ザグルの夜
「なんと言うか・・・」
「せめてソレは隠したら?」
人の股間を煙管で指しながらワインを煽るヴァレンシア
「しっかしアンタがケモナーとはね」
「いや」
「最近猫エネルギーが切れていたので暴走しちゃっただけです」
「面目無い」
空中にふてぶてしく座ってはいるが心情的にはキチンとクロエ嬢に謝っていた
封印を元に戻し衣服も収納魔法から取り出して身に付けると普通に椅子に腰かけた
「もう空には座らないのにゃ?」
「この姿のままでは空中に座れないのよ」
「そうなんだ」
「ちょっとつまらないのにゃ」
んん?
つまらないと言いながらシュネー嬢は背もたれ越しに自らの背中を擦り付けている
ワインを注いだカップを差し出すクロエ嬢も心成しかはにかむ表情で尻尾が緩やかに揺れていた
「ありがとね♪」
カップを受け取り口を付けるとフレッシュな葡萄の風味が鼻腔を擽る
ボフゥーーー
大量の煙を吐き出すヴァレンシア
「まさか貴女私の娘達に〈魅了〉や〈誘惑〉なんか使ってないわよねぇ?」
「その二つはちゃんと封印してますよ」
「今さらっと凄いスキル口にしなかったか?」
「命が惜しければ気にするな」
壁際の男2人が囁きあっているがこの不機嫌な女王の前では仕方がないのだろう
仕方無いなぁ・・・
シュネーに囁き白ワインを用意して貰い保管魔法から拳大の珪石を2つ取り出しながら竈に歩み寄る
木のトレーを撫でると細やかな彫刻が浮かび上がりトレーを彩る
竈に火が点り小さな鍋を火にかけると保管魔法から初日の炊き出しからくすねた鹿のタンシチューを取り出し中に空けた
「何をしているんだ・・・?」
壁際の男子は放っておいてクロエ嬢を手招きして赤ワインを持ってきて貰うと鍋に注ぎフランベする
ワインが燃える炎が部屋を照らしハーブと塩を回し入れたタンシチューは胃の腑を擽る薫りを立て始めた
「何の薫りにゃ???」
そこに白ワインを持ち帰ったシュネーが驚きの声を上げる
トレーに乗せた4つの器にシチューを分けて入れると銀のスプーンを添えて上から砕いたパセリをさっと振り掛けた
トレーの上で湯気を立てるシチューをクロエ嬢に任せ残りを壁際で縮こまっている2人にも振る舞うようにお願いする
ゆっくりと腰を左右に揺らしながらシンシアへと近付きつつシュネー嬢を招き寄せ左手で掴んでいた珪石の一つを右手に持ちかえる
シンシアの目前にたどり着く頃には石は見る間に姿を変えて4つのシャンパングラスに変貌していた
右手に持つ2つのグラスをシュネー嬢に差し出し変わりに白ワインの入った皮袋を受け取り口で栓を開ける
「何よ・・・」
尚も不機嫌そうに煙草を吹かすシンシアの前でグラスを持つと高らかに掲げた皮袋から白ワインをグラスに注いだ
白いワインは空中で淡く弾けグラスの中で小さな気泡を生んだ
コレにはさしものシンシアも身を乗り出して見入ってしまう
シンシアの膝に軽く腰かけグラスを差し出しながら彼女に囁いた
「これでもまだご機嫌直して下さらないの?」
その私の肩越しに湯気を立てるトレーを持ったクロエ嬢と白ワインの皮袋を持ったシュネー嬢が潤んだ瞳で見詰めている
「降参よw降参!!」
