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【2025年1月16日4巻発売】ちっちゃい使徒とでっかい犬はのんびり異世界を旅します  作者: えぞぎんぎつね
四章

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146 海竜の治める村

 アニエスは慣れた様子で、ひざまずいた村人達に笑顔で対応する。

 村人達を立たせると、ジルベルトやミナト達、皆のことを簡単に紹介した。


「ぜひ、聖女様には海竜王陛下にお会いしていただきたく……」


 そういう村人の案内で、アニエスは村へと入る。

 アニエスの横をジルベルトとヘクトルがしっかり固めた。


 ミナト達もその後ろをついて村へと入った。

 一応、警戒のためにピッピは上空を飛んでいるし、フルフルはタロの毛の中で息を殺している。


「アニエスは南でも人気だねぇ」「ばうばう」

「まあ、訪れただけで村人にひざまずかれて感謝されるのは、よくあることよ」


 サーニャが小声で教えてくれる。


「でも、こんなに離れた場所にも名声がとどろいているとは思わなかったわ」


 ミナトがその正体と功績を全て明かしていたら、アニエスみたいに扱われていたかもしれない。

 それはとても困る。


「アニエス、ありがと」


 ミナトは、自分の代わりに目立ってくれているアニエスに感謝した。


 それからミナトは村の中を観察する。


「……変な気配がするけど」


 ミナトは小声でささやく


「ばう?」

「うん、呪者の気配とは全然違うし……悪いものでもない気がするんだけど」


 ミナトは気配を気にしながらも、村の地形を確認する。


 村は中心に向けて緩やかな上り坂になっている。


 そして、上り坂を登り切った村の中央には、とても大きな平屋の屋敷があった。

 門から屋敷までは、竜でも通れそうなほどに広い大通りになっていた。


 その屋敷を超えると、海に向けて下り坂になっているようだ。


「ここからだと海見えないねー」

「屋敷の向こうですからね。漁村なので海側も活気がありますよ」


 ミナトのすぐ近くを歩く村の青年が教えてくれた。


「お屋敷はまるで神殿みたい」「わふ~」

「そうね、ノースエンドの神殿に少し似ているかも」


 サーニャも、ミナトの意見に同意する。そのぐらい大きな屋敷だった。


「あれは海竜王陛下の御座所ですから。神殿のようなものです」


 村の青年はミナトが頭の上に乗せているルクスが気になって仕方ないらしい。

 チラチラと見ている。


「海竜王さまは、この村の神様なの?」

「そのようなものです。はい。あ、もちろん、至高神様のことも信仰しておりますよ」


 青年は、ミナトが至高神の聖女一行の一員であることを思い出したのか慌てて付け足した。


「そっかー。……同じなのにね」


 サラキアの書にはリザードマンは竜を信仰していると書かれていた。

 同じく竜を信仰しているというのに、なぜ争うのだろう。


「さっきは、なんでリザードマンたちともめていたの?」

「…………ええっと」


 青年は言いよどむ。


「いえないこと?」

「そうではないのですが……説明が難しく……詳しくは陛下にお聞きください」

「わかった!」「ばう」


 ミナトは、まだ海竜王は決まっていないって、グラキアスに聞いていたのにな、と思った。

 だが、何か事情があるのかもしれないので、深くは聞かなかった。


 あとで、海竜王本人、いや本竜に聞けばいいだろうと思ったのだ。


「大変そうだねー」「ばう~」


 ミナトとタロは村とリザードマンと海竜王の関係に思いをはせながら、歩いて行く。


 門から屋敷に向けて、道はまっすぐとのびていた。

 道の両脇には二階建ての民家が沢山並んでおり、民家に混じっていろんな店があった。


「人がいっぱいです」「にゃ~」


 コリンとコトラが好奇心を抑えられない様子で、キョロキョロ見回していた。


 沢山の村人がアニエスを一目見ようと道沿いに集まっている。

 聖女が来てくださったという情報が、あっという間に村中に広まったのだろう。



「可愛い。あれはコボルト? 初めて見たな」

「あれは虎じゃないか。子供の虎は初めて見た、可愛い」


 コリンとコトラは村人達に大人気だ。


「虎はこのあたりにもいるのかな?」

「虎は暑い地域から寒い地域まで生息していますから。厳密に言えば種族は違うのですが」


 マルセルがこそっと教えてくれた。


「大きい犬だな。寒い地域は動物が大きいと聞くが……ここまででかいとは」

「いや、いくら大きいと言っても限度がある。きっと狼だろう」

「大きいが、すごく可愛い」

「竜様を頭に乗せた男の子も可愛い」


 ミナトとタロも大人気だ。


「人がいっぱいだね。この村には何人ぐらいるの?」


 ミナトは近くを歩く村人に尋ねる。


「千人ぐらいいますよ」

「すごい! いっぱいだね。村も広いし」「わふわふ」


 ミナトとタロがキョロキョロする様子を村人達は見つめて可愛いと騒いでいた。

 王都やノースエンドと民達の反応はほとんど同じである。


 違うのは、ミナトが頭の上に乗せているルクスへの反応だ。


「あれって、竜様の雛だよな?」

「なんと愛らしい……ありがたいありがたい」

「海竜様ではなさそうだが……北の聖女様がつれているのだから氷竜だろうか。ありがたい」


 ルクスを見て、村人達は、胸の前で両手を組んで、拝むように感謝の言葉を述べていた。


 だが、ルクスは全く気にすることなく、好奇心旺盛な目でキョロキョロしていた。


「りゃあ~?」

「ルクス、怖くない? 怖かったら、鞄にはいる?」「わふ?」


 ノースエンドの街では、ルクスは人が怖くて、ミナトのお腹に顔を押しつけていたものだ。


「りゃむ」

「そっか、大丈夫なんだね。怖くなったら、いつでもいってね?」「わぁぅ」

「りゃ~」


 ルクスの成長を感じて、ミナトとタロは嬉しかった。

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