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ゴブリンと共に歩む、魔王転生。  作者: 佐の輔
第一章 ブイヤ領のゴブリン達。
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ギルドとインプ。

体調不良と…デスチャイの新ラグナで書きたいストーリーの半分しか書けてません(-_-;)

でも、許してけれぇ!筆者には可愛いハチ達がAPICOで待っているんだ!!(白眼)


「……なんだか凄い事になったな」


 俺は真っ白になっているように錯覚しそうなクライスを見る。


「まあ、奴には奴なりに悪党になる理由があったということでしょう…だからと言って許されることではありませんがね」

「フン。知らぬ存ぜぬではもはや通りやせんて。ルッチ達はもう昨日、死者の星に昇ってっちまった」

「ハァハァ… タロー様、そして我が同胞たるゴブリン達よ。この度は私の身内からとんだ災いをもたらしてしまいました。どうか…お怒りは領主の私の首ひとつで済ませては頂けませぬでしょうか…」

「「ザワー様!?」」


 ザワーが俺に向って土下座すると、他の者達も俺の足元に縋るように平伏する。


「待ってくれ! 俺は新参者でしかないが…アンタ達はこれまでマット達と助け合ってきた仲なんだろう? そんな人間をどうこうできる訳もない。 さっきはよく覚えてないんだが~ついカッとなっちまったようだな。怖がらせてすまなかった。この領地、ブイヤの現状じゃまだ当分は生活が厳しいだろう…俺もなんとかやってけるようにしたいが、それにはザワー達の協力が必要不可欠なんだ。これからも、俺達に力を貸して欲しい」

「ま、魔王様…っ!」


 涙を流すザワーの手を引っ張って立たせるとインペスの住民もやっと安堵の笑顔を見せる。


「んじゃ、先ずは友好の証に…ムジャ。荷を皆の前で降ろしてやってくれないか」

「喜んで!」

「「ええっ!?」」


 ムジャが笑顔でドサリ…いやゴッサリと俺達の畑で採れた野菜を広場に広げる。ティアやエマも並べるのを手伝ってくれている。


「こ、これは…!」

「新鮮な草や葉…食べられる根じゃないか!?」

「なんか大荷物をムジャとアマスの夫婦が抱えているとは思っとったが…」


 どうやらこの世界に野菜というパワーワードはないようだ。


「皆の衆、喜べ!我らが魔王様よりの恩情でこの素晴らしい食物を皆に下賜されるぞ!」

「まあ、本当だったら…ザッカの襲撃さえなかったら、インペスにも少しは持ってこれたとは思うんだけどね」

「半分はそのまま生でも食えるが…そうだなぁ、ティアとエマ。それとニドラ達も少しばかり煮炊きして食わしてやってくれないか? ギルドの件が落ち着いたら俺達も飯にしよう」

「まかせてよ!タロー様!」

「フフフ…ちゃんと鍋(スティール兜)も持参しておりますから、御安心なさって下さい」

「私達も手伝いますっ! さあ、窯に火を入れておくれっ」


 ティア達とインペスの女達が騒がしくテキパキと料理の準備を始めてくれた。


「ほ、本当にこんなものを我らが口にしてもよろしいのかのう…」

「勿論だ。アーボ、そこからチーシャを取ってくれ」

「おお!丸まったあの葉ですな? シャキシャキとしてとても瑞々しいですぞ!」


 俺はアーボから受け取ったチーシャ…まあ、平たく言えばレタスに酷似した葉野菜なんだが。それをおもむろに無作為に毟る。


「さあ、俺達の畑で育った野菜だ。食ってみてくれ」

「ヤ、ヤサイですか? おお…!魔王様自ら振る舞って頂けるとは…星で待つ者達に自慢話ができましたぞ!」


 震える手で恭しく受け取った老人と男達が恐る恐る口に運んで噛みしめる。


「「っ!?」」

「う、美味い!?」

「なんじゃあぁコリャぁあああ!!」

「口の中が清水で溢れかえるようだ…!」

「ま、まさか…神々の食物ではあるまいか!?」


 大袈裟な…喜んで貰ったのは嬉しいが、絶叫するほどかね?

 だが、マット達はそれを嬉しそうに見やって腕を組んで頷いているから良しとするか。


「かたじけのうございますっ!」

「ザワーも後から食ってくれ。葉は本拠地にある倉庫に入れてないとあまり日持ちしないからな…悪いが、ギルドとやらに案内してくれないか?」

「わかりました。コチラです、タロー様」



 ※



 ティア・エマ・ニドラ・アケを残して俺達はインペスの町の外れへとやってきていた。


「お~確かに遠くに建物が見えるな。アレが関所か?」

「そうですぜ。聖王領の奥だともっと無駄にデカイって話でさあ。何でも領の境に城壁と村や街があるんだとか…」

「へえ~いつかは見てみたいかもな」


 俺の何気ないその言葉にピクリとマット達が反応する。 え…何だろう? この世界に観光とかそういう文化とかないんですか…。


「タロー様。この石室にギルドへと繋がるポータルがあります」

「流石に俺らの城よりは小さいな?」

「複数のポータルがある場所ではインペスの町よりも遥かに大きな建造物であるそうですよ」

「……空港みたいなもんか? SF寄りの」


 取り敢えず、ザワーに続いて中に入る。中は…うん。狭いな。ガランとした空間にただポツンと3メートルくらいの大きさの鏡が床に直接固定されているだけ。鏡と表現したが…なんというかサングラスみたいに光を吸収しているというか…俺が知る由も無い得体の知れない材質で出来ていた。


