首都防衛戦③
あ……、何か長くなりそうな予感が……。
戦い続けることしばし。モンスターの攻勢は一旦止んだので、僕たちも元の待機場所に引き上げた。そこでHP、SPを回復したり、武器の耐久度を回復させたりしている。
「ブラン、どうだ?」
啓介扮するエイギスがこっちに寄ってきた。
「今のところは何とか……。色んなところからモンスターが飛びかかってくるから、神経使うよね……」
「そうだな。だけどなんだかんだ言って結構やるじゃないか」
「ああ、うん、練習、したからね」
僕はパリイの練習をしたときや、ゴブリンの群れに襲われた時のことを思い返した。……タイヘンダッタナー。
「それより、今の状況ってどうなってたっけ」
「あぁ、えーと、北門の耐久力が86%、東門が89%、だそうだ。これから後何回攻めてくるかは分からんけど、あんまり門まで行かせないほうがいいだろうな」
「うん」
「せんぱ~い」
そこに萌絵ちゃん扮するシャーラちゃんも近付いてきた。
「斥候の人たちから伝言で、『敵に動きあり』だそうで~す。そろそろ第二波がくるっぽいですよ?」
「うん、ありがとう。他の人達には?」
「今あっちこっちで伝令役の人が走り回ってまっせ?」
「あ、そうなんだ。ボイスチャットは?」
「今準備中で……、あ、今から流すみたいです」
《こちらラット。東門側のモンスターが動き出した。スポットを付けられるだけ付けたら後退する》
《北門も同じく。スポット付けるから、それを目印にしてくれ》
「よし、行くか」
周りのプレイヤーもがちゃがちゃと自分の武器を持って準備する。
「あ、また支援かけますね」
いつの間にやって来ていたのか、さっきの魔術士がやって来た。攻撃、防御のバフがかかる。
「ありがとう! またよろしくね!」
「あっ……、はい!」
僕たちは待機場所から飛び出した。
◇◆◇◆◇-------------◇◆◇◆◇
「ブラン、行ったぞ!」
「任せて!」
エイギスの挑発から抜け出したモンスターに追いすがり、縦一閃。
HPが微妙に残る。
僕の脇から飛び出したシャーラちゃんがダガーでもって喰らいつく。
そのままモンスターのHPを喰らいつくした。
「ナイス!」
「イエ~イ!」
喜びあっていると、
「ホラ、もう次が来てるぞ! てか、助けて~!」
エイギスからの援護要請が来た。
「あにき、今いくぜ!」
シャーラちゃんがやたらイケメンなセリフを吐いて駆け出す。僕もそれに続いた。
《モンスターが門に取り付きはじめたぞ!》
《どっちにだ!?》
《どっちにもだ!!》
ボイスチャットでも激しく情報や飛び交う。
《東門の耐久が70%を切ったぞ!》
《応急修理は!?》
《総出でやってるが、壊れる速度の方が早い!》
「くそ、モンスターが抜け出し始めてるのか……!」
大楯を器用に振り回してエイギスが叫ぶ。
そのままモンスターをぶん殴った。
「ここが済んだら門行く!?」
僕も負けじと叫ぶ。
「だがここの穴を別の誰かに埋めてもらわないと……!」
「うわあっ!」
エイギスの近くで戦っていたプレイヤーのHPが尽きた……!
「蘇生アイテムは!?」
「ダメだ、今手持ちがない!」
「くそっ! 一回死に戻れ、そんで復帰してくれ!」
このミッションではHPが尽きても、一定時間が経てば門内の復活地点から再出撃ができる。ただし全能力が一定時間下がったままになるので、結果的に戦力ダウンになってしまう。
だから蘇生できるのであれば蘇生した方が良い。んだけど、今近くで蘇生ができるアイテム、スキルを持つプレイヤーはいなかった。
HPが尽きたプレイヤーはポリゴンになって消えた。これで戦線を支えるのがまた難しくなった。と、
ピィーーーーーィィ!!
