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【2025年1月16日4巻発売】ちっちゃい使徒とでっかい犬はのんびり異世界を旅します  作者: えぞぎんぎつね
三章

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136 村への帰還

 大精霊の説明を終えた後、ミナト達はモグモグに見送られて帰路につく。

 具体的な祠の設置方法などは、アニエスが後日神殿と協議して決めることになった。


 村が見えてくる頃、太陽は西に傾いて、空を赤く染め始めていた。


「あ、魔梟さん達だ!」「わふわふ~」

「ほーーーほぅほぅ」


 上空を旋回していた魔梟達がミナト達に気づいて、村に報せてくれる。


「むむ? 呪者がいた気配がする!」「ばうばう」

「なに? 呪者だと!」

「みんなが心配です! 急ぐです!」「にゃ!」


 ジルベルトが構え、コリンとコトラが走りだしかけるが、


「大丈夫。もう倒されてるっぽい」「がう~」

「そうだぞ、村には陛下がいるんだ。呪者に負けるわけないだろ」


 レックスはどこか自慢げだ。



 その後、しばらく歩くと、村の方からグラキアスと虎3号が、凄い勢いで走ってくる。


「ミナト! タロ様! それに皆も! よくぞ無事にかえった!」

「りゃ、りゃあ~」


 ルクスはミナトに抱きついて、ミナトのお腹に頬をごしごしとこすりつけた。


「ただいま。ルクス、いい子にしてた」「わふ」

「りゃあ~」

「ルクスはとてもいい子であったぞ!」

「そっか、いい子のルクスにはおみやげがあるよ~」


 ミナトがルクスのことを撫でている横で、虎3号はコトラのことをべろべろ舐める。


「がおがお」

「にゃあ~」

 コトラも嬉しそうだった。


 グラキアスは順番に皆を見て回る。


「皆、怪我はないか? うむうむ。……まあ、ミナトとアニエスがいるからな」

「陛下、ずいぶんと心配してくれるんですね?」


 レックスが怪訝そうな表情をうかべる。


「当たり前だ! こっちには呪者と呪神の使徒が襲ってきたのだ! そちらもそうであろ?」

「あ、やっぱりこっちにも呪者が来たんだ。でも、呪神の使徒まで来たとは思わなかった」

「そうなのだ。そのことで、我は皆に詫びねばならぬのだが……」


 村に向かって歩きながら、グラキアスは呪者の襲撃と呪神の使徒との戦闘について詳しく語る。

 そして、ミナト達も鉱山での出来事を詳しく語ったのだった。


「すまぬ。呪神の使徒を逃がしてしまったのである」

「逃がしたのは僕とタロも同じだよ。ごめんね?」

「わふわふ?」


 ミナトのすぐ近くで、タロも「ごめんね?」と詫びている。

 そんなタロの頭を、ミナトに抱っこされたルクスが優しく撫でた。


「ありがとう。グラキアス、虎3号。呪者から村を守ってくれて」「わふわう」

「そう言ってもらえると、気が楽になる」「がうがう」

「しばらくは、呪神の使徒も動けないよ! ね! タロ」

「わふ~」


 呪神の使徒が再び動き出す前に、もっと力をつけなければ。

 ミナトとタロはそう思った。


 村の中、建物が並んでいる場所に到着すると、ミナト達は歓声をあげた。


「ふわー」「わふ~」

「すごいです!」「んにゃ~」


 今朝、出発したときと風景が一変していた。

 新しい住居が五軒ほど建っていたのだ。


「あ、ミナト、タロ様! コリンも! それに皆様も! よくぞご無事で!」


 呪神の使徒がやってきたと聞いて、コボルト達もミナト達のことを心配していたのだ。


「ぶぼぼ」「ほほう!」「きゅきゅ」「ちゅ」「めぇぇ」


 魔猪達もやってきて、ミナトたちを迎えてくれる。


「みんな、ただいま!」「わふわふ!」

「ただいまです!」「んにゃ~」


 互いに再会を喜んだ後、ミナトが尋ねる


「一日でこんなに建てたの? すごい!」「わふ~」

「我も手伝ったゆえな」「りゃむ!」


 グラキアスも誇らしげだ。なぜかルクスも自慢げに胸を張っていた。

 そんなルクスを撫でながら、ミナトは畑も見る。


「畑も耕されてる! すごい!」「わふわふ~」

「魔猪さん達が手伝ってくれましたからな!」

「ぶぼぼ~」


 魔猪達は普通の牛や馬よりずっと力が強い。だから、効率的に作業が進んだようだ。

 この調子なら植え付けの季節になれば、すぐに栽培を開始できるだろう。


「かまども増えてる!」


 昨日作ったかまどの数が五つに増えている。


「各住居にかまどを設置するまでは、外でみんなで調理しようと思いましてな」

「そっかー、楽しそう」「わふわふ!」


 かまどを見て、ミナトは大切なことを思い出した。


「あ、そうだ! ルクスとみんなにおみあげがあるんだ!」

「りゃ?」

「まず、洞窟火トカゲのお肉! サラキアの書によると、おいしいんだって!」

「りゃ!」「おお!」


 大量に倒したので、洞窟火トカゲのお肉は山ほどあった。


「そして、洞窟トカゲのお肉と、バットのお肉! これもおいしいんだって!」

「りゃっりゃ!」「おおおお! すごい!」

「あ、グラキアスの魔法の鞄にいれていい? 腐らないように入れておきたくて」

「もちろん良いぞ!」

「沢山あるから、氷竜のみんなともわけようね」

「おお! ありがたい!」


 そして、ミナトは吸血バットも取り出した。


「吸血バットもあげるね。お肉はおいしくないけど、羽とか爪とか牙がいい素材みたい?」

「これは! 最高の素材になりますぞ! ありがとうございます!」

「がうがーう」

「え? 虎3号は吸血バットのお肉が好きなの? じゃあ、お肉は虎3号が食べて!」

「がうがう!」


 人族にとっては臭みが強い吸血バットの肉だが、虎3号は虎なので気にならないらしい。

 むしろ、その臭みがたまらないという。


「沢山あるからあげる!」「わふわふ!」

「なんと! ありがとうございます!」

「吸血バットのお肉は虎3号にあげてね」

「もちろんです!」


 ミナトは獲得品の九割ほどをグラキアスの魔法の鞄に移した。

 残りの一割でも、ミナト達が食べるには充分な量があるのだ。


「早速、今日の夜ご飯にしましょうぞ」

「おおー」「わふわふ!」「りゃ~」


 コボルト達とアニエス達が夕食の準備を始めた。

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