表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BRAVE NEW WORLD<素晴らしき新世界>  作者: olupheus
チュートリアル
5/27

新しいゲームの初戦闘って、何でかドキドキする

さあ、戦闘です!

最近のRPGもぼーっと突っ立ってるものより、アクション要素のあるものが主流になって来てますね。いいと捉えるか、合わないと捉えるかは、まぁそれぞれ次第ということで……。

 馬車の前方で、激しい戦闘が繰り広げられている。僕の前にも敵が一人。後ろには治癒術士(ヒーラー)のベルデと、念のために残った盾騎士(タンカー)のシンザ、そして馬車がいる。護衛対象を守り抜くには、ここで何とか敵を倒すしかない。


 覚悟は決まった。

 ゆっくりと長剣を構える。

 野盗はにやにやと、こっちの様子を伺っている。

 僕は真っすぐ飛び出した。

 たちまち野盗が目の前に。

 そのまま左を通り抜ける、

 ついでに長剣を振り抜く。

 ヒット。

 野盗のHPがぐっと減る。

 あと二撃くらい?

 僕を追いかけてきた野盗が剣を振る。

 上段から真っすぐ。

 僕は横に飛んで、何とかかわす。

 攻撃は大振りで、見やすかった。

 剣を振り下ろして固まっているところに、もう一撃。

 今度は縦に振る。

 ヒット。

 さっきと同じダメージ。

 相手の体制が整う前に。

 下に振り下ろした長剣を、上に振り上げる。

 ヒット。

 それで野盗のHPは尽きた。

 血は出ず、ポリゴンが弾けた。


>エネミー:野盗は倒れた


 他はどうかな?

 ロッソはアスールと協力して、今野盗を倒し切ったようだ。

 マロンはまだ倒し切れていないようだ。僕が行くとしたら、そっち。ベルデに目配せして、僕は駆け出した。


 マロンは踊るように短剣を翻している。

 ただ、いかんせん威力が低いのか、押し切ることができていない。

 僕はマロンが戦っている野盗の後ろから奇襲をかけた。

 長剣を横に一閃。

 左から右へ。

 ヒット。

 元々ダメージを負っていたのと、奇襲によってダメージが増えたおかげで、野盗は一撃で弾けた。


>エネミー:野盗は倒れた


 周りを見る。

 敵は、いない。

 どうやら、初戦闘は大した被害を出さずに終わらせることができたらしい。

 マロンが近寄ってくる。


「ありがとう、助かったよ!」


 その言葉を聞いてようやく僕は、緊張を吐息に乗せて解くことができた。


>周囲にエネミーの反応無し

>経験値を獲得


◇◆◇◆◇-------------◇◆◇◆◇


 それから何度か野盗の襲撃があったけど、僕たちはどうにか切り抜けることができ、予定通り野営ができる簡易広場までたどり着くことができた。


>Main Objective completed

>Checkpoint Reached


「じゃ、野営の準備をしようか」


 それぞれがテントを作ったり、ご飯の準備をしたりする。最近の色んなゲームに搭載されている空腹度、眠気といったステータスはこのゲームにもきっちり搭載されており、HPと同じく%で表される。


 このゲームでは0%になったら一気にバッドステータスの嵐が襲ってくるのではなく、一定値を切ると軽いバッドステータスから発症し始めるようになっている。そこから更に数値が下がるとどんどん重いバッドステータスが……、という感じになるそうだ。


 だから適切なタイミングでの食事、休息が必要になる、というのがヘイムダルさんの弁。ちなみに、空腹度については簡易糧食、いわゆるレーションを食べることで、眠気はごく短い仮眠を取ることである程度カバーすることができるとのこと。


 そんな説明を聞いているうちに食事ができたので、ハイドさんを交えてみんなでご飯を食べる。あの戦闘が、とかあの連携が、とか話題はそんなのばっかりだったけど、ご飯は大変おいしく頂くことができた。


 その後、休息を取ることになったのだが……。


「簡易広場とはいえ、全員で寝たら何かあった時に対応できない。交代で周囲を見張ったほうがいい」


 というシンザの言により、見張りの当番を立てることになった。初めは男性陣だけで、という話だったが、マロンとベルデが自分たちもやる、と強硬に主張したため、結局六人を三グループに分けて順番に担当することとなった。


