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0話 告白した理由


俺はただ素直な気持ちを伝えたはずだった。これで元の生活に戻ると、戻るはずだと考えていたのにどうしてこうなったのだ。

「あははー!夕陽ってば意外と男気あるんだねーー!そんな直球に言われると照れますなぁー」

「ゆ、夕陽くんが私のことか、可愛いって言った。やっと可愛いって言ってくれました。」

「ゆうって本当に...。」

こいつらの反応おかしすぎるだろ!え?何々?本当に何?なんでこんなにも変なリアクションしてるんですかねこの人達は。

「すんませーん!日向さんたちや!朝から我々は何を見せられてるのですかね?エー惚気ですかね?あぁあん日向のやろうめ!さっさと爆発しろ!くそぅ俺もこんな青春したかったぜ。」

そうだった、ここは学校だった。俺は本当に学校で何をやってしまっているんだ。と、とりあえずこの場をおさめなければ。

「三人とも!とりあえずこの話はいったん終わろう!クラスの人たちも困っているし!な?よーし終わり終わり」

俺はこの会話をクラスメイトに聞かれていた気恥ずかしさもあり、早口でかつ焦りながら事態を収拾しようとした。しようとしたのに。

「ひーなーた!何このまま終わらせようとしてるんだ!お前ってやつは!ああーイライラしてきた。なぁひなたさん?お前はこの三人の中で誰が一番可愛いと思っているのか聞かせてもらおうじゃないか!」

何を言い始めてるんだこいつ。

この口うるさく周りの事を一ミリも考えてなさそうな、まったくモテなさそうなこの男。俺の腐れ縁の友達(仮)の楠弘(くすのき ひろむ)である。

「急に何言ってんだ弘!!!どこからそんな思考が湧いて出てきた!」

「いやさ?今さっきお前が言ってた、高嶺の花ー!とか?可愛いですーとか?それ実質美少女トリオに愛囁いてると言っても過言ではなくない?」

いや、過言だろ?別に好きとか言ってるわけではないんだし。

「愛囁いてる...。」

おーい桜さんや、別に俺愛囁いてませんって。

「あい...。」

「うちに告白...。」

おーい皆さん?もうどうしてしまったの?おかしいよ?ねぇおかしいよ?

「で?誰が一番可愛いって思ってるのかな?みーんな気になってますよ?」

クラスメイト一同頷く。

「さっさと答えな日向!そして美少女トリオから気持ち悪がられてしまえ!」

お前の本音はそっちだったんだな。俺がこいつらに悪口言われるのが見たかっただけか。だから、余計なことを...。

そんな事を思いながらも三人の目線、そしてクラスメイトの視線が俺を向く。俺が誰が一番可愛いというのかを気になるという視線が。だがどうしたものか、ここで俺が変なことを言えば何かが終わってしまうかもしれない。それだけは...それだけは避けないと。どうするべきか考えていた時。


「おーいお前ら何してるー、朝礼やるぞー!みんな席につけ!」

先生!神タイミング!

「ほら先生きたぞ。ほら散った散った」

俺はこのチャンスを逃しまいと先生に続いていった。

「逃げたな。日向」

ボソッと弘が言った。クラスメイト達も俺を睨み、三人は俺を見てくれすらしない。そんなに気になったことなのかよ。俺が一番!可愛いって思っているのかを。


その後朝のホームルームがつつがなく終わり、授業の準備を進めていると、弘が話しかけてきた。また余計な事を言ってくるのかと、適当に受け流そうとしていたら

「日向」

「なんだよ!そんなに可愛いのが誰か気に...」

「日向。お前あの美少女トリオが大切じゃないのか。大切だと思っているのならそろそろ前を向け。いつまでも目を背けるな。」

小さい声で、でも力強い声で、はっきりと、俺の目をみて弘が言ってきた。

なんでこんなこと言われなきゃならんのか、そもそもなんでこんな話に...。


その後昼休みまで俺に話しかけてくるものは一人も居なかった、そして卒業式一週間前ということもあり今日は短縮で昼までの授業だったので帰宅する準備をしていた。そんな時一人から呼び出された...。


