朝の気分
鐘が首を振れば
広場で飛び立つ鳩
クラシックのLD
私の好きな場面
鳴り響く「朝の気分」
何度も何度も
繰り返し観ていた
何かを清らかに洗うように
聴いていた
今はもう擦りきれた思い出
アイロンでプレスされるシャツ
蒸気で香る洗剤の匂い
呼び覚ます記憶と
ただ気持ちよくうたう鼻唄
どこかで重なる
いつかの私が
耳をすませて
幸せですか
今
シャボン玉の中で
弾けるのを待つばかりで
見下ろす景色の色合いも
知らないままじゃありませんか
幸せってなんですか
あの時
問いかけばかりを浮かべて
本当は答えなんてちっとも
欲しくなかったのではありませんか
飛び立つ鳩を追いかけてく
薄ぼんやりとした青空
ブラウン管の景色
ひとときの美しい音色
手に入れたかったものすべて
連れてくように響いていた
窓辺の白いカーテン
淡い朝の光
振り返ることは
時に
透き通る風を見るようなもの
幸せですか
今
ただ問いかけることだけが
祈りのようで
虹色を歪ませるシャボン玉
高く高く
飛んだ場所で
澄みきるとは
どんな気持ちでしょうか