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プロローグ

2話同時投稿です。

僕が生まれる少し前まで 人間と魔族は長い間争っていたそうだ。

でも突然現れた勇者が魔王を倒して争いは終わったと母さんに聞いた。


それですぐに世界に平和が訪れたかというとそうでもないらしい。

今までは人間の敵として魔族がいたから、それぞれの国は協力していたんだ。

でもそれは表向きで、本当は勝利の後にどれだけ他国より有利な状況を得られるか探りあっていたんだって。


それなのに勇者はたった一人で魔王城を探し出して単独で魔王を倒してしまった。

それだけならまだよかったのに、勇者は魔界に繋がるゲートをぶっ壊してそのままどこかへ行ってしまったんだ。


新たな領地獲得や戦利品なんかを目論んでいた各国の王様たちは当てが外れてガッカリしたけど、どこにも属していない勇者を召し抱えれば他国への圧倒的な脅威になると思ったんだって。


そうして勇者の大捜索が行われたけど、どの国も勇者を見つける事が出来なかった。


勇者は争いを終わらせたけど、その圧倒的な力は新たな脅威となってしまった。

だから各国はすぐには戦闘状態を解除できず、数年の間は緊張が続き、ちょっとした小競り合いも起こっていたらしい。


それからさらに数年が経ち、魔王討伐から10年が過ぎた頃、各国はようやく武装解除を行って世界は平和を実感する事が出来たんだ。


魔族は人間よりも力が強くて普通の人間は一対一では敵わない。

そして魔族と戦うには物理攻撃より魔法が有効なんだ。

だから魔力の少ない人間は集団魔法や魔導具を使って戦ってきた。


だけど中には魔族と対等に戦える魔力持ちの人間もいるんだ。

それは『神様からの贈り物(ギフト)』を持った人達だ。


王族や貴族に生まれる事が多いんだって父さんが言っていた。

何でも昔に国を作った王様達が『ギフト』持ちだったから、遺伝で伝わったんだろうって。


でも『ギフト』持ちは希少で滅多に生まれないらしい。

彼らはだいたい神の奇跡と珍しい瞳を持って生まれてくる。

だからその瞳と能力の事を『神様からの贈り物(ギフト)』っていうんだって。

奇跡っていうのは光を纏っていたり、神様の声が聞こえたりするみたい。

瞳の色には金、赤、紫、緑、灰、青、漆黒、中には虹なんて色があるみたい。

みたいっていうのは、父さんも母さんも話でしか聞いていないからって言うんだ。


『ギフト』は生まれつきだって思われていたけど、最近後天的に獲得することもあるんじゃないかって言われている。

何でそう考えるかっていうと、魔王を倒した勇者は金眼だったって言われているからなんだ。


金眼は『ギフト』の可能性が高いし、魔王討伐もわからないでもないと。

でも金眼は超珍しい上に、魔王を倒せるほどの魔力持ちが誰にも気付かれずに過ごせる事は考えられない事なんだって。


平民から『ギフト』持ちが生まれることはとっても珍しいけど極稀にあったらしい。

そんな時は噂を聞きつけた役人が確認して王様に報告する。

そして子供は貴族の養子になり、その親も王都で不自由なく暮らせるようになるそうだ。

だから平民が金持ちになる事を放棄してまで子供を隠して育てることはないんだって父さんは言った。


じゃあ、僕は『ギフト』持ちだから僕も貴族に取られちゃうの?って聞いたんだ。


そう、僕は『ギフト』持ち。それも後天的な。でも特別な瞳は持っていない。

僕の問いに父さんと母さんは同時にそんなことさせないよって言った。

じゃあ、勇者も父さんと母さんと一緒に隠れてたかもしれないねって言ったんだ。

父さんと母さんはそうだねって笑った。


僕の『ギフト』の事は家族以外には内緒で、僕も詳しくは知らない。

父さんは10歳になったらわかるよって言うだけだった。


昔は誘拐や暗殺の危険があるから王族や貴族では『ギフト』持ちであることを隠すことは珍しくはなかったらしい。

でも魔力の使い方は幼少からの練習が大切だってわかってきてからは、賢者や魔導士に弟子入りして魔法を学ぶようになったんだって。


今では平民でも魔力の高い子供は魔導士に弟子入りするのが普通。

それでさらに優秀なら王都でさらに専門的に魔法を学び、いずれは王宮で働くことになるんだ。


宮廷お抱えの賢者や宮廷魔導士もいるけど、自由に研究や修行をしているフリーの魔導士ももちろんいる。

平民はお金がないからフリーの魔導士に師事する、魔導士ももし子供の才能を開花させたら宮廷魔導士の道が開けるかもしれないから、お金が安くても頑張って教えるんだ。


各国が勇者を大捜索する時、そういうフリーの魔導士にも金眼を持った強い魔力持ちに心当たりがあるか聞いた。

そうしたら勇者に関する情報は得られなかったけど、もし『ギフト』があったなら大魔法使いになるだろうという魔力持ちはいるって言うんだ。っていうかみんな自分のことを言ってるんだけどね。


金眼の『ギフト』は魔力感知と魔法解析なんだって父さんが言ってた。

この能力は父さんも持っているし、僕も教えてもらって使える。

この魔力感知や魔法解析は魔術士の必須スキルで後天的な獲得能力なんだけど、金眼は初めから持っていてしかも広範囲で持続的に使えるのが『ギフト』ならではの能力なんだって。


僕の魔法解析のスキルはイマイチだけど魔力感知のスキルは結構高いレベルらしい。だけどどのくらいかわからない。

というのも僕たちの家族は街から離れた森の中で暮らしているから他の街の人に会うことがほとんどないからなんだ。

そして毎年冬は別の場所に移動してそこで過ごす。


去年からお姉ちゃんは学校に通い始めたから一緒じゃなくなったけど、冬休みって言う連休にはこっちに来れるらしい。


お姉ちゃんは怖い。普段はボーッとしてやる気なさそうなのに。何かスイッチが入ると超ヤバい。

集中力が尋常じゃないんだ。おまけにそのモードのお姉ちゃんは超自己中。

父さんと母さんは僕を可愛がってるだけって言うけど、絶対理不尽魔王だと思う。

だから帰って来なければいいのに思うんだけど、お姉ちゃんは異常に感が鋭い。

こんなこと思ってたら絶対感づかれてお仕置きされちゃうんだ。

だから帰ってきたらニッコリ笑って迎えることにするんだ。


平民は今までは才能のある子供だけが学校に通うことができたのだけど、平和になったので基本的に10歳になったらみんな学校に通うことが決まった。


この初等学校は2年制で成績優秀なら3年制の中等学校に進学できるようになるんだって。

この中等学校でさらに優秀な成績なら高等学校、さらに王都の王立大学校に進学できるみたい。


僕は来年10歳だから学校に通い始めることになる。

少し楽しみだけど、心配の方が大きい。

だって僕は読み書きができないんだ。


お姉ちゃんは入学前にはかなりできていたみたいだった。

家族にもそういったんだ。読み書きができないから不安だって、みんなと一緒に勉強できないんじゃないかって。

でも言うんだ、平民なんて読み書きができる方が少ないから問題ないって。

でもそういう事じゃないんだ。


だって僕は目が見えないんだから!

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