BADENDGAMES
前回までのあらすじ
「やーやー、諸君遅れてしまってメンゴ」
この一言で燈の性格を表す様なものとこれから俺は大丈夫なのかと心配するやいなや
「早速だけど凪聞かせてくれ俺らにお前の歌声」
翔が声をかける。凪はやるしかないと思い自分を認めさせる為の声を震わせた3人は驚きつつも燈が惹かれるのも納得と顔を合わせていた。
「メンバーも揃ったことだし我々BackLightの曲を発表したいと思いまーす」
そう言うと燈はノートパソコンから自分たち「BackLight」の1曲目のデモ
アガルタを流した
「レコーディングは半月後とかかな?今日は解散!これから俺ら打ち合わせなんだよね、後凪、来月の25日1日空けとけよ見せたい物があるから」
そう言うと直ぐに解散となった嵐のように怒涛の一日だったこれから初めてのレコーディングそして来月25日この日に何かがあることだけ知らされた。
凪は不安が多いながらもこれが普通のバンド?と疑問も込み上げつつあった。
「25日何かがある……」
これはそれぞれの思いが紡ぐ群像劇
BADENDGAMES
3曲目「BADENDGAMES」
イントロ
「遂に来た……」
今日はレコーディングをする日だこの日まで何度もカラオケに行きながら何度も燈に仮歌を送っていた初めてのレコーディング初めてのしっかりとしたバンド活動……初めての事だらけだ。それも相まって緊張と不安で倒れそうだったでも、こんな所でくたばっていられっかと自分自身を奮い立たせながらスタジオに着いたスタジオの扉の前で微かに声が聞こえ扉を半開きにし中を覗いてみるとそこにはPA卓を弄る燈と翔がいた。
何を話しているだ?
聞き耳を立てても聞こえない位の声。ここまで来ると何を話しているのか気になるのが直接聞くのではなく耳を澄ますというのが人間というものだ
「……ほんとに……良かった……&Luck……」
「……みんなと……あるんだ。……俺は命をか……るってもんよ」
「狂ってんなほんと燈は」
「お互い様だろ……」
聞き間違いでは無い&Luckという言葉。それよりも会話の内容に驚愕している凪がいた
「ほんとに良かった&Luck。みんなとあるんだ?俺は命を狩るってもんよ!?」
「ヤバい……狩られる……」
「凪何やってんの?」
「狩られちゃう……」
「え?」
「え?」
危機感を感じてる凪を横目に不思議そうに見つめる遥斗が後ろに立っていた。
「ドア半開きでどしたの、もう翔達いると思うんだけど」
「あ、いや、中どんな感じかなーって思って……へへへ……」
「ふーんそう……ま、いいや入るぞー」
そう言いながら遥斗は勢いよく扉を押し開けた中に入るととんでもなくでかいPA卓がまず目に飛び込んできたすると開口一番遥斗が喋りだした。
「まだ、大和とレコーディングエンジニアの方来てないんだね」
確かに見渡してもこの部屋には4人しかいなかった。凪は自分が1番遅くなかった事に少し安堵していると燈がこちらを見て喋り出した。
「2人ともおはよ、大和は少し遅れるってさっき連絡来たよ。後レコーディングエンジニアなんだけどBackLightはレコーディングエンジニアを使わないで自分たちで試行錯誤してやっていこうと思う」
「ま、まじ言ってんの?出来んの燈?」
「わしをにぁめるなよ!!天下の日野燈様だぞ!!」
「んーまー、燈がならなんだかんだ出来そうだしな……」
「ちなみにアシスタントは遥斗任せた」
「……え?まじ?」
「大マジだ。何より音楽系の学校卒業してるしね」
「え、じゃー俺はなんでこんな早く呼ばれたんだよお前に」
そう翔が言い出すと燈は少し笑いながら答えた
「あーそれは俺のしゃべり相手が欲しかったのよすまんな」
「そんなことで1時間も早く来させたのか」
「すまんすまん笑今度カレー奢ってやるから。ね?それで手打ってくれ」
「ん……まーそれなら考えてやらんことも無い」
「じゃー、ドラムからRECしたいから遥斗と翔は一旦待機ってことで。あと凪少し外行こう」
「あ、うん」
Aメロ
なんだろうと思いつつも部屋を出て隣の狭い部屋に案内されたもしかして何度も仮歌を送り付けた事怒ってる?いやそんなことはないしっかり全て反応してここをこういうにしてと的確にアドバイスをくれていたそれとも早く来ているにもかかわらず半開きで会話を聞いていたのバレてる?もう何故2人っきりにされてるのか分からないでいると「席に座っててちょい忘れ物」と言うとそそくさとさっきのレコーディング部屋に戻って行った。
怒られるのかな……確かに納得いってない部分とか多すぎて何から何を話せばいいの分からない