相好を崩して抱き付いてきたシンシアはいつもの屈託の無い彼女そのものだった
ー・ー
「ウグッッ!!」
背後の壁際で上がる呻き声
目の前では蕩けた顔で最後の一口を口に運ぶクロエ嬢
その隣では名残惜しそうに器を舐めるシュネー嬢がいた
そして私の隣には満面の笑みを浮かべながらグラスを傾けるシンシアの姿が
いかに強固なナヴァロンの要塞も旨い物には抗う術を持たなかったらしい
「それで・・・」
「今のは?」
「あー」
「んー」
「それわねー」
「企業秘密?」
「アイタッ!!」
とぼけた瞬間ピンポイントで乳首を捻られた
「4つのグラスは珪石から再構成をかけた水晶で作ったグラス」
「木のトレーの彫刻もシンシアってこう言うの好きかなって思って頑張りました」
「シチューは前にくすねてたヤツに赤ワインで仕上げを施した物よ」
「コレは噂に聞くシャンパンってヤツかしら?」
グラスを傾け飲み干すシンシア
「正確には違う」
「シャンパンって言うのはシャンパーニュ地方の認められたシャトーで作られた特別なスパークリングワインの事だからね」
「いくら味を再現してもコレはシャンパーニュのシャトーで作られてないからシャンパンじゃないわ」
「でも味は再現したんだよね?」
「そうよ」
「初めて口にする貴女に紛い物は飲ませられないわ」
空いたグラスを受け取り自分のと同時に新たに注ぐ
今度はさっきの再現シャンパンよりも濃い黄金色をたたえ細やかな気泡が立ち上っている
「シャンパングラスはね・・・」
「内側に1つだけ傷を付けておくの」
「何故そんなことを?」
「それはね」
「その傷から常に一筋の気泡が生まれるからよ」
グラスを差し出しながら応えるとシンシアはグラスをランプの明かりに透かしその気泡が立ち上る様を見詰めていた
「そんな細かい気配りがされてるんだ・・・」
「今度のは口に合うかしら?」
同時に差し出されたクロエとシュネーのグラスにも同じものを注ぐ
「また違う味わいで美味しいわね」
「コレはもしかして?」
「名前ぐらい聞いたことあるよねw」
「ドン・ペリニヨンの再現版」
「これが噂の・・・」
飲み干すと今度はピンドンを注いで見せた
「綺麗なピンク色ね・・・」
「ところで・・・・」
「アッチの壁の花はいつまでああしてるの?」
「いつもの事だから気にしてない」
「あらま」
「なんかちょっと可哀想」
「そうかにゃ?」
「ガルフもグレンも好きでやってるんだからほっとくのにゃ」
「混ざりたけりゃ勝手に来るのにゃ」
「ふーん」
「そっかぁ」
保管魔法から鹿の前肢を取り出すと加熱魔法で焼きながら風魔法で部屋中に匂いを充満させていく
ジュウジュウと魅惑的な音を立てる脚に後塩を振り赤ワインを振り掛けフランベする
部屋を炎が照らし出し殺人的な薫りが部屋を支配するとシンシア達3人も眼が釘付けで離れなくなっていた
眼の端で捉えていたがグレンと呼ばれた屈強な獣人も口を開き此方を見詰めていた
サイコキネシスを解き素手で骨を掴むとパリパリの表面にかぶり付く
「おいっしっっ!!」
「皆も食べなよ♪」
大きな鹿の前肢を回し食べする姿は何処か猟奇的ではあるがこの旨さに抗う術もなく4人で貪り合う
ドカッ!!
