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ともだちのいないトラ  作者: 美森つばさ
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うつむいたトラの瞳からぽろぽろとこぼれる涙。心が痛くなるような悲しい泣き声。

風の精霊がその涙と悲しみを抱えました。でも風の精霊も悲しくなってしまい 抱えきれなくなりさまよいました。すると古びた木から地の精霊が呼びました。風の精霊が抱えたものをみた地の精霊は言いました。

「その子をここへ連れてきてください」

地の精霊はとても年老いていました。自分では古びたこの木から動く事が出来ないほどに。

「この深い悲しみをどうにかできますか?」

地の精霊はだまってうなずきました。



トラの悲しみは止まりませんでした。

あまりの悲しさに “消えてしまいたい” と思いました。

誰もいない場所へ 何の希望も持つことのないひとりきりの世界へ行きたいと トラは泣きながらゆっくり山へと歩き出しました。

風の精霊がトラを見つけました。

トラに風の精霊が寄り添いました。

トラは気づいていません。ただ山をめざしたトラでしたが 実は精霊が少しずつ導いています。地の精霊のもとへたどり着くように。

山の奥深くトラは何日も歩き坂道を登ります。太陽の光さえ木々にさえぎられる 薄暗い山のなかを どこまでも。

“あとすこしよ”

風の精霊がトラの顔をなでました。

トラは頬にあたる風を感じながら歩きます。


「あれ?」

トラは不思議に思いました。山深いというのに 丸くひらけた場所に着きました。夜だというのにそこは周りの背の高い木々の影はなく 月明かりで芝草が光っていました。よく見ると古びた大きな木が1本あります。とても大きな木ですが 枯れてしまっているのか葉は1枚もありません。すこし近づいてみるとピアノが木の根元にくっついているのが見えました。ピアノから木が生えたのか 木からピアノが生えたのか そんな感じです。


地の精霊は風の精霊に起こされました。ふと見るとトラがはなれた場所からこちらを見ています。

「ああ、長く待った甲斐があった。よかった」

地の精霊はトラを見て嬉しそうに言いました。

風の精霊も、そんな地の精霊を見て嬉しくなりました。

「どうか彼の悲しみをお救いください」


トラはすぐにここが気に入りました。“ここで命が消えるのを待ちたい”と思いながら、歩き疲れた身体を芝草の上に置きました。

月明かりは優しい光でトラを眠らせました。

地の精霊と風の精霊は静かに「おやすみ」と言いました。






お話の区切りの良いところが 1話目の半分くらいの文字数になってしまいました。

不慣れなもので 1話目でご挨拶も出来ず申し訳ありません。

トラが元気になっていく様子を見ていただきたく思います。

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