草原を越えて
「今夜は天気が崩れそうね・・・」
気圧が下がり始め雲の色が濃くなってくる
肌寒さが少し増して風が吹き荒ぶ
3日程何事もなく草原を歩き続けた
途中で数組の商隊とすれ違いこの街道の人通りの多さを実感する
「降りだすまでに小屋までつけるかしら?」
「濡れたくないから急ぎましょうか」
私は元々大股でガツガツと歩く癖がある
しかしシンシアに合わせない程空気が読めないわけでもないので道中はペースを合わせて歩く
初めこそ互いのペースを探っていたが2日目ぐらいから苦もなく合わせられるようになっていた
「シンシアってわりと歩くの早いよね」
「こんなものじゃないの?」
このペースは現世界だとかなり早い筈だがこっちの世界でも早めだと思う
「それと意外とタフだよね」
「アタシは人外だから平気だけど・・・」
「エルフも長距離移動は得意な方よ」
「私からすればアリエルの歩き方に驚いてるわ」
「なんで?」
「だってそんな大股で歩いてるのに足音なんか殆どしてないじゃない?」
「なにか武道か武術やってたの?」
「多少は心得有ります」
「けど修練の賜物って言うより単なる癖かな」
「気配消す癖ってw」
「そんなオジサンいたら変質者扱いされなかった?」
「プライベートでは鈴付けてたよ」
「伏見さんの御守りの鈴」
「へぇー」
「そんなのあったんだ」
「もう戻れないんだろうな・・・」
遠くを見つめるシンシアはどこか寂しそうに見えた
そして急に立ち止まった
「何か・・・」
「いるね」
シンシアとほぼ同じに立ち止まる
周囲に嫌な感じが満ちていた
ギッ
グギッ・・・
カサカサカサ
カサッ
「ゴブリン・・・・・かな」
「たぶんね・・・」
2人で背中合わせになりながら周囲を警戒する
たまにだが飛び道具を使う個体もいるから注意が必要だ
1体2体なら歯牙にもかけないのだが数が多ければ私は平気でもシンシアに怪我されるのは避けなければならない
「やっぱりゴブリンか」
私達が道の真ん中で身構えたので奇襲は出来ないと判断したのだろう
前後を挟む形でゴブリンが出てきた
「前の3匹は任せて」
「シンシアの方は何体?」
「後ろは4体・・・」
「横からも気配あるね」
シュリンッ
攻撃させる暇も与えず左のゴブリンに斬りかかる
ガッ!
「ガギャーッ!!」
防御に突き出された剣ごと居合で切り裂いた
続けて右のゴブリンを切り臥せると残る1匹に襲いかかる
「ハッ!!」
鋭く突き出された剣はゴブリンの喉を貫き絶命させる
確かな手応えを感じ振り返るとシンシアと分断されていた
左右から飛び出たゴブリンが割って入り剣を構えている
が
シンシアの素早く剣を突き出す猛攻に4匹目が倒されると一転して私達がゴブリンを挟み込む形になった
「グッグッ!!」
「ニゲロッ!!」
1匹の叫ぶような指示に一目散の逃げ出す4匹のゴブリン達
「ここで逃がす程甘くないのよね!!」
逃げるゴブリンを背後から襲い瞬く間に殲滅する
「アリエルお疲れ様ー」
「シンシアも無事だったね」
「良かった」
「この程度のゴブリンに遅れをとる事はないけど・・・」
「後始末の方が大変だわ」
「確かにね」
ゴブリン達魔物は獣と違い胸に魔石を持っている
冒険者ギルドではコレを買い取る事で討伐の証明とする
なのでこの魔石を採取しておくとギルドでお金をもらえるわけだ
「そう言えば・・・」
「この世界に来て直ぐは魔石の事を知らずにそのまま放置したっけ」
「何それ?」
「勿体無いわね」
「まぁ今はそんなお金なんて要らないでしょうけどね」
ゴブリンから取り出した灰色の魔石を陽にかざして見る
半透明の魔石の奥には微かに赤い炎のようなものが揺らめいていた
「これが魔石・・・」
「魔物の力の結晶?」
「特殊な加工を行えば魔晶石に精製できるみたいね」
「けど精製方法はギルドだけの門外不出の技術だからギルドで売る以外の価値はないわね」
