15・何者も、どんな人でも・・・
最終回です・・・、長かった
「被告は、警察署の刑務官三人に暴行を加えました。よって、懲役三年、執行猶予五年を言い渡します・・・。」
判決が下った・・・。
「執行猶予なんて・・・、いいです・・・。早く、刑務所に入れてください・・・。」
僕は、衆人の前でそう言った・・・。あの日から、数ヶ月後の事だった・・・。
ガシャン
鉄格子の扉が閉まり、鍵がかけられる・・・。僕は刑務所にいる・・・。それも、牢屋の中に・・・。
この牢屋は、鉄格子に格子窓という、古いつくりであった。薄汚れた天井と床、カビ臭い壁。中にあるのは、布団ぐらいのものであったが・・・。外よりは大分居心地が良かった・・・。もう、ここにいれば、ミニカーもミニヨンクも見ずに済む・・・。僕は、牢屋に入れられた事を、不幸とは思わなかった・・・。
精神を取り戻したのも、最近の事だ。少し前までは、目に入る全てのものがミニカーないしミニヨンクに見えていた・・・。しかし、ようやく、幻覚を見る事もなくなった・・・、ここで三年も過ごせば、きっともうミニカーと関わる事もないだろう・・・。
(とうとう、逃げきったんだ!)
僕は、勝利の優越感に浸った・・・。
ジーッ
耳に、音が、届いた・・・。
(えっ・・・?)
僕は音のした、格子窓の方を見た・・・。
(お、おい・・・。嘘、だよな・・・?)
僕は耳を澄ましてみる・・・。
ジーッ
いよいよ本物だと分かった瞬間、僕は何も考えられなくなった・・・。
鉄格子に飛びつき、ドアを開けようとする。しかし、鍵が掛かっていて開かない!僕は、鉄格子を両手で持ってガシャガシャと揺らす。
「おい!出してくれ!お願いだ!」
しかし、誰も僕の事には気がつかない・・・。自分の脚で鉄格子を何度も蹴りつけた!脚の骨が折れるかもしれないという危惧は全く抱かず、僕は一心不乱に鉄格子を蹴りつけるが、それも虚しく金属音が響くだけだった。
「誰か!頼む!助けて・・・、助けてくれぇ!」
ジーッ
「ヒッ!」
気がつくと、音はもうすぐそこまで来ていた・・・。僕は格子戸をゆっくり振り返り、そのまま動けなくなった・・・。少しして、格子窓の隙間から・・・、ミニヨンクが・・・、列をなして・・・、続々と・・・、入って、きて・・・、
「う、うわあああああああああああああああああ!」
タ○リふうの後書き
いかがだったでしょうか?これは、あなたの身近で起こっている事かもしれません・・・。最後に見たのは、果たして、髙橋の見た幻影だったのか・・・、それとも、あの保険会社か・・・、それとも・・・、
という事で、今回は文章に凝った怪奇小説でしたが・・・、改めてみると、怖いですね(笑)。しかし、この怖さが伝わっているかは微妙・・・。まあ、奇妙だと思っていただければ幸いです。
しかし、書いてる間にプロットは変わるわ、人が死んでしまうわで(苦笑)。こんな事になるつもりはなかったのですが・・・。まあ、怖くなったからよしとしましょう・・・。感想も送ってくれたら幸いです。
ちなみに次の番外編は、作者がこの小説を書くに至った経緯をgdgdと語る話で、全くストーリーには関係ないので、暇がない人は見なくてもいいです。
ピンポーン
ん?誰か来たようですね・・・。どうぞ。あ、判子ですね、分かりました。
段ボール箱が届きました。はて、身に覚えが無いのですが・・・。まあ、開けてみましょう。ん?
ミニカー・・・?