばしお返しとばかりに楯を投げつけた


クワァーーーン


「あっがっ!!」


これで多分ビーンは戦意を喪失しただろう

ディックに向かい剣を正眼に構えた


「不思議ですね・・・」

「私の知るどの流派や派閥とも違う太刀筋と体捌き」

「けれど洗練された騎士の振るう剣のようにも感じる時がある」


「時間稼ぎかしら?」


「バレてますかw」

「でも本心からの感想ですよっ!!」


ディックは踏み込みながら頭上で剣を翻すと左から横薙ぎに切り払ってきた


これは反らし難い軌道なので後ろへと下がる


「ハッッ!!」


ソコへ楯を構えての突撃が追ってくる


ガコンッ!!


ディックの楯に回し蹴りを放ち突進を止めるとそれを狙っていた用で楯を上に跳ね上げながら横薙ぎの斬撃を放ってきた


「上手い上手い♪」


私は回転しながら下へやり過ごすと着地と同時に身体を回しディックの軸足を払った


「うわっとっ!!」


後ろへと仰け反りながらも何とか転倒を免れたディックの鼻先に剣を突き付ける


「勝負有りかな?」


会場に歓声が沸き上がり互いの健闘を讃え有ったのだった

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