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119 テントに泊まろう

 その日はみんなで、廃村に泊まることになった。


 コボルト達は補修途中の家の中で眠り、ミナト達はテントで泊まる。

 魔猪達と魔山羊と魔梟はいつものねぐらに戻り、魔狸と魔鼠は廃屋で寝るらしい。


「魔猪さん達のねぐらってどんなとこなの?」

「ぶぼぼ~」

「へー。地面の少しへこんだところに草をしいて寝るんだ」

「猪の寝屋ってやつね。魔猪に限らず、猪は自分で寝床を作るのよ」


 ミナトの言葉を聞いて、サーニャが教えてくれる。


「そうなんだね、魔山羊さんは?」

「めえ~」

「そっかー、茂みの中でねむるのかー。魔梟さん達は?」

「ほほほ」

「木の上で寝るんだね。虎3号は?」

「がぁぅ~」


 虎3号は廃村を巡回して、寝床を探すという。


「コトラと一緒にテントで泊まればいいのに?」

「がう~」


 狭いからいいという。

 確かに、大きなテントだが、タロと虎3号が一緒にはいると狭いかもしれない。


 狭いと、いざというときに素早く動けない。


「そっかー。うーむ。後で、みんなの寝床も建ててもらった方がいいかも?」

「そうですな。土地には余裕があるし、その方が良さそうですな」

「その際は、資材を氷竜から提供しよう」


 村長とレックスが合意したので、魔猪達の寝床は建築されることになった。

 一方、ジルベルトとヘクトルはテントを設営し始めていた。


「あれ? そのテントって、壊れたんじゃないの?」「わふわふ~」


 ミナトとタロが氷竜王を助けている間、アニエス達は氷竜と高地で戦った。

 その際、戦いに巻き込まれて、近くに建っていたテントは壊されたのだ。


「氷竜の皆さんが直してくれたのですよ。感謝ですね」

「感謝など必要ない。氷竜が壊したのだから、直すのは義務だ。むしろ詫びなければな」


 村長との簡単な相談を終えたレックスが、申し訳なさそうにそういった。


「氷竜さん達、いつの間に直してくれてたんだ。気づかなかった!」「わふぅ~」

「僕もきづかなかったです!」「にゃう」


 ミナト達は設営されたテントの外を一周して、ゆっくり眺めることにした。


「大きさは変わらないですね! タロ様もゆっくり寝られるですよ」

「わふ」


 テントは壊れる前から、タロが中で眠れるぐらいには大きかったのだ。


「ばうばう!」

「そうだね。僕とタロが作った神像がつるされてるね!」

「ばう~」


 タロは嬉しそうに尻尾を揺らす。


 ミナトの作った美少女の像とタロの作った犬のうんちみたいな像が交互につるされていた。

 ミナトとタロが作った神像には瘴気と呪者をよける効果があるのだ。


「あれ? 丈夫になってる?」「わふ?」


 ミナトはテントにかけられた魔法がより強固になっていることに気がついた。


「ああ、陛下が張り切って、改良したからな」

「おおー、グラキアスが頑張ったのなら凄そう」「わふ」


 氷竜王グラキアスは魔導具作りの達人(竜)なのだ。


「氷竜が暴れても壊れないぐらい頑丈にしてある」

「え? すごくない?」「わふ」


 それはもはやテントではない。結界の張られた避難施設より安全だ。


「すごいだろ。台風でも吹き飛ばされないし、多少の魔物に襲われても安全だ」

「多少って。氷竜が暴れても壊れないなら、超危険な魔物に襲われても安全だろ」


 ジルベルトがテントを撫でながら言う。

 氷竜は多少の魔物どころか、最強クラスの魔物なのだ。


「ほえーすごいねー」「ばうばう~」


 テントの周囲をしっかり調べた後、ミナト達はテントの中に入った。


「眠くなってきた」

「わ~ふぅ」

「まだ、日が沈んだばかりですけど……ふわぁ」「にゃぁ~」


 タロとコリンとコトラがあくびをする。子供達は沢山動いたので、もう眠かった。

 タロが横になり、そこにミナト達はもたれる。


「タロはもふもふだねぇ」

「あったかいです」「にゃ~」

「……りゃ」


 ミナトのお腹の上に乗っているルクスはもう眠っていた。


「ルクス、よく眠れてえらい。かわいいね」


 ルクスのことを撫でている間に、ミナトも眠ってしまったのだった。

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