表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/146

ザグル復興の始まり

この規模の被害を受けると放棄・離散する方が多い

何せ全体の半数以上の犠牲は本来弔う暇もなく避難すべき非常事態だからだ


それでもここに止まり復興を目指そうとするのは一重に私達3人がいるからだろう


「おはようございますアリエルさん!!」


元気良く挨拶してくるアルス少年の頭を撫でてやる急拵えの炭も用意出来たので今日から鍛冶仕事をやる予定だ


昨夜のゴースト達による襲撃を乗り越え村人達も朝から復興の為に働いている


「実はちょっと問題が起きていまして・・・」


先程遺体を弔うため教会に向かうと扉の鍵だけが壊されており中の遺体がメチャクチャになっていたのだとか


何人かの遺体は頭を斬り飛ばされたり潰されたりしており誰がやったのかと話題になっているらしい


「私はやってないわよ?」


「そうですか」


「でも突き詰めない方がいいと思う」


「何故ですか?」

「遺体を冒涜されたんですよ?」


鼻息荒く捲し立てるアルスに冷ややかな目を向けて言い放った


「もう昨夜の事忘れたの?」

「ゾンビやワイトになった親族相手にさ」

「貴方達は冷静に処理出来るの?」


「あっ・・・・・・・・・」


「どうせ私達3人しか出来ないことなんだけどね」

「昨日アレだけのゴーストに襲われて教会に安置してた遺体がアンデッド化しないなんて言えるのかしら?」


「・・・・・・」

「すみません」

「浅はかでした」


「若いんだから仕方無いけれど貴方は今後この村を背負っていくんだからシャキッとしなさい」


「はいっ!!」


勢い良く背筋を伸ばして答えたアルスは教会跡地へと駆け出していった


「ラルク」


「何ですか?」


「ありがとね」


「・・・・・・・・・・」


彼女は肯定しなかったが否定もしなかった

つまりはそう言うことなのだ


いくら魔物化して人を襲うようになっても旧知の姿をしていれば倒さないといけないと分かっていても躊躇い被害が増えてしまう


そうならないように夜明け前に倒してくれたのだろう


正直私はそれを想定できていなかった


現世ではともあれこの世界では3人の中で私が最年少なのだと思い知らされる


その後は何事もなく復興が進み村に初めて商隊がやってきた


ー・ー


「こんにちは」

「酷い有り様ですな・・・」

「私はラウル、この商隊の長を勤めています」

「何か手伝える事があれば何なりと言ってください」


アルスが若いのを見てとり言葉は軽くしているようだが悪い人では無さそうだ

とは言え水以外に補給出来る物資もなく飼い葉も心元無いため今日1日逗留して明朝夜明けと共に出立する予定なのだとか


「ここは街道沿いだものね・・・」

「この商隊の話が元で脚が遠退くのは避けたいからしっかりやらなきゃね」


「任せてください!」


私の付き出した拳に自らの拳を軽く当てながらアルスは元気良く答えた


幸いこの商隊が魔石の換金を立て替えてくれる事になり集めたゴブリンの魔石の大半を換金する事にした


一方でホブゴブリンやゴブリンシャーマンにゴブリンロードと言った上位種の魔石は私が引き取る事にする


「それではギルドへの報告も任せておいて下さい」


「ではラウルさん、お願いします」


少し離れて聞いていたがアルスは16歳にしては堂々と交渉していた

事前に必要な物と交換出来る物のリストを作り魔石の交渉やギルドへの報告もキチンとこなした


私やシンシアがアドバイスしたにしても中々の者である


「さっすが」

「恋する若者は気合い入ってるねー」


「んぁ?」


「えっなに?」

「気付いてないの?」


