いつかあなたと、そんなクリスマスを。
ほんの少しまえから家のお手伝いを
がんばるようになって
仕事から帰ってきた父さんの肩を
たたくようになって
いっしょうけんめい良い子の点数を
かせぎはじめると
クリスマスまで あともうすこし
サンタさん 今年も来てくれるよね?
クリスマスケーキえらびは
私のおしごとで
沢山のごちそうを作るのは
母さんの担当で
シャンメリーを開けるのは
父さんの係りだ
待ちに待った楽しい クリスマス・パーティー
父さんがグッと力を入れて シャンメリーの栓を抜こうとしたら
私はいつも両手でぎゅっと耳をふさぐ
ポンッと音がしたら しゅわりと……
父さんはおどけて ちょっぴり泡をあふれさせるけれど
私はそれをもったいないって 毎年怒るんだ
ファンタやコーラとはちがう
しゅわしゅわマスカットの淡い色に
なんだか今夜は 少しだけオトナになった気分
プラスチックのコップじゃ
ちょっとさまに ならないかもしれないけど
私のキティちゃんが カワイイのは変わらない
本当は父さんと母さんが大事にしている
ガラスのワイングラスに あこがれてるけど
私のキティちゃんに それはナイショだ
家族三人で楽しい クリスマス・パーティー
けれどそんな日を
いつからだろう
友達と遊ぶほうが楽しいと
思うようになったのは
恋人と一緒に過ごしたいと
願うようになったのは
今も両親を大切に思っているのは 変わりないのに
私が大人になった いま
母さんにはクリスマスの料理を習ったりしてるけれど
父さんのシャンメリー係りはお役ごめんになって
わたしのサンタクロース役もバトンタッチだ
いま目の前にいる あなたも
いつか ちょっぴり寂しいサンタクロースに なるのだろうか
なってくれるかな?
なってくれるよね?
なってくれると 嬉しいな
もしそんな将来が訪れても 大丈夫だよ
私も母さんがそうしたように
どんな時でもあなたの 隣にいてあげるからね
いま目の前にいる 愛しいサンタさん
いつかそんな未来を 私にプレゼントしてね
あの頃のクリスマスを
今度はあなたとつくりたい