ガラス屋ニーナは瑠璃のなか◆
ガラス屋ニーナは瑠璃のなか◆
作者:コイシ直 様
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《あらすじ》
ガラス職人として小さな町で元気に暮らすニーナは、ある日突然、軍に追われ、大怪我をした青年を事情も知らずにかくまうことに。
ハーフォードと名乗った彼は、銀髪碧眼の魔術師だった。しかし今は魔力を封じられ、取り戻すための旅をしているという。
そして、ニーナの行方不明の父親について、何かを隠しているようだった。
芸術の都・カンティフラスの王都でガラス修業をしたいニーナと、ひょうひょうと放浪の旅を続けたい訳ありハーフォードは、なりゆきで、ともにカンティフラスを目指すことになる。
しかし、謎の魔術師に付け狙われ始めて……。
鉄砲玉みたいに勢いあふれるガラス屋の女の子と、風のように自由に生きたい魔術師が、次第に心を寄せ合って、「家族」になっていくお話。
《感想》
すごくすごくすごーーーーーーく良かったですーーー!!!!
「面白い」には色々種類があると思いますが、「好み」という一点においては、今年読んだ中で一番かもしれない。
芸術家気質の繊細な感受性を持ち、同時に芯の強さもあるヒロイン・ニーナ。どこか飄々とした、強力な魔法の使い手であるハーフォード。
大怪我をしたハーフォードが、ニーナの家の裏で倒れている所から物語は始まります。
そして二人は成り行きで旅をする事に。
小さな街から出たことのないヒロインが、生まれて初めて目にした海に感動し、何にも執着のなかったハーフォードがその様子に心動かされて、次第に距離が近づいていくのですが……
この二人尊すぎるんよ……
ロードムービー的な前半、お仕事ものっぽくなる後半、そしてニーナの出生と父親の事が明らかになる終盤、と話が進んでいきます。
文章も非常に秀逸で、心に残るフレーズが本当にたくさんありました。二人の目を通して描写される世界の美しさに、一緒に感動して癒される感覚になるんですよね。三回は泣いた。
設定や、細部の作りこみもとても細やかです。
個人的には書籍化でも全然おかしくないクオリティだと思うんですが……
ポイント二桁ほど足りなくないですか……すごい良作なのに……
というわけで非常にオススメです!
今まで紹介した中では、「銀色カラス」が一番雰囲気近い気がします。あの作品が好きな人なら刺さると思う多分。
全32話、完結。
そういえば、作中にトンボ玉を作る場面があって、そこ大好きなんですが、昔自分も作って失敗したの思い出しました……!