混乱の中燈が戻ってきた
「いやぁお待たせ、んでー凪がすげー連絡くれたじゃん?」
「ご、ごめん迷惑だったよな」
「ん?あはっはっは」
凪は勢いのまま謝ると燈は大きな口を開け笑いだしたどうやら怒っている訳では無いようだった
「別に怒ってないよ、生真面目だなーって思ってな」
「俺どういう風に歌えばいいのかよく分からなくって何度も仮歌送ったけどイマイチピンと来てないっていうか……それで……」
「まーまー、落ち着けこれからレコーディングの時はこうやってサシで打ち合わせというかこの曲の考えとか意見のすり合わせをしていこう。いいな?」
「う、うん分かったありがとう」
「ありがとうて当たり前のことよ普通に」
その言葉は少しでも凪がレコーディングや音楽を作ることに対して不安感や嫌悪感を抱かないようにする為の燈なりのやり方だった。遠回りして時間がかかっても音楽は逃げるもの消えるものでは無いと教えているような感じがした。
「さぁ、始めよう30分位で大和が来るって言ってるから少しでも煮詰めよう」
「うん!」
そう言うと燈はこの「アガルタ」に対する思いを語り始めた。曲構成から歌詞の意味等の細部まで教えてくれた。
「アガルタは前にオカルト都市伝説による地下理想都市の名でジャンルは派生系ロックとし自分自身の理想と現実を歌い地下都市ということでアングラなものにするって言ったじゃん」
前に集まった時にそう言ってたような言ってないような……正直緊張や不安などであまりよく覚えてないというのが正直なところだった。
「あー……うん、覚えてる覚えてる」
「……覚えてないだろう?凪はすぐ顔を出るな笑」
「え!?そう!?!?」
「まー、いいや、続きなんだけどアガルタは根本ロックなのよ凪はどちらかと言うとpops色強い歌い方というか声なのね」
凪は初めて自分の歌や声の特徴を知った。そういう風に聞こえていたのかと思うのと同時に何度かしか聞いてないのにそこまで分かるものなのかという疑問とそれを分かった上で話を続ける燈の音楽に対する知識量と経験値に驚愕しながらも凪は着実に曲に対する理解度は深まっていった
「それで凪にはロックの歌い方というのを理解してもらわないといけない」
「ロックの歌い方?どういう……」
「んー……ロックと言うよりこのBackLightでの歌い方かなーつまりは俺の思う音楽そして凪が思う音楽を可能な限り綺麗な色で混ぜ合わせたいんだ」
「各々の音楽をできるだけ綺麗に混ぜ合わせたい……」
「少し難しいかな」
「えっと……燈の音楽に対する思いと俺の思いを混ぜ合わせる、お互いの思いにあまりズレを生じさせないようにするってことかな」
「おぉ……理解力あって嬉しいわでも、半分正解半分不正解って感じかな」
「え、違うの?」
「人は全く同じ考え思いを持つことは不可能だと俺は考えるでも、世の中には多くのアーティストがいるじゃないかその中でも何十年もメンバーも変わらず動き続けている者たちがいる」
「確かに何十年も同じメンバーでいるのは凄いけどそれはこの音楽の混ぜ合わせになんの意味が……」
「人は似てる考えは持てるが合致することはないそれが個性になる」
「個性……」
「そう俺はその個性をメンバーに求めたそして何より俺がこいつと一緒に世界一のアーティストになりたいと思えるかを見てきたそれで集めたのがこのメンバーだそれぞれの色を混ぜ合わせて泥臭くも他人から汚いと言われても無視してお互いを尊重し自己中な音楽を鳴らすバケモンが欲しかったのよ」
凪は圧倒された燈の思い描く音楽がとてつもなく重くこのバンドに賭ける思いが凄かったからだ
「正直昨日の今日でBackLightの歌い方を見つけろとも言わないからこれから色んな経験をしてみんなで見つけていこうなそして最後に見つけたか?って聞くからな」
そう笑顔で語る燈を見て最初にあった緊張と不安は気づいたら無くなっていた
「あ、いたいたごめん遅れちゃって今ドラムセッティング出来たからREC出来るよ」
「おー、OK今行くわ。よし凪行くぞ」
「うん……」
「あとそうそう今回の歌は今の言葉を頭の片隅に入れといて歌ってみ」
「お前は出来る俺は知ってる」
「あ、あと今朝の話……」
「今朝の話?」
「翔……に本当はレコーディングのアシスタントさせたかったのかなーって」
「あー……まじかよく分かったな本当は翔にお願いしようと思ったんだけど思ってた以上にあいつ不器用なのよ性格も含め」
「え、そうなんだ……まー、ぽいなーとは思ってたけど……」
