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0話 誤解


桜に告白し振られた俺だったが理由無く告白したわけではない。あれは卒業式一週間前の事。


キーンコーンカーンコーン♪


「うーす!夕陽!おはー」

声をかけてきたのは海だ。

「海!おはよ。」

「相変わらずしけた顔してんねぇー!夕陽もしかして、悩みでもあるのー??ほれほれー言ってみなさいな!」

「うるせぇい!俺は普段からこの顔だぃ!俺に悩みなんぞないわ!」

「そうだったねぇ!ただ!しけた顔なだけだったねー」

「てめぇ!!!!」

「海、やめときなさい。夕陽くんおはようございます。」

「桜!おはよう!」

「桜ーーおはーーー!」

さくらが海をいつも注意してくれる。日常。

「うみー!さくらー!ゆうー!お…おはよー!」

「おはーーー!みーちゃん!今日もかわいいねぇ!!うりうりー」

「こら、海!もみじがしわしわになっていますよ。おはようございますもみじ」

「もみじか、おはよう!今日はいつにも増して元気だな」

「へ、へへー、隣のクラスの人にお菓子もらっちゃったの!!!」

「もみじは本当可愛がられてるよな!まぁ実際可愛いけどな!」

俺は普段通りに接した、接したつもりだったのだが…。

「か、かわいいなんてゆうの癖に生意気…。」

何故照れている、いつもだったら私が可愛いのは当たり前ーなんて笑って言って終わるのに、今日に限って照れるなよ。照れないから簡単に可愛いって言えるのによ。

「何照れてんだよ!普段から可愛いなんて聞き慣れてるだろ。」

「い、いやなんでもない。あと照れてないし」

おいおい本当にどうしちまったんだ。リアクションがいつもと違いすぎる、なんか変な物でも食べたのかこいつは。

「ねぇ夕陽くん、昔からもみじの事可愛いって言ってますよね。」

桜が語りかけてきた。

「あぁそうだな、でも皆もみじのこと小動物みたいで可愛いって言ってるだろ?俺も同じ感じで言ってるだけだ。」

「私や海には可愛いって言ってくれたことありませんのに。」

桜までおかしなこと言ってるのだが?そりゃ、言えるわけないだろ、俺からしたら、桜、海、そしてもみじも高嶺の花で、本来は一緒にいるのもおろか話すことだってハードルが高いのに。なのに可愛いだなんだ言えるわけないだろ。

俺は本当ならこいつらと一緒にいる存在ではないはずだ。こいつらの幼馴染というだけで一緒にいる存在。そんな俺が、こんな美少女幼馴染に可愛いと言えとでもいうのだろうか。

「桜!だからな?俺がもみじに言ってる可愛いはあくまで小動物的な意味って言ったろ??そもそも俺から可愛いなんて本当はもみじも言われたくないかも知れないぞ?」

そうだよ俺、何を自惚れていた、もみじは照れていたわけではない、今まで俺から可愛いと言われるのが嫌だったんだ、それなのに毎回無神経に周りと同じように俺から言われていたのが気に食わなかった、だから今日それを伝えるためにいつもと違うリアクションで反応したのか、なのに俺は照れてるとか、もみじが嫌なのを伝えるのを言いづらい雰囲気にしてしまった。

そういう事か。

桜がああ言ったのは俺が可愛いって単語をもみじに使うなって遠回しに教えてくれたのか、だから自分達に言ったことないのにと。私たちに言わない単語をもみじに使うな、迷惑してるのだと。

「もみじ!すまなかった。無神経に可愛いなんて言ってしまって!桜に言われてハッとした。本当は俺から可愛いって言われるの嫌だったんだよな、それなのに毎回のように。本当にすみませんでした。」

「桜もありがとうな!私たちには可愛いって言ってないってやつ、もみじが遠回しに嫌がってるって事を教えてくれてたんだよな。ありがとう。」

俺が間違っていたんだ。でもしっかり謝れた。今日から三人との距離感を考えた方が…。

「え???急になんで?どういう経緯でもみじ今謝られたの?ゆう?熱でもあるの?」

「夕陽くん、相変わらず自己肯定感が低いからなのか昔から変に考えて、私たちが思ってもないことを勝手に解釈して。」

「横から聞いてたうちも流石にびっくりよ!!!どういう考えになったら今の流れで可愛いが悪い言葉になるのさ」

「なんでって…。え?俺何か間違えてたのか?」

「大間違え!!」

三人声を合わせて言った。

「なんでもみじがゆうから可愛いって言われるのが嫌だって思うのさ!むしろ嬉しいくらいなn…。」

「そうですよ夕陽くん。それに私たちは言われたこと無いのにって普通に思っただけです。」

「夕陽?ご飯食べてる?」

なんか海だけ心配してるのか煽ってるのか怪しいラインだが、俺の勘違い?考えすぎだったってことでよいのか。

「その…な?もみじがいつもと違うリアクションしただろ?桜も変なこと言うし、それで俺が何かやってしまったに違いないって考えてしまって。本当にすみませんでした。」

「ゆう…やっぱり一人で勝手に突っ走ってた。そういうとこ、ゆうの良くない所。もみじ嫌がってない、普通に嬉しくて照れただけ。って照れてたわけではない!断じて…本当は…」

「そうですよ。勝手に突っ走らないでください!私はちょっともみじが羨ましくなって…じゃなくてですね!ええーっと」

桜が慌てているところを久しぶりに見た気がする。

「まぁ?うちがまとめるとみーちゃんは夕陽から可愛いって言われるのは嬉しくて!!!桜はみーちゃんが可愛いって夕陽から言われてるのが羨ましいのだよ!!!」

「勝手にまとめないでください!けど…言いたいことは正直合っています。」

「も、もみじもそれで合ってる…。」

「でも、なんで夕陽はそんなひねくれた考えになったの?」

海に直球に聞かれてしまった。俺は先ほどまでの考えをいうか迷ったが、三人とも俺を心配してくれている。だから、しっかりと話すべきだ。

「なるほどーー!!!そういう考えになったから急に謝ったりしたのかぁ!!!納得納得!ところでさ?うちも桜もみーちゃんも可愛いって思ってくれてたんだね!高嶺の花?とも思ってくれてたんだー!へー!ふーん!」

余計な事も言ってしまった。さっき考えを何も整理せず、そのままつらつらと話してしまっていたようだ。本当に何をやっている。マジでどうしよう。高嶺の花とか、可愛いとか何も考えず、恥ずかしがりもせずこいつらに言ってしまった。死にたい。穴があったら入りたい。なんなら穴今すぐに掘りたい。

「い、いや?それはな?」

「えーー?やっぱりうちら可愛いないとか言う気ーー?夕陽ひっどーい」

海、いや、このやろうなんてやつなんだ、でもここで誤魔化してもしょうがない。覚悟を決めてしっかり目を見て

「いや、俺はお前ら3人とも可愛いと思っているし、高嶺の花だし、ずっと大切な幼馴染だ。これは嘘ではない。」

俺の覚悟、本音、この3人に伝わったか。さぁこれでいつものように俺をいじって元の学校生活に…

「…///」

「…///」

「…///」

あぁ俺は何かを、いや全てを間違えたのかもしれない。



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