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第2話

   

 この黒猫と初めて会ったのは、今日みたいに憂鬱な曇り空の日だった。

 最初は人間の言葉でなく、ごく普通に「にゃあ」と鳴くだけ。どこにでもいる平凡な黒猫だが、それを見て私の頭に浮かんだのは「黒猫が前を横切るのは不吉の象徴」という迷信だった。

 そもそも黒猫のマイナスイメージは欧米から伝わってきたものであり、むしろ日本では江戸時代から「黒猫は幸運を招く生き物」と信じられていたらしい。そんな話も知識としては知っていたものの、感覚としては「不吉の象徴」の方を強く感じていた。


 しかし五分も歩かないうちに、その印象は反転する。

 嬉しい驚きがあったからだ。

 大学時代に付き合っていた女性、ユウコとばったり再会したのだ。


「えっ、タカシくん? なんでこんなところにいるの!?」

「こっちこそ『なんで』って聞きたいよ。ただ近所を散歩してただけなのに……」

「近所を散歩? じゃあタカシくんも、この近くに住んでるの?」

「『タカシくんも』ってことは、まさか……!」

 大学卒業後は連絡を取り合うこともなかったため、二人とも知らなかったのだ。いつのまにか同じ街に住んでいる、ということに。


 最後は喧嘩別れになったものの、元々は好き合ったからこそ恋人関係になった二人だ。久しぶりに顔を合わせれば、思い出話にも花が咲いた。

「立ち話も何だから、うちに来る?」

 と言われた時には「もしかしたらヨリを戻せるかも」と期待したくらいだ。だから満面の笑みで頷き、私は彼女の招待に応じて……。

   

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