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爆縮と体温の機知(8)

期限の無い約束

「また来ようね」が叶う時

明るい色が飛び散って

ひらひらと広がって

一つに固まる

壁を越えて行く瞬間に

「これからも、ずっと」で作られる

太陽のでき方だ

一年後も一緒に居られる光だ

そう思える光だ

次はもっと

大きな物を作りたい

時間を越えられるように


なんとなくの約束が

ふとした日に思い出されて

「やってみようか」に

「いいね」が付いて来る

そんな二人が理想的だけれど

二人が一つの気持ちを育むことと

二人が一人一人で居ることは

やっぱり違うんだよね

時間が合わないことは

「仕方ない」で終わる

そんな大人で居るから

会った時には

楽しいプランが消えている


一緒に出かけることは

楽しいことばかりだった

失敗もトラブルも笑えたし

喧嘩も無かった

けれど

帰り際に

いつも二人で言っていた

「また来たいね」は

口から出ただけになっている

期限の無い約束だと思うことは

ワガママなことなのかな

そんなことを考えて

仕事帰りに寄るって言った

あの人を待っている

ノートパソコンには

お気に入りの旅行写真が

ブルーライトで

照らし出されていた


チャイムの音で

畳まれた考えとノートパソコン

笑顔で出迎えに行くと

荷物を持って来たあなた

いきなり「出かける準備して」

なんて

前から言ってくれれば良かったのに

「サプライズにならない」の一点張りで

一時間半で無理矢理に準備した

車に乗り込んでシートベルト

エンジン音がすると

景色が移動する

静かな車内は車の音だけで

夜の景色が眩しかった

最初に信号で止まった時

「彼処に行く」って

あなたは言って

優しく笑った


天気までは調べていなくて

そのどうしようも無さが

可愛かった

その場所はずっと雨で

傘を差しても服は濡れた

前にも見た場所を

見て回りながら

あなたが

バツが悪そうな顔をしているから

いつもより寄り添って歩いた

眠っていないから

早めに旅館に着いて

早めに夕食にした

浴衣姿で

はしゃいで見せても

あなたは苦笑いだった

「また来ようね、雨の日に」

言ってあげると

「皮肉みたい」と返された


「雨の日が駄目って

周りが言っているだけで

二人では決めていないし

晴れの日には

来たことがあるんだから

後、二回は来れるんだよ」

真剣に言ってみると

伝わった物があったようで

馬鹿笑いに変わる

伝わることは

受け入れられてことだと思えた

それだけで充分だった

「雨の日に乾杯」

グラスが鳴ると

雨音が綺麗に聞こえる

お気に入りの場所の雨は

二人で見る初めての光景になった

そんなことよりも

期限の無い約束を守ろうと

動いてくれたことが嬉しかった

少し離れてひかれた布団を

くっつけて眠る

好きな場所で

また約束が増えたことを

素直に幸せだと感じた










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