5話パーティ is 撫で撫で
「はぁ・・・・」
夕方の日が半分ほど沈み、普通なら幻想的な光景に見入るこの風景。だが俺の心はそんな気分ではない。
「全く・・・・何度目の溜息ですかー?」
厭きれMAXの声音でりこは聞いてくる
「覚えてない」
「そうですかー」
と、簡単に受け流されてしまう。
こんなことになったのは先ほどのゲーム大会。りこVS静利にて、静利が勝利したという驚きの光景がなったものだ。
ちなみに景品は「(俺が)できる範囲での言うことをひとつ聞く」といったもの。静利が勝ってもどうせゲームの協力プレイだと思ってたのだが予想外に公衆(お偉いさん~一般人)の面前で頭を撫でるといったもの。普段何気なく妹の頭とかは撫でていたが、意識するときつい・・・
そんな気持ちとは裏腹にパーティは始まった。主催・・・いや、メインとなる俺、りこ、静利はみんなより一段高い位置に座ってる。順番は左から俺、りこ、静利となるので、ささっとやって終わらせることはできない・・・・むしろ、立てば注目されるし、立たなければ撫でられない・・・・恥ずかしいが約束は守らなくちゃな。
「静利、ちょっといいか?」
と、確認を取る・・・・つか、パーティ会場でゲームするとか餓鬼か!
「んーなに?ゆうちゃん?」
と、適当な返事。ゲームやってるときはこんな物だけど・・・・
んじゃ、撫でますか。と、席を立つと、注目される。ざわざわしていた会場が一瞬にて凍りついた。
御偉いさんから、一般人までいるらしいが、誰が偉いのかは全くわからんのでスルー。
そして、咳を一度し、頭を撫でる。
もちろん場の空気は何の儀式だ?的なものへと変わった。
「はうわぁぁ~」
と、よくわからない言語になってる静利。ご満悦の様なので手を引っ込める。・・・そこに、りこと目が合った。何も言ってなかったが表情は語る。「なにやらかしてるんですかねー」と。
「い、いやこれはその、だからいろいろと・・・・」
と、弁明しなければならないが言葉が出てこない。そこに、誰か一人が大笑いした。それにつられるように会場が大笑いの渦になったのは言うまでもない。・・・・かな?
「えーでは、王女側近の儀に移させてもらいます」
司会?の人・・・・山羊が事前にりこに教えてもらった通りに進める。
「では、先行きますねー」
っと小声で言って玉座?へと移動、俺と静利も司会に沿って移動、りこの前に立つ。
「王の前なんだ!ひれ伏せ!」
との野次。しかし、りこに「絶対立ってくださいねー」と言われてたのでひれ伏す気は毛頭無い
「よいのですよー、私の理念は平等ですからー」
と、りこが野次を出した人に言う。すると、すみませんでしたーと、謝る前に止められる。
「さてー、ゆう、静利。二人は私のため、秀ではこの国の安寧の為に日々努力を行わず、国の一大事には駆けつけてくれますかー?」
多分決まり文句にアレンジ。
「んー構わないよー」と静利
「正しい行為ならな」と、俺
「ゆうらしいですねー、いいでしょう。私が間違えたら全力で止めてくれるんですね?」
「ああ、それが最善かは分からないけど少なくとも良い方向に向けてやる」
「では、新しく王宮に入る二人に盛大な拍手を」と、山羊が言い俺たちは退散?
と、裏口から戻ろうとした所で
「あ、ゆう、静利ー。折角なので、役職を伝えときますねー」
マイク?多分魔法で反響させてる物だろうな。はオン
「静利はー、メカニックと、2軍代理指揮に入りますね」
メカニック⇒機械を扱う・・・・静利にぴったりかもな・・・
「それと、2軍は機動部隊になりますのでー、やめたい人は辞めてもらって構いませんからねー」
と、静利の役割とその周りの環境が整われた。
「次にゆう、はー・・・・1軍代理指揮ですねー、ちなみに指揮は私ですからー・・・・守ってくださいね?」
守る・・・か。1軍って前線部隊だっけか
「おう」
「それと、ゆうは私の部屋にて用心棒をしてもらいますからー」
さらっととんでもないことを言う。
「・・・・俺の部屋は?」
小声で聞く
「辞めたければ辞めても構いませんよー?」
と、得意気に言う。
「いや、いいけど」
「それじゃあ、戻りましょうかー、あ、皆様も明日があるのであまり遅くまで騒がないでくださいねー」
と、言って会場を後にすると、半数ほども会場を後にしていた。
「私も一緒に寝たいなー」
と、静利
「はぁ・・・いいでしょー、ベッドをもうひとつ用意させますので荷物を整理してきてくださいねー」
と、面倒だな。って感じにりこ。
「では、先行ってましょうかー」
と、りこが言うのでついてゆく