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BRAVE NEW WORLD<素晴らしき新世界>  作者: olupheus
チュートリアル
6/27

パニックになると操作が単調になって、結局やられること、あるよね

チュートリアルはまだまだ続きます。覚えることもまだまだあるんです。

例えいきなり敵襲があったとしても、チュートリアルは空気を読みません。

 矢が暗闇が襲い来る。敵がどこにいるのか分からない。どうしよう? どうすればいい? 武器を抜くこともせず、おろおろする僕にマロンが叫ぶ。


「ブランくん、まず物陰に隠れよう! 敵を探すのはそれから!」


 マロンは広場の端に置いてある岩の陰に隠れる。


《ブランさん、取りあえずマロンちゃんのいる岩まで走ってください!》

「は、はい!」


 ヘイムダルさんにも言われて慌てて走り出し、岩の陰に滑り込んだ。


《バタバタしてますけど大事なことなのでしっかり聞いてください! こういう岩みたいなの、『オブジェクト』っていうんですけど、それにアバターの体の80%以上を隠すと『カバー状態』になります!》


 相変わらず矢が雨のように降り注ぐ中、ヘイムダルさんの説明は続く。


《カバー中敵の攻撃はオブジェクトに当たればもちろんノーダメージ、自分に当たっても防御力が上がっているので、ダメージは少なくて済むんです! 他にもカバー状態では敵からの見つかりやすさ、被発見率が下がったり、良い事が多いので積極的に活用してください!》

「分かりました! で、今回はどうすればいいんですか!」

《カバー状態のまま敵を探してください! 矢の飛んでくる方向に敵はいます!》


 僕は暗闇に目を凝らす。やっぱり良く見えない。……でも、矢か……。

 僕は矢の動きをよく見ることにした。もっと言うと、矢がどの辺りから飛んでくるのか、それを見極めるように……。


 すると……、いた! 朝戦ったのと同じような野盗が弓を構えている! 野盗をじっと見ると、野盗の頭上に赤い『▼』が付いた。


《あの赤い『▼』は『スポット』、敵がここにいる! というのを示すマークです。あれが敵だ、と認識しなければスポットは付かないので、気を付けてくださいね》


 ヘイムダルさんの説明が終割った頃に、準備を整え終わったらしいロッソ達が出てきた。


「敵は向こうだな! 行ってくる!」


 ロッソ、アスールが飛び出していった。シンザは馬車の前で大楯を振り回し矢を止める。ベルデはこちらに近寄ってきた。


「大丈夫? ケガ、してるから、治してあげる……」


 僕に対して言ってきた。え? と思いながらHPを見ると、


HP <|---ー|ーーー|>


 丁度HPゲージの一本分が無くなっていた。いつの間に! と思ったけど、思い当たる節は最初の矢による攻撃しか思いつかなかった。奇襲されると、ダメージ上がるんだ……。


 そんなことを考えてるうちに、ベルデが回復魔法を使ってくれた。僕のHPは100%に戻った。同じ頃、ロッソ達が野盗を倒し終えたらしく、こちらに手を振っている。


>周囲にエネミーの反応無し

>スポットアシストによる経験値を獲得


 どうやら、見つけた敵を誰かが倒しても経験値が入るらしい。


《敵を倒す以外の経験値はパーティーに入っているときといないときでは、もらえる量が違うので注意してね》


 というヘイムダルさんの但し書きが付いた。


◇◆◇◆◇-------------◇◆◇◆◇


>Main Objective completed

>Checkpoint Reached

>Main Objective Update

>『街へ向かう』


 その後特に敵襲は無かったけど、また野盗が襲ってきてはたまらないので、朝食を簡単に済ませて出発した。


「いや~、馬車にも大きな被害が無かったから、助かるよ。この調子まで街までよろしく頼むね」


 というハイドさんの言葉を背に受けて、僕たちは街道を進む。今日も天気が良く、空は晴れ渡っている。穏やかな風も、草の匂いも変わっていない。


 また野盗が来るかな~、と思いながら、仲間たちと一言二言交わしながら進んだけど、結局敵が来ることは無く、あっという間に野営の時間となった。


 今回は昨日みたいに野営に適した広場があるわけでは無いので、街道の端に馬車を寄せてから野営することになる。


 さすがに二回目ともなると手慣れたもので、野営の準備はあっという間に完了した。食事を摂りながら時折回りを警戒して、奇襲されないようにする。


 そして見張り番。ペアは昨日と変わらないけど、順番が変わった。


 一番目:マロン、僕

 二番目:シンザ、ベルデ

 三番目:ロッソ、アスール


 中途半端に寝たり起きたりした上に、明け方には野盗と戦いを繰り広げたロッソ、アスールペアはできるだけ睡眠を取れるようにした。


「いや、ありがたい、助かる。正直、歩きながら寝そうだったんだ」

「うん、もう敵を見つけろとか言われても無理かも……」


 順番にロッソ、アスールの弁。何だかゾンビみたいな足取りで寝袋に潜った。


「うぅむ、楯に傷が……。ちょっと寝る前にメンテする」


 シンザは矢を防いだときに傷が付いたのを気にしていたらしく、僕たちの横で楯のメンテナンスを始めた。


「でも、別に使うには問題ないんじゃ?」


 マロンが聞くと、


「いやぁ、そうなんだが、親父から受け継いだ楯でな……。きちんとメンテしないと気が済まないんだよ」


 と手を止めずに答えた。


「ふーん。でも確かにすごい楯だよね。きっちり矢を防いだし」

「おいおい、俺の腕前も褒めてくれよ」

「はいはい」


 話を聞いていた僕も含めて、三人で笑い合った。その後「じゃ、お先に」と言ってシンザは寝袋に入っていった。


 その後はマロンと二人、取り留めのない話をしながら警戒する。ここでも何かが来ることはなく、やがて交代の時間を迎えた。


「ふわぁ……、おはよう」


 寝ぼけまなこのベルデが僕たちの元に来た。


「おはよう。……左の髪の毛が撥ねてるよ」

「え? うそ!」


 マロンに言われて、ベルデは慌てて手櫛で整えようとするが、寝ぐせは収まらなかった。


「うぅ、恥ずかしい……」


 その後も何度か髪を整えようとしたが、結局戻ることは無かった。


「ブランくん、シンザくんを起こしに行ってもらってもいい?」

「うん」


 わいわいとやっている二人を背に、シンザを起こしにいった。


「交代だよ?」

「……む、そんな時間か。分かった。すぐに……」


 セリフは『ピィーーッ』という鋭い音にかき消されて、最後まで続かなかった。慌てて外に飛び出すと、月の明かりを隠す巨体が空に浮かんでいた。


「な、何、あれ……」


 現実では決してお目にかかることは無い、大きな大きな鳥、怪鳥がそこにいた。


>Checkpoint Reached

>Main Objective Update

>『街まで逃げ延びる』

>Sub Objective Update

>『怪鳥ガルダを討伐する』

┏──   Progress    ──┓

《Mission Objective》

・街まで馬車を護衛する


《Main Objective》

〇 装備を整える

〇 パーティーを組む

〇 簡易広場まで進む

〇 馬車の周囲を見張る

〇 敵襲を凌ぐ

・ 街へ向かう

・ 街まで逃げ延びる


《Sub Objective》

・ 怪鳥ガルダを討伐する


┗────      ────┛


さあ、ボス敵の登場です。でもイベント戦の負け戦じゃないんです。これからどうなってしまうのか、次回もお楽しみに!

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