隣に生まれた気配と雄々しい息遣い
それに何より自己主張の収まらない腹の虫が空腹に耐えかねたグレンが来た事を告げていた
「おっ・・・・」
「俺も良いか?」
涎が滲み辛そうな彼を見るのは楽しかったがこれ以上の意地悪は流石に可哀想なので快く肉を差し出す
「その前に彼も連れてきた方が良くないかな?」
軽く頭を振って合図を送るとグレンは満面の笑みを浮かべて応えた
「確かにそうだ」
再び立ち上がるとガルフの前で何事か囁き合っていた
やがて牙を向いたグレンが抵抗するガルフを担いで戻って来た
「これで心置き無く食えるなw」
だが戻ってきた彼の前には僅な肉が残る前肢しかなくその顔には遅かったと後悔が滲んでいた
「心配しなくて良いわよ」
「その肉はガルフにあげちゃいなさい」
「貴方には・・・」
保管魔法から取り出した肉厚の後肢を焼き上げて彼に手渡した
「恩に着る!!」
満面の笑顔で頬張る彼は鹿の骨まで平らげたのだった
ー・ー
「なんかありがとうね」
ベッドで感謝を述べるシンシア
部屋を見渡すとそこかしこに酔い潰れ満腹で雑魚寝する獣人達がいた
「ガルフが生真面目だからこの数年あの子達にも男女の壁みたいなのができててね・・・」
「あんなに楽しそうに盛り上がる4人は久しぶりに見たわ」
獣人種は加齢が遅くああ見えて4人は同年代らしい
見た目ではガルフが年長者だが実際はガルフが最年少なのだとか
二十代までは違和感なく付き合っていたが年齢を重ねガルフの地位が上がるに連れて3人もガルフを立てるようになり今に至る
ガルフは仕事任務一辺倒で浮いた噂もなく羽目を外して遊ぶこともない
やがてぎこちない雰囲気が漂うようになり3人も落ち着いた雰囲気を装うようになったのだが育ての親であるシンシアからすればもどかしい限りだったのだとか
「しっかし・・・」
「ラルクは何で帰ってこないのよ・・・」
この4人にとってもラルクは妹のようなもので特にシュネーとは仲が良かったそうだ
「変な気の使い方は直らないみたいね」
魔族化して雰囲気も髪の色も変わったラルクが〈堕ちたる勇者ミネア〉だと気付く者はそうはいないだろう
けれどこの4人には隠し通せないだろうし隠すべきじゃないと思う
「おはようですにゃ」
「おはようシュネー」
「ヴァル姉様・・・」
「まだ隠してる事ありますよね?」
「あら」
「寝てると思ってたのにさっきの話し聞いてたの?」
「話しなんか知らないのにゃ」
「でもこの部屋には姉様と違う懐かしい匂いがするのですにゃ」
「それに村を彷徨いてた女の子・・・」
「あの娘の付けているアンクレットは昔アタシがミネアにあげたものにゃ」
「特注の護符を付けてあるから見間違うわけ無いのにゃ」
クロエの大きな耳がピクンと動きモソモソと起き出してきた
「今ミネアの話ししてませんでしたか?」
初めの5年はシンシアとこの4人を合わせた5人で子育てしたらしい
そしてミネアがしっかり歩けるようになると6人でパーティーを組みやがて出入りしていたリグルが合流して7人パーティーとして活動していた
「あの時私達が離れなかったらあの娘は反逆なんてバカな真似しなかったでしょうに・・・」
ミネアの真実は未だに極秘である
だから本人のいない状態では彼女達にも説明していない
「ちょっと失礼」
虚空に手を差し伸べ〈加速〉と〈時間操作〉を唱えると誰にも気付かれること無く外へ出た
「〈生命感知〉・・・」
「彼処ね」
追加で加速を唱えると全速力で駆け抜けラルクを捕らえた
「もう少し正直になりなさいな」
木の上に座るラルクをそのままお姫様抱っこの状態で持ち上げると再び全速力で部屋へと戻った
そのまま何食わぬ顔で元居た場所でラルクを抱えたまま魔法を解いた
「なっ!!」
「何が起きたの?!」
逃げようとするラルクとの高速の攻防戦に勝利したのは勿論私だった
そしていきなり現れた彼女を眼を丸くして見つめる3人
騒がしい気配にガルフとグレンも飛び起きて身構えた
