戦いの果てに
こっちはひっさぶりの投稿です。
ちょっと勉強しないといけないことがありまして……。と、とにかく、どうぞ!
目の前が明るくなったとき、僕は都市の中にいた。どうやらHPが0になったことで、リスポーン地点に戻されたらしい。さっきはちゃんと見えなかったけど、ミッションはうまくいったんだろうか。そう思ってログを見ると……。
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Mission Information
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>Mission accomplished
良かった。ちゃんと成功していたようだ。……おや、まだ下になにか……。
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Mission Information
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>経験値を取得
>LEVEL UP
あ、ジョブレベルが上がってる。結構上がったから、また新しいスキルを覚えられそうだ。もう覚えてるのも熟練度が上がってる。やったね。
そんなことをあれこれ調べてひとり喜んでいると……。
ピリリリ、とコール音。これは、シャーラちゃん?
《せんぱい、今どこですか!?》
耳がキーン、としそうになった。
《リスポーン地点がいくつかあるみたいで、どこにいるか分かんないんです! せんぱいが今いる場所を教えてください!!》
「わ、分かったから、落ち着いて。というか、そっちこそ、どこにいるの? 僕が行くから」
《すぐ来てくださいよ!》
その後なだめるのに数分かかったけど、何とか場所を聞き出すことができた。
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「せんぱい、無事ですか! ちゃんと生きてます!?」
待ち合わせ場所についたとたん、シャーラちゃんによる容赦のないボディーチェックが始まった。
「あー、シャーラちゃん、大丈夫だよ。それにこれ、ゲームだよ?」
「うぅ、だってー!」
聞くところによると、知り合いで戦闘不能になった瞬間を見たのは僕が初めてだったらしい。それに糸が切れたように倒れて、そのまま消えてしまったから、心配になったんだそうな。うん、そんな消え方したら、いくらゲームとはいえ不安になるよなぁ……。
なんてことをぼーっと考えていると、苦笑しているアイギスの横に誰かが立っているのが見えた。
「あれ、アイギス、その人は……。バフをかけてた魔術士の人?」
「あーブラン、こいつはな……」
「先輩……」
ん? 先輩。そんな呼び方をするのはここで鬼気迫る表情をしてるシャーラちゃんだけのはずじゃ? あれ、でも、何か聞き覚えのある声……。その人は顔を覆うフードを取る。……んん?
「ひょっとして……」
「はい、私です……」
多少顔の造形は変わっているけど、間違いない、恵梨華ちゃんだ……。
「あれ、このゲームやってたの?」
「そうなんです……」
何でか恥ずかしそうに答える恵梨華ちゃん。
「俺たちも知らなかったんだ。どうもサービス開始の時からプレイしてたらしい。最古参だぞ?」
「へぇー……」
驚いた僕はそんな声しか出なかった。あんまりゲームが趣味とか、そんな感じはしなかったんだけど……。ちらっとプレイヤー名を見る。『ヘスティ』と書いてあった。しばらくじーっと見ていたら、恵梨華ちゃん、じゃなかった、ヘスティちゃんがもじもじと、
「あの、先輩、恥ずかしいです……」
と言った。どうもまじまじと見過ぎていたらしい。
「あ、ごめん……」
と呟き、アイギスの方に視線を向けた。
「まぁ、何にせよ無事でよかった。取りあえずギルドハウス行こうぜ。報酬もらわなくちゃな」
「うん、そうだね」
そうして、僕たち四人はギルドハウスに向かった。
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「すごいなぁ、このミッション。冒険者レベルが結構上がる」
「ブランは冒険者レベル低いからな。まあそれを抜きにしても、こういう緊急系のミッションは報酬が高めになってるんだけどな」
「共通スキル、どうするかなぁ」
「それは自分の戦闘スタイルと相談だな」
「確かにね……」
ギルドハウスに向かった僕たちは、そこで報酬をもらった。結構な量のお金がもらえたので、これで武器をまた揃えないといけないなぁ……。今自分の手元には、グリズリーマザーにトドメを刺した数打ちの剣しかない。
「だけどまぁ、それは明日からだな。そろそろログアウトしないと、もう体力的にキツイ」
「え? うわ、もうこんな時間かぁ。そうだね、もうログアウトしよ……」
「そーですねー、寝不足は美容の大敵ですよっと……」
「ふふ、そうだね。明日起きられなくなっちゃうもんね」
現実の時間はもう十時を過ぎていた。結構長くやってたんだなぁ。そんな感じしなかったのは、それだけ夢中になってたってことか……。
「じゃ、ブラン、また明日学校でな」
「せんぱい、また!」
アイギス、シャーラちゃんはログアウトしていった。この場には僕とヘスティちゃんが残る。
「いやー、びっくりしたよ。まさかここで会うとは思わなかった」
「ふふ、そうですね。私はさっきミッションで先輩を見かけたとき、すぐに分かりましたよ」
えー? やっぱり髪の色変えたぐらいじゃすぐわかっちゃうんだろうか?
「でも何でまたフードで顔隠してたの?」
「そ、それは……、やっぱり恥ずかしかったので……。キャラメイクはともかく、衣装なんかは自分の好きなものを自由にコーデできちゃうので、普段と印象が変わっちゃうから、その……」
わたわた、と説明するヘスティちゃんをぼーっと見る。そのうち勢いが無くなってうつむいてしまった。
「ま、まぁゲームだし、いいんじゃない?」
と、取りあえず当たり障りのないことを言った。
「じゃぁ、僕もそろそろログアウトするよ。また明日ね」
「……はい。あ、先輩……」
呼びかけてくるヘスティちゃん。
「ん? 何?」
「あの、さっき、助けて頂いてありがとうございました……」
さっき? ミッションのとき? あー、そういえば避けないでかばってたような……。
「先輩、カッコ良かったです……。えっと、それだけです! また明日!」
そう言ってヘスティちゃんはログアウトしていった。僕はそれを聞いてしばらく固まっていたけど、いつまでもそうしている訳にはいかないので、ログアウトすることにした。明日の準備を済ませたらさっさと寝よう……。
今ですか? .hackやってますとも。ゲーム中のニュース記事が現実で実現され始めていて、時代が追いついた、って感じです(感心するとこそこか?)。でもATMはまだまだ現役!
次回はリアル話を挟んで次にいきます。お楽しみに!
お越しいただいた方、誠にありがとうございました!