「シンシアさん私そう言う冗談は好きじゃないのよ」


「結構当たってると思うけど?」


「勘弁して」


炭ができて直ぐに鍛冶仕事に取り掛かった


その中でゴブリンが持っていた武器を鋳溶かし新たな武器や農具を作り出す


武具を作り初めると新たに組織した青年団を相手に朝晩鍛練を行う事になった

男女は関係無く身体に合った武器を見繕いその武技を教えていく


「おっどろいたわ」

「アリエルって騎士団にでもいたの?」


技の多くは創作やゲームからのインスピレーションを落とし込んだもので自分的には大したモノでは無いと思っている


素質の有る者に鍛冶仕事を教え煉瓦や土鍋等の作り方も教えていく


「アリエルちゃん」


「分かってる」

「知識チートでしょ?」


分かっちゃいるがここまで関わって中途半端に投げ出すのも寝覚めが悪くてしょうがない


幸いこの近くの地層には粘土層があり長石も採れた


素焼きの壺は焼いていたようだから土鍋を作らせたところで陶芸革命を起こす程ではないだろう


「凄い・・・」

「ちゃんとした陶器じゃないの!!」

「まさかコレ量産できるの?!」


「原料が近くで採掘できるからね」

「たぶん普通に流通させられると思う」


「まさかこんな・・・」

「今世紀最大の技術革命よ!!」


村人の反応もそうだったがシンシアの反応は予想を遥かに上回るものだった


「アルスちょっとこっち来なさい!!」


シンシアはアルスの手を引き離れた所まで連れていくと何やら熱心に話し始めた

そして胸元から何かを取り出して見せるとアルスが腰を抜かすのが遠目でも見てとれる


アルスが起き上がるのを手助けしたシンシアはそのまま抱き付き頬にキスをしていた


腕を組んで戻って来たアルスの顔は真っ赤になっていてシンシアは鼻唄を歌う程の上機嫌だった


「商談成立?」


「復興の助力を条件に独占契約取った!!」


そのまま井戸に歩み寄ると中に吊るしていた籠を引き揚げ皮袋に入ったワインを一気に飲み干す


「押し売りどころか圧し買いねw」


「なんとでも言いなさい!!」

「こんな僻地で平気で革命起こしちゃうアリエルにも責任あんだからね?」


ソコまでの技術とは思わなかったのだが・・・


何にせよこの村にヴァレンシア商会のバックアップが付いたのは良いことだろう


その夜村人全員を集めてシンシアが説明会を行った

陶器や炭竈の技術は村の外に出さない事を条件にヴァレンシア商会が全面的に復興と発展を支援する事を約束した


あまりに突飛なことだったので初めは誰も信じなかったがシンシアの持つペンダントの紋章を見て町への商いをしていた村人達が腰を抜かすのを見ると全員が信じるようになった


明朝出立する商隊に手紙を託し返事を待った


ー・ー


「村人達の炭作りと陶芸の技も上がってきたわね」


顔に煤を付けながら話すシンシアはとてもエルフとは思えない程能動的で精力的に働いていた


ゴブリンロードの襲撃から1週間

商隊が立ち寄ってから更に1週間


私達が逗留し初めてから既に2週間がたとうとしていた


「なんか急ぐ旅じゃないけれど予定外に長居しちゃってるわね」


「シンシア御姉様が動きたがらないので仕方ありません」


最近はラルクも鎧は身に付けずラフな服装で過ごしている


かく言う私も似たようなもので私服で彷徨いていたり鍛冶場から鎖帷子だけで出てきてシンシアに怒られたりしていた


長期逗留を決めて直ぐ鍛冶場の隣に小屋を建て3人で過ごしていた

村人には色々と見られたくないこともあるのでさっさと自分達で建ててしまった


「本当にアリエルさんには感謝しています」

「アリエルさんが居てくれなければ今頃この村を捨てて放浪しなければならなかったでしょう」


