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ともだちのいないトラ  作者: 美森つばさ
3/15

トラは朝の光で目をさましました。トラの心は静かです。何日かぶりに深く眠ったように思います。

空を見上げ青空を確かめました。

「きれいだなぁ」

トラがそっと呟きました。それを聞いていたのは地の精霊。

「悲しみを抱えているのに空を“きれい”と言ってくれた」

風の精霊もやってきました。地の精霊と風の精霊は顔を合わせ にっこりしました。



トラは思いました。「ここなら町からも遠いし誰もいない。よね?」

辺りに誰も住んでいないか確かめるため トラは周辺を見て回ることにしました。すぐにピアノのついた大きな古い木が目に入りました。トラにはその木がとても神々しく見えて近づくのをためらってしまい まずは周りの背の高い木々を見てまわることにしました。

「立派な木だな。今まで見た事がないくらいの立派な木がたくさんだ」

トラはそっと木にさわりました。木からあふれるエネルギーは肉球から伝わってきました。それはトラの心にも届き トラは少し元気を取り戻しました。

今度はちがう方向へと歩いていきました。水の音が聞こえます。音がする方へ行ってみると 川がありました。穏やかなせせらぎを奏でるとてもきれいな川です。

「こんなにきれいな川 始めてだ」

トラはちょっと嬉しくなって川の水を眺めました。魚がいるのがみえました。でも 水面にうつった自分の顔をみて悲しくなりました。

「どこに行ったって僕がトラなのは変わりない」

トラについてきていた風の精霊も悲しくなってしまいました。すると川から水しぶきが跳ねました。トラのアメジストのような深い濃い紫色の大きな瞳に水しぶきが映ります。キラキラした水の玉は 太陽の光で七色になり それはもう本当に美しく トラはあまりの美しさに悲しみを忘れました。

水の精霊の仕業です。風の精霊は水の精霊にお礼を言いました。

トラは水面に顔を近づけて水を飲みました。とても美味しい水でした。トラの喉は潤いました。心も少し潤いました。

川をはなれて またちがう方向へ行ってみました。すると少しひらけたところにたくさんの花が咲いていました。見たことのないその花たちは色とりどりでとてもきれいです。トラも美しさに目を見開き 心も揺れました。

「なんて素敵なんだろう」

トラは感激しました。花に顔を近づけて香りを胸いっぱい吸い込みました。トラの心は少し癒されました。花をさわろうと手を花に近づけましたが 慌てて手を引っ込めました。トラの爪はとても尖っていて 花を傷つけてしまいそうだったからです。

それを見ていたのは花に住む火の精霊。きれいな花を見ると 誰しも摘んでしまうものなのに 花を守ろうとしたトラの行動に火の精霊は驚きました。風の精霊は少し自慢げにトラを紹介しました。火の精霊もトラを好きになりました。



ひとりぼっちでも辛さをやわらげてくれる素敵な場所をたくさん発見し トラはここで命が尽きるのを待ちながら過ごすと決めました。








お読みいただきありがとうございます。

本職が忙しいため更新がゆっくりになります。

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