 んで、くじ引きの結果……。


 一番目:シンザ、ベルデ

 二番目:ロッソ、アスール

 三番目:マロン、僕


 僕は夜明け前頃の見張りを担当することになった。それまでは眠れるので、ハイドさんが貸してくれた寝袋にくるまり、馬車の中で横になった。


◇◆◇◆◇-------------◇◆◇◆◇


>Main Objective Update

>『馬車の周囲を見張る』


 仮眠の時間はあっという間に過ぎた(ゲームだから当たり前か)。ロッソに揺られて僕は起きた。一言二言挨拶を交わすと、ロッソは寝袋にくるまり、あっという間に眠りに落ちた。


 馬車の外に出る。陽はまだ昇っていないので、真っ暗である。光源はたき火だけ。何となしに空を見ると、たくさんの星々が煌き、一部は河のように連なっている。なんとなしにぼーっと見ていると、煌く星の間を光の帯が通り抜けるのを見つけた。


 風は穏やかで、時折草木をさわさわと揺らしている。普段だったら何となく不気味に思うかも知れないけど、きれいな空を見たせいか、僕は安心感を覚えた。


 そんな風に立ち尽くしていると。


「ブランくん、いつまでもそんなところで立ってないで、こっち来たら?」


 たき火の横に座る、マロンから声を掛けられた。マロンの横に座ると、


「静かだねぇ」


 そんな風に言われた。


「そうだね……。風の音しかしない」


 そう返すと、


「あの……ね、朝はありがとうね」


 いきなりそんなことを言われた。


「朝? 何かあったっけ」

「ほら、野盗に襲われたとき、助けてくれたでしょ? だから……」

「あ、ああ、いや、あれくらいは同じパーティーだし……」

「それでも、だよ」


 そして、沈黙が包む。……なんだけど、僕の脳内では。


(あれ? これ、どうなってんの? どゆこと? 何でマロンが話し掛けてくる率が多いの?)

《それはホラ、あれですよ~。NPCとの親密度ってやつ。ブランさんは最初からマロンと親密度が高めになってるんだよ!》


 いきなりのヘイムダルさんの声にびっくりしたけど、何とか顔に出さないようにする。


(いきなりびっくりするじゃないですか! ていうか、親密度高めって言われても、学校のことは何にも知らないからそのうちボロが出ちゃいますよ!)

《だ~いじょうぶですよ~。NPCは実際にプレイヤーの周りであったことしか話題にしませんので。ま、頑張って!》

(何を!?)


 という疑問に答えてくれる(ヘイムダルさん)の声はそれきりありませんでした。ぼーぜんとしていると、


「どしたの? 何かあった?」


 というマロンの声。


「い、いや、何でもないよ?」


 これでごまかせるんだろか……。

 そんなことを話しているうちに、向こう側の空が白んできた。こういう時間は早く進むようになっているらしい。夜明け前の明るくなってきた空に目を細めていると、


 ヒュッ


 という音と共に衝撃。何が、と考える暇も無く、またヒュッという音がする。それらは僕には当たらず、地面に突き刺さった。よく見ると……。


「矢!?」


 そうしている間にも、矢がどんどん降り注いてくる。僕は無理やり叫んだ。


「敵だー!!」


 馬車の方からごそごそ音がし始めたけど、準備には時間がかかりそうだ。マロンは既に短剣を抜いている。ここは僕たちで何とかするしかない……!


>Checkpoint Reached

>Main Objective Update

>『敵襲を凌ぐ』

┏──   Progress    ──┓

《Mission Objective》

・街まで馬車を護衛する


《Main Objective》

〇 装備を整える

〇 パーティーを組む

〇 簡易広場まで進む

・ 馬車の周囲を見張る

・ 敵襲を凌ぐ


《Sub Objective》


┗────      ────┛


ついでに言うと、戦闘とそうでない時間の区切りもシームレスなものが増えましたよね。いちいち画面が切り替わらないでそのまま戦闘! みたいな。


個人的には三國無双6以降の演出が当時素晴らしいと思いました(小並)。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