そして、あの一見以来俺は残りの一週間誰とも話すことなく卒業式を迎えた。

「開式の言葉」

「卒業証書授与」

「卒業生を送る歌」

「校歌合唱」

「君が代合唱」

「閉式の言葉」

あぁ、卒業式 終わってしまった。結局あいつらと最後まで何も話せなかったな。いや、でもあいつからは...。けじめ…つけなきゃな。

そう、あれは一週間前の事

「あ、あの!夕陽くん、お話があるのですがよろしいですか?」

話しかけてきたのは桜だ。

「あ?あぁ良いぞ。で?話ってなんだ?さっきの事なら言わない…ぞ」

「いや、そのことではないといいますか、いや、合ってるといいますか。とりあえず二人で話たいので今日は一緒に帰りませんか。」

「分かった。」

そうして、俺は桜と帰ることになった。それを見ていたクラスメイトは、何か目を輝かせていて、弘は俺を力強い眼差しで、二人は俺を見ていなかった。

そして教室を出て下駄箱に向かい学校を後に、ゆっくりと歩きだした。それから5分だろうか、沈黙が続きそろそろ話しってやつを聞かなきゃな。

「それで話ってなんだ?」

「そのことでですが、夕陽くん。私は」

桜が歩みを止めて、俺の目を見て、はっきりと

「あなたが好きです。」

頬を真っ赤にし、けどしっかりと俺の目を見て伝えてくれた。

「な、なにを急に言い出すんだ?俺が好き?え?嘘だろ」

動揺を隠しきれない。

「夕陽くんが大好きです。」

そんな俺を横目にさらに告白してくる桜。でも、なぜか少し寂しそうな表情を浮かべて続けて話した。

「急にこんなこと言ってびっくりしましたよね。ごめんなさい。でもまず伝えたくて言ってしまいました。」

さっきまで真っ赤だった頬がピンク色にハニカミながらそう俺に伝えてくれた。

「今日の朝の会話で、可愛いって言ってくれたことがとても嬉しくて、今まで想ってた気持ちが爆発してしまい告白しちゃいました。本当いきなりすみませんでした。」

「い、いや、告白されたのなんて初めてで…嬉しいよ。ありがとう。」

でもこの後何を言ったらいいかどもっていると

「夕陽くん、告白の答えは無くて良いです。ただ私がいきなり告白しただけなので。それでですね。夕陽くんにお願いがあります。」

「お、おう何だ?」

「卒業式の日私に告白してくださいませんか?」

なーに言ってるのかこの娘は、告白してきたと思ったら今度は俺に告白しろって?

「あ、すみません!私ったら言葉が全く足りてませんでした。実は…」


「要するに?俺が桜に告白して桜が俺を振ると?なんでさ、どういうシナリオよ」

「いえ、違うのです。いや、合ってはいるのですが。」

今日のもみじや海のリアクションをみて俺への気持ちが皆同じだと確信した桜はこのまま行くと皆崩壊してしまうと考えた。だから、俺が桜に告白し、桜が俺を振ることで少しでも皆が崩壊しないようにと考えたということらしいが、なぜあいつらが俺を好きだと決めつけているのだ?そもそも崩壊するようなことか?仮に、本当に仮に三人とも好きだとしても「俺が結論出さなきゃ崩壊なんてしない。と思っているのですよね、夕陽くん、本当夕陽くんって何も分かってないですね」

思考を、読まれていた、だとっ。

「先程も言いました通り、私たちは夕陽くんのことが好きです。海も、もみじも。だから本当はみんな夕陽くんと沢山一緒に居たいのですが、きっと夕陽くんは俺が私たちと居てよいのか?とか考えていると思って一応適切な距離を取っていたのです。」

う、図星だ。

「ですけど、今日の朝の会話でその適切な距離がとれなくなると判断しました。それこそあそこで誰が一番可愛いか言っていたら、私たちの関係性は崩壊していたでしょうが。言わないでいてくれたので崩壊せずに済みました。」

すみません、言えなかっただけです。選べなかっただけです

「そして続きなのですが、私はこの先も4人で一緒に居たいと思っています。少なからず高校生活が終わるまでは。逆に言えば高校生活が終わるころには私たちの関係性をしっかり考えて欲しいのです。

ですので今結論を出さないでなぁなぁでいるのも良いのですが、私に夕陽くんが告白して私が振るとこを見ればあの二人は少なからず今よりももっと積極的に、動きやすくなると思うのです。だから、お願いします!」

なるほど、桜はちょっと、いやめちゃくちゃにバカだな。

三人とも俺の事を好いてくれていると仮定して、今まで三人とも気を使って関係性を壊さない為にも俺へのアプローチをしてこなかったが、高校生になった後もそのまんまだと先に進めない…と。

だから、俺が桜に告白すれば二人は少なからず積極的になれると、俺は桜にウソ告を頼まれているから桜と俺の関係性は崩壊せずWINWINになれると考えたのかな。高校生の間は仲良くしたいけど高校生活が終わるころには結論をださなきゃいけないと、だからそう考えたと。

なんかもう嬉しいのか喜んでよいのか分からないな。でもきっと桜も俺たちの事を考えてくれて自分なりの解決策をだしてくれたのだろう。絶対間違ってるけど。

「でもそうすると、その、桜は少し不利にならないか?俺はウソ告をして振られるだけ?だが、お前からしたら、す、好きな人を振ったことになるだけだ」

「不利…ではないです。少なからず告白はして貰えるのですから。うみともみじには悪いですが、何歩もリードしてます!」

「それで…お願いしても良いでしょうか?振られた後のリアクションはアドリブでお願いします。」

おい、マジかこいつ。でもまぁ桜がたくさん悩んで考えてくれたのが伝わった俺はその提案に乗ることにした。

そして、卒業式が終わり、桜が上手い事海ともみじを誘導し、俺が桜に告白するところまできた。

「好きだ!付き合ってくれ!」

「無理です!!!!」


「何故!俺のこと好きって言ってくれたじゃないか!」

「無理なものは無理です!す、好きとは確かに言いましたけど…。理由は言えません!それじゃ!」


これが俺が桜に告白した理由。桜が俺らのことを考えてくれた結果だ。

でもな?これだけは言える。絶対このやり方間違ってるだろ!見ろよあの二人!海は目が点になってるし、もみじは袋のままチョコバー食べてるしよ!




「本当にこれで良かったのかよ―――」




これにて中学生編は幕を閉じます。つたない文章かつ、読みずらい文等多々ありますが適宜修正していきますので何卒よろしくお願い申し上げます。

次回からは高校編になりますので、より一層ハチャメチャになる夕陽たちをみていってください。


それでは次回お会いしましょう!(高校編は1話事にある程度ストーリーを書く予定です。)

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