mission4-3 神隠しの子どもたちを探せ!
※注意※
あくまでR15の範囲内で、少しエッチかもしれませんので、苦手な方はお引き返しください。
逃げ足の早いヤツだね、と、悔しげにちっ、と舌打ちをしたルーカスからは、ぞわりとするほどの殺気が立ち込めていた。
この場で消滅まで至らなかったことが相当悔しかったのだろう。
それはある意味アリアも同じで、四人で対峙してさえ「逃げられる」という結末となった"ゲーム"通りの展開に人知れず悔しさを噛み締めるしかなかった。
「……どこか休ませられるところはあるか?」
一時的に預けていたユーリの手元からアリアの身体を抱き上げて、まだ抑えきれぬ殺意を滲ませているルーカスへと、シオンは平然と問いかける。
「それなら、王宮の馬車を手配しておいたけど」
チラリと満身創痍のアリアへと視線を投げ、今ならば無人のはずだから使えばいいと、ルーカスは答えを返す。
もしルーカスが"ゲーム"通り師団長としてここへ来ているのならば、もしかしてリオも来ているのかと思い、アリアは自分が起こした事態へと申し訳ない気持ちでいっぱいになってくる。
心優しいリオのことだ。今回のこともまた、酷く心を痛めるに違いない。
「シオン……ッ、自分で……っ」
ルーカスの言葉通り無人だった馬車の中へと無断で足を踏み入れて、"お姫様抱っこ"状態だったアリアを静かに横たえるシオンへと、アリアは慌てて声をかける。
回復魔法を使うつもりなら、少し休んで魔力が回復さえすれば、自分自身で処置できる。
もしくは薬を、とも思ったが、緊急事態でもないのでそこまではという遠慮もあって言い出せない。
「それだけ魔力が枯渇していてなにを言っている」
魔力だけでなく血も足りないだろうと、貧血に陥っているアリアを強引に黙らせて、シオンは回復魔法を宿らせた掌をアリアの腕へと滑らせる。
「で、でも……っ」
浅い裂傷はアリアの全身に及んでいる。
治療目的だとわかってはいても、その大きな掌が全身へと翳されるのかと思ったら、羞恥でどうにかなってしまいそうだ。
「シオ……」
「いいから黙ってろ」
明らかに怒気の含んだ声色にそれ以上なにも言えなくなり、アリアはあまりの恥ずかしさからぎゅっと瞳を閉じる。
「……っ……」
触れるか触れないかの微妙な距離感で肌の上を滑っていく、仄かな暖かみを伴った癒しの光。
直接触れられているわけではないというのに、確かに感じるシオンの掌の感覚にびくりと身体が逃げを打ってしまう。
「……お前は、どうしたら懲りるということを覚えるんだ」
反対側の腕へと回復魔法をかけながら、苛立たしげに向けられた鋭い眼差しになにを返していいのかわからない。
(……怒って、る……?)
怒気の孕んだ空気を前に、アリアはそれも当然のことだろうと思う。
あれほど止められたにも関わらずこんな失態を起こし、その上結果的にまたシオンたちに迷惑をかけることになったのだから。
「……あの、シオ……」
「わからせないとダメか?」
ごめんなさい、と言いかけた言葉の先は、鋭い視線の前に声になる前に空気へ消えた。
「一度痛い目をみなければわからないというのなら」
「……ん……っ」
足元から腿までゆっくりと滑っていく掌に、反射的に肩が震える。
「オレが、一生消えない傷を残してやろうか?」
「……え……」
シオンの右手が怪我などしていない腹部あたりを意味深に触れて、一瞬呆気に取られた後に、その意味を悟ったアリアは瞬時に顔を紅潮させる。
「……な……っ?」
止血しただけだった胸元の傷を確認しようとでもいうのか、シオンの手がギリギリまでワンピースの胸元部分を引き下げて、さらなる羞恥に頭がおかしくなりそうになってくる。
「他のヤツに暴かれるくらいなら」
「……ん……っ」
低く囁かれるような吐息が胸元にかかって肌が粟立つ。
そのままシオンの髪の感触が首元にかかって、アリアは思わずシオンの身体を押し退けるように手を突っ張ねる。
「このまま、オレのものにしてやろうか」
けれど、囁きと共にアリアの抵抗はシオンの手の中へと封じられ、アリアは驚きに目を見張る。
(嘘でしょ……!?嘘ウソ嘘……っ!)