初めの1週間は埋葬と瓦礫の撤去に費やしその後の1週間は使えそうな建物への補強や建て替えを繰り返していた


お陰で寝泊まり出来る家屋も増えているのだが住民の多くがこの広場で生活しているのは襲撃のトラウマや野党や魔物への警戒心からだろう


「折角頑張って建ててるんだからもっと家を使わないと勿体無いよね・・・」


事情を汲んだ上での苦言にアルスは力無く笑うことしか出来なかった


その腰には私の作った真新しい銀剣が下げられている

あの晩ゴースト達から皆を護ってくれた銀食器や燭台を溶かして長剣に仕立てたのだ


「貴方も最近頑張ってるね」

「この1週間で剣技も様になってきたし」


青年団に戦闘技術を教えるようになり1週間


初めは覚束無かったが殆どの団員がある程度の体捌きを習得しそれなりの戦力になりつつあった


その中で4人の若者が頭角を現し青年団から抽出した自警団を組織していた


そのリーダー候補がこのアルスである


「でもやっぱり自警団の団長はカインに任せなさい」

「村長と団長は兼任しない方が良い」


「そう・・・ですか」


俯いて返事するアルスの横顔が何処か寂しそうで悔しそうにも見えた


「別に貴方が至らないってわけじゃないのよ」

「システムとして武力と政治は分けておく方が良いって事なの」

「ヴァレンシア商会の介入でこの村は急激に大きくなるでしょう・・・」

「だから貴方にはそこらの村長以上の事を求めてる」

「期待してるんだから頑張りなさい」


すれ違いざま彼の肩を軽く叩いて鍛冶場へと入った


ー・ー


「アリエルさんっ!!!」

「何かが凄い勢いで近付いて来ます!!」

「自警団は既に招集済みですのでご指示を!!」


未だに土壇場の指示を仰ぐところが何とも頼り無さを感じるが新しく作った物見櫓に上がりその考えは変わった


「カイン!!アルフリード!!」

「正面で防衛隊を指揮しなさい!装備は長槍!!」

「ルイン!!」

「弓隊で防衛の援護を!!」

「アルス!!」

「ここで全体の指揮を執りなさい!!」


「おだ俺がですか?」

「アリエルさんは?」


「私は状況次第で討って出る!!」


街道の北側から猛然と土煙を上げながらやってくるのは魔物か軍隊か・・・


進行速度からして尋常でない事は確かだ

もし商隊が追われているのならば保護せねばならない


だがこの速度と土煙の量はまるで戦闘速度だ


「旗が見えます!!」

「黄色!!」

「はためいていて紋章の確認出来ません!!」


少なくとも相手は人間か

だがならば尚の事この速度は異常だ


「全隊警戒体制!!」

「黙視距離まで後1分!!」


全員の顔に緊張が走り槍隊は石突きを地面に突き立て足で踏みつけた


自警団の総数も僅か20名ほどしかいない

いくら訓練を積んでいても所詮は多勢に無勢

明らかな大軍に撤退させた方が無難に思える


ゴゴゴゴゴゴッ


微かに地面が揺れ初め土煙の正体が姿を現した


「全隊停止ーーー!!」


先頭の掛け声に応え手旗が上がり左右に隊列を振り分け急停止し始める

最終的に先頭が止まったのは槍隊の目の前だった


ー・ー


「遅くなり申し訳ありません」


シンシアの目前で片膝を付いて頭を垂れているのはヴァレンシア商会の精鋭である第一商隊統括に当たる重役だった


「なんであんたが来てんのよw」


「私が来るのは当然で御座います」

「シンシア様の仰せとあれば私が出向かぬのは無礼ではありませんか」


シンシアによればノッキングヒルへ向かうのに迂回させられた彼等が同じルートを来ている可能性に期待していたのだとか


「良く来てくれたわね」

「今やノッキングヒルよりも此方の重要度が高まったわ」

「こう言う理由だから早速取り掛かって頂戴」

