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ともだちのいないトラ  作者: 美森つばさ
12/15

12.



子供たちは約束を守り トラの事を誰にも言いませんでした。でも本当は言いたくて仕方ないです。ピアノが聴こえるたびに子供たちは トラのところへ行きたいと思うのですが もちろん行くことは出来ません。約束ですから。


そんなある日 学校で先生が言いました。

「トラはとても怖い生き物です。町にいる人とは大違いです。ここはトラの住む場所からとても遠く離れているので安全ですが トラに会ったら襲われて食べられてしまいます。とても注意が必要です」

子供たちは心臓がドキンとしました。子供たちが知っているトラは違います。トラを悪く言われたのをがまんしきれず うさぎの男の子が言いました。

「嘘だ。そんなんじゃない。そんなトラだけじゃない。優しいトラだっているよ」

子供たちがざわつきます。先生はびっくりして聞きました。

「どうしてそう思うの?」

うさぎの男の子は うつむいて口をギュッと閉じました。トラが子供たちを思って言ってくれた事を無駄にしたくない そう思ったからです。先生は言います。

「どこでトラに会ったの?この近くですか?この近くなら 町の人たちに知らせて警戒しないといけない。どこで会ったの?」

うさぎの男の子は黙っていました。

約束がほどけていく音がする・・・。

羊の女の子が言います。

「先生は時々聴こえるピアノの音を知ってますか?」

「ええ知ってますよ。それは今の話とは関係ないですから」

「じゃあ誰が弾いてるか知ってますか?」

「いいえ。でもそれは誰も知らない事です。その話はあとで・・・え?まさか知っているの?」

「とても優しいトラさんだよ」

鹿の男の子が言いました。みんなハッとしました。鹿の男の子はつづけます。

「もう黙っていられないよ。トラが悪者だって決めつけて。何も知らない大人は嘘ばかりだ。あんなに優しい人 この町にはいないよ。トラは怖いって何なんだよ」

「そうよ。この町の誰より優しい人だったわ」

「一緒にいられたのは ちょっとの時間だったけど とっても優しい人だってすぐにわかったよ」

先生は突然のことに頭の中が大混乱。

「皆さん落ち着いて。順を追って説明してもらえるかしら?」

子供たちは全部を話しました。

ピアノを弾いている人を知りたくて みんなで遠くまで出かけたこと。

やっと見つけたその人は 大きなトラだったこと。

とても優しいトラだったこと。

みんなの帰り道をとても心配してくれたこと。

会えて嬉しかったと言ってくれたこと。

そして もう来てはいけないと言われたことを。

聞いている間 先生はドキドキしてしまいました。まさかトラがピアノを弾いていて しかもとても優しいなんて 考えもしなかったことだらけで。子供たちの行動力にもおどろきました。

「みんなで話してたんだ。僕たちはまたあのトラさんに会いたい。でも本当に会いに行ってはいけないのかな?ダメなのかな?」

先生は考えました。本当にそんな優しいトラがいるんだろうか いるのなら自分も会ってみたい でも危険ではないのか?もう来るなと言ったのは次は襲うという意味ではないか?

「聴こえる!」

「ホントだ聴こえる!トラさんのピアノだ!」

子供たちは目を輝かせてピアノを聴いています。

先生は子供たちが嘘を言っていないと確信しました。そして子供たちといっしょに秘密を持とうと決めました。

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