ムキムキになりたい男の娘
部下Aは男の娘である。今日も、小便小僧かと見まがうふっくらとした頬の少年(岩肌)が、ゴスロリな服をまとって魔王城の玉間に入っていく。
「魔王様~、お茶が入りましたよ。ミルク入れます? お砂糖は?」
小便小僧である。背中にコウモリみたいな羽根の生えた大理石の小便小僧が、滑らかに動き、少々甲高い声で喋る。そしてゴスロリである。何故にスカートなのだ。
「人間界は良いお天気ですよ。ねぇ、魔王様、世界征服しましょうよ~、僕、ハーゲンダッツのアイスクリームが食べたいです」
小便小僧である。スカートを着た小便小僧である。
「今、バンダムのプラモ作ってんだよ。世界征服なんてしてる暇はない」
魔王様はつれない。コレのドコが魔王なのかと、最近、魔族の間でも不思議がられている。
「魔王様のケチ。いいです、もう。」
ふてくされて、テレビをつける。見るものはお昼の料理番組である。
「わぁ、おいしそうです。ちょっと作ってきますね。魔王様、食べてくれます?」
「今忙しいんだよ。塗装ってのはなぁ、集中してやるものなのだ」
ふてくされて、ネットに接続する。
見るものは、ゴスロリ服の特集サイトである。
「うわぁ~、カワイイ! いいなぁ、ちょっと作ってみようかな。魔王様、着てくれます?」
「今、鉄道模型を組み立てるので忙しいんだよ」
ふてくされて、城外に出る。行くところは、行きつけのゲイ・バーである。
「うわー、ムキムキのお兄さんがたくさんいます! ねえ魔王様、一人持ち帰っていいですか?」
『領収書切るなよ。貴様、魔王軍を何だと思っているのだ。』
ふてくされて城に帰る。部下Aの1日はこうして終わる。
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