「それと伝令を戻してここに駐留させる部隊と商隊の手配も頼むね」


「ハハッ!!」


部分鎧を身に付けた壮年の男性は仰々しく応えると足早に退出していった


「しっかし・・・」

山岳猛牛(ロックバイソン)とはね」


ヴァレンシア商会の商隊が引いていたのは馬ではなく遥かに頑強で気性の荒い猛牛だった


並みの馬より速く走り3倍以上の荷を引く事ができ1日1000キロを走ると言われる魔石が無いのが不思議なぐらいの牛でありその気性の荒さはゴブリンやオークも逃げ出す程


群れで行動し人には中々懐かない事で有名である


「どう?」

「コレが我がヴァレンシア商会の切り札〈神速のガルフ〉が率いる第一商隊よ」


最早軍隊のような肩書きだがそれもその筈

第一商隊隊長のガルフはヴァレンシア商会護衛部の統括でもある

つまりヴァレンシア商会における護衛部隊の最高峰に位置する武人なのだ


「ところであの護衛が騎乗しているのはなぁに?」


自分でも顔がひきつっているのが分かる


「あぁ」

「アレは走り蜥蜴(ランニングリザード)よ」

「馬だと山岳猛牛に付いていけないからね」

「あの子達は一回餌を与えると3日は走れるから便利なのよ」


「一般的な乗り物なの?」


「まっさかぁw」

「爬虫類が人間なんかに懐くわけ無いじゃん」


「じゃあなんで?」


「第一商隊には走り蜥蜴の世話係として有鱗人(スケイラー)を雇ってるからね」

「彼等は有能なのに人類域では迫害を受けることも珍しくないのよ」


良く見ると第一商隊には亜人種が多い

この世界に来て初めて見る人種も多く俄然テンションが上がってくる


「近付くのは良いけど粗相の無いようにしてね?」


「良いの?」


シンシアに振り向くや即座に走り出し目を付けていた獣人に飛び付く


フッ


抱き付く寸前に視界が暗くなり頭に強烈な衝撃が走った!!


「なっ何?!」

「どうした!!」

「敵襲か?!」


あっという間に武装した第一商隊護衛隊な囲まれてしまう


見上げると少し離れた場所でかのガルフが右手を額に当てて頭を振っていた


「だっっっ!」

「かっっっ!!」

「らぁっっっ!!!」

「粗相の無いようにって言った傍から何やってんのよアンタはぁっ!!」


私を踏みつけながら柳眉を吊り上げるシンシアを見上げながら笑うしかなかった


ー・ー


「ところでぇ」

「ウチの第一商隊第二部隊長であるクロエちゃんになぁにをしようとしたのかなぁ?」


「さーせん」


しこたま怒られ椅子に縛られた私を前に腕を組んで立つシンシア

その脇に立つのが黒い毛並みが美しい猫の半獣人クロエ嬢とその補佐官である猫の獣人の娘が一人

一歩下がって壁にもたれ掛かっているのは隊長のガルフであり彼の前に見るもモフモフな獅子系獣人が腕を組んで立っていた


「会長・・・」

「もしかしてこの方は初めて獣人を見て発情でもしたんですかい?」


「・・・・・・・」

「さーせん」


「マジかよっ・・・」


だらしなく口を開いて呆れる獅子の獣人の後ろでガルフが口に手を当て笑いを堪えていた


「別に女の子に抱き付かれるくらいは良いですよ?」


クロエ嬢はにこやかに許してくれた


「だってコイツ中身は中年のオッサンが入った転生者よ?!」

「しかもアタシと風呂入った時は何の反応もしなかったくせに!!」


「えっ?」


「それって単に会長の嫉妬なんじゃ」

「ぐぶぅっ」


無挙動で放たれた後ろ回し蹴りに獅子の獣人は床に沈んだ


「そんなの分かってても言っちゃダメだょ・・・」


「あんですってぇ?」


怒りの矛先が向いた瞬間当の獣人の娘はクロエの影に隠れて身体を震わせていた


むむ?

あの娘·・・・

怖がってない

笑いを堪えて震えてる???