魔晶石はマジックポーションの材料でありそのまま使う事もできるが用途が限られてしまう
魔晶石には各種属性があるからだ
魔物はそれぞれ根源たる元素の影響を受けた魔石を生成するわけだがそれが精製した時の魔晶石の属性となる
なので違う属性の魔石を合成すると失敗してしまう
同じ属性同士を集める事で初めて純度の高い魔晶石へと精製できるのだ
そしてそれらの魔晶石から属性を抜き去り加工したものがマジックポーションなのである
「お金が要らなくても魔石は流通させておく方が他の冒険者の為にはなるのよね」
どのみち私にはこの世界の魔晶石を食べても吸収できないのでお金が入り用でもなければ売る価値はない
なんならその辺に放置しておいても良い
「ゴブリンのせいで要らない足留め喰らったわね」
「先を急ぎましょうか」
カコカッカコカッ
カコカッカコカッ
ブルルルルルッ
「どうーどぅどう」
「すまんなお姉ちゃん達」
「何だか分からんが馬が恐がってな」
背後からの馬の足音に脇に避けていたのだが少し手前で馬が止まってしまった
そこからウンともスンとも言わず動きたがらない
「もしかしたらさっきゴブリンを倒したからかな?」
「コイツは旅なれてるからゴブリンくらいじゃむしろ突っ切って逃げ切るくらいはやれるんだがなぁ・・・」
「弱ったなホントに」
・・・・・・・・・
何となく心当たりがある
と言うより心当たりしかない
「ごめんなさい」
「たぶんコレのせいだね」
バックパックに括り付けていた平原豹の毛皮を広げて見せた
「これはまた見事な毛皮だな」
「っとっ!!」
「落ち着け!!」
毛皮を見るなり馬が暴れだしてしまった
やはりコレのせいか
「悪いがお嬢さんその毛皮を仕舞ってくれないか?」
言われるまでもなく素早くしまう
こんな所で馬に暴れられたらこちらもたまったものではない
やはり半日乾かしたぐらいじゃ臭いはとれないか
荷物からミントとローズマリーを取り出し手で揉みながら毛皮に擦り付ける
幾分臭いがマシになったのか馬も落ち着き始めた
「いやー迷惑かけちまったな」
「俺はドリー」
「ノッキングヒルとヴァルムートを往き来してる商人だよ」
「いくらこの街道が安全でも護衛無しは無謀じゃない?」
「今回は空荷だったからな・・・」
「ゴブリンぐらいならコイツの脚力で何とかなるからな」
「狼や豹はどうするつもりだったの?」
「護衛を雇いたかったんだが緊急招集で狼猿討伐隊に連れていかれちまったんだ」
「だが急いで戻らないといけなかったからな・・・」
「最悪馬車を棄ててコイツと逃げるつもりだったんだ」
「あー」
「だから荷馬車なのに鞍まで付けてるのね」
「そう言うことだ」
「あー」
「もし良かったら護衛を引き受けてくれないか?」
「1日銀貨を1人10枚出す」
「あまり良い額じゃないけど乗せてくれるなら引き受けるわ」
「それはありがたい!!」
「実のところ心細くてな雨も降りそうだし困ってたんだ」
「なら善は急げね」
「お邪魔します」
「私はシンシア」
「こっちはアリエルね」
「よろしく」
「こちらこそ」
「護衛料は安いが乗り合い馬車ぐらいに思ってくれ」
「それじゃいくぞ!」
馬車は警戒に走り出したが荷台は軽快と言うには程遠かった
ー・ー
「うっうぐっ」
「思ってたよりキツいねっ」
「あんまり喋るとっ」
「舌噛むっわよっ」
ドリーはよほど急いでいるのだろう
途中ゴブリンの集団に出会ったが文字通り突っ切った
ゴブリン達も暫く追ってきていたが馬の脚に敵うわけもなく苦もなく振り切った
ガラガラガラガラ
ガコンッ
ガラガラガラガラ
時々轍や小石を噛んで跳ねる荷馬車
ドリーは慣れたもので跳ねる瞬間自ら跳んでいる
乗馬と同じ感覚なのだろう
「おしっりがっ!」
「われっるっ!!」
「もうっ」
「われってるっ」
「でしょっ!!」
この状況でもつっこんでくれるシンシアはもしかして関西人なのだろうか?