「これが、ポータル?」

「はい。と言っても大枯渇の暴動で人間族の街が破壊され、かつて十以上あったと言われるポータルのひとつと言われていますね…では、早速アメアからギルドの者を召喚しましょう」

「…召喚?」


 俺の疑問も他所にザワーは掌に乗せた印象のようなモノをポータルに押し付ける。するとポータルの表面が赤い光を放ちながら鼓動して脈打ち始めた。……なんか思ったよりも邪悪な見た目だな。



 ~30分後。



「………結構掛かるね?」

「…申し訳ありません。物資のやり取りでアメアとの行き来はあるのですが、ポータル自体は滅多に利用しませんし。多忙極めるギルドをコチラから呼び出す側としては…私達からこれ以上文句も出せないですから」


 最初は初めて見るポータルに俺も含めてハンス以外は興味津々だったのに…待機時間ですっかり白けてしまったようだ。途中、腹が減ったという理由でザワーとハンス以外の俺達が交代で飯を食いにいったくらいだ。


「ザワーも食ってきたもいいんだぞ?」

「流石に呼び出した者がその場に居ないのは…あっ」


 その時、ポータルがグニュンと波打つとどこかで見たような形状記憶合金のコピーロボットのようにひとりの人物がポータルからヌルっと出て来た。


「……移動に、隣なのに15分以上掛かるとか。旧式にしても度が過ぎますねえ~。ちはッス。ブイヤの領主さん。本日はどのようなご用件で? 私はアメアのギルド職員で……って、おや?」


 なんとポータルを潜って出て来たのはワイン色の肌に目の白い部分が黒で瞳が金色。ショートボブ、タイトなスーツを着こなした悪魔っ子だった。


「……その黒い冠。もしかしなくても、このブイヤ領の魔王様ですか?」

「えっ…そ、そうだけど?」

「ちょっと失礼するッス」


 その彼女が胸元からおもむろに取り出したものを見て俺は仰天してしまう。


「スマホ!?」

「いえ? 新型の携帯用魔法の石板。通称スマート・ストーン。略してスマストですが何か?」


 とんだ塩対応だが彼女が真剣にスマホ…じゃないスマストを弄っているので俺は黙ることにした。


「お名前をお伺いしても? あ。フルネームでお願いしますッス」

「タロー……あ~。ブイヤ・タロントン…だ」

「おかしいッス。ギルドのライブラリーで検索しても…ブイヤ領の魔王はブイヤ・グノーシアスになってるッス? かと言って魔王の座が空席になっているわけでもないから貴方が正式な魔王なのは間違いない……もしかして、一度も更新されてないんスか?」


 更新? なんぞそれ…。


『呆れた。アンタ…一度も城のベッドで寝てないでしょ』

「寝てないぞ。殆どマット達のテントだな」

「あ~…やっぱりッスか。まあ~意図的に隠蔽していないようなのは魂の色で判別できますんで…できれば一度は更新なさって下さいッス」

「魂の色ってなに!?」


 俺がサッと胸を隠すと彼女はクスリと笑って俺に向って一礼する。


「改めて…ブイヤの新魔王、タロントン陛下。私は隣領アメアの下級ギルド職員、インプ族のマジック=ザ=キャサリンクと申します…ッス。気軽にキャサリンと呼んで欲しいッス。…その顔は、私の名前ですね? 文句があるのならどうぞ魔神様に言って欲しいッス。私も好きでこの名前になった訳じゃないんスから…」


 魔神…やりたい放題だな。スマストといい、どうやら俺の世界かそれに酷似した世界の技術をパク…流用してるようだな?


「俺の事はタローで頼むよ。えーと、今日呼び出したのは他でもない俺なんだ。ザワーに頼んでな。うちのゴブリン達を殺した冒険者を捕まえたんだが…引き取って罰して欲しい。ちょっと来てくれないか?」

「あ。大変恐縮なんスが…私達、悪魔族はギルドで亜人や人間族の手助けや不正を失くすように魔神様に創造された存在ッス。人間族と同じくポータルを使えばどこの領地にでも行けるスが…太陽光か月の光を浴びると死んじゃうんッスよね~ガチで。種族自体がインドアの社畜みたいなもんッスから…申し訳ないんですが、その冒険者達をここまで連れて来てもらえないッスかね? 照合しますんで…」


 うわ…思ったよりもエグイ種族だな。後でお土産に野菜でも渡しとくか。


「わかった。すまないマット達、一緒に連れてきたアイツらを中に入れてくれ」

「わかりました」

「承知!」

「お安い御用でさあ」


 こうしてマット達がクライスとモービック君、他2名をポータルの前に突き出した。勿論、クライス以外はボロボロでマトモに身動きできない状態だったが。


「あ。コイツら…」


 スマストで顔を撮影しようとしたキャサリンの手が止まる。


「やはり賞金首か?」

「……いいえッス」


 キャサリンは首を横に振る。



「残念ながら当ギルドではこの人間族4名を引き取る事も罰する事もできないッス」

 


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