「えっ???」
「何が起きたの?」
私はパニックを起こすラルクを抱えたまま優しく頭を撫でた
ー・ー
「ごめん」
「頭が整理付かない」
シンシアは頭を抱えて唸った
「私も何が何だか・・・」
同じく頭を振ってはいるが涙が頬を伝いその右手にはしっかりとラルクが握られていた
「この匂い・・・」
「ちょっと変わってるけど間違いなくミネアにゃ」
抱き付いて頬擦りするシュネーも涙に濡れてその言葉は鼻声になっていた
「まさかとは思っていたが・・・」
「お帰りミネア・・・」
グレンはシュネーごと優しく抱き締めていた
獣人達のように抱き付きこそしないがガルフの瞳も思わぬ再会に潤んでいた
完全にパニックを起こしていたラルクも徐々に正気を取り戻し4人との再会に涙する
「アーリエルちゃん?」
「今何したの?」
シンシアのパニックは他の5人とは全く異質で寧ろラルクの状態に近かった
シンシアはこの大陸屈指の魔法使いである
そんな大魔法使いが何の魔法を使われたのか何が起きたのか全く感知できなかったのだ
恐怖で背筋が凍るとは正に今の彼女の状態だろう
「アタシの切り札であり基本戦術・・・」
「加速の魔法を使ったのよ」
「アレが例の禁呪?」
「あんな魔法が存在するだなんて考えただけでも気が狂いそうだわ」
ワインを煽る彼女の顔は青ざめその手は微かに震えている
流石にちょっと刺激が強すぎたようだ
「ごめんね」
「でもこうでもしなきゃラルクは逃げちゃったでしょ?」
微笑みながらラルクを見据える
ラルクには初めから誰が来たのか分かっていたのだから自分から挨拶すべきだったのだ
シンシアの不機嫌の理由の1つはラルクが帰らなかった事も一因だったのだ
何とか落ち着きを取り戻したシンシアが4人に今のラルクの状況を話して聞かせる
ラルクも自らの言葉で話せる事は話し互いの無事と健康を喜んだのだった
ー・ー
「アンデッドの心配も無くなったっぽいね」
ワイトの襲撃以降2日に一度くらいの頻度で少数のゴーストやゾンビが現れたが自警団だけで難なく撃退していた
それもここ数日は無くなり安全な夜が続いていた
第一商隊の到着により多くの人員と潤沢な物資を使う事でザグルの村は既に以前の姿を取り戻すどころか発展をし始めていた
「そろそろこの周辺を区画編成して工房区にしましょう」
森の中にシンシアが設置したグリーンウォールとの間に通路を開けて煉瓦の壁を築いていた
村の最奥に位置するこの場所を外と強固に隔てる事で陶芸等の技術漏洩を防ぐと共に再び魔物に襲われた時の避難所にするためだ
中央の位置した教会は既に撤去され今は村長の屋敷を兼ねた青年団の詰め所となっている
教会は広場の北側へと場所を移しその隣には似つかわしくないほど大きな商工ギルド支部と並んで冒険者ギルドが建てられた
この2つのギルドは未だ正式な支部が発足していないため未公認ではあり実質ヴァレンシア商会の支部になっている
「人も増えたわね」
「それも手に職持ったエリートばっかりw」
今はザグル村の生き残り100名程に加え30人のヴァレンシア商会移民職人団がこの村の新たな住人である
移民職人団のメンバーはヴァレンシア商会で交流のある職人達の中から独り立ち出来るようになった者達に声をかけた有志である
「ノッキングヒルへ向かうのに迂回させられたり目的地がここに変わった時はどうなるかと思ったが・・・」
「流石ヴァレンシア様だ」
「ここならノッキングヒル以上に栄えられると思うぜ」
「東側を開拓して麦を植えないとな」
元々開拓のために志願した職人団の士気は高く意欲的で良く働く
彼らのお陰で生き残りの人達も悲しみを忘れて忙しく働くことが出来る反面余所者の彼等に反発する人達も現れ新たな火種となっていた
ー・ー
「アリエルさん・・・」
「住民のトラブルなら出来るアドバイスなんか無いわよ」
悩むアルスにピシャリと言い放つ