「ふぅーー」


腰のマウントから煙管を取り出したシンシアは静かに口に運ぶ


それだけでクロエはポケットから煙草の玉を取り出してセットする

そこにタイミング良く獣人の娘が魔法で火をつけシンシアの口に届く頃には見事に準備が整っていた


「お嬢さん・・・・で良いのか?」

「その2人は第一商隊に所属する会長特務部隊の一員でな」

「大のお気に入りなんだわ」

「知らなかったとは言えまずったなw」


ガルフは苦笑しながら片膝を付くと獅子の獣人を介抱し始めた


「うぐぅ」

「アタシはリアルモフモフを体験したかっただけなんだよぅ・・・」


「セクハラじゃ無くて?」


「中身的にはセクハラっすよね」

「だって彼女達は動物じゃないし人権有りますもんね・・・」


人権の言葉に皆の耳がピクついた


「そぉこまで分かっててなぁにすっかなぁ?」


シンシアは前屈みになりながら顔を近付けたっぷり吸い込んだ煙を吹き付けてきた

その様はまるで口から火を噴く山姥である


「会長・・・」

「私達の事人類と認めてくれてるなら尚の事モフモフくらいして頂いても問題ないですよ?」


申し訳無さそうに微笑むクロエ嬢とその後ろで相槌を打つ獣人娘


「ウチの娘達に変な事したら許さないからね」


壁際の椅子まで行ってドカッと不機嫌そうに座ると即座に獣人の娘が陶器のワインカップを用意して皮袋から冷えたワインを注ぐ


「一応・・・」

「お許しは出たみたいですねw」


微笑みながら近付いてきたクロエ嬢は優しくロープをほどいてくれた


「改めましてクロエです」


目の前にしゃがんで自己紹介してくれたクロエは本来柔らかな体毛で覆われている部分が人間と同じ素肌になっている半獣人である


長毛の黒い毛並みに大きな猫耳が時折ピクンと反応している

170センチはある長身は括れているが筋肉質と言うより少しポッチャリした感じが可愛らしい


現代の猫で言えばメインクーンのような印象だ


「アタシはシュネー」

「クロエ姉様の補佐役してます」


此方は人間の骨格をした猫と言う感じの獣人である

毛並みは白っぽいアメリカンショートヘアー

青い眼が真っ直ぐ此方を見据えていた


「少し触っても宜しい?」


「少しなら構いませんよw」


思った以上に艶やかで滑らかな毛並みに思わず吐息が漏れる

髪の毛から背中に手を這わせウエストで止める


緩やかに揺れる尻尾に見惚れているとクロエの方から近付けてくれた


「少し・・・・だけですよ♪」


嫋やかな尻尾の毛を手で櫛梳りそのモフモフ加減に酔いしれる

続いて差し出された右手を取り今度は人肌側に指を這わせ肩口まで撫でる


すべすべしていてキメ細やかな美しい肌

何もかもが美しい


見惚れているとシュネーが割って入って来た

少し小柄な彼女もクロエと同じように薄衣を纏っている


私がゆっくりと右手を差し出すとソッと右手を乗せて応えてくれる

その掌には形は変われど確かな肉球が存在していた


シュネーは身を乗り出し間近に私の瞳を覗き込む


「偽装してますにゃ?」


思わず目を見開きシンシアの方を振り向くがそっぽを向かれてしまう


私の脚にしなだれ掛かるクロエ嬢

私の両手を弄びながらも瞳をじっと見据えるシュネー嬢


「はぁぁーーーー」

「シンシア」

「いえヴァレンシア」

「皆に私の事は話していませんね?」


「まぁね」


ぶっきらぼうに煙草を吹かしワインを煽るヴァレンシア


シュネー嬢の手を優しく解き胸の前で印を結ぶ


「〈関知阻害結界(ジャミングフィールド)〉〈魔力遮断(シャットダウン)〉」


「何を!!」


クロエの手に力が籠り私の脚を押さえ付ける

同時にシュネーは私の首を掴み右手を振り上げた


突くつもりだ

先程と違い指には鋭い爪が延びていた


素早くガルフと獅子の獣人が私とヴァレンシアの軸線上に割って入る


身を挺して主人を護る良いチームだ


「第二第三封印限定解除」


唱えた瞬間魔力が爆発しシュネー嬢が後ろへと仰け反る


ガルフと獣人は身構え踏みとどまりしっかりとヴァレンシアの楯役を果たす


「なっなんだにゃ???」

「フッ!!」


躊躇したものの打ち下ろされた抜き手は必殺の力を有していたが私の目蓋に傷一つ付ける事ができず受け止めた


「なんにゃコイツ!!」

「化け物にゃ!!」


「私が抑えます!!」

「皆は逃げて下さい!!」


「すまない!」

「ヴァレンシア様此方へ!!」


ガルフが手を差しのべるが動くどころか更に深く座り直し煙草を吹かすヴァレンシア


私は衣服を保管魔法で脱ぎ去ると翼と尻尾を生やし恥ずかしげもなく股間のイチモツもさらけ出す


「きゃっ!!」


コレにはさしものクロエ嬢も驚き思わず手を離してしまった

その隙を逃さず宙に浮くと空中に座り脚を組み肩肘をついたような体制でヴァレンシアを見やる


「貴女・・・・・」

「この姿を見せるためにわざとやったでしょ」


「な・ん・の・事かしらぁ?」


「貴女達」

「心配しなくてもシンシアは初めからこの姿も力の事も知った上で旅してるのよ」

「だから無駄な抵抗なんかしようと思わないでね?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