「だから、あのタイミングで遥斗が来てくれたから良かったよ本当。でも、信用してる事実力共に申し分ない事は分かってるから翔には内緒だぞ」
そう言い残すと燈は直ぐにレコーディングスタジオに戻って行った。凪は後を追い初めてのレコーディングに興味や楽しみが溢れ返っていた。
サビ
ジャーン……
「ふぅ……いい感じだね翔戻ってきていいぞ」
燈の掛け声でギターのRECが終わったすると燈は椅子から立ち凪の方に振り向いたその目は「次はお前だ」と言わんばかりの目をしていた。息を飲む凪をRECルームに送った後、燈が声をかけた。
「凪、楽しめよ音楽は敵じゃない。いいな?」
「分かった……よろしくお願いします……」
みんなに見られながら形に残る歌は路上ライブよりも変な所に力が入る感覚だった緊張感とは違う何かだったその時思い出したのは
「楽しめ」
この時凪は自分の思う音楽を歌おうと考えていた正解は分からないけど歌うこと自体難しいことでは無いと自負していたからだ今できる事をしようと心の底から思った
「燈、凪いい感じだな」
「あぁ、何度も仮歌聞いてたけど正直今日のが1番いい」
「何回も仮歌送られたのか」
「うん、真面目だよ俺たちに足りないものだな」
「そうかもな1人くらい生真面目がいる方が閉まる」
「お前が言うな翔」
燈は確信した凪はこのバンドに必要不可欠なキーパーソンだとそれと同時に凪自身にこのバンドが重荷にならないようにとも考えていた正直どう対策していこう等はまだ思いついていなかったしかしこれからネット等に投稿もしていくと様々な意見が出て来ることも身をもって知っていた燈は孤立の怖さ寂しさを知っていた同じ目にはあっては欲しくないあってはならないそう考えたそれは凪飲みではなくこのメンバー全員一人一人に対してだった
ジャーン……
「凪、いいね戻ってきていいよ」
「あ、うん」
そう言われると何かここ何日か溜め込んでいたものが溢れたようにどっと疲れが出ていた
「凪ー疲れただろ?これでもかなりスムーズに行った方なんだよ」
「ま、まじか……」
かれこれ凪のRECだけでも2時間は録っていた早朝の集合だったが外は暗くそれほどの時間をここで過ごしていた事に驚きが隠せないでいた
「さぁ、後はこれをミックスしてくるまた後日完パケものをメールで送るわ聞いといてくれよろしく!」
「今日はもう解散か?じゃーカレー食いに行くぞ」
「げ、今日かよーラーメンの気分なのにー」
「まー、燈が朝早く読んだのが悪いわ」
「カレー何杯食べれるかなー……」
「大和の食べたものはどこに消えてるんだろうなー」
「あの!!」
「「「「?」」」」
「今日すごく緊張したけどなんか……なんかすごく……なんて言うんだろう……えっと……」
「凪ゆっくりでいい、なんだ?」
翔がぶっきらぼうに答えたさっきまでの緊迫したレコーディングの空気感とは違く聞く耳を立てていた
「ふぅ……えっとありがとう楽しかった」
「え?凪死ぬの?笑」
「うん、別れの挨拶みたいな感じが」
「堅苦しいなお前はありがとうとか普通言わねぇだろう」
「さすが生真面目このちゃらんぽらんグループに欠かせない存在だよな」
凪はその笑いあってるメンバーを見てここが自分の居場所なんだと実感したすると燈と遥斗で挟むように肩を組んで来た
「おら、カレー食いに行くぞー」
「いつもの日の丸屋な」
「翔そこ好きだよな、あそこめちゃくちゃ辛いんだよなぁ……」
「え、か、辛いのか……」
「じゃー、凪5辛な」
「え、無理無理絶対無理!!」
あれ、俺とけ込めてる?
凪はそう感じていた何気に丸1日一緒に居たのは初めてだった友達でもなく家族という訳でもないバンド仲間というこの形が居心地いいとも感じ始めていた
「あ、25日みんな忘れんなよ、大体15時に来てくれれば関係者口から通れるから大和2人をよろしく」
「OK、任せて責任もって引率する」
「おい、なんで大和なんだよ俺別に変に動かないだろ」
「え、不安だろ遥斗は」
「お、俺は25日バイト開けてる。でも、何するの?」
「そりゃお楽しみってやつだって前も言ったろー当日まで楽しみにしとけって」
なんか省かれてる感じとも言える様な隠されてる様な感じだったでも、楽しみなことに間違いはないようだ
凪は次集まる25日に何があるかも分からなかったがそんなことはどうでも良くなる程この日に食べたカレーの味は忘れることはないだろうなと思っていた。
新曲「BADENDGAMES」youtube等に投稿開始下のリンクから⤵︎ ︎
https://youtu.be/TmpYJhIczkw?si=mez4Aq2vxGMCAMnQ