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【2025年1月16日4巻発売】ちっちゃい使徒とでっかい犬はのんびり異世界を旅します  作者: えぞぎんぎつね
一章

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42 王宮の戦いのその後

ついに明日12/15発売です!

 ドミニクの陰謀を阻止してから、ミナトとタロは王宮で過ごしていた。

 王に是非滞在してくれとお願いされたからだ。


 それに呪者に支配された被害者が最も多いのは王宮だ。

 被害者に後遺症がでたときのために、ミナトだけでなく聖女一行はずっと王宮に滞在していた。


 王宮滞在を開始してからというもの午前中は、

「剣は基本的にこう持つ。だが、ミナトは短剣だから、こうやって持つ」

「こう」「わふ」

 ミナトとタロは暇なので、ジルベルトに剣術を教わったり、

「神獣や使徒じゃない者が超常の力を借りるためには詠唱が必要になります」

「詠唱!」「わふぅ!」

 マルセルに魔法を教わったりして過ごしていた。


 午後になると、

「暇だなー。あ、フルフルとピッピのところに遊びにいこうか」

「わふ!」

 ミナトとタロはフルフルとピッピのいる部屋に向かう。


「フルフル、ピッピ、遊びに来たよ!」「わふぅ!」

「ぴぎっぴぎっ」「ぴ~~」

 ミナトとタロは、フルフルとピッピを撫でたり舐めたりする。


「ぴぃ~」

 すると、毎回ピッピの父が「よく来てくださいました」と丁寧にお礼を言うのだ。


「ピッピのお父さん、体は大丈夫?」

「ぴぴぃ~」

「そっか、元気ならよかったよ。でも無理はしないでね」

「ぴぴ」

 どうやら王室の守護獣としての仕事は、ピッピが代わりにやっているらしい。


「ピッピも偉いねぇ」

「ぴ~~」

 ミナトはピッピを優しく撫でた後、ぎゅっと抱きしめる。

 ピッピ父は、長い間呪者に憑りつかれていた。


 憑りつかれていた期間が長いほど、体力の消耗が激しいのだ。

 いまのピッピ父の状況は大病を患った後の、病み上がりといった感じである。


 心配したピッピは、父とずっと一緒にいる。

 ミナトとタロは少し寂しく感じたが、仕方がない。 


「おお、ミナト様、タロ様。よくおいでくださいました」

 そこに王がやってくる。


「ぴぎぃ~~」

 フルフルは嬉しそうに王にぴょんと飛びついた。

 再会してからというもの、フルフルは大体いつも王と一緒にいるのだ。

 寝るときすら一緒らしい。


 ミナトとタロは少し寂しく感じたが、四十年ぶりの再会だから仕方がない。


「うん、リッキーも元気?」

「使徒様のおかげで、支配される前より調子がいいぐらいです!」


 王はリチャードという。だから愛称がリッキーなのだ。

 王にはミナトが使徒で、タロが神獣だと教えてある。


 個人差はあるものの、支配されていたときの記憶はうっすらとあるのだ。

 王は比較的はっきりと覚えている方で、ミナトとタロの活躍を覚えていた。


 だから、ミナトが使徒でタロが神獣であることは隠しきれなかった。

 それゆえ、教えて、協力してもらう方がいいと考えたのだ。


 もちろん口止めしているので、他の者がいるところで、王はミナトを使徒とは呼ばない。


「聖竜様は、まだ起きませんか?」


 王は古代竜の幼竜を聖竜と呼んでいた。

 聖獣の古代竜なので、聖竜でも間違ってはいないのだ。


「うん、まだ寝てる」「わふ~」

 憑りついていた呪者を追い出してから、幼竜はずっと眠り続けていた。


「多分、すごく疲れてるんだよ」

 ミナトはサラキアの服の内側に入れてお腹のところで抱っこしていた幼竜を王に見せる。


「何か必要なことがあればおっしゃってくださいね」

「うん、ありがと。でも、静かに寝てるだけだから大丈夫」


 幼いとはいえ古代竜。体力は尋常ではない。

 それこそ、数年飲まず食わずでも死なないぐらいの体力がある。


「体力が多い分、回復にも時間かかるんだろうねぇ」「わふ~」

 タロがミナトに抱っこされた幼竜をぺろぺろ舐めた。


「……この子は本当にかわいそう」


 膨大な体力を尽きさせて、瀕死にしなければ、呪者は憑りつけない。

 だから時間をかけて苦しめて体力を削り続けたのだ。


「何年でも眠っていていいからね」

「…………」


 ミナトは幼竜をぎゅっと抱きしめる。


 助け出してから、ミナトは幼竜と片時も離れていない。

 お風呂の時も食事の時も、剣術訓練や魔法の授業の時もだ。


 暇さえあれば、タロと一緒に声をかけて撫でている。


「精霊だったら、魔力を分けてあげたりできるんだけど」

「そういうものなのですか?」

「そうなんだ。メルデを助けた時は――」


 精霊は物理的な体が本質ではなく魔力が本質だ。

 だから、魔力を分け与えることで回復を促すことができた。


「聖獣は治癒魔法が効くんだけど、……体力までは回復できないってアニエスが言ってた」

「そういうものなのですね。さすがはミナト様、お詳しいですね。勉強になります」

「えへへ」


 自分の知っていることを語る幼子に対して、感心して、驚いて見せれば喜ぶのだ。

 王は幼子に対応するのがうまかった。

【読者の皆様へ 作者からのお願い!】



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