等と思いながら荷馬車の揺れに耐える
「もうすぐっ」
「休めるぞっ!!」
慣れているとはいえドリーの声も弾んでいた
前を見ると小屋がグングン近付いてくる
徒歩からすれば馬車の速度は早い
常歩で時速5~6km1日に約50~60km移動可能で何日も継続して長い距離を移動することが可能 馬にとっては散歩程度のゆっくり歩く速度である
速歩時速13~15km1日に数回繰り返し約30~45km移動可能でおおよそ1時間程度走れる
駆歩時速20~30km1日だと最大30kmほど走行可能だが一度に30分が限度
襲歩時速60~70km1日だと4~5kmほど移動可能で全力疾走なので5分が限度
人間の平均歩行速度は4~6kmだがこれはあくまでも日常的な速度である
装備や荷物を担いだ旅ではこのような速度は出ない
ドリーは常歩と速歩の間くらい時速10kmぐらいで流している
自転車くらいの速度だ
そして2時間に一回ぐらいの割合で休憩をとり馬に水をやり荷馬車の具合を見ながら進んでいる
ゴブリンを振り切るのに無理をさせた分長めに休憩させたがそれでもドリーの馬は粘り強く持久力が有る
この馬は栗毛で毛足が長くサラブレッドよりもガッシリした印象だが道産子ほど大きくはない
それにしてもこの馬は本当に楽しそうに走る
きっと人間ならば鼻歌混じりで散歩をしているような感じだろう
訓練された馬のように真っ直ぐ前を見据えたりせず時折よそ見をしながら走っている
ドリーもそれを嗜めるでなく馬に任せているようだ
「もう少しで小屋に付く」
「尻の痛みにもう少し耐えてくれ」
「ねぇドリー」
「その子は狩りとか見ても平気なタイプ?」
「あまり好きじゃないな」
「じゃあ悪いけど止まって後ろ向かせないでね」
私は背負っていた弓を取り出し素早く弦を張る
羽根の付いていない矢をつがえる
スキル発動〈必中〉〈狙撃〉〈剛力〉
フシュッ
放たれた矢は寸分違わず鹿を射貫いた
急いで飛び降りると獲物に近づく
手を合わせて喉を切り裂き絶命させる
そのまま腹を裂いて内臓を抜き去るとマントで包み荷馬車まで担いでいく
「凄い手際だな・・・」
「瞬殺じゃないか」
ドリーは言われた通り馬の注意を逸らして待っていた
シンシアに手伝って貰いながら荷台に乗せると速歩で小屋まで向かう
「扉が閉まってるな」
ドリーは扉の前で馬車を止めるとシンシアが馬車を降りて扉をノックする
反応が無いので引いてみると簡単に開いた
「中を確認します」
素早く中へと消えるシンシア
暫くすると戻ってきた
「異常無しです」
「ありがとう」
ドリーは馬車を中に入れると馬を荷馬車から解放し身体を撫でてやる
私は最後に扉をくぐり閉めると閂をかけた
とびらのロープに異常が無いことを確認して有事に備える
「すまないが扉を開けてくれないか?」
「どうしたの?」
「飼い葉のストックがなかった」
「外に取りに行く必要が有る」
「それなら代わりに行ってきますよ」
「シンシア!」
「鹿の処理をお願いねー」
後の事を任せて外に出る
「たぶん柔らかい方が良いんだよね・・・?」
適当に柔らかい草を選んで刈り込む
一応鑑定を併用しながら毒の有無を確認しながら探す
30分程でマントいっぱいの草を刈れたので持ち帰ってみた
「ありがとう」
「よく飼い葉に適した草がわかったね」
「馬を飼ってたのかい?」
「偶然ですよw」
「馬も柔らかい方が良いのかなって思っただけです」
調理場へ向かうとシンシアが皮を剥ぎ血抜きの続きをしていた
「アリエルー」
「問題があるのよ」
「薪がないの?」
「その通りw」
「どうする?」
「採ってくるしか無いじゃん」
「ごめんねー」
再び外に出る
雨が降りそうなので急がなければならない
辺りに気配が無いのを確認し更に生命探知をかける
「問題なさそうね」
シュリンッ
シャシャシャッ
手頃な気を居合で伐るとある程度の長さに整える
魔法で乾燥させるとロープで縛り引き摺って小屋へと戻った
「こんな短時間でそんなに木を伐ってきたのか?」
目を丸くするドリー
「運良く乾いた倒木を見付けただけですよ♪」
さらりと嘘で誤魔化し奥へ運ぶと手際よく薪に変えてゆく
ポッポッ
「降ってきたな」
ドリーは馬を馬屋に連れていくと刈りたての草を食べさせた
水桶に新しい水を張り再び身体を撫でる
大事にしてるなぁ
薪が濡れない内に薪置き場へ移し幾つかを竈にくべて火を起こす
17時を回った頃だろうか?
