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【2025年1月16日4巻発売】ちっちゃい使徒とでっかい犬はのんびり異世界を旅します  作者: えぞぎんぎつね
三章

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125 洞窟トカゲとバット

 ジルベルトの動きは見事の一言だった。


「ジルベルト、すごい」「わふわふ!」


 ミナトとタロははしゃいでいるが、他の者達は顔をしかめている。


「ほんとに、慣れていてもきついですな。いやこんなにきつかったですかな?」

「……これならバットに鳴かれる前に、私の魔法で倒した方がいいかもしれませんね」

「私の矢を惜しんでる場合じゃないかも」

「……そうですね。ですが、これから大量に出てくるのでしょう?」

「……節約できるところは、節約した方がいいと思ったんだがな」


 最も至近距離で怪音波を食らったジルベルトが軽く頭を振った。


「くらくらするです。バットの攻撃、凄かったです」

「……んにゃ」

「音は聞こえないのに、頭が揺さぶられたです。これが怪音波ですね」


 そんなコリンとコトラの頭を、レックスが撫でた。


「コリンもコトラも、あれを食らって膝をつかなかったのは大したもんだぞ」

「レックスは平気なの?」「わふ?」


 ミナトとタロが尋ねると、レックスはにやりと笑う。


「ああ、竜だからな? バットの攻撃程度なんでもない。ミナトとタロは聞くまでもないか」

「すごいねー。じゃあ、ルクスがもし来ていても大丈夫だったのかな?」


 ミナトは村でグラキアスと一緒に留守番しているルクスのことを思い出す。


「そりゃあ、余裕だろう。ルクスは聖獣の竜である聖竜で、しかも古代竜だからな」

「そっかー」

「わふわふ」

「ピッピとフルフルは大丈夫?」

「ぴぃ~」「ぴぎ」

「ピッピは少しふらふらしたのかー。でもフルフルは平気なんだね」


 スライムのフルフルは【状態異常無効】のスキルを持っている。

 それゆえ、フルフルに怪音波は全く効かないのだ。


 もちろん、ミナトもフルフルから【状態異常無効】のスキルをもらっているので全く効かない。

 そして、タロは竜以上に耐性が高いので、通じるはずもなかった。


「……それにしても、ただのバットにしては怪音波の威力が高すぎないか?」

「ジルベルトもそう思ったか?」


 バットの死骸を調べながら、マルセルが言う。


「ああ、これまでもバットは何匹も倒したことがあるが……ここまで頭に響いたか?」

「上位種ってこと?」


 サーニャが尋ねると、マルセルは首を振った。


「私もそう思って死骸を調べていたのですが……上位種ではなさそうです」

「なにそれ。単に強い個体ってだけ?」

「そう考えるのが自然かと。サーニャも確認してください」

「……確かに上位種ではないわね……ただのバット」


 それを聞いていたアニエスが皆に向かって言う。


「いやな予感がします。油断しないでください」

「ああ。もし、想定外の事態が起きているならば、すぐに引き返すべきだろう」


 そんなことを相談している間、ミナトはバットの死骸をサラキアの鞄にしまっていた。


 サラキアの鞄に入れると、状態が変化しないので、血抜きなどの処理を後回しにできるのだ。


「肉がおいしいらしいからね。ルクスへのお土産にしよう」

「ばうばう」

 そんなミナトにジルベルトが尋ねた。


「ミナト。この先に敵はどのくらいいるかわかるか?」

 バットの死骸をサラキアの鞄にしまい終えたミナトは立ち上がる。


「えっとね。道が曲がっているところあるでしょ?」

「……あるな」


 ジルベルトはカンテラの明かりを坑道の奥へと向ける。

 坑道は曲がっていて、その先は見えない。


「あの向こうに、バットと洞窟トカゲが沢山いるっぽい。えっと、それぞれ十匹ぐらい?」

「合計二十匹か」


 二十匹程度なら、聖女パーティならば対処できる。


「でも、そこから奥に、一分ぐらい歩くともっといるよ? いーっぱい、もう百匹とかいる」

「魔物が塊になって、まるで群れを作っているようにいるわけだな」

「そうかも!」

「情報感謝だ。それにしても百匹か。アニエス、どうする?」

「一匹ずつはたいしたことなくとも百匹はきついですね」


 するとマルセルが提案する。


「ジルベルト、いざとなれば大魔法を使ってなぎ払うこともできるぞ」

「坑道でなければ、それがいいんだが、ここは坑道だからな。それはまずい」


 大魔法を使えば、衝撃で崩落する危険性がある。そうなれば、皆が生き埋めだ。


「とりあえず、二十匹を倒して、進むかどうか考えよう。アニエスもそれでいいか?」

「任せます」

 アニエスの返事を受けて、ジルベルトは頷いた。


 その後、ジルベルトは慎重に歩みを進め、二十匹の魔物がいる場所に近づいた。

 ジルベルトは無言で一気に駆ける。


 合図もないのにヘクトルとレックスが、そのすぐ後ろに続く。息の合った動きだった。


 ジルベルトが動くのと同時に、マルセルが風の刃の魔法を放った。

 マルセルは、非常に小さな声でささやくように、呪文を唱えていたのだ。


 不可視の真空の刃が、奥にいるバットの羽を斬り裂いた。

 間髪入れずに、サーニャが矢を放つ。


「GYAAAAA!」


 悲鳴をあげたのは、坑道の天井付近にいたバットだった。

 サーニャの放った矢を額に食らったバットが地面へと落ちていく。


 続いて、ジルベルトとヘクトルの剣が、急な明かりに混乱している洞窟トカゲを斬り殺す。


「おらぁ!」


 ほぼ同時に、レックスが高く跳んで、剣で宙を飛ぶバットの羽を斬り裂いた。

 最初の奇襲で、バット三匹と、洞窟トカゲ二匹を屠ることに成功した。


 だが、敵も一方的にやられるばかりではない。


「「「「―――――――――」」」」

 バットが一斉に怪音波を放ちながら、前後左右から回り込むように一斉に襲いかかってきて、


「GAAAAAA」

 洞窟トカゲも素早く走って襲いかかってくる。


 地面を走り、壁を走り、天井を走って、ミナト達がいる後列を狙う。


「ちゃぁ~」

 ミナトは素早く動くと、襲い来るバットを手で掴んでべしっと地面にはたき落とした。


「ばう!」

 タロも洞窟トカゲを足でバシッと叩いて潰す。


「ぴぎっ」

 フルフルも素早く動いて、洞窟トカゲに襲いかかる。自分の体で熱感知する器官を塞ぐ。


「覚悟です、ほわぁぁっぁぁ」

 フルフルが熱感知する器官を塞いだ洞窟トカゲにコリンが襲いかかる。

 コボルトの勇者の剣で、的確に洞窟トカゲを斬り裂いた。


「ぴぃ~」

 ピッピは全身に炎をまとって、バットの合間を高速で飛ぶ。

 それだけで、バットは火傷を負って、地面へと墜落していく。


「がぁぁぉおおーー」

 コトラも負けてはいない。

 小さな体で、大きく跳ぶと、飛んでいるバットを捕まえて牙でとどめを刺していく。


「いけるです!」

「にゃにゃ!」

 ほぼ全員が、勝ちを確信したそのとき。


「いやな気配!」

 ミナトが叫ぶ。


「嫌な気配って、何のこと――」

 ジルベルトが問いかけが終わる前、ミナト達の後方、入り口の方から岩の崩れる音がした。

 三つのカンテラの灯りが同時に消えて、周囲が完全なる闇に包まれた。

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