表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【2025年1月16日4巻発売】ちっちゃい使徒とでっかい犬はのんびり異世界を旅します  作者: えぞぎんぎつね
一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/137

25 初めての冒険者ギルド

 王都ファラルドに来た次の日、ミナトとタロは一緒に冒険者ギルドに向かった。

「登録は簡単らしいよ!」

 王都に来る途中、ミナトはジルベルトにやり方を聞いていたのだ。


「タロも従魔登録しないとね」

「わふ~」

「ピッピはしたくないみたいだけど」


 ミナトははるか上空を飛ぶピッピを見る。

 ピッピは従魔登録しなくていいと言って、空を飛んでいるのだ。


「あ、お菓子売ってる! お饅頭かな? 中身なんだろー」

 あんこだったらうれしいけど、あんこはこの世界にあるのかな? とミナトは思った。


「わふ!?」

 タロは中身はあんこだと信じていた。


「食べたいの? でもお金ないから、我慢だよ」

「わふ……」


 そんなことを話しながら歩いているミナトたちの十メートルぐらい後ろ。

 粗末な服を着た老人と若いエルフがこっそりつけてきていた。


「……ミナト様、タロ様、なんと不憫な。饅頭ならこの爺が何個でも買ってあげますのに」

「……ついてこないでくださいよ。足手まといです」


 それは神殿長とサーニャだった。

 一人で冒険者登録に行くといったミナトが心配で、サーニャはこっそり見守ることにしたのだ。


 初めてのお使いに向かう幼児を見守る保護者の心境だ。

 そんなサーニャに神殿長が強引についてきていた。


「足手まといとかいうでない、傷つくではないか」

「はぁ、めんどくさいなぁ。この爺さん、まいちゃおうかな」

「それは、やめてくれ」


 真剣な表情の神殿長をみて、サーニャはため息をついた。

 神殿長は若いころ、サーニャの故郷に蔓延した疫病を癒したことがある。

 だからサーニャは、基本的に神殿長に頭が上がらないのだ。


 一方そのころ、冒険者ギルドでは、変装したジルベルトが冒険者たちに叫んでいた。

「おい、お前ら、わかってるな!」

「わかってるって。ジルベルト。ミナトって子をいじめるなっていうんだろ」


 変装はやがて来るミナトを欺くため。

 冒険者たちも職員たちもみなジルベルトだと分かっている。


「そうだ。ミナトはとてもいい子なんだ。いじめたら俺が容赦しないから肝に銘じておけ!」

「わかってるって」

「というか、そのミナトってのは誰なんだ? ジルベルトと何の関係がある?」

「……それは、……いえない」


 急に口ごもるジルベルトを見て、冒険者とギルド職員たちは(隠し子か……)と思った。


「そうか……お前も大変だな」「聖女様にばれたら殺されるもんな」

「何の話だ?」

「お前も男だもんな。そういうこともある」「不潔っ! 幻滅しました!」


 男たちは生暖かい目で、女たちは蔑みの目でジルベルトを見る。


「だからなんの話だ?」


 みんな、ジルベルトが聖女といい感じの関係だと思っている。

 だが、聖女に処女性は必須ではないとはいえ、そう簡単に手を出すわけにはいかない。


 だからきっと、若い欲望を抑えきれず、どこかの女に手を出したのだと誤解した。


「伯爵公子も大変だなぁ」


 そのうえ、ジルベルトは伯爵の息子だった。

 しかも祖父の前伯爵は剣聖なうえ、その祖父より剣の才能は上だといわれているのだ。

 将来的にジルベルトは剣聖になると目されている。


「才能あるいいところのお坊ちゃんは、いろいろ大変だもんな」


 貴族は後継者争いとかいろいろ大変なのだと、冒険者たちも知っている。

 剣聖は王の剣術指南役を務めるのが習わしだ。


 つまり王の師になるのだ。権威と権力は相当なものだ。

 聖女との関係。そして家柄の関係。


 いろいろあって、子供として認めるわけにはいかないのだろう。

 そう冒険者たちと冒険者ギルドの職員全員が誤解したころ。


「こんにちは!」「ばうばう~~」

 ミナトとタロが冒険者ギルドの扉を元気に開いて現れた。

【読者の皆様へ 作者からのお願い!】



この作品を読んで、少しでも


「面白そう」

「続きが気になる」

など思っていただけましたら、

ブックマーク、並びに、

ページ下部↓の【☆☆☆☆☆】から評価して頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ミナトとタロの見守り隊が出来てる、とほほえましく見ていたらジルベルトへの壮大な誤解と意外と複雑な環境に笑ってしまいました。一体いつ誤解は解けるのでしょう?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