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【2025年1月16日4巻発売】ちっちゃい使徒とでっかい犬はのんびり異世界を旅します  作者: えぞぎんぎつね
四章

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155/158

155 死の風について調べよう

「きれいになった!」

「ぼくもです!」


 ミナトとコリンが体を洗い終えると、みんなで湯船に入る。


「きもちいいね~。あ、奥の方ふかくなってるっぽいから気をつけてね」

「気持ちいいです!」


 ミナトとコリンは湯船にゆったりと入る。


「わぅ~」「ぴぃ」「ぴぎ~」


 タロとピッピ、フルフルは奥の深い方へと泳いでいった。


「にゃ!」

「りゃむ~」


 コトラはルクスに、こうやって泳ぐのだと教えている。


「コトラとルクスはあまりとおくにいったらだめだよ」

「んにゃ!」「りゃむ」


 ミナトに言われて、コトラとルクスはミナトの側で楽しそうに泳ぎはじめた。


「ふぅ……今日はいろんなことが、あったですねぇ」

「あったねぇ」


 ミナトとコリンは、みんなを見守りながら、のんびりしている。


「結局、変な気配って、あの風の気配だったです?」

「たぶんそう。呪いじゃないけど、サラキア様とか至高神様とは別の気配だった」

「なんの気配ですかねー。神様ならわかるですかね?」

「あ、そうだね。あとで、サラキアの書で調べてみよっか」

「ぴぃ~」


 すると、タロの周りで泳いでいたピッピが「任せろ」と鳴いて、脱衣所へと飛んでいく。

 そして、二十秒ほどで戻ってくる。


「あ、ありがと! サラキアの鞄をとってきてくれたんだね」

「ぴ~」


 ピッピは「きにすんな!」と言って、再びタロの周りで泳ぎ始めた。

 ミナトはサラキアの鞄から、サラキアの書を取り出した。


「さっそく調べてみよっか」

「……サラキアの鞄もサラキアの書も濡れないです?」


 コリンが不安に思うのも当然だった。

 サラキアの鞄は湯船の外にベチャって置かれ、サラキアの書はお湯に少し浸かっている。


「ぬれてもだいじょうぶだよ! 川とか泥の中に落としても大丈夫だったし」

「そ、そですか」


 仮にも神器を川や泥に落としていることに、コリンは少しひいていた。

 だが、サラキアとしては、ミナトが川や泥の中に落とすことは想定の範囲内。


 五歳児に授ける時点で、サラキアは当然起こる事象だと考えていたのだ。


「あ、そうだ。一応……」


 ミナトは念のために周囲の気配を探る。

 ミナトの【索敵】スキルのレベルは49。誰かがこっそり潜んでいても見つけられるのだ。


「うん。誰もいないね!」


 安心したミナトはサラキアの書を開いた。



 ----------


【死の風】


 呪われし風の大精霊が起こした暴風に、死神の神獣の権能が混じったもの。


 ----------


「まじっているんだね?」

「死神の神獣? 神獣っていうと、タロ様みたいな子です?」

「わふ?」


 コリンの言葉を聞いて、深いところを泳いでいたタロがやってくる。

 一緒にピッピとフルフルもついてきた。


 お湯の中に座るミナトとコリンの後ろから、タロがサラキアの書をのぞき込む。

 ピッピはミナトの頭の上に、フルフルはミナトの肩に乗って、のぞき込んだ。


「みんなもきになる? つまり……風の大精霊の近くに死神の神獣がいるみたい」

「そもそも、死神ってなんです? 不死者たちの神ですかね?」

「どうなんだろ、しらべてみよっか」


 ミナトはサラキアの書のページをめくった。


 ----------


【死神】


 死を司る神。

 主な権能は生物の魂を神界に連れ去ること。


 ----------


「魂を神界に連れ去るって、つまり?」

「殺すってことじゃないです?」

「たしかに。そうかも? 死の風で死んでる人いるものね」

「それに、呪われた大精霊様の側にいるってことは……死神は呪神と手を組んでるです?」

「……可能性はある」

「わぅ~」


 タロは「大変だ」と言っている。


「そだね。このままだと、どんどん村人は死んじゃうかも」


 時間が経てば、死の風によって、村人はみんな死んでしまうかもしれない。


「ミナト、大精霊様が呪われて呪者になっちゃったら、多分もっとひどいことになるです」

「うん。今はただの暴風だけど……」


 呪者と化した大精霊は、呪いが混じった風を常時吹かせるようになるかもしれない。


「そうなったら……人が死んじゃうのは村どころじゃないかも」


 国が、いや大陸全体の生物が死に絶える。


「それに、死んだ人を不死者にされたりしたら大変です……」

「た、たしかに……とにかく急がないとだね」


 風の大精霊が呪者になってしまう前に、村人が死んでしまう前に。

 なんとか、風の大精霊の島に渡らなければならない。


「まずは、アニエスたちにも相談してみよ」

「わふ~」

「サラキア様ありがとうございます。あとであんパンを供えます」

「わふわふ」


 調べたいことを調べ終えたので、ミナトはバシャバシャと泳ぎ始めた。

 その間、サラキアの書はお湯にぷかぷか浮いていたのだった。

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