もはや頭の中はパニックだ。
止血しただけだった胸元の傷に顔が埋められ、傷口の上からシオンの這うような唇の感覚がする。それと同時に確かに痛みが引いてその部分が治されていくのもわかるが、治療のためにわざわざそんなことをする必要もない。
「シオ……ッ、待っ……」
シオンの左手が、まだ治療の終えていない右足に残された浅い傷口を癒していく。
けれど、それと同時に傷を癒すはずの動きが、明らかに別の意図を持ち始めたことに気づいて肩が震えた。
「……こんな、ところ、で……っ」
胸元に感じる吐息。
思わず滑り出た制止の言葉はそんなもので、なんらシオンの行為を止める理由にはならない。
「こんなところでなければいいのか?」
「そーゆー意味じゃ……っ」
顔を上げることもなく胸元から聞き返され、アリアは焦躁の声を上げる。
「少し黙れ」
色気のない、と抵抗を制されて、もうどうしていいかわからない。
純真無垢な少女のアリアと、そんな時でさえシオンの余りの色香に惑わされてしまうミーハーなアリアが混在する。
「……ん……っ」
腰から上へとシオンの長い指先が滑って、アリアは思わず出そうになる甘い吐息を噛み殺す。
と……。
ココン……ッ
「シオン、ちょっといいか?」
馬車の扉を叩く気配があって、ルイスと思われる声が中まで届く。
それに慌てて身を起こそうと力を入れるも、シオンの拘束を前にそれは無駄な足掻きとなっただけだった。
「取り込み中のところ申し訳ないんだが」
ガチャリ、とドアが開き、ルイスが顔を覗かせる。
(待って待って待って……!)
一人混乱の渦の中へと突き落とされるアリアを置いて、ルイスは顔色一つ変えることはない。
羞恥はあるが、これで解放されると安堵しかけていたアリアは、二人のその様子にさらに窮地へと落とされることになる。
「シオ……っ!」
構わず、首筋へと落ちたシオンの唇。
「なんだ」
視線を向けるでもなく言葉だけをルイスへ返し、シオンの指先が明らかな意図をもって脇腹を撫で上げる。
「……ぁ……っ!」
びくんっ、と跳ねるように仰け反る背中。
「リオ様がお呼びだ」
ただただ淡々と告げられる言葉の前に、余計に羞恥が強くなる。
仕方ない、とでも言いたげに吐き出されたシオンの吐息。それと同時に首筋へと甘噛みを落とされて、閉じられた瞼が震えた。
「……ん……っ」
「わかった。すぐに行く」
この言葉に、密かにほっと安堵の吐息を吐き出して数秒後。
「続きはまた後だな」
耳元へと囁かれ、全身が火の吹くような熱に晒された。
「……アリア、お前も大丈夫だな?」
ルイスからなんの感情も読み取れない声色で確認され、アリアは「はい……」と小さく返信する。
もはや恥ずかし過ぎてルイスの方へと顔が上げられない。
あちこち破れた服を見かねたように、シオンが車内にあった蒼色の膝掛けのような生地をアリアの華奢な肩へとかけた。
「歩けないなら抱いていくが?」
「大丈夫……っ」
その申し出には全力で首を振り、アリアはシオンに支えられるようにしてリオの元へと足を運んでいた。
セーフでしょうか?アウトでしょうか??
きちんと規定は熟読して、ギリギリ大丈夫だと思うラインで留めたつもりなのですが…。正直ドキドキしています。
(「アウトだよ!」というようでしたら、こっそりメッセージでご指摘頂ければ助かります。改稿します。)
R15である以上、必ず邪魔は入ります。
今後も時々…。予告はしませんので、無理だと思われましたらここでお引き返し下さればと思います。
ブックマーク、評価、感想、ありがとうございます。励みになります。
誤字脱字報告もありがとうございます。助かります。
文字が小さくて、濁点と半濁点をよく見間違えます…。