雨雲のせいで辺りは暗くなり始めていた
ー・ー
ゴンゴンゴンッ
ゴンゴンゴンッ
「開けてくれ!!」
「早く!!」
「誰か助けてくれ!!」
ゴンゴンゴンッ
ゴンゴンゴンッ
激しく扉を叩く音に緊張が走る
私は剣と楯を手に扉へと向かった
シンシアは弓を構えて小屋から援護の体勢をとる
「今開ける!」
「下がって!」
閂を引き抜き扉を蹴り開ける
3人の男が雪崩れ込み勢い余って倒れ込む
「たっ助けてくれ!」
「盗賊だ!」
ロープを引いて扉を閉めると素早く閂をかける
しかし外に人が襲ってくるような気配は無い
「貴方達大丈夫?」
わざと隙を作りながら転んだ1人に近付いた
「お前ら観念しっグブッ!」
言い終わる前に鳩尾に爪先が突き刺さる
ヒュオッ
「あがっ!!」
「みっ耳がっ!!」
「俺の耳がっ!!」
「お前らぁー」
「ただですっウグッ!」
最後まで聞いてやる義理は無い
最後の1人には渾身の後ろ回し蹴りをお見舞いしたのだった
ー・ー
「す・・・」
「すびばぜん」
「謝る必要無いから」
「アンタ等の規模は?」
「根城はどこ?」
「おれだぢは3人だげでず」
「ホントかなぁ?」
ロープで縛り上げた1人の指を捩りあげる
「ひっひぃいいいい!」
「本当です本当です本当です!!」
「やめてやめやっあっあぁっっ」
「アリエルその辺で良いんじゃない?」
「なんか楽しそうだけど・・・」
「たぶん嘘は言ってないと思う」
実は〈嘘関知〉で真偽は分かっているのだが一応尋問で聞き出したていにしているのだ
「とりあえずコイツらはどうする?」
「ここに縛ったまま放置で良いかな?」
「アリエル・・・」
「それは良くないかな」
「そうですね」
「コイツらを食べるために魔物が寄ってきたらいけませんからね」
ドリーさんも厳しい一言
この旅人の小屋は元々商工ギルドが整備した物だ
基本的に同じ作りなのも必ず井戸が掘ってあるのも商隊が利用して馬の世話をする為なのだ
「こんな雑魚はギルドでも懸賞金かけてないでしょ?」
「だったら町まで生かしとく理由無いよね」
「アリエルの言には一理有るわね」
「そっそんなっ!」
「助けてくれっ!」
「なんでもするから!!」
「なんでもぉーー?」
「アリエル」
「その表情は完全に悪役だわ」
「ドリーさんどうします?」
「町まで連れていくのも面倒だけどここに放置して再犯されても困るし」
「そうですねぇ・・・」
「盗賊は見付け次第殺しても良いことになってますからねぇ」
「そっそんなっ!」
「お願いですっ!」
「村が魔物に襲われてっ!」
「逃げ延びた家族のために食料が欲しかっただけなんだ!!」
「食料・・・・・ね」
今の言葉には嘘が混じっている
しかし魔法で分かるのは真偽の判定だけ
とりあえず食料が欲しいのは本当のようだが食料だけとは限らない
3人の装備と言えば錆の浮き出た古びた剣に鎌と棍棒
楯はなく皮鎧すら着ていない
盗賊にしても御粗末な格好だ
「家族の為ならなんでここに連れてこなかったの?」
「ここなら雨風は凌げるし商隊が来れば食料だって買えるのに」
「そ・・・・・」
「それは・・・」
そう
逃げ延びた家族のためにと言うのは嘘なのだ
だが食料が欲しいのは事実
「貴方達・・・・」
「逃亡農民でしょ?」
「なっ!」
「どっ!!」
慌てて口を塞ぐ3人
どうやら図星のようだ
「ドリーさんどうします?」
「逃亡者となればまた話は変わっちゃうんじゃないかな?」
「弱ったな」
「逃亡農民となれば事は簡単じゃない」
「そもそも旅が出来るのは身許の保証された何れかのギルド会員だけだ」
「ギルドの通行証が無ければ旅は出来ない」
「それに・・・」