冷たいようだがこればかりは介入すべきではない
「はぁぁ・・・」
「彼等が来てくれてもうすぐ1ヶ月たつわね」
「そうですね・・・」
「彼等は元々ノッキングヒルへ向かう予定だった」
「もう襲撃前の村より復興したわけだから彼等にはノッキングヒルへ向かってもらう?」
「それも・・・」
「・・・・・・」
「いえ」
「それでは彼等を良いように利用しただけになってしまいます」
「そうね」
「これからも多くの人が流入してくるでしょう」
「皆を説得してみます」
「そう」
「それとアルス」
「なんでしょう?」
「惨劇から2ヶ月たつ」
「復興も進んでる」
「はい」
「鎮魂祭をやりなさい」
「生者には前に進む義務があるわ」
「行事ですか・・・」
「3ヶ月もすれば復興した畑から麦の第一陣が収穫されるわよね?」
「はい」
「職人団の連れてきた家畜も根付いてきた」
「はいっ」
「貴方は誰に嫌われても恐れず前を向きなさい」
「貴方が進路を見誤るとこの船は沈むわよ?」
「はいっっ!!」
アルスは何か吹っ切れたような表情で屋敷へと戻って行った
ー・ー
「シンシア・・・」
「そうね」
「そろそろ潮時ね」
第一商隊の大半は既にここを離れていた
長期間山岳猛牛を養える飼い葉はここには無く長期間の逗留は土地の死を意味する
今はヴァルムートで物資を補充し新たに合流した移民団を連れてノッキングヒルを目指している筈だ
「思わず長く居すぎたわ」
「アルスも私に依存しがちだし・・・」
「それは別の意味もあると思う」
「んぅぇ?」
「はっw」
「ここまで眼中に無いとアルス少年も浮かばれないわ」
「あの子は他にもっと見なけりゃならない人がいるでしょ?」
「ぁあ忘れるところだったわ」
「例の決闘?」
「20戦20勝」
「それでも向かってくるんだからあの娘は見所あるわ」
「見所・・・・・ね」
「そらあの娘は貴女にだけは負けたくないでしょうね」
「アタシに突っ掛からず本人にアタックすれば良いのに」
「それが出来る程ルインは器用な娘じゃ無いわよ」
ルイン
自警団四天王に列する紅一点である
弓と戦鎚を得意としているパワーファイターだ
短く切り揃えられた赤い髪は炎のように逆立ち男勝りの性格はガサツともとれるが彼女には彼女なりの魅力がある
夜中に独りラルクの指南を受ける程の努力家でその高い戦技はセンスではなく努力の賜物だ
そんな彼女はここのところほぼ毎日朝夕に決闘を申し込んでくるようになっていた
「おまたせー」
「お?」
「今日は鎖鉄球じゃない」
「難しい武器だけど良く鍛練したわね♪」
モーニングスターは棍棒同士や分銅と柄を鎖で繋いだ多接棍棒の一種で遠心力を利用する攻撃は扱いにくいが強力無比である
鎖の長さや接合部の多さが難易度と威力に直結しており鎖が長い程扱いにくく凶悪な破壊力を持つ
勿論模擬戦での使用は禁止されている
ヒュゥン
ヒュゥン
ヒュゥッ
ヒュッヒュッ
ヒュヒュヒュッ
ヒュボッ!!
真っ直ぐつきだされた刺鉄球は必殺の威力を孕み空を切り裂く
私はソレを後ろ手に組んだまま軽々と躱して見せた
「セイッヤッ!!」
ルインは伸びきる鎖に素早く身体を巻き込むと鉄球は軌道を変え横凪に襲いかかって来る
腕はそのままに両足を開脚し前のめりに鉄球を遣り過ごす
ギャリィン!!
躱されるのを予見してかルインは鎖の途中を掴み全身で軌道を変え真上から叩き付けてきた
マトモに喰らえば只では済まない一撃に素早く起き上がりながら鉄球を右手の甲でいなし地面に叩き付けると変わりにルインの胸元に掌底を叩き込んだ
体勢を崩しながらも鎖を持って柄で殴りかかってくる
パシッ
「ここまで良く鍛えたわね」
「今の貴女ならC級冒険者くらいの戦力有るわよ」
勿論冒険者のランクは戦闘力だけでなく依頼の処理能力も必要とされる
だが補佐官としても勉強している彼女がその気になれば直ぐにC級試験を通るだろう
もっとも
今の彼女にそんな気は無いだろうが




