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ボタニカル

あさがお

作者: あいなめ

黄色い帽子をかぶった子供が

自分の背丈より高い

朝顔の鉢を運んでいきます


校舎の前に並べられていた

鉢を自宅に持って帰る

そんな時期になりました


夏の花と言って思い出すのは

ひまわりやカンナなど

雄々しく夏の日差しに向かうもの


けれどこの朝咲いてすぐにしぼむ

あさがおも夏の花としては

かかせないものでしょう


昔の人は特にあさがおを愛し

色や形を様々に変えた

変わり朝顔を作り出したそうです


その絞りと呼ばれる花の文様は

成長途中に変化する遺伝子により

予期せぬ形に変わるのだそうです


そしてまたその様態が変われば

変わるほどに実生を得ることが

難しくなってしまうのだそうです


その進化の果ての突然変異は

人の手を掛けなければ後に

残していくことができないのです


それは次代に受け継がれる事もなく

産まれるのが早すぎた天才の様に

時に埋もれて行ってしまうのです


子供たちが観察日記に記すのは

そんな特別な花ではなく

ごくごく普通のあさがお


それでも彼らが最後に手にする

実生の内にはどこかにその

遺伝子のかけらがあるのです


今年の夏も子供たちの家で

毎朝あさがおの花は咲いて朽ち

生命のリズムを繰り返すのでしょう

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― 新着の感想 ―
[良い点] ボタニカルの全5作品、全て拝読させていただきました。どの詞も繊細で美しく、その観察眼と生命に対する知見から来る丁寧な表現に魅了されました。私上の都合て申し訳ないのですが、ここにすべての感想…
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