雨の中のアリス◆
雨の中のアリス◆
作者:九条 寓碩 様
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【あらすじ】
電脳に支配された大都会の片隅で、わけあり男が謎の幼女と出会う。「アリス」と言ったきり口をつぐんだ幼女の正体を探るため、男は悪徳宗教団体「ローズ・ペインターズ同盟」に潜入する羽目になる。
誰が味方で誰が敵か!? 奇想天外な異能が交錯する、問答無用のバトルロイヤル! 迷宮の果てに待ち受ける残酷な真実とは……?
これは、世界が終わるまでの物語。
【感想】
サイバーパンクなSFが読みたくて探した作品。完成度が高くて大満足でした。
地球の支配者が、人類から電脳【ダイモン】に取って代わられた近未来。【ダイモン】は、人類を含む、あらゆる生物を管理しています。
かつて主人公はある宗教団体の一員として、電脳に逆らう「人間中心主義者」を粛清するチームに所属していました。しかし現在はそこを脱走し、インド・コルカタに潜伏しています。
そんな主人公が一人の少女と出会う所から物語が始まります。
序盤は世界観の説明が多く、やや取っつきにくく感じるかもしれませんが、主人公が新興宗教「ローズ・ペインターズ同盟」と関わり出した辺りから、俄然、面白くなります。
様々な敵と対峙しながら、「同盟」と少女の関係を少しずつ突き止めていく主人公。電脳を介し、スクリプトを使って戦う彼らの戦闘は独特で、一種の異能戦の様相です。
最強系主人公ではないのですが、主人公はスクリプト以外にも物理攻撃や機転を生かして戦うタイプで、それがバトルを面白くしていると感じました。
主人公はなんだかんだ女性や子供に優しくて、そういう所も良かったです。
「不思議の国のアリス」をベースにしたキャラクターたちも個性的。そして、主人公と幼馴染たちの三角関係が切ないんですよね。
身動き取れないもどかしさに泣く……特にハクト……
最後、少女の謎が解き明かされる時、主人公が選び取る道は何なのか。SF好きな方は、ぜひ読んでみていただきたいなと思います!
全80話。完結。
終盤の残酷描写は結構キツめなので、苦手な方はご注意ください。