甲高い笛の音。これは……。
「後退の合図だ! 下がるぞ!」
戦えるプレイヤーの数が減った時の合図だ。この音が聞こえたら所定の位置まで下がることになっている。ちなみに頑固に下がらないでいるとカウントダウンが始まり、0になった瞬間強制的に死に戻りさせられる。そんな訳で。
「急げ急げ!」
「結構な数が死に戻りしたのか……!」
「そうなんじゃないか!」
ドタバタと後退。時々思い出したかのようにモンスターの群れに一撃を加え、追撃を遅らせる。
「そうら、吹っ飛べ! 『Mk21.フレシェットマイン』!」
僕の後ろにいたプレイヤーが何かを作動させる。すると更に後ろで何本もの曳光弾が地上から空に撃ち上げられる。上にいたモンスターはあっという間にポリゴンとなった。
■□---□■
・Mk21.フレシェットマイン
消費SP:15%(1発あたり) クールタイム:60分(起動直後からカウント)
地面、もしくは壁に仕掛け、任意のタイミングで起動できる。
熟練度と同じ数だけ同時に仕掛けることができる。
ただし、設置地点から200m以上離れると起動しない。
起動しなかったものは消滅する。
■□---□■
「す、すげ……」
「ジョブ『罠師』の本領発揮ってな! そら、さっさと逃げるぞ!」
そんなこんなで、僕たちは逃げ切ることができたのだった。
◇◆◇◆◇-------------◇◆◇◆◇
《ここからは門を集中して守るぞ! 門に一番近いモンスター、もしくは遠距離攻撃の手段を持ってるモンスターを優先的に攻撃してくれ!》
逃げ切ることができたプレイヤーと、死に戻りから復帰してきたプレイヤー、それと城壁の上で戦っていたプレイヤーで防衛線を築く。
門に取り付いていたモンスターも何とか倒し切って、今は交代で回復をしていた。
「結構きつくなってきたなぁ……」
「全くだ。楯の耐久力が恐ろしいスピードで減る……」
「ダガー予備持ってきといてよかった……」
僕たちもせっせと急いで準備を済ませる。
《北門側にボスクラスのモンスターが出た! こいつらを倒せばこっちは片付きそうだ!》
《うわっ、あいつこっちに真っすぐ……!》
《ズガガァン!!》
ボイスチャットから響く音に思わず顔をしかめた。
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Mission Information
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>注意:北門の耐久度が60%に減少
《ヤツの動きが止まったぞ! 攻撃しろ!》
北門の方もかなり激しく戦っているみたいだ……。
《こちらラット。モンスターが動き出すぞ。第三波だ。またスポットを……、うわっ!》
《どうしたんだ!》
《こっちの居場所がばれた! 急いで逃げる!》
相当慌てているのか、スポットの情報がまばらにしか来ない。
《城門の上からでも敵は見えるから、こっちでスポットをやる!》
《すまない……! たの……》
そこでボイスチャットが切れた。
「今スポットが見えてる方向から来てるみたいだぞ!」
「全員準備しろ! もうすぐ来るぞ!」
前の方がにわかに騒がしくなってきた。
「俺たちも行くか!」
「うん!」
エイギス、シャーラちゃんと頷きあって前に出ることにした。東門から見て左側の方に、モンスターを示す赤い▼が見えた。
「右からは来ないのか?」
《今見てもらってるが、右からは来てないみたいだ。取りあえず左の方に集中してくれ》
エイギスが右の方を気にしたが、どうやらモンスターは来ていないようである。
「よし、やるぞ!」
「「「おおぅ!!」」」
誰かの掛け声に全員が合わせた。
◇◆◇◆◇-------------◇◆◇◆◇
「はぁっ!」
シャーラちゃんが槍の如くモンスターに突っ込む。
モンスターの体勢が崩れる。
そこに僕も『ストリーク・チャージ』。
モンスターは弾け飛び、そのままポリゴンと化した。
と、シャーラちゃんの後ろからモンスターが突っ込んできた。
「シャーラちゃん!」
叫び、『ハイ・スピード』で一気に近付く。
タイミングを合わせ、『ダブルストライク』。
一撃目。
上からの一撃がモンスターを止める。
二撃目。
下からの攻撃がモンスターをかち上げる。
「せんぱい、ナイスです!」
飛び上がったシャーラちゃんが。
空中で一回転。
その勢いでかかと落とし。
モンスターは地面に叩きつけられる。
そのままポリゴンとなり消えた。
「せんぱい、やった!」
「うん、次いこう!」
シャーラちゃんと頷き合い、次の敵に向かう。僕たちが二人で動いている訳は、エイギスは城門を守る、文字通り最後の壁として奮闘しているからである。でも、時々モンスターが遠距離から城門に攻撃をかけてくるので、僕たちはそれを見つけて潰す、ということを繰り返していた。
ズガン、という音が城門から響く。
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Mission Information
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>注意:東門の耐久度が60%に減少
《まずいぞ! 城門が!》
《直接攻めてくるヤツは任せろ! 代わりに遠くのヤツを!》
《上から見えるか?》
倒さなきゃいけないモンスターはあちこちに散らばっているので、どうしても時間がかかってしまう。その間にもどんどん耐久度が減っていく。
《見えた。あれか?》
《任せろ》
《ボシュッ》
《ワンダウン》
《ビューティフォー…》
スポットが一つ消えた。城門から狙撃したのか……!
「せんぱい! あたし達も!」
「うん!」
とにかく速く。『ハイ・スピード』も使って次の目標に向かう。戦いの終わりは、まだ見えない。
まだまだ戦いは終わりません。具体的にはエリア3をラオシャン□ンが通り過ぎたみたいな……。
あ、これだと古くてわかんない人も出るのか……。
と、とにかく次回もお楽しみに!