「それに?」
「もし彼等が農奴だったならば領主に借金がある筈だ」
「踏み倒すのは重い罪だし逃亡者は何処のギルドにも入れないから何れは盗賊になるかはぐれ者の集落を探すか作るかだ」
「でもはぐれ者の集落は犯罪者が集まる事になる」
「どのみちコイツ等は盗賊になっちゃうわけね」
「そう言うことだ」
「ならここで処刑しても変わらないのね」
「残念だがその通りだ」
「待ってくれ!」
「俺達は逃亡者ではあるが農奴じゃない!」
一応嘘はないか・・・
「でも逃亡者はギルドに入れない」
「身分証の無いアンタ等はこれからどうするの?」
「ギルド・・・」
「登録出来ないのか?」
「貴方達の身分を誰が保証するのよ?」
「あたし達は軽く撃退したけど前科が無いとも言い切れないしね」
「現時点で貴方達は逃亡農民の盗賊なのよね」
「仮にこのまま解放して町にたどり着いたとしても身分証の無いアンタ等は町に入れないし何とか入れてもらったとしてもギルドで身分証の提示求められたらどうするの?」
「その時点で逃亡農民だとバレて逮捕されて牢獄か村に逆戻りになるわよ?」
「そこまで考えてた?」
「冒険者に身分証とか資格が必要なんて知らなかった」
「当たり前じゃん」
「実力の無い人間を冒険者に認定してバタバタ死なれたらギルドの信用問題だもの」
「それなりにテストは有るしモグリで冒険者やってもお金にならないわよ?」
「そう・・・なのか」
大方一生農民の人生に嫌気がさして冒険者を夢見て村を飛び出したってところか
なのに実力も備えも無くて食料も尽きて盗賊行為に走ったと・・・・・
「どんな理由があるにしても暴力で食料を略奪しようとするような人間が冒険者になれるのかな?」
「クッ・・・」
実際はそう言う冒険者もいると思うけどここはそんな事は言う必要無い
「お家に帰って畑でも耕しなさい」
そう言い放つともう彼等には興味がないとばかりにシンシアは竈の方へ歩いていった
「それにしてもそんなので良く生きてこられたわね」
「このボロボロの剣はゴブリンから奪ったの?」
「そうだ」
何か引っ掛かるな・・・
「倒したわけじゃ無さそうね」
「グッ・・・」
図星か・・・
「大方誰かが倒したゴブリンの遺品を拾ったんでしょ?」
「それに鎌と棍棒か・・・」
「せめて斧とか無かったのかね?」
「斧は!!」
「斧は持ち出したら皆が困るじゃないか・・・」
おーおー
田舎の青年よ
それぐらいの分別あるなら暴走する前にもっとちゃんと家族の事考えろよ
「アンタ達死ぬって考えなかったの?」
「それは・・・」
シュリンッ
コスッ
剣を鞘走りそのまま床に突き立てた
「問答無用でコレを使ってたらアンタ達全員死んでたんだけど」
軽く突き立てただけで10cm程突き刺さった剣を抜いて鞘に納めると彼等の剣を手に取った
彼等の剣は古びて刃が欠けていて錆まで浮いている
とても使えたもんじゃない
その剣を宙に放り投げ居合で斬り付ける
シャッカキッ!!
一閃された古い剣は乾いた音を立てて真っ二つに斬られてしまった
「けっ剣を斬った!!」
「こんな手入れもされてない粗悪品が剣なものか」
「こんな錆びた鉄の棒なんか持ってても役に立つどころか勘違いして命を落とすだけよ」
剣を納め彼等を見下ろしながら冷徹に言い放つ
「今回は急いでるから見逃してあげる」
「本当に冒険者なんかになりたいなら親や村長を説得して試験を受けに行きなさいな」
私も踵を返し夕飯の支度にとりかかる
「お前ら命拾いしたな」
「でもまぁ明日まではそのまま辛抱してもらう」
「縛られたまま座ってるのは辛いだろうが死ぬよりマシだろ」
3人は項垂れたまま夜を過ごした




