154 ミナト達とお風呂
ミナトとタロ、ルクス、コリンとコトラ、フルフルとピッピは村人の案内で風呂に向かった。
「こちらになります。以前は海竜様方も入られていたので、とても広いでしょう?」
風呂場まで案内してくれた村人は自慢げだった。
「ほんとだ! 広い!」「わふ~」「りゃあ~」
「泳げそうです!」「にゃ~」「ぴぴぃ」「ぴぎぴぎっ」
みんな大喜びだ。ネコ科のコトラも喜んでいる。
洗い場はタロが走り回れるぐらい広く、湯船もタロが泳げるぐらい広かった。
「奥に行くほど深くなっているので気をつけてくださいね」
「わかった!」
それだけいうと、村人は子供達を放置して去って行った。
「さっそく入ろう!」
「はいです!」
ミナトとコリンは服をぱぱっと脱いで、洗い場へと向かった。
タロ達もミナトについて行く。
「まず、体を洗わないとね! タロから洗おう」
「そうですね! タロ様は、でっかいから、最初に洗うですよ」
「わふわふ~」
ミナトとコリンは協力してタロをきれいにしていく。
ルクスもミナトと一緒に洗ってくれている。
「タロの毛は泡立ちがいいね」「りゃむ~」
「きめ細かい泡ができるですね」
「わふぅ」
ミナトとコリンは、タロの毛の根元まで指をつっこんで、きれいに洗っていく。
タロはとても気持ちよさそうに、目をとろんとさせていた。
ルクスは赤ちゃんなので、上手に洗えていない。
タロの毛と泡にまみれて、わちゃわちゃ遊んでいるように見える。
だが、ルクス本竜は、真剣に洗っているつもりだった。
「りゃむりゃむ!」
「ルクスもありがとね」
一方でコトラは、早く洗って欲しそうに、コリンの足に体を押しつけながらぐるぐるまわる。
「……んにゃ~」
「あとで、洗ってあげるですよ~」
それをみて、ミナトは少し気になった。
「猫はお風呂がきらいな子が多いって聞くけど、虎はそうでもないの?」
「コトラ、どうなんです? 好きみたいにみえるですけど」
「んにゃ~~」
コトラは水など恐るるに足りないと堂々と尻尾を立てる。
「そういえば、川で魚をとって食べるっていってたね」
「んにゃ~」
コトラは泳ぎは得意だと自慢げに鳴く。
「そっかー、コトラはネコ科なのにえらいねー」「わふ」
「コトラは、すごいです」
ミナト達に褒められて、コトラは嬉しそうだった。
タロを洗った後、ミナトは次にピッピを洗う。ルクスも一緒にミナトの真似をする。
もちろん、ルクスは赤ちゃんなのでちゃんと洗えていない。ただ、撫でているだけである。
ちなみにタロは「先に湯船に入っといて」と言われたのにミナトの横でお座りしていた。
「ピッピはいつも綺麗だねぇ」「りゃむりゃむ」「わふわふ」
「ぴぴっ」
汚れてきたら、ピッピは全身を炎で包んで汚れを燃やしてしまうのだ。
その後、羽をバサバサさせれば、灰となった汚れは飛んでいく。
だから、ピッピはいつも清潔だ。
「ぴぃ~」
「え、もっと洗ってほしいの? いいよ! かゆいところある?」
「ぴぴぃ」
「全身がかゆいのかー」「りゃあ~」「わふ~」
綺麗だから洗う必要はない。だが、ミナトに洗ってもらうのが気持ちいいのだ。
だから、ピッピは甘えて全身を洗ってもらいたがった。
ミナトがピッピを洗っている間、コリンはコトラを洗っている。
「コトラ、気持ちいいです?」
「んにゃ~」
コトラはコリンに全身をあわあわにされて、気持ちよさそうだ。
「コトラは本当に洗われるのがすきみたいです」
「にゃにゃ~」
コトラも最初からかなり綺麗なのだが、ピッピ同様、もっと洗ってとせがむのだった。
ピッピを洗った後、ミナトはフルフルも洗う。ルクスも一緒に洗うのを真似する。
「フルフルはすべすべで丸いから洗うの簡単だね」
「ぴぎっ」
フルフルこそ洗う必要がない。汚れは基本的に全部消化してしまうからだ。
食べられない汚れも、形を自在に変えられるフルフルにとっては大した問題ではない。
「ぴぃぎ~~」
だが、ミナトに洗われることは、フルフルにとっても気持ちいいことだった。
だから、もっと洗ってとお願いするのだ。
フルフルも洗った後、ミナトはルクスも洗う。
「かゆいところはありますかー」
「りゃああ~~」
ミナトに洗われているルクスは、気持ちよさそうに尻尾を振っていた。
ミナトとコリンは、みんなを洗ってから、自分を洗う。
「みんなは、先に入っていいんだよ?」
ミナトがそう言っても、みんなミナトとコリンが体を洗い終えるのを待っていた。
「そうなのです。コトラも体冷えないです? ここはあったかいから大丈夫と思うですけど」
この南方地域は元々暖かく、そしてお風呂の湯気が立ちこめているのでさらに暖かいのだ。
「んにゃ!」
コトラは大丈夫と鳴きながら、椅子に座って体を洗うコリンの膝の上に載った。
「しかたないですねー」
「んにゃ~」
コトラは、とにかくコリンに甘えたかったのだ。
「りゃむ~」「ぴぃ~」「ぴぎぴぎ」
そしてルクス、ピッピ、フルフルは、タロにまとわりついて遊んでいる。
タロの濡れてぺっちゃりした毛を掴んで、体をよじ登ったり、背中から滑りおりたりしていた。




