(舞台裏) 花葬を夢見て
トンネルを抜けると、また夜が待っている。
そろそろ眠らなきゃね、と考えて、そこでふと思った。
これで最後かもしれない、と。
目覚めぬ眠りにつくかもしれない、と。
そう思いついて、噴き出した。
そのまましばらく笑う。
ああ、なんて夢見がちな想像だろう。
でも、いいなあ。そうだといいなあ。
とてもいい思いつきだったので、眠るまではそういうことにしておこう。
僕は上機嫌で頭の花を弄った。
この花をたくさん摘んでこよう。
それで家を埋め尽くして、母様の好きな花に埋もれて眠ろう。
その前に父様と遊ぼうか。
もう仮面は無いから、父様の仮面もひっぺがして目を合わせよう。
意味不明なケーキを焼いて、不味い紅茶を淹れて、そしてたくさんお話して、キャンディーをもらおう。
それを口の中で転がしながら眠るんだ、父様と手を繋ぎながら。
父様は抱きしめてくれるかなあ、と先ほど抱きしめた父様とそっくりな未来の子供を思い浮かべて、幸せだなあ、スキップでもしようかなあ、と僕は夜空を振り仰いだ。
おやすみなさい、母様!
読了、ありがとうございました。
いくつかの謎(というほどでもない)を残しつつ、この外伝はここで終わります。仮面やらなにやらの事は、後々に書ければと思います。
一気に未来に飛んだり過去が出てきたり、うっかり第四の世界に入っちゃったりと、色々あって混乱されたかと思いますが、この話は「子どものバラッドの弔い」が基礎です。
「おやすみの夜」のことももっと書けたらよかったんですけど、それもまた後々となります。
といっても、またしばらく、更新は出来なさそうですが、なんというか、また少ししたらひょっこり出てくると思うので、その時はどうぞよろしくお願いします。