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【2025年1月16日4巻発売】ちっちゃい使徒とでっかい犬はのんびり異世界を旅します  作者: えぞぎんぎつね
二章

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64 神像作りと薬草作り

 感動したヘクトルが体操しているところにジルベルトがやってきた。


「どうした? ヘクトル。腰でも痛いのか?」

「至高神様に感謝しているところですぞ」

「へー」


 変わった祈りの仕方だなと思ったが、ジルベルトはスルーした。

 信仰の表明方法は人それぞれだからだ。


「ジルべルト、実は……」


 アニエスが分かったことを、ジルベルトに説明する。


「それは危ないな」


 説明を受けたジルベルトが唸るように言う。

 コボルトの村に呪神の使徒が関わっていたかもしれない可能性がある。


 しかもコリンは使徒に目をつけられている可能性が高い。


 これは非常に危険な状態だと言えるだろう。

 実際、コボルトの集落は瘴気をばらまかれて、病気で滅びかけたのだ。


 そのうえ、コリンは呪者に襲われて死にかけもした。


「アニエスは、どうしたらいいと思う?」


 ジルベルトはパーティのリーダーであるアニエスに尋ねる。


「……そうですね」


 アニエスは深刻な表情で考えている。そう簡単に結論は出せない。

 コボルトを保護するにしても、この村に神殿騎士の小隊を常駐させるのは難しい。


 神殿騎士は忙しく、人員に余裕などないのだから。

 それに呪神の幹部信徒が本格的に襲ってきたら小隊程度では対処できない。


 だからといって、移住させるとしても、コボルトたちにも生活がある。


 それに、住む場所をどうするのかという問題だってある。

 大人たちが深刻に話し合い始めた横で、ミナトが明るい声で言った。


「でも、よかったね!」

「よかったです?」


 どうやら大変なことらしいと思っていたコリンが困惑の表情を浮かべる。


「ミナト、よかったってことはないだろう?」

「そう?」

「ああ、呪神の使徒に目をつけられたかもしれないんだ。危険だろ」

「でも、呪神の使徒の計画は失敗したよ!」「わふわふ~」


 アニエスがハッとした表情を浮かべる。


「……確かにそうですね」

「コリンは助かったし、病気の人も治った!」

「きっと、呪神の使徒はくやしがっているです?」

「きっとそう!」「わ~ふわふ!」

「やったーです!」「ぴぃぴ~」「ぴぎぴぎっ」


 コリンとピッピ、フルフルが嬉しそうにぴょんぴょん跳ねる。


「やったね!」「わふわふ~」


 ミナトとタロも嬉しくなって、コリンたちと一緒にはしゃいでいる。


「……ミナトの言うとおりですな。後のことは大人が考えれば良い」

「そうですね。ミナトのお陰で間に合って、手を打てるのだから」

「いいこと。そうね、確かに、ミナトの言うとおりね!」


 大人たちに笑顔が戻り、子供たちは楽しそうに遊び始めた。


「まず、村長と相談しましょう」

「そうですな。とりあえず、まずは神殿で保護する方向で考えますかな」

「いざとなれば、じいちゃんに頭を下げるか……」

「ジルベルトのじいちゃんって、剣聖伯爵だっけ?」


 サーニャが首をかしげながら尋ねた。


「そうだ。三十人程度なら領民として受け入れることもできるだろ。多分」


 そんなことを話しながら、アエニスたちが村長と相談するために、移動していく。


「わふ~わふ!」


 すると難しい話が終わったと判断したタロが「走ってあそぼ」とミナトにじゃれついた。

 タロは、ミナトに棒を投げてもらって取ってくる遊びがしたかったのだ。


「ん。だめ!」

「……きゅーん」


 すごい勢いで振られていた尻尾がしゅんと力なく垂れ下がる。


「さっきご飯食べたでしょ!」

「ぴぃ~ぴいぃ~」


 犬も人も食後すぐに運動するのは体に良くない。

 そして、大型犬は人以上に、食後の運動が体に良くないのだ。


「いねんてんになるでしょ!」

「ぴぴぃ~~」


 神獣だから大丈夫とタロは鼻を「ぴいぴい」鳴らせて甘えた。

 実際、神獣なのでタロは食後に全力で走っても問題ない。食べながら走っても良いぐらいだ。


「だめ!」


 だが、ミナトは許可しなかった。


「きんきゅうのとき以外だめ!」

「ぴぃ~」

「だから神像つくってあそぼ」

「わふ!」


 タロはたちまち尻尾を勢いよく振り始める。

 タロも神像を作るのが大好きなのだ。


「コリンも神像つくろ?」

「うーん、あ、僕は薬を作るです!」

「いいね!」「わふわふ!」


 ミナトは魔法で水を出すと、土と混ぜて泥にする。


「これがタロの」

「わふ~」

「これがミナトの」


 泥を分けて、こねこねし始める。

 ピッピとフルフルも泥あびして遊び始めた。


「もう、よごれちゃうよ?」

「ぴぴい!」「ぴぎっ!」


 ピッピとフルフルは「あとで洗って!」と言いながら泥だらけになる。


「いいよ! あとでね!」


 ピッピとフルフルは、ミナトの水魔法で体を洗われるのが大好きなのだ。

 コリンは道具を持ってくると、袋に入れた枯れかけた薬草を取りだした。


「薬ってどうやって作るの?」「わふ~?」


 ミナトとタロは、神像を作る手と鼻先をそれぞれ止めずに尋ねた。


「まず、すり鉢で薬草を、ペースト状になるまでするです!」

「すごい」「わふ~」

「んしょんしょ……」


 二十秒ほど、コリンは一生懸命すり鉢で、薬草をすった後、急に手を止めた。


「あっ」

「どしたの?」「わふ?」

「この作り方を教わったの、僕が勇者だと言った奴と同じです」

「なんと!」「わふわふ!」


 どうやら、勇者だと伝えた後、薬の材料と作り方を教えたらしい。

 そして、この薬を飲ませたら、村人を助けることができると言ったのだという。


「……あいつが呪神の使徒か、使徒の子分だったら、毒になるかもです」

「はわわ」「ばうう」

「ぴぃ~」


 慌てるミナトとタロに、ピッピが「サラキアの書で調べたら?」と提案した。


「その手があった!」「わふ!」


 サラキアの書ならば、薬の作り方も載っているはずだ。


「さっそく調べてみよう!」


 ミナトは泥だらけの手で、サラキアの鞄からサラキアの書を取りだした。


「手を洗わなくていいです?」

「だいじょうぶだよ!」


 サラキアの鞄も書も、ミナトが泥だらけの手で触ってもほとんど汚れなかった。


「泥の中に落としたこともあるけど、泥がつかなかったもん」

「すごいです」


 サラキアはサラキアの書に特殊加工を施していた。

 泥水が付いてもしみこまないし、弾くのでパパッと払うか水をかければすぐ落ちる。


 似た機能はサラキアのナイフやサラキアの服や靴、鞄にも備わってある。

 サラキアは、五歳児が丁寧に綺麗に使うわけがないと考えていたし、実際その通りだった。


「えっと、まず薬草について調べよう!」


 ミナトはサラキアの書を開き、それをタロとコリンがのぞき込んだ。

【読者の皆様へ 作者からのお願い!】



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