表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

おい、天使。事故って死ぬと思ったか?

作者: ヘリコプター

 ん?ボール?

 横をちらりと見ると案の定小さな子供がボールを取りに走って来ている。

 前を見ればスマホを見ながら運転している大型の車。


 このフラグが立つのが確定するような組み合わせに、思わず荷物をその場に置き走り出し、手を伸ばし子供へ向かって跳ぶ。


「危ない!」


 この瞬間、少ない約17年の人生だったけど、最も集中して、死を悟る瞬間だった。

 なぜこんな危険ことをしたのだろうか、自分はまだ若く身体能力の全盛期とも言える高校生、だから死にはしない、多少骨が折れるレベルだろうと、考えていたからだ。

 車との衝突を舐めていた。


「キャー!」


 あぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁあアァあああ……!

 痛てぇ痛てぇ痛てぇ痛てぇ痛てぇ痛てぇ痛てぇ

 痛てぇ痛てぇ痛てぇ痛てぇ!!


 体が動かない、痛みを柔らげるとために暴れたい。

 この痛み何かに変えたい。


 顔の筋肉は動くぞ。

 口を全力で開け閉めをし、まばたきをするのを止め、目を開ける限り見開き瞳孔を広げる。


 開いた目の視界の端に入った自分の腕が鮮やかな赤黒さに不安と恐怖を覚える。

 この誰もが見てわかる程の完全に壊された腕。


 それと同時に腕に、いや、神経に痛みが電気が走り、気を失いそうになる、自分の血がまるで拷問に使うような劇毒へと変わった。


「グァあがぁグウりうゅうがぁくぅ」


 脳が痛みでいかれたのか、声帯に変な声を出す命令が出たような呻き声が出た。


「大丈夫ですか? 今救急車呼びましたから、もう少ししの辛抱ですよ!」


 どう見ても大丈夫じゃねぇだろうが!!

 アホかこいつと、叫びてぇ!

 救急車には感謝してやるがな。


 幸いにもストレスで痛みが柔らぐ。

 しかし、そのストレスのせいなのか、気が遠くなっていく。

 そこで、自分は全てのデメリットは気合いで、何とかして叫ぶ。


「ここで、死んでたまるがぁ!」


 いでぇ!!

 エグいって!


 だが、気がはっきりするぞ、痛みは生きている証拠だ。

 死にかけ緊急事態限定の人生一度くらいしかなさそうな条件下だけだけどな。

 俺は漫画のイカれた頭を持ったキャラクターじゃないからな。


 自分は夢があるし、まだまだ続く人生を生きて楽しみたいわ!


 そういえば子供は無事だろうか?

 目玉をグルグルと動かし、子供を探す。

 見つからないが、まぁいいだろう、死体はないから死んではいないのだろうな。

 最低ラインは守りきった、それは普通に嬉しいし、安心する。

 ったく、周りを見ろよ、クソガキが、あとクソ運転手。

 目の前の事しか見ないかいら、こうなるんだよ!

 っち!天罰落ちろ!


 悪態ばっかついてるな、自分。


 というか、なんでこんなに自分は冷静なんだ。

 最初の死ぬような痛みはどこに行った?

 なんだ、脳からストレスを柔らげる、ホルモンや物質が出ただけで痛みが軽くなるほどの軽い痛みじゃなかったはずだ。

 それにこういうのは基本的にホルモンだから、効果が出るまでに時間が多少かかるはずだ。


 そう、思っているうちに、自分の周りは血の池へと変わっていた。

 どこだ?腕以外にもどこだ?

 出血の出所はすぐにわかった。

 足の太ももだった。

 ざっくりと切れていた、傷が熱い、それに反して体が冷たくなってきている。

 心臓はポンプ運動を加速させる。

 皮膚と筋肉は震え始める、そのせいで、痛みを越えた何かが、体に走る。


 ヤバい!

 視界が不安定だ、揺れる、混ざる、ぼやける、閉じてくる。


 そして変な幻覚を見る、輪郭と顔はよくわからないが、翼が生えた謎の人物が近づいてくる。


 焦りと、恐怖が一秒ごとに強くそして不安と生への渇望が強く、織り込まれて、本物の死ぬほど必死という感情をここで、理解する。


 !!

 聞こえたぞ!

 この甲高いサイレンの音!

 救急車だ!

 ふはは、希望だ希望だ!

 急いで救ってくれ。


「えっ、この土壇場で復活してるよ。でも行けって命令されたし」


 またもや幻覚を感じる。

 背中に暖かい手のような物が感じる。

 そして触られた瞬間、体の支配力は抜けて、浮くような感覚に襲われる。

 感覚が失せていくのに恐怖から絶望へと進化していく。


「えぇい、離しなさい! あなたは亡くなるのです」


 また聞こえる。

 いや二度目は幻覚だろうが、関係ないこの死神悪魔野郎を利用して、怒りの炎を点火させる。


「離せ! この死神悪魔野郎が! てめえが死ねや!」


「なっ! 失礼な私は天使ですよ! それに野郎じゃなくてレディです」


「やっぱ死神悪魔ビッチじゃんか!」


 自分でもわかるぞ、自分の口が動いてないのになぜか、声を出しているかのような感覚を感じ、認識しているぞ。

 明らかな異常事態だ。

 こんなこと常識的にあり得ない、あったらおかしいということだ。


「天罰与えますよ!」


「ふん、やはり天使は自己中なやつばかりだ」


 聖書を一度呼んだことはあるが、天使と悪魔どっちが良いのかと判断したら、悪魔だ。

 そもそも悪魔はキリスト教が勝手に他の宗教の神やそれに準ずる物を悪と指定したものだ。

 かの有名な『バアル』という悪魔も元々はエジプト神話の豊穣と嵐の神だ。

 それに悪魔は契約という名のビジネスで破格の力を与えてくれる。

 契約という安定感、信頼感は現代人が最も求めているものの一つだ


 徐々にだが、体の支配力が戻ってきた。

 それに、救急車が近い視界にすでに収めたぞ。

 赤いライトは目に焼き付けるような赤さに見える。

 助かるはずだ、また体の支配力も感覚は残っている。


「慎重に運べ! 輸血だ、輸血。急げ、一秒が生死を分けるぞ。必ず助けますから頑張ってください!」


 勝った、死神悪魔ビッチによって命を取られる運命から勝ったぞ。

 血が入るのがわかる、失った体重が戻ってくる。

 傷口が押さえられて、強烈な痛みが走るが、命よりは安い、耐えられる。


「ど、どうしよう神様」


 なんか死神悪魔ビッチがなんか言った気がする

読んでくださりありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